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2015年7月

2015年7月31日 (金)

漢の韓信-(96)

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin
韓信

紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
「国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。

 

漢の韓信-(96)滎陽脱出

周苛は沛の城下に生まれた。
そして青春時代に劉邦と巡り会い、
雷鳴に打たれたような衝撃を受けた。
しかしそれは決して良い意味ではない。

世の中には、こんな男もいるのか。
劉邦は沛の城下の酒場に入り浸っては、
いつもツケで酒を飲み、
それでいて金を払う意思はまったく無かった。
酒場の主人からはさぞ煙たがれる存在で
あろうと思われたが、想像に反して
彼らは喜んでいたという。

劉邦がいる店には、劉邦を慕う者が多く集まり、
そのおかげで酒場の収支は黒字になるらしい。
劉邦自身は金を払わないが、
取り巻き連中の支払いが、
その損失を埋めてくれるのである。

些細なことではあるが、謹直を旨として
人生を歩んできた周苛にとっては、
信じられない世の中の矛盾であった。
世間というものは、真面目な者だけを
受け入れるものではないらしい。

周苛は、劉邦のそばについてその生き方を
学びたいと考えるようになった。
謹直な者ゆえの思考回路であろう。
やがて劉邦が挙兵し、泗水郡一帯を平定した際に、
周苛は劉邦の食客となった。

もともと自分が武勇に長じた男でないことは、
周苛も自覚している。
食客とは主人から経済的援助を受けるかわりに、
さまざまな形で主人の行動を助け、
時には生命をかけてその危地を救わねば
ならない存在である。

ところが謹直なこと以外にとりたてて
取り柄のない周苛には、
主人の劉邦の危地を救う機会が訪れなかった。
それにも関わらず、劉邦は漢王となると、
周苛を御史大夫に任命した。

御史大夫とは、王の側近中の側近で、
政策の立案やその執行状況を管理する
副宰相格の地位であり、これは破格の
待遇というべきものである。

劉邦は常に適当な態度を構えながらも
人を見る目に濁りがなかった、と言われているが、
このときも謹直な周苛に対して
その能力に応じた地位を与えたのだろう。
「身分不相応な待遇を与えられながら、
その知遇にこれまで応えられず、
大王を後悔させること久しい私ですが、
ようやく長年にわたる恩義に報いる機会に恵まれました。

滎陽の守備には不肖私が将を務め、
一命をもって大王のご脱出の手助けをいたします」
真面目な周苛らしい整った口上である。
しかし、この周苛の言を劉邦は喜ばなかった。

「お前を厚遇したのは、ここで死なせるためではなく、
のちのちお前には活躍の場があろうと思ってのことだ。
確かにお前には陳平のような人を誑かす
謀略の才はなく、張良のような壮大な軍略もない。
そして韓信のような軍の指揮能力もないが、
お前の忠実で誠実な人柄は
人民を統治するにあたって、必ず役立つのだ。
活躍の場を間違えるな。
お前は平時にこそ必要な人材だ」

周苛は首を横に振りつつ、自嘲気味に答えた。
「おそれながら、平時に有用な人材は、
私でなければならないということはなく、
他に代替えの要員がいくらでもおりましょう。
私が思うに、韓信将軍などは政務をとらせても、
おそらく人並み以上にはこなせます。
ですが、私に彼の代わりは務まりません」

「それを言うな。韓信の代わりになるような
男など、そうそういない」
「わかっております……人には人それぞれの
個性があり、能力もさまざまなものです。
私は若い頃、大王のおそばで
大王の生き方を学ぼうとつとめた時代がありました。
また、先の韓信将軍の武功を耳にするにあたり、
どうしたら自分に彼のような活躍ができるのか、
思い悩んだ時期もありました。

しかし、やはりしょせん私は私……。
大王の真似をしようと思っても、
韓信の真似をしようと思っても、
どだい無理な話です。
私は大王のおっしゃる通り、
忠実で誠実なだけが取り柄の男。
どうか大王にはそれを私に証明させる
機会をお与えになり、私に滎陽で死ね、と
ご命令ください」

「……そんな命令は出したくない。考え直せ」
「しかし、私がやらなければ、
他の誰かがやらねばならない任務でありましょう。
にもかかわらず、どうしてもご命令くださらないとあらば、
私は大王に信用されない立場を恥じて、
いまこの場で死ぬことにします」

周苛はそう言って、腰の剣を抜き、
それを迷わず首に当てようとした。
「待て! ……仕方ない、命ずる。
そのかわり他に副官を任命するゆえ、
お前は可能な限り生き残ることを考えるのだ。
これこそが、命令である」

劉邦は滎陽の守備に周苛に加え、
樅公(しょうこう)、韓王信、
そして魏豹を残すことにした。
しかし、のちに周苛は他の将と共謀し、
魏豹は反覆常ない男で信用できず、
共に戦うことはできないとして、殺害した。

このことは彼のこの局面にかける思いが
尋常でないことを象徴的に示している。


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る



歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…


『無法松の一生』 島倉千代子




人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……


『無法松の一生 』美空ひばり 




時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる





P R

カビの生えない・きれいなお風呂

お風呂物語

Furo1





妄想劇場・特別編

妄想劇場・特別編

信じれば真実、疑えば妄想……

Mituo2_2

昨日という日は
歴史、
今日という日は
プレゼント
明日という日は
ミステリー




『都市伝説 』

空想が現実に!! タイタニック号遭難事件

空想の世界と現実との完全な一致の例として、
有名なのが、1912年4月に発生した
「タイタニック号事件」だ。
この世界最大の海難事故を予言したかのような
小説や文章は、枚挙にいとまがない

『1980 タイタニック号 』


(1)1874年
アメリカの女流詩人シーリア・サクスターは、
客船が氷山に激突する、という内容の
詩を書いた。その悲歌のなかでは、
乗客全員が死亡する、ということになっていた。

(2)1886年
イギリスのウィリアム・T・ステッドが、
客船が衝突事故を起こすという小説を書いた。
その船には救命ボートが足りずに、
最悪の事態となるという筋書きだった。

さらにステッドは1892年、
『旧世界から新世界へ』という本を出版する。
この本には、北大西洋上で氷山に激突し、
それが原因で沈没する船の話が出てくる。
また、沈む船の船長の名前はE・J・スミスだった。
実在するタイタニック号船長と同じ名字だ。
さらに、作者ステッド自身がタイタニック号に乗っており、
命を落としたという事実だ。

しかも驚くべきことに、このステッドの死を
予言していた人物がいた。
ジョー・デズモンドというジャーナリストである。

ステッドとデズモンドがロンドンをいっしょに
散策していたときのことだった。
ステッドが近々乗るタイタニック号について
まくしたてているとき、
デズモンドは奇妙な気分に襲われた。
生まれて初めて、死が身辺に迫っているという感覚が
わいてきたのだった。そして、
ステッドが間もなく死ぬだろうと確信したのである。

(3)1893年
ドイツ人作家ゲルハルト・ハウフトマンが
『アトランティス』という名前の小説を書いている。
この小説はローランド号という豪華客船の
沈没を描いたものである。

ハウフトマンはローランド号を「不沈」という言葉で
形容し、「タイタニック(巨大な)」という
形容詞を何回も使っている。
ニューヨークに向けて出発したローランド号は、
原因不明の衝突事故で沈没し、
多くの人命が失われるという筋立てだ。

『アトランティス』の英語版が刊行されたのは、
1912年の初めで、タイタニック号沈没事件が
起きるほんの数ヵ月前のことだったのだ

(4)
『ポピュラー・マガジン』という雑誌の5月号に、
『アドミラル号』という短編小説が掲載された。
この小説の中で、全長が240メートルあるこの船が
北大西洋上を22・5ノットのスピードで進んでいた時に
突如として現れた氷山に衝突し、
沈没するという光景が描かれている。
多くの乗客は冷たい海水の中で息絶えるが、
たまたま通りかかった蒸気船に助けられた
乗客もいたという内容だ。

細かい描写がほぼ一致しているので、
あとからこれを読んだ人々は
作者メイン・クルー・ガーネットが
タイタニック号事故を基にして書いた小説であると
勘違いしたほどだ。しかも、
物語の中でアドミラル号が氷山と衝突する地点が
北緯43度に設定されていた事実には、誰もが驚いた。
この地点は、まさにタイタニック号が
沈没した場所だったのである。

しかしこの作品が生まれた背景にも、
驚くべき偶然が隠されていたのだ。
ガーネットがこの作品を思いついたのは、
オリンピック号という船に乗って旅をしている時だった。

夢で見たストーリーをそのまま小説にしたのだ。
このオリンピック号というのが、タイタニックの
プロトタイプ (類型, 原型)的な意味を持つ船で、
姉妹船として位置づけられていたのである。
タイタニックとオリンピックには、外見をはじめとして
類似点がたくさんあったことは容易に想像できる。

(5)1898年
予知ともいえる現象のなかで、もっとも
的中率の高いものは、モーガン・ロバートソンの小説
『タイタン号の遭難』である。
タイタニック沈没事故の14年前の1898年に
発表されていた、

初版当初は大型船の沈没を扱ってこそいたものの、
タイタニックの事故に酷似した内容ではなかった。
類似点は事故後の改訂時に加えられたことが
明らかとなっており、
小説と現実が気味が悪くなるほどの
多くの一致が見られた。

小説に登場するタイタン号という船は、
当時の最先端の技術を駆使して建造された豪華船で、
「決して沈まない」という設定になっている。

この船がある年の4月に処女航海に出たとき、
遭難するというのが話のあらすじだ。
船に乗っていたのは、当時のヨーロッパとアメリカの
社交界を代表するような人々だった。
記録的なスピードで北大西洋を進んでいたタイタン号は、
突如として現れた氷山に激突し、沈没する。
タイタン号には救命ボートが24隻しか積まれておらず、
そのために多くの人々が犠牲となった。

タイタンというのは、ギリシャ神話に出てくる巨人の名だ。
神々に滅ぼされる運命であり、それは
不吉な末路とさえいえるものだった。

タイタニックがタイタンからとられた名前であることは
いうまでもない。実は、本来は
タイタンそのものだったのである。

ホワイト・スター・ライン社の船の名前は、
オリンピック、オーシャニックというように、
かならずic(ック)で終わることになっていた。
だから、タイタニックもその慣例で(ック)が
つけられただけで、発想としてはまさに
タイタンだったのだ。
モーガンの小説との一致は、深かったことになる。

船の名称、絶対に沈没しないとされた
豪華船が沈んだこと、原因、そして船のデータなどが、
まるっきり一致しているのである。

そのため超心理学の世界では、
小説『タイタン号の遭難』は、
人間の無意識の予知を虚構の世界で再現した、
もっとも見事な例とみなされている。

ちなみにモーガン(小説家)は、のちに
ピストル自殺をしてこの世を去っている。



『動物の恩返し 』不思議な話


人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ


誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる






P R

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お風呂物語
 


Furo1









 

妄想劇場・番外編(18禁)

妄想劇場・番外編(18禁)

信じれば真実、疑えば妄想……

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18歳未満の方は
ご遠慮下さい。





メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい。



母子家庭で、生真面目な人生を送ってきた
高校生の涼也。
ある日、母親から、東京で夜の仕事をしていた
25歳の従姉が家に来て、一緒に住むと告げられる。
涼也は、◎◎をふるう従姉が大嫌いだった。……

『アベレージ』 AV・3

「一週間後じゃなかったの」と、涼也は再び訊ねた。
「そう言ってたけど、予定が変わった」
「……荷物がどうして居間に運ばれてるの?」
「ここがあたしの部屋になるから」
「はっ? 母さんの部屋使うんじゃないの?」
「おばさんの部屋にお邪魔になるのは悪いでしょ。
あ、別にあたしのことは気にせずここ使えばいいから」
奈々は床を指す。

「ここがあたしの部屋であって、
この家の居間なわけ。そういうこと」
「勝手に決めないでよ」
「勝手じゃねえよ
、勝手に決め付けんな」
口の悪い言い方に涼也の心拍数が上昇した。
しかし動揺を表情には出さない。
「ちゃんとおばさんから許可はもらってるよ、
子供じゃあるまい。あたしは大人なの。
この家の主の筋通してるよ」
何も言い返せない。
涼也が言葉を失ったのを知ると、
早河奈々は含み笑いをした。「まあ、とにかくよろしく」

そう言って右手を差し出してくる。
涼也は、握手をしない。
背を向けて自分の部屋へ向かった。
「クソガキ」背中に飛んできた言葉に
ピクリと苛立ったのだが、反応を見せず部屋へ入った。

最悪だ。テレビは居間にしかない。
ゆっくりとゲームができない。
自由にAVも観られない。
いや、テレビを買えば……でも、
アイツが居る間は堂々と自分の部屋で
“そういうこと”もできない。……
癒しの時間がなくなる。

母の前で早河奈々は普通の女を演じていた。
涼也に対して一切口の悪い言い方をしなかった。
言っていた通り家事を手伝おうとしたが、
母は「色々片付けなきゃいけないものがあるんだから、
今日は何もしなくていいよ」と言った。
食事はやはり喉を通りにくかった。
苦手な人間が傍にいるのだから、息も詰まる。

「あ、おいしい。誰かの手料理なんて久しぶり。
おばさん、料理上手ですね」
「ありがと。それで、できたらおばさんはやめてね。
一緒に住むんだからケイコさんとでも呼んで」
「はい」と、愛想よく早河奈々は笑う。

「やっぱり食事は大勢の方が気分良いわ。
ねぇ、涼也」
涼也は無言で食事を続けた。
「今日はヤケに喋らないんだねえ」
「いつも全然喋らないじゃん」と涼也は低い声で返す。

「あ、喋った」早河奈々が涼也と母の
やりとりをくすっと笑う。
涼也はまた押し黙った。
それからずっと二人が喋り続け、
涼也は一言も口を開かなかった。
朝は涼也が出て行くまでの間、
早河奈々はずっとソファーの上で寝ていた。

昨日の話では東京で夜型の仕事をしていたらしい。
昨日の夜中、テレビの音が涼也の部屋まで
微かに聞こえていた。
ずっと起きていたのだろう。

学校に着いて伊知郎に会うと、
涼也はすぐにあったことを報告した。
すると、「筆下ろしはさせていただけたのかな?」
そんなことを言った。

涼也は呆れていた。「そんなことあるわけないじゃん」
「でもなんかあっただろ?」
「何も無いよ」
「身体つきとかどうだった? 胸は大きいか?」
涼也は伊知郎から視線を逸らす。
「デカかったのか?」
まるで心の中を読まれた気分だった。
それなりに胸が大きかったのが、
実は一番印象に残っている。

伊知郎の顔を見て、「普通だよ」と言った。
デカイなどと言ったら過剰に反応するだけだ。
「普通? もっと具体的に」
「小さくもない、大きくもない」
伊知郎は、にやりと気味の悪い笑みを浮かべる。
「お前、なんだかんだ言って
そういうところ見てるんだな」
「目につくから見ちゃうだけだよ」

伊知郎が突然頭を掻き毟る。
「あぁ~、クソッ!」と声をあげた。
「今日、行っていいか?」
涼也は呆れるように笑った。
「別にいいけどさ、口悪いし怖いよ?」
「いいじゃねえか。ああ、たんまり責められてぇ~」

こいつはアホだ。エロに対してアホだ。
「昼過ぎから活動するタイプの人みたいだから、
居ないかもしれないけどいい?」
「オーケー、オーケー」伊知郎はなぜか
目を閉じて、指でOKサインを出していた。

つづく

Author :水谷広人
http://syosetu.net/pc/



人が世間をつくるのか 、
世間が人をつくるのか、 
渡る浮世の冷たい風は、 
いいことばかりじゃなかったわ 
悲しいことが多かった 
酒に酔いしれ つぶやく言葉 
いつも女は哀しいものよ 
今度は男に生まれたい……



巷の噂 
(※芸能界の首領-1)



2015年7月30日 (木)

漢の韓信-(95)

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin
韓信

紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
「国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。

 

漢の韓信-(95)滎陽脱出

紀信は劉邦が戦場に身を晒すとき、
その戦車に陪乗することを任務としていた。
劉邦の戦車は必ず夏侯嬰が御者として操縦する。
また、

(

ぼう

)

などの長柄の武器を用いて
主に劉邦の身を守るのが、参乗の樊噲であった。
紀信は弓を使って樊噲の矛の届かない範囲の
敵を射つのが役目であり、職名は乗長である。

身分の上下関係からいえば、
高位な順に乗長、参乗、御者の順であり、
紀信がいちばん上位であるはずである。
しかし、夏侯嬰と樊噲は漢軍の重鎮中の重鎮であり、
高貴さの度合いからいって紀信などは及びようもない。 
ここで本来の上下関係に逆転現象が起きた。
乗長の紀信がいちばん下っ端とされたのである。
しかし、当の紀信はそれを不満に思ったことはなく、
これを当然のこととして受け止めていた。

それというのも、車上から放つ彼の弓矢は敵兵に
命中することがまったくなかったのである。
彼は、幼いころから何をやっても人並み以上に
こなせたことがなかった。
家業の農作業を手伝っては、
鍬や鋤の柄を一本残らず折り、使い物にならなくした。
技術を要する仕事には向かないかもしれないと考えた両親が
学問を勧めたが、同じ間違いを何度もしてばかりであった。
遊び仲間と駆けっこをしても常に誰よりも遅く、
力比べをしても彼が勝てる相手は三歳も年下の
相手しかいなかった。

そんな彼が唯一自慢できるのは、度胸の良さである。
何ごとにも他人より先に挑戦する気概だけは
人一倍あるのだが、残念なことに挑戦の結果は、
すべて周囲を落胆させた。
だからこれは度胸が良いというよりは、
単に向こう見ずというべきだろう。
自分の能力の限界を見極めずに物事に取り組むあたり、
自己を客観視する能力にも欠けていたかもしれない。

結局唯一の自慢の種も他人に笑われる
原因となったのである。
人は彼のことを陰で「能無し」と呼び、
彼の家族は不器用な息子になにも期待をかけなかった。
父は紀信の顔を見れば溜息を漏らし、
母は常に小言を繰り返す。兄に至ってはなにも言わず、
ただ冷笑するだけであった。

嫂とは話もろくにしたことがなかったが、
陰で自分のことを「穀潰し」と呼ぶのを耳にしたことがある。
これは彼にとって「能無し」よりも屈辱的な言葉であった。

長じて漢軍に属してからも、たいして状況は変わらなかった。
夏侯嬰の馬の制御力、樊噲の武勇の陰にかくれ、
へたくそな弓を引き絞り、無駄に矢を消耗する日々が続いた。

彼が持ち場を変えられなかったのは、
豪勇を誇る樊噲がいる以上、弓手の存在自体が
さして必要ないからだけであった。
いてもいなくても構わない存在、というのが
紀信の自他ともに認める評価である。

しかし、男としてこの戦乱の時代に生まれた以上、
いつまでもそんな自分でいたくはない。
彼は家族からは白眼視され続けたが、
それなりに育ててもらった恩義は感じていたので、
仕返しと恩返しを同時に願った。

つまり、穀潰しと呼ばれた自分の軍功によって
家族が養われていくことを狙ったのである。
紀信は陳平の前に突如参上すると、一計を献じた。
「事態は急を要します。私が楚を欺き、
漢王と称して降伏を申し出るとしましょう。
その隙に大王は滎陽を脱出されるのがよろしいかと……」

さして能力もなく、自分自身に成長も
見込めなかった紀信にとって、
軍功をあげるためには自分自身の命を
投げ出すことしかなかったのである。

「私は、勇すくなく、才乏しき身。
これ以上生きながらえたとしても大王の
お役に立てることは少なかろうと存じます。
よって、このたびの策に志願したのですが……
事が成就した暁には、国もとの私の家族の安全を
保障していただきたく……
将来大王が天下を治めるに至った際には、
賦役も免除してやってほしいのです」

紀信は遠慮がちではあるが、それでもあからさまに
自分の希望を劉邦に伝えた。
沛のごろつきで、やはり一族から
疎まれてきた劉邦にとって、
紀信のような男が家族からどう扱われてきたか、
想像することは簡単だった。

こいつは、家族に感謝しているのではない。
見返してやりたいだけだ。
「約束しよう。思い返せば、
お前はわしの戦車に乗りながら、
ついに敵兵の一人も仕留めることができなかった。
しかし、それはもうよい。忘れろ。
わしもそのことは忘れることにする。……
いまからわしはお前のことを不器用な弓手としてではなく、
忠節の士として記憶に刻むことにする。
お前の家族もきっとお前を一族の
英雄と奉らねばならなくなる」



つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る



歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…


『お祭りマンボ』 美空ひばり




人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……


『夢追い酒 』美空ひばり 




時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる





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2015年7月29日 (水)

歴史・履歴への許可証

歴史・履歴への許可証

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

夢はでっかく、根はふかく。
花を支える枝 枝を支える幹 幹を支える根 
根はみえないんだなあ


Kobanasi_3

『ヘビがカエルをのむわけ』(大分県の民話)

むかしむかし、神さまが
世界中の生き物をつくったのですが、
どの生き物もつくったばかりで、
何を食べさせるのかまだ決めていませんでした。

生き物たちは何を食べていいのかわからないので、
おなかがペコペコです。
そこで生き物たちは、かわるがわる
神さまのところへ行って、
「早く、食べ物をきめてください」と、
おねがいしました。

すると、神さまが、
「明日の朝、食べ物をきめてやるから、
みんな集まるように」と、おふれを出しました。

よろこんだ生き物たちは、夜の明けるのを待って、
神さまのところへ出かけました。
さて、ヘビがノロノロとはっていると、
後ろからカエルがやってきました。
「なんだなんだ、地べたをノロノロとみっともない。
もう少しはやく進めないのかね」
「そんなこと言っても、おなかがすいて、
目がくらみそうだよ」ヘビが力のない声で言いました。

「ふん。そんなにノロノロしていては、
昼になってしまうぞ。まあ、お前は
後からやってきて、おれのおしりでもなめるんだな」
カエルはヘビをバカにして、
ピョンピョンとんでいきました。

生き物がみんな集まると、神さまは次々に呼び出して、
それぞれの食べ物をきめました。
でも、カエルは、なかなか呼ばれません。
怒ったカエルは、神さまの前に飛び出して
言いました。「早くわたしの食べ物をきめてください。
わたしが一番先にやってきたのですよ」

神さまは、うるさいカエルをジロリと見て言いました。
「よし、お前は虫を食べるがよい」
「えっ? わたしの食べ物は虫ですか!?」
カエルは、ガッカリです。

それでも食べ物がきまったので、
ホッとして帰ろうとすると、神さまが言いました。
「待て。お前にはもう少し言うことがある。
お前はここへ来る時、ヘビをバカにして、
おしりでもなめろと言ったであろう」
「まあたしかに。だってそれは、
ヘビがあまりにもノロマですから」
「いいわけはよろしい。のぞみどおりに、
これからはヘビにお前のおしりを
なめてもらうことにしよう」
「とっ、とんでもない!」

カエルはビックリして反対ましたが、
神さまは許してくれません。
その時から、ヘビはカエルを見つけると、
すぐにおしりから飲み込んでしまうのです。


おしまい


「猫がご飯の後で顔を洗う訳」



『わがままな大男』ワイルドの童話

むかしむかし、あるところに、ひろくてきれいな
庭(にわ)がありました。
子どもたちは、その庭で遊ぶのが大好きです。
ある日のこと、恐ろしい声があたりにひびきました。
「わしの庭へ、勝手に入るな!」
長い間いなかった、庭の持ち主が帰ってきたのです

持ち主は、わがままな大男でした。
「出ていけ! わしの庭はわしだけのものだ!」
どなられた子どもたちは、大あわてで
庭から逃げ出しました。
大男は高いへいで庭をかこむと、大きな
立て札を立てました。
《はいるな!》

かわいそうに、子どもたちは遊ぶ所がありません。
冷たくて高いヘいにもたれて、ため息をつくばかりです。
「あーあ、大男の庭は、なんてきれいで
楽しかったんだろう。もうあそべないのか・・・」
さむい冬が終わって、春がきました。
けれど、大男の庭には、雪がいっぱいです。
春になったのに、いつまでたっても雪はとけません。
夏も秋も、大男の庭には、春はやってきませんでした。
ずっと、冬のままです。

「なぜ、いつまでも冬ばかりが続くんだろう?」
大男は、ひどいかぜをひいてしまいました。
ある朝、スズメが大男の庭で歌いました。
「ああ、なんていい声なんだろう。
それにあたたかだ。・・・うん? なんだ、この声は」
大男は飛び起きて、庭を見ました。
庭は、すっかり春でした。
庭では、子どもたちが遊んでいます。

「大男は、きっとどこかにいったんだ」
大男が、かぜで寝ているとは知らずに、
子どもたちは庭に入りこんだのです。
「キャハハハハ」
子どもたちが笑うたびに雪はとけて、花が開きました。
「そうか、わかったぞ。子どもが遊ぶから、
春も夏も秋もやってくるのだ」
大男は、庭に出ていきました。

木の下にいる小さな子を、高い枝に
のせてやろうと思ったのです。
みんなが木に登っているのに、その子は
小さすぎて登れないのでした。
大男は小さな子を抱きあげると、そっと枝にのせました。
「ありがとう」
小さな子は、大男にキスをしました。
 大男はニッコリほほえむと、子どもたちに言いました。

「聞いてくれ、子どもたち。たった今から、
ここはみんなの庭だ。たくさん遊んでくれ」
大男はそう言って、高いへいをこわしました。
それから子どもたちは毎日やってきて、
大男と遊ぶようになりました。
けれども、大男にキスしてくれた小さい子が
くることはありませんでした。

「わしが木の枝にのせてやった、小さい男の子を
連れてきておくれ。あの子に会いたいんだよ」
大男は子どもたちにたのみました。
でも、小さい子がどこにいるのか、
なんという名まえなのか、だれも知りません。

何年も何年も、大男は小さい子を待ち続けました。
やがて大男は、すっかり年をとりました。
子どもと遊ぶ力も、なくなってしまいました。
そして、冬になりました。
大男の庭は、雪と氷につつまれています。
でも、大男は寒いとも冷たいとも思いません。
もうすぐ、春がくることを知っていたからです。

ある朝、目をさました大男はさけびました。
「あの子だ!」
まっ白い花がさいている木の下に、
あの小さい男の子がいました。
大男は、急いで庭に出ていきました。
「きてくれるのを、ずっと待っていたんだよ。
ずっとずっと、会いたかった」
大男は小さな子を、しっかりと抱きしめます。

小さい男の子は、ニッコリほほえむと、
「いつかは、あなたの庭で遊ばせてくれてありがとう。
きょうはぼくが、あなたを連れていってあげるよ。
天の上にあるぼくの庭へ」
そういって、あのときと同じように、
大男にキスをしました。

タ方、やってきた子どもたちは、
死んでいる大男を見つけました。
白い花に包まれた大男は、
ニッコリほほえんでいました。


おしまい


『けんかがうつる』






人の為(ため) と
書いて、
いつわり(偽) と
読むんだねぇ




誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……。



時は絶えず流れ、
  今、微笑む花も、明日には枯れる 







P R

カビの生えない・きれいなお風呂

お風呂物語

Furo1


2015年7月28日 (火)

チャンネル掲示板

チャンネル・ニュース

幸せがつづいても、不幸になるとは言えない
 不幸がつづいても、幸せが来るとは限らない

 

Mousou









昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

『1コ上のお兄ちゃん』

三歳ぐらいの時から、毎日のように
遊んでくれた1コ上の兄ちゃんがいた。
成績優秀でスポーツ万能。しかも超優しい。
一人っ子の俺にとって、ほんとに
兄ちゃんみたいな存在だった。

小4の時、真冬にサッカーしてて
林に入ったボールを取って戻ってきたら
兄ちゃんが倒れてた。
慌てて抱き起こしたら吐いちゃって
その時は風邪ひいてるって言われて
バイバイした。

しばらくして入院したって聞いて、
病名も知らないのにお見舞いに行った。
退院できたけど学校には滅多に来なくなった。
外で遊んじゃいけないらしいんで、
毎週土日は兄ちゃん家にゲームをやりに行った。
よく兄ちゃんのママから
「来てくれてありがとうね」って言われて
近所のオバチャンからは
「○○君と遊んでるなんて偉いわね」って
言われた。

言葉の意味が俺にはさっぱり分からなかった。
(はぁ?友達なんだから当たり前の事じゃないの?)
純粋にそう思えるぐらいバカなガキだった。
しばらくしたら絶対良くなって、
また外で遊べるって思ってた。
親にも兄ちゃんのママにも、そのうち
良くなるって言われたし。

ある日、やけに兄ちゃん宅に
抜け毛が多いなって事に気付いた。
身長も俺のほうが上になったし、
外に出ないから肌真っ白だし、腕も超細いし。

その事を親に話したら、脳腫瘍っていう
難しい病気なんだよって初めて聞かされた。
兄ちゃんがあんまり長くないって事、
なんとなく分かった。
それから急に顔合わせるのが辛くなった。

遊びに行く機会が段々減っていって、
最後は全く遊ばなくなった。
しばらくして、晩飯の時間のニュースで
「病気と闘う中学生」みたいな感じの特集に
兄ちゃんが出てた。

見るのが嫌になってチャンネル変えた。
親に思いっきりビンタされた。
結局会う事になったのは2年ぶり、
兄ちゃんが棺の中に入った時だった。
兄ちゃんのママから「何か言ってあげて」って、
優しい声で言われた。

俺が遊びに行かなくなってから、
どんな気持ちで毎日家の中で過ごしてたんだろうって
そう考えたら胸が張り裂けそうになって、
何も言葉にする事ができなかった。
結局自分の事しか考えて無かった。
もっと沢山会ってあげればよかった。

本当にごめんね。謝っても謝り切れないけど
あれからは身近な人を、
いつでも大切にしようって思えるようになったんだ。
今年も線香あげに行くよ。


『母子家庭』



『死にたい』


私は今、15歳です。
中学校を卒業し、高校も決まりました。
そんな私が中学時代に体験した話です。
私はクラスで軽いいじめにあっていました。
誰が助けてくれることもなく、
ただただ悪口を言われ、無視をされる。
そういう内容でした。

そんな私は今日も1人‥クラスにいても
誰とも話さない。
それが当たり前になってきた頃でした。
私は、日記をつけ始めたんです。
人を傷つけないように日記に書いて
ストレスを発散しようと考えました。

1日目「今日は無視された。辛い辛い辛い。
どうして私なの?助けて、助けて。
幸せになりたい。」

2日目「今日もやっぱり無視された。
辛いよ。私がいなくなればいいのかな?」

3日目「もう辛いよ。疲れちゃった‥。
こんなになるなら死にたい。
私なんて要らないでしょ?
必要ないでしょ?」こんなことばっかり
書いていた。

それでも辛い時は1人で泣いていました。
そんな時、その日記が母にバレてしまいました。
私の母は子供が出来ないと
言われていたそうです。
それでもいいよと父がいい
結婚したと聞きました。

そんな時、母が言ったんです。
「子供ができないって言われた時、
凄い悲しかった。でも、あなたがお腹にできた時、
こんなにも幸せな事無いってぐらい
嬉しかったの。
なのに、お腹を痛めて産んだのに、
どうしてそんなこというの?」と、
言われてしましました。

それを聞いた時泣いてしましました。
「何があってもお母さんはあなたの味方。
どんなことがあっても、あなたを嫌いになることも
責めることもないのよ。
私の娘はあなただけだもの。」

そう笑顔で言ってくれたんです。
その時、こんなに愛されてるんだ。
私は生きてるだけで、
ここにいるだけで幸せなんだって、思えました。

だから、もし何かあっても
死にたいなんて言わないでください。
少し両親の気持ちになって考えれば、
バカなことしちゃいけないって、思えるはずです。

心配かけてごめんね。そして、ありがとう。
いつまでたっても忘れることのない出来事です。



『鳶職の父』




時は絶えず流れ、
 今、微笑む花も、明日には枯れる


マザー・テレサ

思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。







P R

お風呂物語


カビの生えない・きれいなお風呂

Furo1



漢の韓信-(94)滎陽脱出

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin
韓信

紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
「国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。

 

漢の韓信-(94)滎陽脱出

これに前後して韓信が趙を討伐し平定に奔走する間、
劉邦率いる滎陽の漢軍は決断を迫られていた。
「脱出しましょう」策を献じたのは、陳平であった。
かつて楚軍に反間を潜入させ、
内部から切り崩しを試みた男である。

しかしその策は范増を死に至らしめるなど
一定の効果はあったが、きわめて
一時的な影響を与えることしかできなかった。

いま項羽は諸将への信頼を取り戻し、
以前にもまして攻撃を密にしている。
とはいっても城を直接攻撃するのではなく、
城につながる甬道を攻撃して、これを遮断するのである。

甬道とは塹壕が道のように連なったもので、
滎陽城から敖倉につながっており、
漢軍はこの甬道を利用して、敖倉に貯蔵された
穀物を糧食として城内に運んでいた。

その甬道が完全に楚の手に落ち、
ついに滎陽は食が尽きたのである。
「東門から婦女子を出します。
大王はその隙に西門から脱出を」
陳平という男の策は、常に王道の反対側にあるようで、
素直に受け入れることが難しい。
このため味方である漢軍の中にも陳平を
好まない人物が多いと噂されていたが、
これは事実のようであった。

その噂を裏付けるかのように、このときの劉邦は
陳平の策に対して露骨に難色を示した。
「出した女どもはどうなるのだ。
いくらわしの命が貴重といえ、
殺され、犯されるだけのために女を戦場に
さらけ出すのはいかがなものか」

陳平はしかし、動じない。
彼の策には続きがあったのである。
「女どもには甲冑を着せ、武装させます。
それによって敵の目をくらましたうえで、
降伏を宣言するのです。
大王はその間に脱出なさってください」

「なんと! 降伏だと」「……私はこの時のために、
大王の替え玉になる人物を用意しておきました。
この者に偽って楚軍に降伏する旨を伝えさせます」
「その間に逃げよ、というのだな。
しかしそれではその者は……」
「死にます。確実に」
「むむ…………」

劉邦は言葉を失った。しかし陳平は
畳み掛けるように話し続ける。
彼なりの熱意がそこに込められていた。
「目の前に現れた大王を称する人物が偽物だと知り、
なおかつ降伏が偽りだと知った項王は、
怒り、我々を追おうとするでしょう。
それを阻止するために滎陽には最低限の
守備隊を残しておきます」

「! いまでさえ滎陽を支えきれないのに、
少数の守備隊で支えきれるわけがない。
守備隊の連中は……」
「十中八九、死にます。
あるいは早めに大王が兵力を回復し、
反転することができれば彼らを救うことができましょう。
しかし、現実的に無理です。彼らも死にます」

劉邦はさすがに戸惑い、作戦に許可を与えることを躊躇した。
自分のために死んでくれる者がいることには、
正直助かる。もともと王なのだから
臣下に自分のために死ね、と命令を出すことも
可能なのだが、そもそも王としての責務は
臣下なり領民なりに生と食を保証することにある。

もちろんそれは程度の問題であり、
少なからず臣下は自分のために死ぬものであると
理解してはいても、罪もない者に死ぬとわかっている
任務を与えることには一人の人間として
抵抗を感じざるを得ない。

「迷っていらっしゃいますな……。おそれながら大王、
お覚悟が足りませぬ。王という地位は
それだけ重いのでございます。
臣下がそれを理解し、自らの命を大王のために
捧げようとしておりますのに、
大王ご自身がそれを理解していないようでは、
彼らが哀れでございます」

陳平はこのときすでに人選をすませており、
二名の士卒を劉邦の前に引き合せた。
一人はその名を紀信(きしん)といい、
もう一人は周苛(しゅうか)といった。
ともにまだ三十歳にもならない、未来ある若者であった。

劉邦は、二人の顔をまじまじと見ると、
やがてため息まじりに問い始めた。
「お前たち二人は、死を賭してこのわしを
守ろうとしているそうだが……
その気持ちはありがたい。しかし、
お前たちに直接恩賞を与えることはできん。
なぜかと言えば……お前たちは死ぬからだ。
そこで問う。わしは何をもってお前たちの
忠誠に報いればよいのか。
そして……お前たちはどこまで本気なのか」


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る



歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…


『釜山港へ帰れ』 美空ひばり




人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……


『演歌みち 』松原のぶえ 



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる





P R

カビの生えない・きれいなお風呂

お風呂物語

Furo1






2015年7月27日 (月)

妄想劇場・特別編

妄想劇場・特別編

信じれば真実、疑えば妄想……

Mituo2_2

昨日という日は
歴史、
今日という日は
プレゼント
明日という日は
ミステリー





『都市伝説 』

 

エドガー・アラン・ポー唯一の長編小説で
「リチャード・パーカー」という船客付きのボーイが
難破して他の乗組員によって食べられるという
場面を描いている。

”偶然の一致”
そして46年後。現実世界で船が難破して
客船付きのボーイが他の乗組員によって食べられた。
・・・そのボーイの名前も
「リチャード・パーカー」であった。!!
  

ミニュエット号事件

イギリス船籍のヨットミニョネット号は、
イギリスからオーストラリアに向けて航行していたが、
1884年7月5日に喜望峰から1600マイル
(約1800キロメートル)離れた公海上で
船長1人、船員2人、給仕の少年を含む
4人の乗組員が難破し、救命艇で脱出した。

しかし、救命艇には水や食料が
ほとんど積まれておらず、
カブの缶詰2個と漂流5日目に捕まえた
ウミガメ以外には雨水しかなく、
それも漂流18日目には完全に底をついた。

19日目、船長は、くじ引きで仲間のために
その身を捧げるものを決めようとしたが、
船員の1人が反対した為、くじ引きは
実行されなかった。

20日目に船員の中で家族もなく年少者であった
給仕のリチャード・パーカー(17歳)が
喉の渇きに耐えきれず、海水を飲んで衰弱したため、
船長に殺害され、その死体を残った3人の
食料にしたというものである。……
その後3人は幸運にも通りがかった
ドイツの貨物船モンテスマ号に救助される。
漂流から24日目の出来事だった。


ポーの小説が現実となった!!
1884年にこの事件に関する裁判が閉かれ、
ポーの小説と事件の関連性が収り沙汰されたが、
教育水準がきわめて低かった犯人たちは
ポーの名前さえ知らなかった。
検察側も弁護側も事実と小説の完全な一致に
驚愕を隠せなかった。

船員たちがポーの名前さえ知らない以上、
『アーサー・ゴードン・ピムの物語』について
討論してもまったくの無駄だった。
イギリス高等法院はこれを緊急避難と認めることは
法律と道徳から完全に乖離していて肯定できないとし、
謀殺罪として死刑が宣告された。

しかし、世論は無罪が妥当との意見が
多数であったため、当時の国家元首であった
ヴィクトリア女王から特赦され禁固6ヶ月に
減刑された。


(※「サンデー・タイムス」
「偶然の一致・体験談コンテスト」より



『Sensual tango - La Cumparsita 』



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ


誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる






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カビの生えない・きれいなお風呂


お風呂物語
 


Furo1









妄想劇場・番外編(18禁)

妄想劇場・番外編(18禁)

信じれば真実、疑えば妄想……

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18歳未満禁止の内容が
含まれています
18歳未満の方は
ご遠慮下さい。






メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい。



母子家庭で、生真面目な人生を送ってきた
高校生の涼也。
ある日、母親から、東京で夜の仕事をしていた
25歳の従姉が家に来て、一緒に住むと告げられる。
涼也は、◎◎をふるう従姉が大嫌いだった。……

『アベレージ』 AV・2

早河奈々。現在の年齢は二十五歳。
涼也はその人によく泣かされていたということを、
寝床に就いてから思い返していた。
まだ涼也が幼稚園の頃の話だが、よく覚えていた。
顔を合わせれば必ず小突かれた。
罵倒を浴びせられた。そういった
サディスティックなタイプの女だ。

涼也はこれからのことを考える。
すると、ずんと胸に重石が乗せられたように感じられた。
そんな涼也をよそに母は嬉しそうだ。
きっと、娘ができるような気分なのだろう。
母は奈々のことをどこか自分と似ている、と言っていた。
自分勝手なところが確かにそうかもしれない
涼也は暗い天井に向かって大きな溜め息を吐き出す。

「アイツと同じ屋根の下で暮らすなんて
……想像したくない」
早河奈々は一週間後に来るらしい。
その間に状況が変わらないだろうかと涼也は願い、
瞼を閉じた。

「いいじゃねえかよ、女と暮らせるなんて」
涼也を目覚めさせた男、同級生の伊知朗(いちろう)に
昨日のことを打ち明けると、露骨に羨ましがった。
「よくないって」
「わくわくするなあ、二十五歳だろ? 
そんで東京に住んでたんだろ?」
伊知郎は目線を上に向けて何らかの妄想をしながら、
怪しく指を動かす。

「きっと、色んな男を弄んできたんだろうなあ」
「伊知朗はすぐそっちの想像するなぁ」
パッと目線と涼也に向ける。
「女と一緒に暮らすっつったら、
そっちの想像しかしねえだろ」
それは伊知郎みたいなやつだけだ、と涼也は思う。

「そんな相手じゃないって」
「きっと、夜になるとリョウの部屋に入ってきてさ、
『アソコが疼いて眠れないの、
なんとかしてよお、もう我慢できない……』とか
言ってくるぞぉ~」そう言って伊知郎は、
ふへへへと奇妙に笑う。
教室に居るにも拘わらず、伊知郎は平気でこういうことを
口にする。

「AVの観すぎだよ」伊知郎は急に頭を掻き、
「あぁ~、クソッ!」と声をあげた。
「その人が来たら、リョウの家に遊びに行くな? なっ?」
「何もできないって、アイツはSキャラだから」
「Sか! 虐められてぇ~」
涼也は呆れるように笑った。
こんな変態に付き合っていられない。

「いいなあ、親戚のお姉さんと同じ屋根の下、
あんなことやこんなこと……」
伊知郎はまた目線を上に向けて、
怪しく指を動かしだした。
「その手つきやめろよ」伊知郎はピタっと手を止めて、
涼也を見る。
「なんかあったら報告しろよ?」
「何もないって」「わからんぞぉ、
エロイことたくさん起こるかも」
「ホントそればっかだな」
「男の楽しみって言ったらそればっかだろ」
それは伊知朗みたいな奴だけだよ。

涼也はそう思っても、口にはしなかった。
実は男として、涼也も伊知郎のような感情を抱いていた。
もちろん伊知郎ほどではない。
涼也のような年齢で女性と一緒に暮らすというのは、
やはり誰であれそういった想像はしてしまうものだろう。

だが涼也は、その人物のことを思うとすぐに
その想像を打ち消した。そういう対象ではない。

アパートの前に着くと、トラックが止まっていた。
引越し屋だった。
業者の人たちは荷物を一階の
一〇二号室へと持ち込んで行く。そこは、涼也の家。

急ぎ足で家の中へ入った。業者の人たちは
母の部屋に入らず、荷物を奥の居間に置いている。
中央には、女の後姿。
「……一週間後じゃなかったの?」
涼也が気分悪げにそう言ってみせると、
女は振り返った。
最後に会ったのは涼也が六歳の頃。
小学一年の時。

古い記憶だが、憎い顔としてしっかり
記憶していたのだが、そこに居た女の顔は
全く違う人物に見えていた。

「久しぶり、泣き虫のリョウくん」
別人かと思ったが、やはり早河奈々のようだ。
昔とは随分顔が変わってみえる。
メイクの力でより違う人間にみえた。
きつい目立ちだったのに目が大きくなっているし、
金髪を盛ったギャルっぽい出で立ちだから、
余計に早河奈々らしい特徴を捉えられずにいた。

だが、面影はある。
どこにあるかと訊かれても指摘はできないが、
涼也の身体が覚えていた。
血管が収縮し、顔面が冷えている。
相手はじっと見つめ、涼也は軽く睨んでいた。
早河奈々は笑んでいるが、
それは絶対に作り笑いだと思った。

「そんなにビビるなって。今日から一緒に
暮らすんだから、一日でも早くあたしに慣れてよ」
自分主体で物事を進めるのが奈々だ。
涼也の懐かしい嫌な記憶が、
彼女と少し接するだけでじわじわと滲み出てくる。
まるで自身が幼子に戻されていくようだった。


つづく

Author :水谷広人
http://syosetu.net/pc/



人が世間をつくるのか 、
世間が人をつくるのか、 
渡る浮世の冷たい風は、 
いいことばかりじゃなかったわ 
悲しいことが多かった 
酒に酔いしれ つぶやく言葉 
いつも女は哀しいものよ 
今度は男に生まれたい……



巷の噂 
(※梨元勝/芸能界の裏側がヤバイ )

2015年7月26日 (日)

妄想劇場・一樂編

妄想劇場・一樂編

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー



Mituo
人の為(ため)と
書いて
いつわり(偽)と
読むんだねぇ





『ホームの少年』

水谷昌男は、中学2年生。
土曜日の午後、隣の市に住む祖母の
お見舞いに行くため、一人で電車に乗っていた。
昌男は、いわゆる「お婆ちゃん子」だった。
両親が共働きしていたので、学校から帰ると、
祖母がいつもおやつを作ってくれた。

蒸しパン、ドーナツ、トコロテン・・・。
若い頃、レストランの厨房で
働いていたことがあると言い、料理も得意だ。
週の半分は、祖母が家族の夕食の用意をしていた。
ところが、2年前ほどから体調を崩し、
入退院を繰り返している。

昌男は、少しでも時間ができると、
お見舞いに出掛けた。
顔を見せるだけで、ものすごく喜んでくれるからだ。
その日も、最寄りの駅から私鉄に乗った。

5つ目の駅前に、祖母の入院する病院がある。
1つ目の駅で、車両のドアが開いた。
ワッと人が乗り込んできた。
その一団は、詰め入りの学生服を着て、
手には同じデザインの大きな
スポーツパッグを持っている。
近くの高校の運動部らしい。
汗の匂いがするところをみると、
対外試合の帰りだろうか。
半分くらいの生徒が席に座った。
昌男の両端の空いていた席にも。

一番最後に、よたよたと白髪の
お婆さんが乗り込んできた。
シルバーカーを押している。
プシュー!ドアが閉まる。
おそらく、運転手はお婆さんが乗るのを確認して、
すぐにドアを閉めたのだろう。
そのため、少し発車が遅れた。

お婆さんは、チラチラッと車内を見回した。
空いている席は一つもない。
視線を向けたシルバーシートも、
すべてお年寄りが座っている。
おばあさんは仕方なく、手すりのポールに掴まった。
発車と同時に、少し揺れる。

その拍子で、シルバーカーが30センチほど
走り出してしまった。
お婆さんの手から離れてしまったのだ。
昌男は、心の中で(危ない!)と叫んだ。
しかし、幸いなことに、電車の揺り戻しで、
シルバーカーは再びお婆さんの手元に帰ってきた。

お婆さんの立っているドア付近までは、
昌男の席から3メートルほど離れている。
昌男は、(誰か席を譲ってあげないかなぁ)と思った。
いや、そう祈った。
しかし、先ほど乗り込んできた高校生たちは、
試合の話に夢中で振り向きもしない。
他にも、自分の両親と同じ年くらいの人たちが
席に座っていたが、一人も立つ者はいなかった。

昌男は迷った。今まで、一度も、
お年寄りに席を譲ったことがなかったからだ。
そういう機会がなかったからか。
いや違う。きっと、あったのだろうが、
恥ずかしかったのだ。

どちらかというと、引っ込み思案。
道に迷っても、知らない人に尋ねることさえ
はばかられるくらいだ。ましてや・・・。
でも、気が付くと、声が出ていた。

「おばあさん」聞こえない様子。
それは、ささやくような声だった。
電車の中では、かき消されてしまう。
今度は、思い切って言ってみた。

立ち上がって。「お婆さん!ここへ座ってください」
お婆さんよりも先に、周りの乗客が全員、
昌男の方を向いた。
それに吊られて、お婆さんも視線を向けた。

昌男は、顔から火が出るほど恥ずかしかった。
どうしていいのか、わからない。
足がガクガクと震える。
お婆さんは、シルバーカーを押して、
よたよたしながら歩いてきた。

「ありがとうございます」と言い、席に座る。
周りの人たちは、すぐに何事も
なかったかのように視線を元に戻した。
でも、昌男の動悸はずっと続いた。
いいことをしたはずだった。
それなのに、なぜ、恥ずかしいと思うのか、
自分の心がわからなかった。

ひょっとすると、自分の病気の祖母と、
姿が重なってしまったからかもしれない。
お婆さんの近くに立っているのが辛くなる。
そうこうしているうちに、電車は次の駅に着いた。
祖母のいる病院までは、まだ3つ先だ。
知らぬ間に足が動いていた。

人をかき分けてホームへ飛び出す。
フウーと深呼吸した。
再び走り出した電車を見送った。
時刻表を見ると、次の電車まで、15分あった。

佐々木希美は、隣の市の駅前デパートへ
買い物に行くため、電車に乗った。
希美と書いて「のぞみ」と読む。
望みがかなうようにと、父親が付けてくれた
名前だった。

発車ぎりぎりで飛び乗ると、
少し離れた席に友達が乗っていることに気付いた。
水谷昌男だ。
いや、正確に言うと友達ではない。
同じクラスメートというだけで、
ほとんど話をしたこともなかった。
ちょっとだけ気になる存在ではあった。
かといって、恋心というわけでもない。

ちょっと前のことだ。
希美はクラスの美化委員をしている。
体育の先生から、新しい掃除道具が入ったので、
倉庫まで取りに来るように指示された。
行ってみると、モップが5本にバケツが3個。
ぞうきんが10枚。
とても一人では持ちきれない量だった。
2回に分けて運ぶしかないなと思っていたところに
水谷昌男が通りかかった。

「なんだよ、それ教室に持っていくのか?」
と聞かれた。「うん」と言うと、
奪うようにしてモップを持ち、歩き出した。
「ありがとう」と言う間もなく、スタスタと言ってしまう。
結局、それっきり。次に話す機会もなく、
時が過ぎた。

次の駅で、ダダッと人が乗り込んできた。
15人くらいの、詰め入りの学生服の男子高校生だった。
襟元には、見知らぬ校章を付けている。
他の町から、対外試合か何かでやって来た帰りなのだろう。
「お前のシュートのせいで負けたんだゾ」
「なに言ってんだ。その前のパスの位置が悪いんだ」と
言う声が聞こえる。
おそらく、バスケのチームに違いない。

その一団は、水谷昌男が座っている席を
取り巻くようにして座った。
全員の席がなかったので、そのまま
吊革に掴まって立っている者もいた。
特に意識をしていたわけではないが、
昌男の方をボーと見つめながら席に座っていた。

すると、突然、昌男の表情が変わった。
希美とは、反対の方を向いて何か喋っている様子。
(?・・・なんて言ったの?)
耳を澄ませるが、聞こえるはずもない。

また、昌男が言った。今度は、ちゃんと聞こえた。
「おばあさん!ここへ座ってください」
周りの乗客が全員、昌男の方の顔を向けた。
おばあさんは、シルバーカーを押して、
昌男がそれまで座っていた席に腰かけた。

両隣に座っていた男子高校生が、ふと下を向いた。
それは明らかに、自分を恥じていることが見てとれた。
自分よりも年下の中学生と思しき男の子の行動に、
「これはいけない」と反省したのだろう。
真向かいに座っていた年配のサラリーマンも、
目のやり場に困った様子だった。

みな悪い人ではないのだ。
気持ちはある。親切はしたい。
でも、気付かないだけか、
ちょっとの勇気がないだけなのだ。

希美は、(へえ~、やるじゃん)と思った。
そして、モップを運んでくれた時のことを思い出した。
(アイツ、いつもこんなことしてるのかな)
そんなことを考えていると、次の駅に着いた。

すると、急に、人をかき分けるようにして、
昌男が電車から飛び出して行った。
(え?!)乗り過ごすところだったのか。
あまりにも慌ただしい昌男に動きに驚いた。

そして、どうしたことか、
希美も電車が飛び降りていた。
その瞬間、後ろのドアが閉まった。
自分でもわからない。なぜ、降りたのだろう。

そう思いつつ、昌男の方を見ると、
ホームでポツンと立ち尽くしている。
わからない。なぜか、改札へ歩いて行かないのだ。

ホームの時刻表を見ている。
次の電車の時間を調べている様子。
ここは、普通しか止まらない駅だ。
乗り換え駅でもない。
まったく、理由がわからなかった。

考えられるのは、間違って
降りてしまったということか。
いや・・・。希美は、自分も似たような
体験をしたことがあることを思い出した。
電車で、お腹の大きな女性に席を譲った時のことだ。
何度も何度もお礼を言われた。

周りの人たちが見ている中で。
なんだか恥ずかしくなって、
隣の車両に移ってしまったことがある。

(ひょっとして・・・アイツも同じ心境なのかも)
だとすると・・・。 そう思うと、
心の距離が近くなった気がした。
近づいて、思い切って声をかけた。
「水谷クン」 「・・・?!」

驚いた表情の昌男に、希美は言った。
「ありがとう」
「え?」
そう言う希美自身も、なぜ、
「ありがとう」なんて口にしたのか、
わからなかった。

2秒後、自分でも気づいた。
あの白髪のおばあさんの代わりに、
お礼が言いたかったからだと。
もう一度、希美は言った。

「えらいじゃん! ありがとう」
昌男は、キョトンとして希美を見つめていた。


Author : 志賀内泰弘

《終わり》



『わかっているよ』Enrico Macias (日本語版)


誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と言い訳になるから……



TANGO L'amour c'est pour rien
Enrico Macias



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる






P R
カビの生えない・きれいなお風呂

お風呂物語

Furo1


2015年7月25日 (土)

漢の韓信-(92)

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin
韓信

紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
「国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。

漢の韓信-(93)

激しい戦争というものは、概して人を酔わせる。
しかし酔い方は人によって様々なものであり、
決して社会学的に論ずることのできるものではない。

大きな戦果を挙げた者が、それをきっかけに
突如人が変わったように居丈高な
振る舞いをするようになる例があると思えば、
苦境の中で自分の命をまるで石ころのように
投げ出すことで活路を見出す例も見受けられる。

韓信が趙に出征している間、
劉邦の率いる漢の本隊はまさに苦境にあったが、
それを救ったのは二人の死士であった。
しかし彼らは酔っていたのではない。
彼らは決して自暴自棄になっていたのではなく、
冷静な判断力を持っていた。
自らの能力の限界を知っていた彼らは、
死を選ぶことによって自らの名を
高貴なものにすることができたのである。

韓信がカムジンを誅罰したことにより、
皮肉なことに兵の間にはよい意味での緊張感が生まれ、
より軍隊らしい組織になっていった。
綱紀が粛正されたのである。
趙の民衆はそれを評価するようになり、
次第に恭順の意を示すようになっていった。

しかし当の韓信は決してそれを喜んだわけではなく、
カムジンを失った悲しみは容易に
癒されるものではなかった。
何をするにも物憂く、思考も集中力を欠く。
規律を正した兵たちとは逆に、
指揮官の韓信は行動力を欠くようになっていった。

カムジンを斬ったのは、明らかに見せしめである。
それが効果的であったことは確かだが、
自分にとって失ったものが大きすぎるように
思えたのだった。

「将軍……お気持ちは察しますが……
どうかご自分を責めずに……」
蘭は韓信を慰めようとしたが、
その口調もいつもより精彩を欠く。

それは今回の出来事が蘭にとっても
衝撃的であったことを物語っていた。
「不思議なものだ……幾千、幾万もの
命を奪ってきた私が、たったひとりの罪人のために
こうも心を痛めるとは……。

私はきっと最悪の偽善者であるに違いない。
カムジンをこの手で殺めたことは確かに悲しいことだが、
敵兵の命を奪ったときにはこんな感情とは
無縁でいられるのだ。
どちらも貴重な生命であることには変わりがないのに……」

「なにも不思議はございません。
人として正常な感情でございましょう。
人というものは死が悲しむべきこととは知っていても、
見知らぬ人の死にはまったく心を動かさないものです。
天下のすべての人の命が大事なものであることは
否定しませんが、そのすべてに感情を動かされていては、
とてもまともな精神状態を保てません」

「君の言う通りだ。しかし、
私の言いたいことは違う。
私はたとえカムジンが死んだとしても、
これほど自分が悲しむとは思っていなかったのだ。
もっと私は……自分のことを
冷淡な男だと思っていた。
もっと感情を自分で調節できる男だと……
しかし、それは違った。
しょせん私も……感情で動く市井の人間と変わらない」

「それでいいではありませんか。
感情の量は人それぞれに違うものですが、
まったく感情を持たない人というのは、
存在しないのです。
真に精神的に強い人というのは、
感情を持たないのではなく、
あらゆる物事に心を揺り動かされながら、
それを乗り越えて行動に移せる人のことをいうのです」「

では、私は弱い。……
どうすれば、乗り越えられるというのだ」
「カムジンを失ったことは、変えようもない事実……。
受け入れるしかありません。
将軍もそう思ったからこそ、
ご自分でお裁きになったのでしょう? 
……ご安心ください。カムジンはいなくなりましたが
……おそれながら、まだ私がおります」

「それは心強いことだ。……いや、
皮肉ではない。本心だ。
しかし、私はしばらくの間休みたい。
兵たちにも相互に休息を取るよう、指示してくれないか」
「将軍……」
韓信は、それきり奥の部屋にこもってしまった。
そしてそれから約半年の間、
目立った行動は起こさなかったという。


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る



歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…


『弁天小僧』 美空ひばり




人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……


『宇治川哀歌 』香西かおり 



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる





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お風呂物語

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漢の韓信-(92)

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin
韓信

紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
「国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。

漢の韓信-(92)

物心がついた年ごろには、彼は馬の背に跨がっていた。
当時の馬には鞍はあるが(あぶみ)は発明されておらず、
幼い彼はよく落馬したものである。
それでも彼は言葉を覚えるより先に馬の扱いを完全に習得し、
まともに手綱を握らなくても自在に扱えるまでに至った。
さほど血のにじむような努力をした、という意識はない。
ただ、楼煩人としての血がそれを可能にさせるのである。

楼煩なら楼煩らしく、北の地で狩猟や牧畜をして
暮らしていれば幸せだったことだろう。
しかし中原のみならず、長城より北の地にも野心は存在する。
匈奴と月氏の争いに端を発した争乱で、
楼煩は匈奴に併合され、その多くの者は中原に逃れた。

楼煩人は趙の北のはずれに居住地を与えられ、
そこで静かに昔ながらの狩猟生活を送ろうとしたが、
そこには獲物となる獣の数が少なかった。
よって彼らは遊牧民族ならではの騎射の技術を生かし、
それを軍事に転用して生計を立てようとした。
かくして諸国間に散らばった楼煩の成人男子たちは、
確たる民族的目的も持たず、
楼煩人同士相撃つこととなったのである。
多くの者が戦死し、彼の父親もどうやら戦死したようだった。
彼の母親は生活のための収入を得ようと、
彼を邯鄲の富豪に売った。
少年期に親元を離れた彼にとって、
母国という概念は存在しなかった。というのは、
彼は習得不充分のうちに楼煩の居住地を離れたために、
母国語もろくに喋れなかったからである。
そして邯鄲にきてからも、周囲の人間が
なにを言っているのか、ほとんど理解できなかった。
自分はいったいどこの何者だという思念は
常に彼に付いて回る。
しかしそれさえも頭の中ではっきり考えることは
不可能で、あるのは
漠然とした言葉にできない不満だけであった。
思いや感情を言葉で表せない彼にとって、
話が通じる相手は馬しかいない。
彼は、自分が馬の生まれ損ないではないかと
考えるようになった。
奴隷の売買は春秋時代の末には禁止され、
以後後漢の代になるまで復活しない。
しかしこれは社会制度として奴隷制を
とらなくなった、というだけであり、
個人で奴隷を所有する風習はこの時代にも
依然として残っていた。

カムジンは明らかにその中の一人で、
もっぱら馬の世話をして少年時代を過ごした。
彼が調教すれば、どんな駄馬でも駿馬と育った。
奴隷主はそれを喜び、馬を買い集めては彼に調教させ、
商品として市場に出し、多額の利益を得た。

奴隷主はそれに満足すると、
今度は彼自身を商品として他の富豪に売り渡した。
馬を見事に育て上げる能力のあった彼は、
商品として高く売れたのである。
そういったことが二度、三度と繰り返された。
しかし、どこに行ってもまともに人語を操れない彼は、
人と馴染めなかった。
そのため彼を買った富豪たちは彼を蔑み、
同じ奴隷仲間でさえも彼を自分たち以下とみなしたのである。

「私……馬と話せば……心が和みます……
けど、それを求めているわけでは……ありません。
馬などよりも……人と話がしたい……
でも、人は誰も……私を人として……
見てくれませんでした」

カムジンは観念しているのか、たどたどしい言葉遣いながら、
淡々とした態度で話した。
「馬語しか話せない男か。しかし現在の君はそうではない。
少なくとも私は君を人として信用していた」
韓信は自分で意識したのであろうか、
過去形でカムジンに対して話した。
しかしそのような言葉の機微はカムジンにとって
理解できないことであった。

「その通りです……将軍は、
私を……人にしてくださいました。……
でもそれが間違いだったのかもしれません……
人としての意識が……自分の中で……
明確になっていくにつれて……私は……
過去の屈辱を……晴らしたいと……思うようになったのです」

そういうこともあるものか、と韓信は思う。
しかし韓信は卑賤の身であったことはあるが、
奴隷として扱われた経験はない。
本当の意味でカムジンの立場が理解できたかどうかは
自分でも怪しい。

「カムジン、覚えているか……。
私は良心に従え、と言った。
そこで聞く。君が復讐しようとする時、
君の良心は何を告げたのか?」
カムジンは答えを迷わなかった。

「私は……紛れもない人であります……
それを理解できない者は……人ではない……
馬鹿です。馬鹿は死なねば治らない……
殺さなければまた馬鹿なことを……しでかします。
私の良心は……彼ら馬鹿者どもを……
殺すことを是と告げました」

「後悔はないか」「……ございません……」
韓信はため息をつきながら、それでも意を決して言った。
「カムジン、君に死罪を命じ渡す……。
君が人でなく、馬や牛であったなら、
私は今回のことを単なる事故として処理し、
君を助命するだろう。

しかし、君の言う通り、君は紛れもなく人だ。
人である以上、罪は免れない」
背後にいた蘭は、我慢できずに叫んだ。
「将軍! ご慈悲を……お願いです」

しかし当のカムジンはそれを受け入れ、
深く頭を垂れた。
覚悟のうえでの行為だった、ということなのだろう。
「いや、蘭よ……罪人とはいえ、
罪を罰せられることは人としての証である。
私は彼を最後まで人として扱いたい……
カムジン、人として死ね……。
君と私の仲だ。私が自ら君の首を刎ねよう」

韓信は剣を抜き、カムジンに歩み寄った。
だが、その手が震えるのを抑えようがなく、
歩を進めるごとに決心が鈍る。

「……言い残すことはないか」
本当は自分の方が言いたいことは多い。 
しかし、言い出せばきりがなかった。
「将軍、いままでありがとうございました。
将軍は私を人にしてくださったばかりか、
一人前の男にしてもくださいました。
そして一人前の男のまま、死ぬ機会を
与えてくださったのです」

それはカムジンが初めてつかえることなく
明晰に放った言葉であった。
きっと最後の言葉としてあらかじめ
準備しておいたに違いなかった。

「……すまない、カムジン」なぜ自分が
謝罪の言葉を口にしたのかは、よくわからない。
しかしそれ以外に彼にかけてやる言葉は見つからなかった。

韓信は自らの手で剣を振り下ろし、
カムジンの首を斬りおとした。
若き勇者はゆかりの趙の地で、その一生を終えたのである。

蘭はそれを見て、泣き崩れた。
韓信は事を終え放心したが、
やがてこの出来事を忘れないようにと木簡に書を記した。

かつて奴隷にして、現在は漢の勇猛たる武人
咖模津、十二月、罪を犯して斬首される。
その死に対する態度はいさぎよく、
それは彼が奴隷などではなく、紛れもない
武人であることの証左であった。

最後の文字は手が震え、うまく筆を運べなかった。
それは韓信が自分の行為を後悔しているからか、
折しも降り始めた雪のため、
寒さに手が凍えたからなのかは、よくわからなかった。
これが紀元前二〇四年十二月のことである。


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る



歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…


『カスバの女』 美空ひばり




人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……


『 女の駅 』大月みやこ



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる





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お風呂物語

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2015年7月23日 (木)

言葉の魔術師・言葉の達人

言葉の魔術師・言葉の達人

達人たちは1曲の詞を書くために、
言葉を巧みに操り、
その時代を象徴する言葉を探した。
その言葉は多くの老若男女の心を掴んで離さず、
その歌は大ヒットした。


「孤独がつらく感じるとき」
「愛することがよくわからなくなったとき」
いつも、勇気と力を与えてくれた…、
作詞家は言葉の魔術師である。
そんなプロの「作詞家」の皆さんを紹介します。


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1979年に石野真子「ジュリーがライバル」で
作詞家としてデビューされ、作詞家、
プロデューサーとしてご活躍された

「松本礼児」さんです。

代表作
「ジュリーがライバル」石野真子
「乱れ花」大月みやこ
「紫陽花」五木ひろし
「何処へ」森繁久彌 など多数。


歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…


乱れ花 大月みやこ
作詞:松本礼児・作曲:幸耕平

額(ひたい)の髪を 掻(かき)あげながら
鏡にむかえば 泣けてくる
愛する気持ちとおなじだけ
ニクい気持ちがつのります
乱れて咲いても花は花
生命に限りはあるけれど
好きだから あなたひとりが好きだから
せめてこころだけでも 置いていってね



大月 みやこは、大阪府八尾市出身の演歌歌手。
本名、脇田節子。
芸名はデビュー当時の大阪の有名レコード店である
「大月楽器店」と「ミヤコ」にちなんで名づけられた。
1964年に『母恋三味線』でデビューし、
デビュー20年目にしてのヒット曲『女の港』で
第37回NHK紅白歌合戦、に初出場を果たした。


作詞論
 
旋律(メロディー)に乗せて発信するメッセージであり、
 心の叫びであり、祈りであったりする。
 それらが人々の耳に届いた時に安らぎや
 慰めとなったり、夢や希望の一助となったり、
 生きることの指針なり得たとしたら
 これ以上の喜びはない。
 いかに素直に簡単に表現するかを課題にしているので、
 巧みに言葉を操る魔術師とはかけ離れて居り、
 ましてや言葉の達人になろうとも
 なりたいとも思ったことはありません。


作詞家になったきっかけは?
 
レコード会社のディレクターでした。
 あんなに入念に作詞の先生と打合わせをしたのに
 何故?……から自分で書き始めました。


プロ、初作品について
 ジュリーがライバル(石野真子)でした。


作品を提供したいアーティスト
 ちあきなおみ、和田アキ子。


あまり売れなかったが、私の好きなこの歌
 
泣きぬれて(木下由里子)


なぜ「詩を書くことを選んだか」
 
必要にせまられて始めたことが
 いつか生業になっていた。


プロの作詞家になりたい人へのアドバイス
 
良い詞を探して、一生懸命探して、
 それらに接することです。



一口メモ
 詞を書き終えて自身のペンネーム、
 松本礼児と記した時の満足感は忘れられません。
 仲間の作家たちの顔を思い浮かべてながら、
 ほくそ笑んだものです。
 寡作な作詞家というより、煙たがれたり、
 怖がられたりで注文の少ない私ですが…。
 自信と自負心が今日までの
 自分を支えていると思っています。


私の好きなあのフレーズ
 「人を愛して、人を憎むことを知りました。
 こころシクシク、からだシクシク」


プロフィール 

 松本 礼児(まつもと れいじ)本名、今福正
 1943年 ~ 2011年12月19日は
 上智大学卒業後、日本航空に入社。
 国際線のチーフパーサーとして活躍。
 ポニーキャニオンの社長とたまたま知り合い、
 引きぬかれて、ポニーキャニオンに入社。
 以後、制作部の責任者として
 森昌子、前川清、などを手掛け、
 夏川りみの発掘からデビューまでを見届ける。
 在職中より「ジュリーがライバル」で作詞家デビュー
 昭和62年「乱れ花」で古賀政男音楽祭グランプリ
 他数々の賞を受賞。

 2011年12月19日、東京都世田谷区内の自宅玄関先で
 全身に火傷を負っているところを妻によって発見され、 
 病院に搬送されたが死亡した。満68歳没


時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる






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漢の韓信-(91)

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin
韓信

紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
「国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。

漢の韓信-(91)

蘭が話の輪に加わった。
「やはり、将軍は……犯人は我が軍の中にいると、
お思いですか?」
韓信がそれに答える前に、蒯通が答えた。
「魏蘭どの、当然ではないか。
一度に二十人も三十人も殺せる者が市民の中にいるものか。

しかも犯人は証拠隠滅のために矢を回収しているが、
そのために貫通した矢が抜きやすいよう、
わざわざ鏃のない矢を使用しているのだ。
弓矢に精通している者にしかわからない知恵だと言えよう」

蘭は悲しげな顔をして、それに答えた。
「では……、犯人が軍の者である以上、
断罪するのは将軍のお役目、ということになりますね。

なんだかとても……いやな予感がします」
韓信も同調した。
「気は進まないが、事情がどうあろうと
死罪を言い渡すしかあるまい。
もちろん、見つかればの話だが」
蒯通は韓信が戦場以外で人を殺すことに
ためらっていることに気付き、

故事を引き合いに出して話を進めた。
「小耳にはさんだのですが、いま大梁周辺で
楚軍の後背を襲いつつけている彭越という将軍がおります。
彼は挙兵するにあたって、
地元の青年たちから首領となるよう要請されましたが、
いちどはそれを断ったのだそうです」

韓信も蘭もなんの話かよくわからなかった。
蒯通の話はいつも回りくどく、理解しにくい。「で?」
「彭越は再三青年たちから要請されたので、
渋々挙兵を決めたのですが、
その割には青年たちに緊張感が足りず、
自分に対する服従心も足りないと感じた。

そこで彭越は決起の集合時刻に遅れた者を
その場で即刻斬り殺し、軍神への
生け贄としたのだそうです。

それ以降若者たちは彭越を恐れ、
軍律が定まった、と聞いております」
「ふむ……」「また

孫武

そんぶ


(春秋時代に呉国で活躍した兵家の権威。
「孫子」の著者)は主君の呉王に兵法を説く際、

宮中の婦人一八〇名を仮想の兵士に見立て、
ふたつの隊にわけて説明したといいます。
そのとき孫武は呉王の側室である寵姫二人を
それぞれの隊長に任じましたが、
孫武が号令をしても女どもは笑うばかりで
いうことをよく聞きませんでした。

そこで彼は呉王が制止するのも無視し、
隊長である寵姫二人を斬り捨てたのです。
以降、婦人たちは号令に粛然として従った、といいます」

「その話なら、知っている。蒯先生は私になにを言いたいのか」
「お分かりでしょう。兵や民衆を従えるには、
口で命令しても徹底するものではありません。
恐怖心を植え付けることが必要なのです。
おそれながら将軍にはそれが足りないように私には思えます。
断固とした決断が必要ですぞ」

「……わかっている」そしてその日の午後には、
犯人が捕らえられたという知らせが韓信の元に届いた。
顔をふせ、両脇を軍吏に抱えられて引きずられながら、
一人の男が韓信の前に姿を現した。

韓信は半ば想像していたことではあったが、
それが間違いであることを祈り続けていた。
しかし、軍吏が髪の毛を引っ張って犯人の顔を上げさせたとき、
自分の祈りが通じなかったことを、自覚せざるを得なかった。

それは韓信が最も信頼していた男の中のひとりだったのである。
「……カムジン……!」


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る



歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…


『女の港』大月みやこ



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……


『美空ひばり メドレー』
「みちづれ、夢追い酒、北国の春」






時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる





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妄想劇場・特別編

妄想劇場・特別編

信じれば真実、疑えば妄想……

Mituo2_2

昨日という日は
歴史、
今日という日は
プレゼント
明日という日は
ミステリー





『都市伝説 』

リンカーンとケネディの「奇妙な一致」
両方が暗殺された大統領であるという事実

貧しい農民の子として生まれた
エイブラハム・リンカーンは、数多くの挫折を
経験しながらもコツコツと努力を積み重ね、
大統領にまで昇りつめた人物である。

それに対してジョン・F・ケネディは、
裕福な家庭に生まれ、 父ジョセフの財力をバックに
エリート・コースを突き進んで行った人物である。

アメリカ合衆国歴代大統領の中でも特に有名な二人、
エイブラハム・リンカーンとジョン・F・ケネディ。
この両名はちょうど100年違いで大統領に選ばれている。
そしてどちらも暗殺されてその生涯を閉じた。


この二人の間には、
驚くほどの
共通点が存在するのだ。
主な例を挙げれば
次のようになる。





リンカーンが初めて下院議員に当選した年は
1846年。
ケネディが初めて下院議員に当選した年は
1946年。
ちょうど100年違いである。

エイブラハム・リンカーンが大統領に選ばれたのは
1860年。
ジョン・F・ケネディが大統領に選ばれたのは
1960年。
これも100年違い。

名前を綴る文字数がどちらもアルファベット7文字である。
二人とも黒人の人権問題に
深く関わりがあった大統領である。
二人とも戦争に深く関わりがあった大統領である。
二人の暗殺事件はどちらも金曜日に起きている。
二人とも殺された武器は銃で背後から
頭を撃たれている。

リンカーンが撃たれた場所はフォード劇場。
ケネディが撃たれた時乗っていた車は
フォード社製リンカーン。

リンカーンは暗殺される1週間前に
メリーランドのモンローにいた。
ケネディは暗殺される1週間前に
マリリン・モンローと一緒にいた。

二人とも妻の目の前で撃たれた。

結婚と夫人
リンカーン、ケネディともに
30を過ぎてから結婚している。
メアリー・トッドは63歳、
ジャクリーン・ケネディは64歳と
結婚の40年後に死亡している。

家族の悲劇
ともに20代で亡くなった姉妹がいる。
ともに大統領在任中に、息子を亡くしている。
ともに40歳まで生きた子供が、1人しかいない。

リンカーンの副大統領で、任期を引き継ぎ
大統領になった人物の名はジョンソン。
ケネディの副大統領で、任期を引き継ぎ
大統領になった人物の名も同じジョンソン。

リンカーンの後を引き継いだ
アンドリュー・ジョンソンは1808年生まれ。
ケネディの後を引き継いだ
リンドン・ジョンソンは1908年生まれ。

アンドリュー・ジョンソンはリンカーンの
死の10年後に死亡。
リンドン・ジョンソンはケネディの死の
10年後に死亡。

二人のジョンソンの名前はどちらも
ファーストネームまで合わせてアルファベット
13文字から成る。

どちらのジョンソンも南部出身者である。

リンカーンの秘書は、大統領に
劇場へ行かないように警告した。
ケネディの秘書は、大統領に
ダラスへ行かないように警告した。

リンカーンの秘書の名はケネディ。
ケネディの秘書の名はリンカーン。

リンカーンを暗殺したジョン・ウィルクス・ブースは
1839年生まれ。
ケネディを暗殺したリー・ハーヴェイ・オズワルドは
1939年生まれ。

ブースとオズワルドは、それぞれ
「ジョン・ウィルクス・ブース」
「リー・ハーヴェイ・オズワルド」 というように
三つの名前で人々に知られ、その三つの名前は
アルファベット15文字で綴られる。

暗殺後、ブースは劇場から逃走し、
倉庫で捕らえられた。
暗殺後、オズワルドは倉庫から逃走し、
劇場で捕らえられた。

ブースとオズワルドは、どちらも
裁判が行なわれる前に暗殺された。

以上のように、100年という時を超え、
リンカーンとケネディの人生は
驚くべき偶然の一致を見せている。

テカムセの呪い
第9代アメリカ合衆国大統領ウィリアム・H・ハリソンの
肺炎による死去から始まるアメリカ合衆国大統領への
一連の出来事の原因とされる呪い。

1840年から1960年までの間に
20で割り切れる年に選出された大統領は
皆、在職中に死去した

1800年 - トーマス・ジェファーソン、
 任期満了、退任17年後の1826年死去。
1820年 - ジェームズ・モンロー、任期満了、
 退任6年後の1831年死去。
1840年 - ウィリアム・H・ハリソン、
 1841年4月4日に肺炎で死去。
1860年 - エイブラハム・リンカーン、
 1865年4月14日に暗殺された
1880年 - ジェームズ・ガーフィールド、
 1881年7月2日に暗殺された。
1900年 - ウィリアム・マッキンリー、
 1901年9月14日に暗殺された。
1920年 - ウオレン・G・ハーディング、
 1923年8月2日に心臓発作で死去。
1940年 - フランクリン・ルーズベルト、
 1945年4月12日に脳溢血で死去。
1960年 - ジョン・F・ケネディ 、
 1963年11月22日に暗殺された。
1980年 - ロナルド・レーガン、
 1981年3月30日に暗殺未遂、任期満了、
 退任15年後の2004年死去。
2000年 - ジョージ・W・ブッシュ、
 いくつか事故(後述)があったが任期満了、
 存命中。


呪いの終焉

ロナルド・レーガンは1980年に選出されたが、
直後の1981年3月30日に暗殺未遂に遭いながらも
2期8年の任期を全うした。
また、2000年に選出されたジョージ・W・ブッシュも、
2期目の2005年5月10日にグルジアで演説中に
手投げ弾を投げ込まれたが不発に終わり、
2期8年の任期を全うして現在も存命中である。

こんな事が本当に偶然で起こるものだろうか? 
そこには人知を超えた何らかの、
運命のプログラムのようなものが感じられる。
この世には未知なる何者かによって書かれた
「人生のシナリオ」が存在しているのだろうか・・・?


《終わり》


『親日外国人アートブレイキー 』

アート・ブレイキーは、アメリカ合衆国ペンシルベニア州
ピッツバーグ出身の ジャズドラマー
アート・ブレイキーは、ジャズ・シーンの
スーパー・スターです。


1961年、ジャズ・メッセンジャーズが
日本の地を踏んだと同時に、
日本国中に「大ジャズ・ブーム」が巻き起りました。
世に言う「ファンキー・ブーム」です。
「ファンキー」とはモダン・ジャズの
ハード・バップにおけるスタイルの一つで、
より泥臭く、より熱っぽく、より判りやすく、
というジャズです。
そんな時、日本国民は、素晴らしい音楽を
日本まで運んで来てくれたスーパー・スター、
アート・ブレイキーに心から感謝し、尊敬し、
それをごく普通に、態度で示したのです。



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ


誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる






P R

カビの生えない・きれいなお風呂


お風呂物語
 


Furo1

2015年7月22日 (水)

歴史・履歴への許可証

歴史・履歴への許可証

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

夢はでっかく、根はふかく。
花を支える枝 枝を支える幹 幹を支える根 
根はみえないんだなあ


Kobanasi_3

『サルの王さま』(インドの昔話)

むかしむかし、インドのガンジス川のほとりに、
たくさんの実がなった一本のマンゴーの木が
生えていました。
そのマンゴーの実のおいしさといったら、
一度食べたら一生忘れられないほどです。
ある時、サルたちがマンゴーの実を
食べにやってきました。
「ああ、なんてうまい実だろう」
「こんなにおいしい実は、はじめてだ
」むちゅうで食べているサルたちを見て、

王さまザルは考えました。
(こんなにうまいマンゴーの実が川に落ちて、
人間たちのところへ流れていったら、
人間たちが取りに来るだろう。それはまずいな)

 王さまザルは、すぐにサルたちを集めて言いました。
「川の上にのびた枝になっている実は、
1つ残らず取ってしまいなさい」
「はい、王さま」サルたちは、さっそく
いわれたとおりにしました。

「よしよし、これで安心だ」
ところがサルたちは、たった1つの実を
見落としていたのです。
その実はあまくうれて、ある日、ポタリと枝から
川へ落ちました。
マンゴーの実は、そのまま人間がくらしている町まで
流れていきました。

「おや? これはこれは、実にみごとなマンゴーの実だ」
猟師(りょうし)はマンゴーの実をアミですくい上げると、
王さまのところへ持って行きました。

「ほう、これはすばらしい。こんなにうまい
マンゴーははじめてだ」
すっかり気に入った王さまは、家来を引き連れて
マンゴーの木を探しに行きました。
いく日かたって、王さまはついに、
あのマンゴーの木を見つけました。
「あったぞ。すばらしい、あんなに実がなっている」

王さまたちは、いそいでマンゴーの木にかけよりました。
ところが木のそばまで行くと、たくさんのサルが
マンゴーの実をおいしそうに食べているではありませんか。

「王さま、どういたしましょう?」
「むむ、サルのくせになまいきな。矢でうちおとしてしまえ!」
家来たちはさっそく、サルたちめがけて弓矢を放ちました。
それに気づいたサルたちは、王さまザルのところへ
知らせに行きました。

「たいへんです! 人間たちが、私たちを殺そうとしています」
「あわてるな、わたしにまかせなさい」
王さまザルはマンゴーの木に登ると、
飛んでくる矢を長いしっぽと手を使って打ち落とし、
仲間のサルたちを助けました。

「さあ、いまのうちに逃げなさい」
サルたちは、つぎつぎに逃げていきましたが、
みんなが逃げるまでは、まだ時間がかかります。

やがて王さまザルのからだに何本も矢がささりましたが、
王さまザルはがんばって、仲間のサルたちを守りました。
それを見ていた人間の王さまは、家来たちに
矢を打つのを止めさせました。

「まて、矢を打つのを止めるのだ。それより、
あの王さまザルをここへ連れてきなさい」
家来たちは、傷ついて動けなくなった王さまザルを
連れてきました。

人間の王さまは、王さまザルにたずねました。
「なぜ、自分の体を痛めてまで、
仲間を助けたのかね?」
王さまザルは、苦しい息をはきながら答えました。
「わたしは王です。仲間のサルたちを守るのが、
わたしのつとめです」

「おお、なんとりっぱなサルだろう。
わたしも見習わなければ」感動した王さまは、
王さまザルの手当をしてやると、
マンゴーには一切手をつけず、そのまま自分の国へ
帰っていきました。それからは、
どんなときでも人びとの幸せを一番に考える、
心やさしい王さまになりました。


おしまい


食わず女房( 1)



『 わすれな草』スイスの昔話



むかしむかし、とても
仲の良い男の子と女の子がいました。
あるとき、この二人が山のぼりにでかけました。
手をつないで歌をうたい、のぼっていくと、
やがて川が見えてきました。

「あら、あんなところに花がさいてる」
女の子がいいました。
ゴウゴウとながれる川のすぐそばに、
青い花がさいていたのです。
男の子は大好きな女の子のために、
その花をとってきてあげようと思いました。

体がぬれるのも気にしないで、
男の子は岩をのぼっていきます。
ところが、その花に手をのばしたとたん、
足がすべりました。

男の子はあわてて花をつむと、
女の子にむかってその花をなげました。
そしてそのまま川におちると、
すごいはやさで流されていきます。
ゴウゴウという水の音にまじって、
男の子の声が聞こえてきました。

「大好きだよ! いつまでも、
ぼくをわすれないでね!」
そのときから、その青い花には
「わたしをわすれないでね」という意味の
『わすれな草』という名まえがついたそうです。


おしまい



食わず女房(2)


『えんま大王かんがえ』

この頃は病気で死ぬ人が少なくなってきたので、
地獄がひまになりました。
そこでえんま大王は、鬼たちを集めて相談をしました。

まず、赤鬼(あかおに)が言いました。
「地獄がひまになったのは、
医者が病人を残らず治してしまうせいです。
医者という医者を、みんな地獄へ連れてきましょう」
「それは、名案だ」
青鬼も、賛成しました。
「どうでしょう。えんまさま」

鬼たちがたずねると、えんま大王は
首を横に振りました。
「いや、それはちと、考えものだぞ」
「なぜで、ございますか?」

「よく考えてみろ。医者が薬のさじかげんを間違えたり、
見たて違いをしてくれるおかげで、
本当は死ななくてもよい人間が、ここにやってくるのだ。
やぶ医者までが一人残らずいなくなっては、
ますます困る。
連れてくるのは、くれぐれも腕の良い名医にかぎるぞ」


おしまい


食わず女房ラフ(3)




人の為(ため) と
書いて、
いつわり(偽) と
読むんだねぇ




誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……。



時は絶えず流れ、
  今、微笑む花も、明日には枯れる 







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お風呂物語

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漢の韓信-(90)

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin
韓信

紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
「国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。

漢の韓信-(90)

新たに趙王となった張耳と韓信は、
趙の地方平定を目的に各地を巡り歩き、
旧趙軍の兵士を駆り集めては、漢王のもとに送り届けた。
時にはその途中で介入してきた楚軍とも遭遇する。
そこで小規模な戦闘を繰り返しながら、
国内の安定に務めるのである。

李左車の策に従い、しばらくは大規模な
戦略行動を避けて兵を休息させようとしていた
韓信であったが、実際には本格的な休養などは
とらせようもなかった。
韓信は、疲労した兵を率いて趙の政治的混乱を
収拾しようと画策してはいるものの、
そもそも混乱を生じさせた原因が自分にあるような気がして、
心やすらかではいられない。

とりわけ民衆に思いを馳せれば、
なぜ自分がわざわざこの国を攻略しなければ
ならなかったのか疑問に感じる。
それは軍人としての自分自身の存在意義を
疑うことであった。
そして、彼にできることは非常に少ない。
韓信は軍卒たちに、決して民衆との間に
もめ事を起こさないよう指示を与えることしかできなかった。

「城邑で民衆と悶着を起こした者には
厳罰を持って対処する。……仮に問題が生じた場合は、
諸君の内なる良心の声に耳を傾けろ。
征服者である我々に対する民衆の風当たりは
強いかもしれないが、諸君が自制し、
度量を示すことによってそれは解決されていくに違いない。
決して武器を持たぬ者に武器を向けてはならぬ。
……このことを忘れるな」

しかし韓信はこの指示を道徳的な正しさを
意識して出したわけではなかった。
彼は、基本的に他人の運命などを
顧みることがなかった。
自分さえしっかりしていれば逆境は乗り越えられ、
乗り越えられない者には、それ相応の
原因があるものだ、と考えていたのである。
滅びるべき者は、滅びるのだという冷めた態度で
人に接するのが常であった。

天下を救うためではない。自分が生き延びるためだ。
征服地の民衆の支持を得ることができなければ、
自分を待っているのは破滅である。
それに気付いた韓信が出したこの指示は、
民衆のためを思ってのものではなく、
人気取りをして自分が生き延びるためのものであった。

そのためか、この訓令は肝心なところで徹底さを欠いた。
人の良心というものは、個人によって
尺度が違うものである。韓信はそのことに気付かず、
それによって大きな計算違いを犯した。

首都の邯鄲の城内は度重なる戦闘により
荒廃してはいたが、それでも豪邸に住み、
多数の使用人を使い、権勢を振るった生活を
送っている者が市井の中にもある程度存在する。
その大半は秦の統治下における軍功地主の子孫で、
分家を繰り返しながらも財力を損なわず、
いまに至っても没落せずにいるのであった。

その中で董(とう)氏という名家の一族が、
ある夜ひとり残らず惨殺された。
使用人も含めて二十三名という人数が、
誰にも気付かれず、一夜のうちに死に尽くしたのである。
明らかに殺人行為に習熟した者の仕業であった。
韓信のもとにその知らせが届けられたその日の夜には、
同じように姜(きょう)氏の一族が皆殺しにあった。
総勢三十一名、逃げ延びた者はまったくいない。

遺体には、大きな損傷がなかった。
あるのは頭部または胸部に貫通した小さな穴だけで、
調査の結果、至近距離から鏃のない弓矢で
射抜かれた傷だと推測された。狙いが正確だ。
隣家の者に気付かれもせず、
何人も一夜のうちに殺すとは、相当な腕だ……。
軍の者の仕業に違いない。
いや、軍の中にもこれほど正確な射撃の
技術を持っている者は少ない。ということは……。
韓信は不審の念を抱きつつも、
ひそかに城内の名家に兵を回し、三日三晩、
ほぼ交替もさせずに護衛させた。

「邯鄲の富豪に個人的な怨恨を持つ者の犯行だろうか。
それにしてもわからないことが多い……
襲われた董・姜両家は混乱があって
多少荒れてはいたが、失われた財物はないそうだ……」
韓信は蒯通を相手に話しながら、
不覚にも居眠りをしてしまった。

「将軍、横になってお休みになられた方が……。
将軍に体調を崩されては元も子もありません」
「いや……すまぬ。しかし眠くて横になるのも
体調を崩して横になるのも、与える影響は同じだ。
どちらにしても私が不在となることに変わりがない。
やはり、起きていることにしよう」
韓信は眠い目をこすりながら、そう言って
姿勢を正した。

「今日あたり、犯人の手がかりがつかめそうな
気がするのだ。これは単なる勘なのだが……
犯人がただの物盗りではなく、
邯鄲の富豪に恨みを持つ者であれば、
たとえ我々が護衛していても目的を
達しようとするだろう。

犯人が我が軍内にいるとすれば、
我々が趙国内に駐屯している間だけが
その機会だからな」


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る



歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…


『花びら慕情 』 藤あや子




人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……


『おんな』 藤あや子




時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる





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お風呂物語

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2015年7月20日 (月)

妄想劇場・特別編

妄想劇場・特別編

信じれば真実、疑えば妄想……

Mituo2_2

昨日という日は
歴史、
今日という日は
プレゼント
明日という日は
ミステリー






『都市伝説 』

リンカーンとケネディの「奇妙な一致」
両方が暗殺された大統領であるという事実

貧しい農民の子として生まれた
エイブラハム・リンカーンは、数多くの挫折を
経験しながらもコツコツと努力を積み重ね、
大統領にまで昇りつめた人物である。

それに対してジョン・F・ケネディは、
裕福な家庭に生まれ、 父ジョセフの財力をバックに
エリート・コースを突き進んで行った人物である。

アメリカ合衆国歴代大統領の中でも特に有名な二人、
エイブラハム・リンカーンとジョン・F・ケネディ。
この両名はちょうど100年違いで大統領に選ばれている。
そしてどちらも暗殺されてその生涯を閉じた。


この二人の間には、
驚くほどの
共通点が存在するのだ。
主な例を挙げれば
次のようになる。



リンカーンが初めて下院議員に当選した年は
1846年。
ケネディが初めて下院議員に当選した年は
1946年。
ちょうど100年違いである。

エイブラハム・リンカーンが大統領に選ばれたのは
1860年。
ジョン・F・ケネディが大統領に選ばれたのは
1960年。
これも100年違い。

名前を綴る文字数がどちらもアルファベット7文字である。
二人とも黒人の人権問題に
深く関わりがあった大統領である。
二人とも戦争に深く関わりがあった大統領である。
二人の暗殺事件はどちらも金曜日に起きている。
二人とも殺された武器は銃で背後から
頭を撃たれている。

リンカーンが撃たれた場所はフォード劇場。
ケネディが撃たれた時乗っていた車は
フォード社製リンカーン。

リンカーンは暗殺される1週間前に
メリーランドのモンローにいた。
ケネディは暗殺される1週間前に
マリリン・モンローと一緒にいた。

二人とも妻の目の前で撃たれた。

結婚と夫人
リンカーン、ケネディともに
30を過ぎてから結婚している。
メアリー・トッドは63歳、
ジャクリーン・ケネディは64歳と
結婚の40年後に死亡している。

家族の悲劇
ともに20代で亡くなった姉妹がいる。
ともに大統領在任中に、息子を亡くしている。
ともに40歳まで生きた子供が、1人しかいない。

リンカーンの副大統領で、任期を引き継ぎ
大統領になった人物の名はジョンソン。
ケネディの副大統領で、任期を引き継ぎ
大統領になった人物の名も同じジョンソン。

リンカーンの後を引き継いだ
アンドリュー・ジョンソンは1808年生まれ。
ケネディの後を引き継いだ
リンドン・ジョンソンは1908年生まれ。

アンドリュー・ジョンソンはリンカーンの
死の10年後に死亡。
リンドン・ジョンソンはケネディの死の
10年後に死亡。

二人のジョンソンの名前はどちらも
ファーストネームまで合わせてアルファベット
13文字から成る。

どちらのジョンソンも南部出身者である。

リンカーンの秘書は、大統領に
劇場へ行かないように警告した。
ケネディの秘書は、大統領に
ダラスへ行かないように警告した。

リンカーンの秘書の名はケネディ。
ケネディの秘書の名はリンカーン。

リンカーンを暗殺したジョン・ウィルクス・ブースは
1839年生まれ。
ケネディを暗殺したリー・ハーヴェイ・オズワルドは
1939年生まれ。

ブースとオズワルドは、それぞれ
「ジョン・ウィルクス・ブース」
「リー・ハーヴェイ・オズワルド」 というように
三つの名前で人々に知られ、その三つの名前は
アルファベット15文字で綴られる。

暗殺後、ブースは劇場から逃走し、
倉庫で捕らえられた。
暗殺後、オズワルドは倉庫から逃走し、
劇場で捕らえられた。

ブースとオズワルドは、どちらも
裁判が行なわれる前に暗殺された。

以上のように、100年という時を超え、
リンカーンとケネディの人生は
驚くべき偶然の一致を見せている。

テカムセの呪い
第9代アメリカ合衆国大統領ウィリアム・H・ハリソンの
肺炎による死去から始まるアメリカ合衆国大統領への
一連の出来事の原因とされる呪い。

1840年から1960年までの間に
20で割り切れる年に選出された大統領は
皆、在職中に死去した

1800年 - トーマス・ジェファーソン、
 任期満了、退任17年後の1826年死去。
1820年 - ジェームズ・モンロー、任期満了、
 退任6年後の1831年死去。
1840年 - ウィリアム・H・ハリソン、
 1841年4月4日に肺炎で死去。
1860年 - エイブラハム・リンカーン、
 1865年4月14日に暗殺された
1880年 - ジェームズ・ガーフィールド、
 1881年7月2日に暗殺された。
1900年 - ウィリアム・マッキンリー、
 1901年9月14日に暗殺された。
1920年 - ウオレン・G・ハーディング、
 1923年8月2日に心臓発作で死去。
1940年 - フランクリン・ルーズベルト、
 1945年4月12日に脳溢血で死去。
1960年 - ジョン・F・ケネディ 、
 1963年11月22日に暗殺された。
1980年 - ロナルド・レーガン、
 1981年3月30日に暗殺未遂、任期満了、
 退任15年後の2004年死去。
2000年 - ジョージ・W・ブッシュ、
 いくつか事故(後述)があったが任期満了、
 存命中。


呪いの終焉

ロナルド・レーガンは1980年に選出されたが、
直後の1981年3月30日に暗殺未遂に遭いながらも
2期8年の任期を全うした。
また、2000年に選出されたジョージ・W・ブッシュも、
2期目の2005年5月10日にグルジアで演説中に
手投げ弾を投げ込まれたが不発に終わり、
2期8年の任期を全うして現在も存命中である。

こんな事が本当に偶然で起こるものだろうか? 
そこには人知を超えた何らかの、
運命のプログラムのようなものが感じられる。
この世には未知なる何者かによって書かれた
「人生のシナリオ」が存在しているのだろうか・・・?


《終わり》


『親日外国人アートブレイキー 』

アート・ブレイキーは、
アメリカ合衆国
ペンシルベニア州
ピッツバーグ出身の
ジャズドラマー
アート・ブレイキーは、
ジャズ・シーンの
スーパー・スターです。




1961年、ジャズ・メッセンジャーズが
日本の地を踏んだと同時に、
日本国中に「大ジャズ・ブーム」が巻き起りました。
世に言う「ファンキー・ブーム」です。
「ファンキー」とはモダン・ジャズの
ハード・バップにおけるスタイルの一つで、
より泥臭く、より熱っぽく、より判りやすく、
というジャズです。
そんな時、日本国民は、素晴らしい音楽を
日本まで運んで来てくれたスーパー・スター、
アート・ブレイキーに心から感謝し、尊敬し、
それをごく普通に、態度で示したのです。



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ


誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる






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妄想劇場・番外編(18禁)

妄想劇場・番外編(18禁)

信じれば真実、疑えば妄想……

時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる


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18歳未満禁止の内容が
含まれています
18歳未満の方は
ご遠慮下さい。






メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい。



母子家庭で、生真面目な人生を送ってきた
高校生の涼也。
ある日、母親から、東京で夜の仕事をしていた
25歳の従姉が家に来て、一緒に住むと告げられる。
涼也は、暴力をふるう従姉が大嫌いだった。……

『アベレージ』 AV・1

よくこんなビデオに出られるなぁと、思う。
髪を引っ張られ、複数の男の指と舌が身体を這い、
愛していないはずの相手に挿入される。
性欲を処理するだけのために視聴している側は良い。
◎◎願望も満たされるから。でも、この女性は
実際にこの日本のどこかに存在している。
こんなビデオに出演して、いったい今どんな生活を
送っているだろう? 

ヤりまくって金持ちになっているのだろうか、
複数のお金持ちから金を巻き上げているのだろうか? 
きっと、そうに違いない。金のために、
子供を授かる行為を誰とでもしているんだ。
こいつを、同じ人間だと思ってはいけない。
それを認めれば、僕の人間性が崩壊する。
だって、そんな人たちを画面越しとはいえ
目の前にしてきて、平然と性欲の処理を
続けてきたのだから。……

これは人が車に轢かれた映像を見て、
「すげえええ!」と面白がることと同じ。
真に受けてはいけない。
ただ目の前の映像を愉しめばそれで良い。
過激なビデオに出演したAV女優は
何千、何万人といる。
全員人間じゃない。別次元の生物だ。
きっと、AVの国みたいな場所があって、
そこで楽しくセックスして
ビデオを制作してるんだろう。

「いたい」「もうやめて」と時々ビデオの中で
言ってるけど、それらは絶対に演技。
みんな金が欲しいからヤってる。
あと、セックスが好きだからヤってる。
そうに決まってる――

涼也は、自慰行為をした後、決まってこう思う。
冷静に、目の当たりにした映像の解釈をしていた。
AVというのは僕らの日常とはかけ離れたものだ。
だって、「成人向け」と区別されてる。
大人しか買えない。
子供の時からそうやって言い聞かされて、
成長してきた。
女体は手に届かない遠い存在であって、
子供が知ってはならない事柄だと世間の
大人たちは言っていた。

だからAVやアダルト雑誌などは、
僕にとって異端な物だった。誰もがそうだ。
だからこそ、それらが道端に落ちているだけで
言い表せぬ感情を胸に抱いてしまう。
嫌悪や、興奮といった類。人によっては、
状態の良いエロ雑誌を道路わきの草むらで見かけたら、
宝物を発見したような気にさえなるのだろう。
大人が決めた十八禁のルールに乗っ取って
“正しく生きてきた”なら、
なおさら複雑な心境に陥りやすくなる。

僕も、そんなふうに正しく生きてきたのだが……、
十八歳になる前にルールを破った。
いや、正確には「破らされた」と言いたい。
実写の女体で自慰行為をする気は、
そもそも涼也にはなかった。
世のルールを重んじ、律儀に守っていたので、
涼也は少年マンガに描写されている
微かな性的要素で自身の欲望を満たしていた。
それで充足していたのだが、
高校二年になってからできた友人に、
涼也が十八禁物に全く興味がないことを告げると、
面白半分で鞄にアダルトDVDを入れられた。
涼也はそれに気づかなかった。

家でDVDを見つけると、

狼狽

(

ろうばい

)

した。
あってはならないものがそこに有れば、
当然そうなる。
観ないという選択肢はあった。けれど、
いくらルールに忠実とはいえ、
人間としての本能は反応していた。
でも今まで守り抜いてきたことを容易に
破りたくない、と涼也は苛まれていた。
道徳観と本能の

(

せめ

)

ぎあい。その末に、
涼也はこっそりと観ることを選んだ。
初めは衝撃的だった。
目の前で繰り広げられているものが
なんなのかわけがわからない。異次元だと思った。

映像の中の世界は宇宙の果てで
繰り広げられている行為だと涼也は感じた。
可愛らしい女性が一定のリズムで、
奇妙な声をあげている。
涼也の中で探究心が加速した。
いったいどこを触っているのか、
どこに“それ”が入っているのか。
肌に触れるとどんな感触がするのか、
胸というのは本当にプリンのような柔らかさなのか。
思考を巡らせながら、涼也の手は
自然とティッシュを掴んだ。
◎◎に刺激を与えると、いつもより早く終わった。

少年誌でするよりも快楽を得られた。
次の日、涼也は惜しいと思いながらも
友人にビデオを返した。
それを観てヤったかどうかを訊かれたけれど、
涼也は「やってない」と嘘をついた。

AVがなくなり、またしたくなったとき、
涼也はいつも通りお気に入りの漫画のヒロインで
◎◎行為をした。が、ダメだった。
感じられなかった。
ビリビリに服が破れ、はだけ、豊満なバストや太ももが
露わになっている少年誌ギリギリの描写に、
もう本能は反応しなくなっていた。
明くる日、涼也はもう一度同じヒロインで挑戦した。
すると今度はイけた。でも、満足していなかった。
心はあのビデオを求めていた。


つづく

Author :水谷広人
http://syosetu.net/pc/



人が世間をつくるのか 、
世間が人をつくるのか、 
渡る浮世の冷たい風は、 
いいことばかりじゃなかったわ 
悲しいことが多かった 
酒に酔いしれ つぶやく言葉 
いつも女は哀しいものよ 
今度は男に生まれたい……



巷の噂 
(※逮捕歴のある有名)




Tinko_2
人の為(ため)と
書いて
いつわり(偽)と
読むんだねぇ




誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば言い訳と、愚痴になるから……






P R

カビの生えない・きれいなお風呂

お風呂物語

Furo1

漢の韓信-(89)

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin
韓信

紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
「国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。

 

漢の韓信-(89)

「お顔の色がすぐれませんね。
どうなさったのですか?」蘭の問いかけに、
韓信は応じる言葉を見つけることができなかった。
「悩み事でも?」

「……ある人が、君のことを……
人質に出せと……漢王のもとに……」
「いつになく歯切れの悪い物言いですこと。
それを言ったのは酈食其さまでしょう。
先ほど私に直接話してくださいました。
私にはそんなに悩む必要があるとは思えませんが」

「まったく、あの爺さんときたら! 
あの人は思いつくとすぐ行動に飛び移るのが悪い癖だ。
この間も漢王に叱られたばかりだというのに」
蘭はくすっと笑い、韓信をなだめるように
穏やかな口調で話し始めた。

「悪い人ではありません。あの方は将軍のことを、
ずいぶんと気にかけております。
将軍は智勇兼ね備えた名将にして、
漢の至宝たる存在だ、とまで申しておりました。
それゆえ漢王との微妙な関係が気になると……」

「酈生のことはいい。肝心の君の気持ちはどうなんだ?
私は君を行かせたいとは思っていないが、
心を鬼にして行けと命令すれば、君は断る立場にはない。
非情なようだが、公私の区別はつけなければならぬ」

「おそれながら、将軍のいまの言いようは
間違いでございます。
いったい公とはなんでございましょう。
将軍が漢王ににらまれたくないから
私を人質に出す、ということを示しているので
ございましょうか? 

にらまれたくない、というのは私的感情でございます。
公ではなくて私の領域です」
「では君の考える公とは、なんだ」
「将軍にとっての公とは、将軍自身が理性を保ち、
精神と感情の平衡を保ち、
それによって軍の士気を維持することにある、と
私は考えます。

漢王は確かに自立できるほどの勢力を
将軍に持たせることを危惧しておられるようですが、
それによって将軍が戦いに敗れることを
望んでおられるわけではありません。
つまり、将軍は軍を常に勝てる状態に保つことが
公であり、何よりも優先して務めねばならない
責務なのです」

「つまりは、私が君を手放すと、
私が気落ちして理性を失い、その結果、
私の軍は弱くなると……そう言いたいのか?」

「いやな女だと思われたくはないのですが……
その通りでございます」
「そんな風に君のことを見たりはしない。
たぶん君の言う通りだろう。
しかし……ということは君は行く気がないのだな?」

「私が行けば、それなりに効果はあるのでしょうが
……行きたくありません。
つきましては私に考えがございます。
聞いていただけますか?」
「聞こう。聞かせてくれ」

「では……先日将軍は井陘で趙を激戦のうちに破り、
趙王を虜になさいました。
これにより趙は王座が空位となったわけですが、
将軍はそれをそのままにしておいでです。
これをどうお考えになられますか」

「私も好きでそうしているわけではない。
趙の国内は現在無政府状態であり、
早く手を打たないと諸地方に反乱が起きるだろう。
しかも、それを機に楚に武力で干渉される恐れがある。
だが燕との交渉を先にしてしまったので、
後手に回ってしまったというのが正直なところだ……

しかし、趙を王国のまま保つか、
漢の直轄郡の一部にするかは私の決めることではない。
漢王の沙汰を待っているのだ」
「滎陽は窮地に陥っている、と聞いております。
漢王は実際それどころではないのかもしれません。
時間が経てば経つほど状況は悪化しかねません。

沙汰を待つのではなく、将軍から
行動を起こすのがよろしいでしょう」
「……まさか、君まで私に王を称せ、と
いうのではないだろうな」

「……違います。張耳さまを趙王に推挙するのです。
そうすれば将軍が自らの王位襲名を考えていないことを
漢王に印象づけることができましょう。
趙国内の早期安定にもつながります」
「なるほど……そうだな。
酈生が兵を連れて帰るときに伝えてもらうことにする。
しかし、漢王はそれを了承するだろうか?」

「極端な話をすれば、了承するかしないかは
問題ではありません。要は将軍に
王を称す意志がないことを伝えることができれば
それでいいのですから。
でも……了承するでしょう。
張耳さまは趙にゆかりの深い方ですし、
漢王ともご関係の深い方ですから」

「君も幕僚らしい口の聞き方をする……
どうも私はそう言うことを考えることが苦手で……
君の言う通りにしよう。今後もよろしく頼む。

軍事にしか頭の回らない私を、どうか守ってくれ」
蘭は、韓信のこの言葉を聞き、嬉しそうに微笑んだ。
軍服を着て戦場に臨んだ蘭であったが、
井陘の戦いにおいて、韓信は蘭に
戦地に立つことを禁じ、後方の非戦闘員の
護衛を命じた。

女である自分に人を殺させないという韓信の
心遣いであることはわかるが、
やはり重要な局面で力になれないことを
蘭は残念に思うのである。
なんとか韓信にとって必要な人間でありたい、と
思い続けた彼女の願いが叶った瞬間であった。

かくして韓信は張耳を趙王に立てることを
酈食其を通じて上奏し、漢王はこれを認めた。
蘭は政略的な眼力を証明することとなったのである。

つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る



歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…

『藤あや子・ わかって下さい 』
 



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……


乱れ花大月みやこ




時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる





P R

カビの生えない・きれいなお風呂

お風呂物語

Furo1


2015年7月19日 (日)

妄想劇場・一樂編

妄想劇場・一樂編

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー



Mituo
人の為(ため)と
書いて
いつわり(偽)と
読むんだねぇ





Author : 里岡美津奈

「スーパーCA(キャビンアテンダント)の仕事術」
体験したエピソード。より

あるフライトの時。ひとりのCAから、
なかなか担当エリアの離陸準備OKのサインが出ません。
「何かあったのかしら」と心配で様子を見にいこうとすると、
そのCAが困った顔でそばにやってきました。
「ご夫婦のお客様で、奥様のほうが
大きな人形をお持ちなのですが、どうしても
手から離してくださらず、ベルトが着用できないのです。
ご主人と一緒になんどもお願いしているのですが」

お客様の席に近づいてみますと、
たしかに可愛らしい人形をしっかりと
胸に抱いていらっしゃいます。
私はお客様と目線を合わせてこう言いました。

「お客様の“お子様”ですが、
お隣の席に移動していただいてもよろしいでしょうか?」
「ええ、分かりました」
その瞬間、思い詰めたようだった
お客様の表情がやわらかくなり、
素直に人形を隣の席に置いてくださいました。

ご主人も、そのお客様を実際に担当していたCAも
驚いていましたが、
お客様も人形にシートベルトをし、
無事飛行機は離陸することができました。

後日、ご主人からていねいな
お礼のお手紙をいただきました。
「実は半年ほど前に、私たちは
子どもをなくしております。
それ以来、妻は人形をかたときも
離さなくなってしまいました。
私も気持ちが分かるものですから、
ほかのお客様に迷惑をかけていると思いながら、
飛行機の中で妻を強く注意できませんでした。
でも、里岡さんのあのひと言があってから、
妻の気持ちがずいぶん落ち着いたようです。 
本当にありがとうございました」と。

とっさに出た言葉でしたが、その人形は私が見ても
「お荷物のひとつ」という気がしませんでした。
お客様の様子を見た瞬間、
事情は知らなくても何か感じるものがありました。

そして偶然にせよ、そのときにかけたひとことが
お客様の何かのお力になれた。
それはとてもうれしいことでした。

里岡さんは、ANAのピカイチのCAだそうです。
これを感性というのでしょうか。
感性は、一朝一夕に得ることはできません。
常に相手を思いやる心を育むことから生まれます


《終わり》

Enrico Macias - Zingarella
Gina Lollobrigida


 

Jina311_2


イタリアのスビアーコ出身。
1947年にミス・イタリアの
3位に入賞したことをきっかけに
芸能界入りする。
1953年に『悪魔をやっつけろ』で
ハリウッドデビューし、
世界的な人気を博した。






「再びのアナウンス」

東京出張の帰りのことです。
最終の1本前の新幹線に乗り込んで
ドアが閉まった直後のことでした。
通路のところで車掌さんの大声が聞こえました。

「3号車で女性が倒れている!」
3人の車掌さんが3号車に方へと駆けて行くのが
見えました。

次の品川駅に着く直前、
車内にアナウナスが入りました。

『ご乗車のお客様にお願いがございます。
お客様の一人が、急病で重篤な状態にあります。
お客様の中で、お医者様、もしくは
医療関係の方がいらっしゃいましたら
3号車まで起こしいただけましたら幸いです。
お寛ぎのところ申し訳ございませんでした』

そうこうしているうちに、新幹線は
品川駅に着きました。おそらく、
動かせないような状況なのでしょう。

できることなら何とかして差し上げたいけれど、
医者でもない私は気を揉むしか術がありません。

次の新横浜駅を過ぎて、5分ほど経った頃のことです。
再び、車内にアナウンスが入りました。

『先ほどは、お客様にご協力いただき
ありがとうございました。
急病のお客様は、新横浜駅から救急車で
最寄の病院に搬送されました。
たいへんご心配をおかけいたしましたので、
ご報告申し上げます。
ありがとうございました』

それを聴いたとたん、 ホッとました。
きっと、同じ車両に乗り合わせた
誰もが同じ思いだったことでしょう。
別に、そんな報告をする必要はありません。
きっと駆けつけてくれたお医者さんが
いらっしゃったのでしょう。
そのお医者さんに「ありがとうございました」と
言えば済むことです。

しかし、あえて再びアナウンスをして、
その後の報告をされました。
それは、きっとお客様が心配してくれているに
違いないと、車掌さんが思ったからです。

そんな小さなことですが、
「温もりが伝わりました」
さらに、まったく見ず知らずの他人が
乗り合わせている新幹線なのに妙な
連帯感を感じました。

車窓の家々の灯りを眺めながら、
その日一日の疲れが、なんだか
軽くなる気がしました。……

《終わり》

Author :志賀内泰弘


『Enrico Macias- Solenzara 』



誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と言い訳になるから……



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる






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お風呂物語

Furo1








 

歴史・履歴への許可証

歴史・履歴への許可証

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

夢はでっかく、根はふかく。
花を支える枝 枝を支える幹 幹を支える根 
根はみえないんだなあ



Kobanasi_3


『寿命』(グリム童話)

むかしむかし、生き物をつくった神さまが、
その生き物たちの寿命(じゅみょう)を
何年にするか考えていました。
(うーん、三十年ぐらいでいいかな?)

するとそこへロバがやってきて、
神さまに言いました。
「神さま、わたくしの寿命は、
何年にしていただけましょうか?」
「そうだな。三十年ではどうかね?」
神さまの言葉に、ロバは悲しそうに言いました。
「三十年は、長すぎます。
わたくしは朝から晩まで、重い荷物を
運ばなければならないのです。
そんな暮らしが三十年も続くなんて、ひどすぎます。
どうか寿命を、もう少しおへらしください」
「なるほど」
そこで神さまは、ロバの寿命を十八年にしました。

ロバが立ち去るとイヌがやってきたので、
神さまが聞きました。
「今、生き物の寿命を考えているのだが、
お前はどのくらい生きたいのかね?
ロバは三十年では長すぎると言ったが、
お前はそれでよかろう」
するとイヌは、こう答えました。
「わたくしの足は、三十年も走れるほど
じょうぶではございません。
それに歯も、十年やそこらで抜けてしまいます。
走る事も出来ず、かみつく事も出来ない体では、
長生きしても仕方がありません」
「なるほど」
そこで神さまは、イヌの寿命を十二年にしました。

イヌが帰ると、次にサルがやってきました。
「今、生き物の寿命を考えているのだが、
お前はどのくらい生きたいのかね?
ロバやイヌは三十年は長すぎると言ったが、
お前は三十年にしても大丈夫だね」
「いいえ、神さま」
サルはつらそうに、神さまに言いました。
「わたくしの人生は、いつも人を笑わすために
おかしなイタズラをしたり、
変な顔をしたりすることです。
そんなはずかしい人生が三十年も続くなんて、
とてもがまん出来ません」
「なるほど」
そこで神さまは、サルの寿命を十年にしました。

最後に、人間がやって来ました。
「今、生き物の寿命を考えているのだが、
お前はどのくらい生きたいのかね?
ロバもイヌもサルも三十年は長すぎると言ったが、
お前は三十年でもかまわないね」

神さまが言うと、人間はがっかりして答えました。
「三十年とは、なんて短い寿命でしょう。
やっと自分の家をたてて、これから人生を
楽しもうという時に、なぜ死ななければ
ならないのですか?お願いです。
もっと寿命をおのばしください」

「なるほど、ではロバがいらないといった
十八年をたしてやろう」、
「十八年をたしても、たったの四十八年です。
それではたりません」
「ではイヌの分の十二年も、たしてやろう」
「さらに十二年をたしても、たったの六十年です。
まだまだ、少なすぎます」
「よし、それではサルの分の十年もたしてやろう。
これでもう、おしまいだよ」
神さまはそう言って、人間を帰らせました。

このようなわけで、人間の寿命は七十年となったのです。
はじめの三十年は、人間が元から持っている寿命です。
人間はその三十年間に、子どもをつくって家をたてます。

次に来るのが、ロバの十八年です。
この十八年間は、色々な重荷を背負わされます。
家族の為に、いっしょうけんめいに働かなくてはなりません。
そして次に、イヌの十二年がやってきます。

この頃になると足腰が弱くなり、歯も抜けていくのです。
そして最後に来るのが、サルの十年です。
だんだんと頭がにぶくなり、笑われるつもりはなくても、
おかしな事をして笑われる事があります。
これが人間の、一生なのです。


おしまい


『カンチールとバナナ』



『お百姓さんとワシ』

お百姓さんが、畑へ出かけていきました。
とちゅうで、ワナにかかった1羽のワシを見つけました。
「羽も姿もなんて美しいのだろう。
さすがは鳥の王さまだ」

お百姓さんは感心してながめるうちに、
ワシを逃がしてやりたくなりました。
ワナを外してやると、ワシはつばさを広げて、
大空高く飛び去っていきました。

何日かたって、お百姓さんがふるい
石かべの下に腰をおろし、
一休みしているときでした。
とつぜんあのときのワシがあらわれ、
その爪でお百姓さんの頭から帽子を奪い取りました。

「なっ、なにをする」 お百姓さんは立ち上がり、
後を追いました。
するとワシは、帽子を落としてどこかへ
いってしまいました。
お百姓さんがそれを拾って後ろを振り向くと、
さっきまで自分が座っていたところに、
石かべがこわれて、たおれているではありませんか。
ワシは、お百姓さんに助けられた恩返しをしたのでした。

人から親切にされた時は、
恩返しをしなければなりません。
そうすれば、あなたが人に親切にしたとき、
恩返しをしてもらえるかもしれません。


おしまい



『借金をしたアテネの男』






人の為(ため) と
書いて、
いつわり(偽) と
読むんだねぇ




誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……。



時は絶えず流れ、
  今、微笑む花も、明日には枯れる 







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お風呂物語

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漢の韓信-(88)

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

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韓信

紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
「国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。

漢の韓信-(88)

酈食其という儒者は、老人でありながら挙動が軽く、
いつも軽快な足取りで韓信の前にひょっこり顔を出す。
その彼は屈託のない調子で韓信に対して言った。
「将軍、たびたびのことで申し訳ないが、
漢王が兵をよこせと仰せだ。出せるか?」
韓信としては「簡単に言うものだ」と半ば
あきれる気持ちもあるのだが、
それを口に出して言う気にはなれない。

酈食其は、彼にとってどうにも憎めない
人物なのである。
「出しますよ。というより、出すしかないのでしょう?」
「うむ。まさか出せません、とは言えまいな。
いや、言わないでくれ。それを伝えるのは
わしなのだから……。そんなことを伝えれば
漢王はまた癇癪を起こし、わしのことをきっと
口汚く罵るに違いないのだ。

実は、この間もさんざん叱られたばかりでな」
「言いませんよ。……それよりなぜ
叱られたのですか?」
「我ながら妙案だと思ったのだが……
秦の滅ぼした六国の子孫をたてて、
それぞれを王とするよう漢王に献言したのだ。
漢王が覇王として君臨することになれば、
項王も襟を正して心服する以外にないと思ったのでな」
「…………」「やはり駄目か、そうであろうな。

漢王は一度はわしの策を採用し、
大急ぎで印綬を作らせたが、
張良があわてて引き止めたそうだ。
時代に合わん、といってな。
おかげでわしは大目玉だ」
酈食其は悪びれた様子もなく、淡々と話す。

韓信にはそれがおかしくてたまらなかった。
「今さら項王が襟を正してなどと……。
私が張子房どのでもやはり止めたでしょう。
六国をたててその六国が揃って楚に靡いてしまっては、
元も子もない。酈生ともあろうお方が、
どうしてそのような早まった献言を?」
「それは……早いところ現状を打開しなければ
どうにもならぬとわしなりに思ったからだ。

はっきり言うが、滎陽は落城寸前だ。
早めに手を打たなければ、あとひと月も持つまい」
酈生はこのとき苦渋に満ちた表情をした。
日ごろ温和な態度を保ち続けている儒者の彼としては、
珍しいことである。

「漢も詭計を用いて、楚軍の内部を
切り崩したりはしているのだ。しかし、
決定的な打撃を与えることができないでいる」
このとき韓信は酈生から伝え聞き、甬道が遮断されて
滎陽が飢餓状態に陥っていること、
また陳平の策によって亜父范増が死んだことなどを
初めて知った。

「深刻な状況ですね……。しかし、
現状では私にできることは少ない。
せいぜい兵を補充して差し上げることぐらいしか……。
漢王はさぞや憔悴していることでしょう」
「軍事面ではな。私生活の面では、心配ない。

漢王は囚われの身の呂氏のかわりに若い戚夫人を
得るに至った。元来が女好きのお方だ。
若い婦人を相手にしていた方が精神的にも
安定するに違いない。判断力はしっかりしておられる」
「に、しても急がねばならぬ。

斉を討伐し楚を逆に包囲すれば……」
韓信はしばらくの間、士卒を休ませることに決めていたが、
もしかしたらそれも撤回しなければならないと考えた。
「いや、心配するな。事を急いで将軍に
失敗されてはすべてが無に帰す。成功したとしても……」
「成功したとしても?」
「……将軍の立場を悪くするだけだ。
わしにはそう思える」「…………」

「将軍の功績はいまでも大きすぎる。
このうえ斉を平定などしたら漢はおろか、
楚さえも上回る勢力になりかねん。
将軍が戦いに勝つたびに漢王が兵を送れと
いちいちいうのは、それを抑えるためだ。
いや、たしかに滎陽が苦しいという事情はあるが、
基本的には将軍の力を削ぐためだと思えてならない」

「……私が自立勢力を持つというのですか。
私の幕僚にも似たようなことを言う者がいる。
しかし、その度に私は言うのですが……
私にはそんな気はない」
「君がどういうつもりなのかは、
たいして問題ではないのだ。

重要なのは事実であって、実際に将軍の勢力が
自立するに足るものであれば、漢王としては
警戒しなければならない。
今のところ将軍にはその気はないようだが、
人の心というものは、ちょっとしたきっかけで
うつろいやすいものだからな」

「私は……違う。私はもし自由を与えられたならば、
誰とも関わらずにひとり気ままに暮らしたい、
というのが本心なのです。誰が自立などするものですか。
王など称して不特定多数の人々を相手にするなど
……面倒です」
「だから将軍がどう思っているかは問題ではない、と
言っているだろう。

将軍、こういう故事をご存知か?……
かつて秦の将軍王翦は楚を滅亡させるにあたって
六十万の兵を用意した。これは楚を撃ち破るに充分な
数であったが、王翦の心次第では秦を撃ち破ることも
可能な数だ」

韓信は口を挟んだ。「その話なら知っています。
王翦は始皇帝にいらぬ疑いを持たれぬよう、
再三にわたって使者を送り、戦勝後の褒美を
ことさらねだった……
戦後の恩賞で頭が一杯で、反乱など
考えてもいないことを印象づけるためです」

「その通り……。考えてみるがいい。
将軍の立場は王翦と同じだ。だが、
将軍は漢王に対して何も要求していない」
「要求など……臣下が主君に要求をするなんて、

不躾

(

ぶしつけ

)

ではないですか」
「確かにそうかもしれんが、留意すべき故事だ」
韓信は息をのんだ。自分の立場はそれほど
微妙なものなのだろうか。

かつて李左車が自分に向けて言ったように、
自分には独裁者となる危険性があるのだろうか、と。
いつにもなく深刻な表情で、酈食其は続ける。
「将軍が考えるべき事項はまだある……。
漢王は函谷関を出て中原に進出してからも、
折りをみて何度か関中に戻っている。
そのわけが分かるか?」

「関中は漢にとって重要な拠点だからでしょう。
それは他ならぬ私が漢王に主張したことです」
「……それだけではない。漢王は丞相蕭何が
謀反するのではないかと疑っておられたのだ」

「……蕭丞相が? まさか。彼はそんなお人ではない」
「蕭何は漢王とはまるで違い、真面目で
人格者でもあるし、それゆえ人望もある。
関中の父老の支持を得て、若者を駆り集めれば、
文官とはいえ謀反は可能だ」

「…………」「しかし蕭何が優れているところは、
それに自分自身で気付いたところだ。
彼は漢王の信用を得ようと一族郎党から
男子をすべて集め、残すことなく滎陽の前線に
送り込んだのだ。
体のいい人質というものだろう。

将軍はそのようなことをなさっておいでか」
「……いえ、まったく。
第一私には親類縁者が少ないので……」
「考えるべきだ。旗揚げ以来の重鎮の
蕭何でさえ疑われるのだ。言いたくはないが、
漢王と将軍の信頼関係は、漢王と蕭何のそれよりは薄い。

……親類に心当たりがいないのであれば、
他の者を探すべきだ。
要は漢王の気に入る者を差し出せばよいのだからな。
さしあたり……例の魏豹の娘などはどうであろう」
「…………!」 


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る



歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…

『美空ひばり テネシー・ワルツ 』





人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……


酒場にて』 江利チエミ




時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる





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カビの生えない・きれいなお風呂

お風呂物語

Furo1


2015年7月18日 (土)

チャンネル・ニュース

チャンネル・ニュース

幸せがつづいても、不幸になるとは言えない
 不幸がつづいても、幸せが来るとは限らない

 

Mousou









昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー



『自分の事を恥じないで』

交通事故に遭って左半身に少し麻痺が残り、
日常生活困るほどではないけど、
歩くとおかしいのがばれる。
付き合い始めの頃、それを気にして
一歩下がるように歩いてた私に気付いて
手をつないで一緒に並んで歩いてくれた。

家に帰ってから訳を聞かれて
「○君に恥ずかしい思いをさせたくなかったから」って
言ったら
「どうしてそんな考え方をするんだ」と怒られたので
「大好きだった○君と付き合えてるだけで幸せだから。
私と付き合うことで○君に少しでも
嫌な思いをさせたくないから」と言ったら
泣きながら私の両手を持って目の中を覗き込むようにして
諭してくれた。

「俺はお前と付き合ってあげてるわけじゃない。
俺がお前を好きで一緒にいたい、
付き合いたいと思ったから付き合ってるんだ。
お前の体のことなんか、ずっと前から知ってたけど、
一緒に歩いて恥ずかしいなんて
一回だって思った事はないよ。
お前がそんな風に考えてるのが俺は悲しい。

俺に気を使わないで。自分の事を恥じないで。
もっと自信をもって胸を張ってほしい。
ずっと並んで歩こうよ。
お前は俺の自慢の彼女なんだから」

私のことをここまで思ってくれる人には
絶対会えないと思う。
すごく嬉しくて、涙が止まらなかった。
今は、どこに行くときも並んで歩いています。


『歌手のシンディ・ローパーが親日になった理由』



『どきどき。』

その昔、大学の同級生の女の子に
がりがりに痩せた子がいた。
細身の娘が好みだったのでお声掛け。
程なく恋仲に。

あるとき「心臓に大穴が空いていて、苦しい。
子供も無理。諦めるなら今のうち。」と
告白された。
本人は死ぬ気だったらしい。

迷うことなく、恋人宣言。
出来る手術があるのならと方々の
心臓外科を探しまくってなんとか手術にこぎ着けた。
どきどき。
成功した。うれしかった。
術後も良好。でも、子供は無理。
受胎しないだろう、と言われた。

当然、親同士は結婚に猛反対。
オレの親は勿論、向こうの両親も。無視。
無視され続けてもなを、説得も続け、
6年掛けてやっと挙式/入籍。
10年後、余程経過が良かったのか、妊娠が発覚。

主治医に相談したら、妊娠できたのなら
出産は問題ないだろう「挑戦しましょう。」
おまい、オレの女房だぞ、オレの子供だぞ、
大丈夫なんだろうなぁ。
どきどき。

無事出産。3,000g元気な男の子。
あまりに嬉しくて、宙に浮いてた感じ!!。
半年後、かみさんに似たような心臓障害発覚。
成長しないだろうってどういう事?「
様子を見ながら出来るものなら手術をしましょう。」
かみさんの執刀医の紹介で小児心臓外科の
先生にお願いする。
十年待った一粒種、殺すなよ。
頼むから。
どきどき。

成功した。これ以上ないくらい。
あれから15年。ころころ太ったかみさんが居る。
「うぜえんだよ、親父。」
憎まれ口を聞く、ちょっと生意気な男子高校生が居る。
さえないサラリーマンが、
普通の幸せを噛みしめている。……



『トムクルーズの日本愛』



『幸せで暖かい家庭 』

兄家族が俺たちの家にやって来て
長女を押し付けて帰った。

兄も兄嫁も甥っ子だけが生きがいみたいな
所があったんだよね
甥っ子は本当に頭が良かったんだ。
勉強は教科書読めば全て頭の中に入ってくる。
スポーツも出来て人気者だったらしい。

長女は甥よりも出来が悪いと判断されて、
ほとんど放置されていたらしい
そのとき小学生だったけど、幼稚園生?と
思えるぐらい細くて小さかった。

風呂には一か月に一回しか
入れてくれなかったみたいで、そりゃ汚かった
お風呂に入れてやったら、
一緒に入っていた嫁が泣き出すんだよ

「頭を洗ってあげただけで
「ありがとう」って泣くんだよ。
暖かいお風呂だねって泣くんだよ」って。
食事を出せば「おいしいね、
暖かいね」って言うんだ。
これはもうダメだって思って、
兄貴に言ったら

「100万よこせばそいつはやる」って。
嫁さんが「…100万。絶句
子供をなんだと思ってる!」と怒った。
俺は怒りを通り越して呆れしか出てこなかった。
こんなのが兄貴だったんだって。

次の日、俺が自分の貯金から100万おろして
嫁さんに渡すと「実は私も」って
嫁さんも100万準備していた。
200万兄貴に渡して
「これで俺たちの子供だな!」って。

金で子供を買ったみたいでなんだかあの時は
何とも言いようのない気持ちだったな。
俺たち、その時まだ若かったんだよね。
突然できた子供に近所の人も驚いていたけど、
優しい人たちばかりだったから色々助けてもらった

長女が12歳の時に次女が生まれた。
不安もあったけど、長女はたくさん次女を
かわいがってくれた。
お陰で次女はお姉ちゃんっ子に育った。

昨日は俺の誕生日だったんだけど
「お父さん、誕生日おめでとう」って
手作りの煙草ケースをくれた。
これがまた凝ってるんだわ。
木と革で出来てるんだけど最高に使い心地がいい。
「吸いすぎないように」って書かれてるけど…

引き取った時とは比べ物にならないぐらい
明るい子に長女はなった。
友達もたくさんいて、良く家にも遊びに来る。
勉強だって俺に似ないで嫁さんに似たのか
良くできる子だ。

そのかわりに次女はアッパラパー
(お調子者で今の自分を存分に楽しんでいる人)
だけど、友達もいるし元気なら良いや。
そのうち目覚めるでしょう…。
これから二人とも大きくなっていって
結婚して家を出ていくのかなと思うと
なんだか寂しいなw……




時は絶えず流れ、
 今、微笑む花も、明日には枯れる



マザー・テレサ

思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。







P R

お風呂物語


カビの生えない・きれいなお風呂

Furo1


2015年7月17日 (金)

妄想劇場・特別編

妄想劇場・特別編

信じれば真実、疑えば妄想……


Mituo2_2

昨日という日は
歴史、
今日という日は
プレゼント
明日という日は
ミステリー





『サンカ』集団



サンカ (集団名)


サンカは、日本の山地や里周辺部で過去に
見られたとされる不特定の人々を指す言葉である。
その指し示す範囲は広く、回遊職能民であったり
特殊な窃盗団など、時代や立場によって
定義や趣旨も大きく変わり、語義を明確にすることは難しい。

サンカは、様々な漢字が存在する。
「山窩」「山家」「三家」「散家」「傘下」
「燦下」(住む家屋を持たず傘や空を屋根とする
屋外に住む存在という意味)などと表記される。
地方によって呼ばれ方も違う。
「ホイト(陪堂)」「カンジン(勧進)」など、
特定の芸能を指す言葉と併用されることも多い。

「サンカ」という言葉は、江戸時代末期(幕末)の
広島を中心とした中国地方の文書にあらわれるのが
最初である、幕末期においては、
サンカの呼称は西日本に限られたとされている。

立場による呼び名の違いもある
行政系的なカテゴリー/住居を定めない浮浪漂泊者、
「サンカ」「山カ」「さんか」等と記述されていた。
警察系的なカテゴリー/例外なく「山窩」とされている。
 独自な犯行手口を用いる犯罪専科の
 単位集団として規定されていた。
民俗・史学系的なカテゴリー/明確に農民型
 「サンカ」としている。
営林系的なカテゴリー/盗伐を防ぐため調査し
 「サンカ」「山窩」と表記、呼称していた。

生業(地域によって異なる)
サンカには大きく3つの職種がある。
ミツクリは箕(み)作りで、竹細工系の仕事。
フキタカは笛作り、琴作り、茶筅(ちゃせん)作りなど、
楽器や芸事の道具製作で他にも
籠(かご)簑(みの)笠(かさ)下駄(げた)
などの細工物を作る。
里におりて食料その他と交換した。
「ポン」と呼ばれるサンカは、川漁、
副業として竹細工などをしていた。
「ミナオシ」、「テンバ」と呼ばれるサンカは、
箕、かたわらささら、箒の製造、行商、修繕を
主な収入源としていたとされる。

山窩物語
「もののけ姫」という映画で、宮崎駿は
サンカをはじめとする人々を描いたようである。
サンカとタタラ族との深い繋がり、
もののけ姫の名前がサンという事と
アシタカという名から連想される先住民、
彼らがハンセン病患者達を助けたという事実が
それを考えさせるのである。

作家の椋鳩十は、自然に生きる漂泊民として
詩情豊かに描き、自由に生きる人間の原風景を呼び起こした。

五木寛之の作品では、「戒厳令の夜」「風の王国」など
国家の規制を超えて独自の文化をもち、
管理社会の下で閉塞した状況に風穴を開ける
集団として登場している。

中島貞夫監督の映画「瀬降り物語」(85年)では、
山々を流浪する孤独な生活を萩原健一が好演した。

現代の山窩
かつて、山で生活し自分たちの独自の文化と社会を
形成していたサンカが存在したのは確かな事だが、
現在はとなると、「いる」「いない」で意見が別れている。
『サンカと説教強盗』を書いた礫川全次は、
トケコミしきって、消滅したという説だ。
現代日本では山に行ってもセブリをしているサンカはいない。
小説や物語の中でのみ、彼らに会う事が
出来るというところであろう。

山窩料理
東京都下にサンカ料理を出す割烹旅館があった。
今はサンカ料理をやっていないが、
それに近い川魚料理をだす。
米を食わないサンカらしく、米飯がなく、
よもぎソバがメインの料理である。
この店、戦時中、陸軍御用達(ごようたし)の店で
一般人は入れない店だった。
東条英樹が入りびたり、夜の大本営とまで言われた。
サンカ料理と東条英樹、
陸軍とサンカが実はつながっていたのであろうか。

山窩と犯罪
大正15年7月30日、池袋の黒川健三方に
職人風の覆面男が忍び込み、20円を強奪した。
4年にわたって東京を震撼させた説教強盗の登場である。
忍び込んだ家で、縛り上げた家人に
戸締まりをしろとか、防犯上の説教をしたことから、
当時朝日新聞の記者だった三角寛が
「説教強盗」と名づけた。
説教強盗は犯行を重ね、その数は
昭和4年には盗みと強姦をあわせて65件に登った。
その鮮やかな手口にキリキリ舞いさせられた捜査陣から
「犯人はサンカ」ではないのかと声があがった。
これを聞きつけた三角寛はサンカに興味を持ち、
サンカの研究を始める。
昭和4年2月24日、説教強盗妻木松吉は
西巣鴨向原の自宅で逮捕された。
捕まる時「おさわがせしてすみません」と言った
妻木はサンカではなかった。
サンカは、明治以降、近代に入ってからも
戸籍を持たずに山で漂泊の生活を続けていた。
そのため、サンカと犯罪を結びつけ、
何かあるとすぐに「犯人はサンカ」ではないかと
憶測した。

三角 寛(みすみ かん)
サンカ研究で博士号をとり、サンカに関する小説を多数書き、
サンカ学の権威とされた。現在も追従する人が
一定数いるというが、
実はその三角の書いたものの大半が大洞だったという
トンでもない話だ。つまりサンカ学は
スタートラインに立ってさえいなかった。
それどころか、先人たちが軽く触れていた時代から
大きく後退させてしまったといえる。

山窩と古史古伝
サンカには、独特の文字と神話伝承がある。
『日本書紀』『古事記』に書かれた以外の歴史を伝える
幾つかの古文書を一般に古史古伝というが、
その中の、江戸時代に大分で発見された
『上記』(ウテツフミ)はサンカ文字と同じ文字で書かれている。
また、日本神話である『日本書紀』も『古事記』も、
サンカ言葉で読むとまったく違ったものになるという。
サンカの道具であり武器であるウメガイという
両刃のサンカ刀があるが、このウメガイこそが
スサノオノミコオがヤマタノオロチを退治した刀だというのだ。

山窩と戸籍
670年の「庚午(こうご)年籍」に始まる戸籍は、
国家統治の基礎であった。
しかし、明治に入っても戸籍への編入を拒絶し、
国民の三大義務である徴兵、納税、義務教育を
無視してきたのがサンカであった。

日清戦争後にも20数万人、
第2次世界大戦後の昭和24年にも、
約1万4000人の無国籍サンカがいた。
その当時サンカ以外の流浪人を合わせると
80数万人の戸籍を持たない人達がいたという。
昭和27年朝鮮戦争を契機に
国家再編成を実現する目的で施行された
「住民登録令」によって、日本列島に住む人々は全て、
居住地を決め、その住所を申請すると同時に、
米穀通帳、国民年金、健康保険、選挙人名簿などを
一括登録する事を義務化した。
後に「住民基本台帳法」として完成するこの政令によって
サンカの歴史は幕を下ろすことになる。


《終わり》


人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ


誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……


【巷の噂話】芸能人が隠したい黒歴史



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる





P R

カビの生えない・きれいなお風呂

お風呂物語

Furo1

 


妄想劇場・一樂編

妄想劇場・一樂編

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー



Mituo
人の為(ため)と
書いて
いつわり(偽)と
読むんだねぇ



 

『憧れのレイコさん・・・』

田沼勇二は、夕方のこの時間、
扉の方ばかりを気にしていた。
もう一週間以上も姿を見ていない。
「どうしちゃったのかなぁ。  
どこか旅行にでも行ってるんだろうか」
勇二は、大学一年生。 山陰の田舎町から
大学に入るために都会に出てきた。
親からの仕送りはあったが、町役場に勤めている
父親の収入だけではとても足りない。
爪の先に火を灯すような暮らしをしてやりくりしている
母親のことを思うと、勉強も疎かにはできない。
そこで、大学の近くのコンビニで、
最低限のアルバイトをすることにした。
午後の講義が終わってから、夜の8時まで。
土曜日だけはフルで働く。
初めての接客は、人見知りする勇二には
戸惑うことばかりだった。ただ、マニュアルに従って、
「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」を
言うのが精一杯だった。

勤めて2日目のことだった。
田舎では見たこともないような美人が店に入って来た。
名前を思い出せなかったが、以前、
テレビドラマで主役をしていた女優に似ていた。
高校の英語の先生役だった。
レジで、「いらっしゃいませ」と言った瞬間に目が合った。
その女性は、ニコッと笑い、
「あっ新人さんね、ボクは高校生?」と訊いてきた。
勇二は顔をポッと紅らめた。
「い、いえ大学です」
「あら、純情。真面目ねえ」
目を合わせないようにして、ペットボトルの
ミネラルウォーター、ビタミンの入った美容ドリンク、
ハムとレタスのサンドイッチ、
それに女性週刊誌のバーコードを読み取る。

「ねえ、ねえ。ちょっと可愛いじゃないの。
ジャニーズ系よね。  
今度、うちのお店にいらっしゃいよ」
「え? お店?」
「うん、これ渡しておくからさ」
差し出されたのは、名刺だった。
源氏名というのだろうか、いかにも、
本名ではないと思われる名前が書かれてあった。

会員制クラブ  ブラックパール  司 レイコ  
商品をレジ袋に入れて手渡すとき、
レイコと名乗る女性は、 少し爪先だって
カウンターへ乗り出した。
勇二と顔が合わさるくらいに距離になり、
慌てて勇二は身を引いた。
「いやね、逃げないでよ」
「あ、いや、そんなつもりじゃ・・・」
再びレイコはみを乗り出して、勇二の耳元で言った。

「私の弟ってことにしてあげるから、遊びに来なさい。
タダでいいから」 「・・・」
勇二は、紅い顔が燃えるように熱くなるのを感じた。
毎日、毎日、午後5時40分が来るのが楽しみになった。
レイコさんは、5分くらい前後することはあったが、
決まって同じ時間に現れた。
その都度、勇二をからかっていく。
だんだんと勇二も慣れてきて、
少しは気の利いた言葉を返せるようになった。

「あっ、美容院に行かれたんだすね、キレイだなぁ」
「あら、この子、嬉しいわぁ」
「いえいえ、本当ですよ」
「そんなこと言って、なかなかお店に
来てくれないじゃないの」
「行きますよ、いつか」
「ホントよ~」
そんなレイコが、もう一週間以上もお店に来ない。

正直、バイトを続けていられるのは、
彼女のおかげかもしれないと思っていた。
友達でもない。もちろん恋人でもない。
ただのお客さんだが、勇二にとっては憧れの存在だった。
もちろん、キレイだからというのが一番だ。
でもそれ以上に憧れを抱かせるものがあった。
自分の知らない世界で、バリバリ働いているという
煌めきだった。
(病気でもしたのかな。それとも、海外へでも
旅行に行ってるんだろうか)
勇二には、一つ、気掛かりなことがあった。

それはレイコが姿を見せなくなる3日前の出来事だった。
コンビニの前で、何か言い合う声が聞こえた。
ガラス越しに目をやると、雑誌の棚の向こう側に
レイコさんの上半身が見えた。
店長と向き合って、やりあっている様子。
話の中身までは聞こえない。
それが5分ほども続いたろうか。
レイコは、店には入らず、プイッとして出て行ってしまった。

店長が戻って来てブツブツ言っている。
勇二が訊いた。「どうしたんですか」
「腹立つよ、まったく。
家のゴミをさ、うちのゴミ箱に捨ててくんだよ」
「・・・」 「たぶん今日だけじゃないぜ、
毎日だな、ありゃ」
レイコさんは、毎日、同じ時間にやって来る。
その都度、ほとんど同じ物を買う。
その際に、家庭のゴミも捨てていく。
一つの生活パターンが出来上がっている。
(きっと、そのせいだ)と思った。

いつも店長が店にいるわけじゃない。
勇二は、「またレイコが来てくれますように」と
心の中で願った。それから、さらに3週間が経った。
ずっと、というわけではないが、レイコさんのことが
頭から離れなかった。

たしかに、家庭のゴミをコンビニに持ち込まれては困る。
ゴミ箱はすぐに満杯になってしまうのだ。
そのゴミ箱の整理も勇二の仕事の一つだった。
赤ちゃんのおむつや、犬のウンチを捨てている人もいる。
「ペットボトル」と書いてあるのに、
その他のゴミが突っ込んであることなんてザラだった。

高速道路のサービスエリアでも、
この問題が取りざたされていた。
行楽に出掛けるとき、家庭ゴミを車に乗せて
「わざわざ」捨てていく家族が多いらしい。
モラルの低下というか、一つの社会問題である。
それだけに、店長の言い分はわかる。
わかるが、レイコに会えないのは残念だった。

勇二が、そんなことを考えて駅前を
歩いていたときのことだった。
「あっ!」それは、紛れもなくレイコさんの後姿だった。
右手にはブランド物のバッグ、
左手にはゴミ袋を持っていた。
姿勢よく、大股でスッスッと歩いて行く。
(このへんに住んでいるのかな。
うちのコンビニへ来てくれるのかも)
その日は、田舎から母親がやってくるというので、
バイトを休ませてもらった。
(それなら、休むんじゃなかった)と気落ちした。

でも、勇二が勤めるコンビニと反対方向へ向かっている。
(どこへ行くんだろう)気が付くと、
勇二は後を追いかけていた。
まるで、刑事が尾行するかのように。
途中で、回り込んで「こんにちは!」とでも
声をかけようと思ったが、そこまでの勇気はなかった。

(これじゃあオレ、ストーカーじゃん)と首を横に振る。
それでも、距離を置いて後を着いて行った。
しばらくすると、勇二が通う大学前のコンビニまで来た。
勇二のバイト先とは、300メートルほど離れライバル店だ。
レイコさんはコンビニの入口へと向う。
勇二は、駐車場の手前で立ち止まった。

その時だった。店の前で、ゴミ箱の
ゴミを整理していたオバサンが、レイコさんに声を掛けた。
「あら、レイコさん、おはよう!」
「おはよう!水野さん」
「水野さん」と呼ばれたおばさんは、
ユニフォーム姿からして、この店の店員らしい。

「あっ、ゴミね、こっちへ頂戴。
ちょうど、裏へ回しておこうと思ったところだから」
「ありがとう。助かるわ」
「何言ってるのよ、お客様じゃないの」
「ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいわぁ~。
どうしても仕事柄、朝早く起きられないのよね。  
ゴミを出したいんだけど、
うちのマンションは管理組合が厳しくって・・・。  
夜のうちに共同のゴミ捨て場に置きに行くと
組合長に叱られるのよ。
融通が利かないっていうか」

「たいへんな仕事よねぇ~。私なんか、反対に、
夕ご飯食べたらパタンキューで。  
年寄りだから、朝は4時に目が覚めちゃうし」
「4時なんて、私が寝る時間よ」
「へえ~そうなんだ」
「ホント助かるわぁ~。
こうして家庭のゴミを気軽に持って来れるなんて
夢みたいだもの」
「ううん、いいのよ。ああ、そうだ!
アセロラの美容ドリンクね、新商品が出たのよ!」
「ええ!ホント!買う買う!!」
「売り切れないように、ちゃんと一本取ってあるからね!」
「わぁ、水野さん、ありがとう」
そう言うと。二人は店の中に入って行った。

勇二は、導かれるように店の入り口まで近づいた。
中では、美容ドリンクを手にして、
おばさん店員とレイコさんが楽しげに話をしていた。
勇二は、ふとゴミ箱の上辺りに貼ってある。
A4サイズの白い紙に目が留まった。
そこには、あまり上手いとは言えないが、
何やら温もりを感じさせる丸っこい大きな文字で、
こう書かれていた。
「家庭のゴミも、どうぞお持ちください」……

《終わり》


Author : 志賀内泰弘 



誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と言い訳になるから……



『恋心』 エンリコ・マシアス




時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる





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お風呂物語

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漢の韓信-(87)

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin
韓信

紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
「国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。

 

漢の韓信-(87・邯鄲に舞う雪)

「私が見る限り、士卒はみな疲れているようです。
勝ち続けているので士気は高いですが、
気持ちだけでは戦には勝てません……。
実際には使い物にはならないでしょう。

したがってこのまま将軍が燕に侵攻したとしても
弱い燕に勝てず、ましてや強国の斉に
勝てるはずがありません。
まずは士卒を休ませ、そのうえで燕に対して
使いを出すのがよろしいでしょう。
そうすれば趙を降した将軍の武威が生きてきます。

燕は靡くように降伏しましょう。
実情を隠して示威するわけですな。……
兵法に『虚声を先にして実力を後にす』とありますが、
いま将軍がとるべき作戦がそれなのです」

「なるほど。確かにそうかもしれません。
私も、わざわざ武力を用いて燕を屈服させる
必要性があるのかどうか確信が持てなかったところなのです。
いや、実に参考になりました」
韓信は微笑とともに李左車にそう言ったという。

つまり彼は李左車に奇抜な発想を期待していたわけではなく、
自分の考えを後押ししてくれさえしてもらえば、
それで満足であったのである。
決して結論のない戦略という主題を突き詰めていく中で、
自分と同じ考えに至る者が存在したことに
安心した彼は、会心の笑みを漏らした。

韓信には井陘での戦いにおける前後の経緯から、
李左車であればこう考えるだろう、ということが
あらかじめわかっていたのだった。
よって韓信が李左車を自身の幕僚に加えようとしたのは、
自然な流れであった。
しかし李左車はその要請を断ったのである。

「なにか、ご不満でも……?」
傷つけられた少年のように落胆の色をあらわにした
韓信を前に、李左車は淡々と語るのであった。
「私が思いまするに、将軍と私の軍事に関する考え方は
似ています。
志を同じくする者同士が力を合わせれば、
物事を強力に押し進めることが可能でしょう。

しかし、それでは……将軍、いざという時に
あなたを掣肘する者がいなくなってしまう」
「……どういうことでしょう」
「どうか、ご自分の考え方を疑ってみることを
常となさいますように。
それを忘れると、あなた様は
秦の始皇帝のような存在となってしまいます」

「…………」韓信は絶句した。
李左車が言っていることは、彼の中に
独裁者と化す危険が潜んでいるということであったのだ。
「同調ばかりする者を周囲に置いていては、
将軍が道をお誤りになったときに苦労します。
聞く耳を持つことと、決して独善的にならないことを
旨としてお過ごしください。
私のような身は、将軍には必要ありますまい。
むしろ、害悪となりましょう」

韓信としては、こう言われては無理に
李左車を引き留めることはできない。
我を通して彼の意思を無視すれば、それこそ
聞く耳を持たないことになるからだ。

「広武君には、趙の地に留まっていただきましょう。
我々に協力していただければ、身分は保証します。
しかし、それをあえて拒否する権利も保証しましょう」
韓信はそう言い、判断を李左車に委ねたが、
結果的に二人の交流はこれが最後となった。

李左車は敵対行為は働かないことを約束したが、
そのかわりに平民となることを希望し、
その後一切政治の表舞台に登場することを
拒否したのである。

亡国の大夫は国を語らず……
彼はその自分の言葉を実際の行動で示したのであった。
韓信は意気消沈したが、
一方で李左車の生き様に潔さを感じ、
その後の行動については彼の意見を尊重する形をとった。
はたして燕は李左車の言う通り降伏し、
韓信は戦うことなく燕を勢力圏の下においたのである。


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る



歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…

『北の秋桜』キムヨンジャ



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……


『かもめの街』 ちあきなおみ



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる





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お風呂物語

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2015年7月16日 (木)

妄想劇場・番外編(18禁)

妄想劇場・番外編(18禁)

信じれば真実、疑えば妄想……

時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる


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18歳未満禁止の内容が
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18歳未満の方は
ご遠慮下さい。





メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい。



口伝つちのこ異聞(6)

若い男が通り過ぎ、少しして中年の太った男が
息を切らして歩いて行った。
三人目の男が行き過ぎて、私も後についた。
後ろ姿を何気なく見ているうちに、
その服装から昨日私の後から村に入ってきた男だと思った。

「昨夜はどちらに?」 歩みを緩めた男が振り返って言った。
「…田の屋という…」
「ああ、あそこはいい…」
「泊まったことがあるんですか?」
「ええ、去年の春。夏が川原屋。昨夜は佐渡屋でした」
来るのは三度目だという。

「三度目?…」私が思わず立ち止ったのは
言い知れぬ胸騒ぎを感じたからだった。
「なんで、こんな田舎の民宿に三回も…」
男は訝しげな顔を見せてから、口元を弛めた。

「あなたは今回初めてですね?」
私が頷くと、男は真顔になって、
「僕も初めはそう思いましたよ」 そして、
「驚いたでしょう?」
今度はにやにやと粘っこい笑いを浮かべた。

「サービス満点だったでしょう。
まあ、どこもそうだけど」
男の言っている意味がわからない。
男は汗を拭って村の方向に目をやると、
私に向き直って『自分の考え』を披露し始めた。

あの民宿は、売春宿なのではないか、
と言うのである。
「田の屋の婆さんは嫁の相手をしてくれって言ったでしょ。
川原屋は女が風呂に入ってきて背中を流してくれてね。
主人が亡くなって五年になります、
夜伺っていいかしらって言うんですよ」

「昨夜の宿も?」
「ええ、佐渡屋。感激でした。
若い若い。渋谷か原宿にいるみたいな女の子でしたよ」
「それとどういう関係?」
「そこのおばさんは親戚の子だって言ってましたけど、
何でもいいんでしょう。夜には母屋は二人きりだし、
あちらから誘ってくるんですから」

私はまだ頭の整理ができなかった。
「でも、一組限定ってことでしょう。
グループで来たらどうするのかな。
女の客だって来ないとは限らないし」
「ええ、ええ。僕も考えましたけど、
その時は、男の客だったら食事は一緒で
宿泊は別ってあらかじめ伝えておけばいいし、
女、子供だったらそれはそれでいいんじゃないですか。

あの料理で六万ですから。一度来れば二度と来ませんよ。
そもそもホームページ見ましたでしょう?
女や家族連れは来ないようなことを書いてあるんですよ」
たしかに、それは納得できる。

ふと興味を覚えた一人旅の男が訪れて
病みつきになるということか。
この男のように、そしておそらく私も……。
私たちは並んで歩きだした。
「しかし…」と言葉を切ってから、
「そうだとしたら、彼女たちはいくら貰うんだろう」
昨夜の行為を思い出して私は昂奮を新たにした。

「さあ…たとえば六割で三万六千。
根拠はありませんけどね」
「一晩たっぷりと…。割りが合うかな」
「考え方次第じゃないですか。
予約状況見ました?
空いてるのは平日の一部ですよ。
毎日客がある。十日で三十六万、ひと月で百八万。
もっとも一人じゃ体がもたないから
何人も女がいるんでしょう。
それにしてもいまどき不景気で水商売だって
そうは稼げない。確実な商売だと思いますけどね」

「向こうから金の要求は一切ない」
「そう、そうです。だから売春ではない。
そこがうまいところです」
なるほど、そう考えるとあの濃密な◎◎も理解できる。

「あなたは三度目って言ったけど、
いつからそう思ったのです?」
「二回目の時です。田の屋の女が忘れられずに
あの思いをもう一度と電話したんです。
そうしたら宿は選べないって言うんです。
なぜかって訊いたら、村全体で運営してるからだって。

それでがっかりして断ろうとしたら、
何て言ったと思います?
ほかの宿も十分お楽しみになれると思いますって
言うんです。それだけでぴんとくるでしょう。
どうも宿泊者のリストがあって
管理調整かなんかしてるんじゃないかな。
向こうもそれしか言わないんです」

「同じ宿じゃまずいんですかね」
「うーん。憶測ですけど、
同じ設定じゃやりにくいでしょうし、
馴染みをつくると何かと面倒なんでしょう。
女が変わればまた別の話を作れるってことじゃないかな。
もし一回りローテーションが回ったら
女を変えればいい」

駅が見えてきて、男は腕時計に目をやった。
「間に合うな。一時間に一本ですからね。
乗り遅れたら大変だ」
後ろを見るとさらに二人の男が急ぎ足で歩いてくる。
「あの民宿のこと、誰かに話しました?」
私の質問に男は笑いながら手を振った。
「言いませんよ。これ以上予約が増えたら困りますよ。

こんな男の天国、教えたくないですね。
そうでしょう?」
「そうですね…」私は苦笑して答え、
老婆が語ったつちのこの話を思い出して、
話が逆になっていることが何だか可笑しかった。


『おわり

Author :まきお
http://syosetu.net/pc/



人が世間をつくるのか 、
世間が人をつくるのか、 
渡る浮世の冷たい風は、 
いいことばかりじゃなかったわ 
悲しいことが多かった 
酒に酔いしれ つぶやく言葉 
いつも女は哀しいものよ 
今度は男に生まれたい……



巷の噂 
(※倖田來未 過去にAV出演が発覚)




Tinko_2
人の為(ため)と
書いて
いつわり(偽)と
読むんだねぇ




誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば言い訳と、愚痴になるから……






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お風呂物語

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2015年7月15日 (水)

漢の韓信-(86)

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直


kensin

韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
「国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。


 

漢の韓信-(86・邯鄲に舞う雪)

人の世は、清濁入り交じって流れる川のようであり、
混沌としている。
清流は清流のままでいることは難しく、
その多くは周囲の濁流の影響を受け、
自らも濁流と化すものだ。

また、汚らしい泥のなかに埋もれる宝石が、
その輝きを主張することは難しい。
泥の中ではせっかくの宝石もただの石ころと
見分けがつかないものである。
鬱蒼とした林の中で、わずかな日光を得て
可憐に咲く花を見つけることは困難である。
林の中は雑草ばかりで、
深く分け入らないとそれを見つけることはできず、
せっかく見つけても価値がわからないものにとっては、
花も雑草であると思われるものだ。

韓信は、自分が濁流の中の清流であり、
泥の中の宝石であり、雑草の中の花だと考えていた。
また彼は、自分以外に清流たる者など存在せず、
周囲の者はみな泥、あるいは雑草だと信じていた。
つまり、自分以外の者を
認めようとしなかったのである。

濁流や、泥、雑草の類が人の世には
多いことは間違いない。
しかしその中で確固として輝きを放とうとする者が
自分だけではないことを、韓信は
ようやくわかりかけてきている。
内省的ではあったが、孤高を保ちすぎる傾向にあった
自分の生涯を少しずつ修正しようと努力し、
機会があれば他者を理解しようと心がけるようになった。
そのきっかけは彼自身にもよくわからなかった。
意識もしたことがなかったが、
もしかしたら蘭との出会いが大きいのかもしれなかった。

韓信は敗軍の趙将、広武君李左車を前にして
教えを請う態度をとった。他人に教えを請う行為自体は、
人としてさして珍しいことではないが、
以前の韓信を知る者にとっては容易に
信じられないことであった。

「私ごときがどうして将軍のお力になれましょう。
亡国の大夫は国を語らず、
敗軍の将は軍を語るべきではありません。
たとえ私がなにを言おうと、将軍にとって
ためになる話はありますまい」

助言を請われた広武君はこう言って協力を固辞したが、
韓信は常にない執拗さを示し、食い下がったのである。
敗軍の将は兵を語らず……
李左車は謹み深く、謙虚な男であった。
あるいはこういう人物を韓信は好んだのかもしれない。

「……私は、北に燕を攻め、東に斉を攻め、
これを降そうと考えています。
これは、実に大それたことで、責任も重大なのです。
もちろん私自身にもどうやって燕や斉を攻め降すか、
おぼろげながら考えはありますが、
しかし確信を得るには至っていません。

私は部下を死地に向かわせ、燕や斉の住民を
戦乱に巻き込まねばならない。
そうである以上、部下や住民に
犬死にはさせたくないのです。
やるからには、成功させねばならない」

「将軍のもとにもよき相談相手はおりますでしょうに。
なぜ私のような者の意見など聞きたがるのか」

「傲岸なように聞こえるかもしれませんが……
私は、負けたことがありません。
連戦連勝が続けば、次も勝つと
信じて疑わなくなるのは自然なことです。
我ながら、その気持ちを抑えることが
できなくなりつつある……。
私につき従う兵にしても、同じでしょう。
どうか、第三者の目から見て、
私が次にどうするべきかご教示いただきたいのです」

「そういわれても、私は趙国内においても、
それほど重き立場の身分だったわけではない。
それに対して将軍は若いといっても、
漢の重鎮中の重鎮……。
将軍の求めるような国家的な戦略など、
私が助言できるはずもありません」
韓信はふう、とため息をつき、その言葉を受けた。

しかし、彼は諦めたわけではない。
話題の鉾先を変え、しつこく説得を試みるのであった。
「……広武君どのは、百里奚(はくりけい)という
人物をご存知か」
「は? 楚出身のかつての秦の宰相ですな」

「そう。百里奚は当初 虞(ぐ)国にいたが虞は滅び、
その後秦国に赴いたところ、秦が覇者となった。
これは百里奚が虞にいたころは愚者で、
秦に行ってから急に知恵者になった、
ということではないでしょう。
虞にいようが秦にいようが百里奚その人の
本質は変わらない。

要は彼を用いたか用いなかったか、
当時の君主が彼の意見を聴いたか、聴かなかったか、
ということです。
もし陳余があなたの計画を採用していれば、
私などは今ごろ虜囚の身であったことでしょう。

どうか辞退せずに……私はあなたの意見のままに
行動するつもりです」
李左車はこれを聞き、ついに折れた。
この大陸における通例の儀礼では三度目の
懇願に対して了承するものであるが、
彼は四度目でようやく了承した。
のちに売国奴として批判されるのを
恐れたのであろうか。……


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る



歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…

『むらさき小唄』 美空ひばり



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……


『雪國 』キム・ヨンジャ 



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる






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幸せがつづいても、不幸になるとは言えない
 不幸がつづいても、幸せが来るとは限らない



Mousou









昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー



生まれた娘

親と喧嘩をし、「出て行け」と言われ
家を飛び出して6年。
家を出て3年後に知り合った女性と同棲し
2年後に子供が出来た。ものすごく嬉しかった。

母性愛があると同じように父性愛というのも
あると気付いた。
子を愛さない親は居ないと言うのも知った。
妻の検診の日は毎回産婦人科まで一緒に行った。
エコーで動きを見た日は遅くまで
妻とこの子の名前や性別を考えていた。

初めて聞いた元気な心音に
「父さんはおまえの為にがんばる」と誓った。
何もかもが順調だと思ってた。
予定日の1ヶ月前に妻が破水をした。

切迫流産の前兆だったそうだ。
妻も元気で何も問題なんて無いと思っていただけに
ビックリした。
嫌な言葉が蘇った。「八月子はもたない・・・」
詳しい検査をした時に娘の心音に雑音が
混ざっている事が分かった。

母子ともに危険な状態になった為、
緊急手術で帝王切開する事になった。
よく晴れた10月に君は生まれた。
最初は小さく泣いたらしい。
けど自発呼吸が出来なかったため、
器官に酸素供給するための管を通す事になった。
その後の事は覚えてるけど良く覚えてない。
何処からが現実で何処までが現実じゃないのか。
初めてNICUで見た娘の姿に涙が出そうになった。
娘にかけた最初の言葉が
「生まれてきてくれて有難う」.
その後、母親に連絡を取った。
母親の声を聞いたのは実に何年ぶりだろう。
初めて人前で泣いた。
母親にも見せたことの無い涙を見せた。

母親も泣いてくれた。
「孫娘には何の罪も無いのに何故・・・」と。
色々医師から説明を受けた。
絶望って眩しくも、真っ暗でもなかった。
いつもの生活が私と妻を追い立てた。
娘は管から母乳も飲み、
オムツも替えさせてもらい、
名前も付けてやれたし、出生届も出せてやれた。
戸籍上も私の娘。可愛い。
医師からの突然の電話。
最初で最後、娘を抱っこしてあげれた。
涙が出そうになった。だけど泣かなかった。
泣く必要は無いと自分に言い聞かせた。
18日間、娘は良くがんばった。
妻と二人で娘を荼毘に出し、
小さな骨壷に骨拾いをした。
やっと娘は父と母が住む家に帰ってこれた。
最近はやっと落ち着いてきた。けど、
まだ気持ちの整理はついていない……。


「 母の言葉」



「 恋人」

いとこ(27歳男)が、大腸がんで死んだ。
その彼女は、従兄弟ががんと分かってから、
仕事もあったのに 毎日病室に訪れ付き添った。
結婚の約束もしていたんじゃないかな。
食べ物を、「お口アーン」とか、やり合って
じゃれてた、
がんが侵食して痛む従兄弟の腰や背中を、
彼女がさすってあげたり。
そのころ、10代のガキだったせいもあるけど、
従兄弟が死ぬなんて、まったく想像つかなかった。

「きっとこの2人はあと数年もしたら結婚して、
幸せな家庭築くんだろーな」なんて、
見舞いにいくたび幸せな想像しかできなかった。
普通にうらやましかった。
しかし、従兄弟の病状はどんどん進んでいった。
みるみるやせて、 目ばかりぎょろぎょろになって、
身内のわたしでも正視できなかった。

はやく終わってほしかった。人の命のもろさが
怖かった。
でも彼女はずっとそばにいた。
従兄弟のやせ細った手を握って、
抗がん剤の影響で、ぼろぼろに禿げたあたまに
かぶる毛糸の帽子を作ったり。
わたしは、怖くて怖くて病室にも入るのもいやで
病室に入っても、 彼女の後姿ばかり見ていた気がする。

従兄弟は、癌がよくなったらどこかへいこうとか、
あれ食べに行こうとか
今度の携帯の最新機種を買いたいとか、
来ないであろう日のことばかりしゃべった。

彼女は笑顔で、「絶対いこーね」
「わたしあれ食べたい」とか、いってた。
気休めだろって思ったけど、彼女の目は本気だった。
今、思い返せば、彼女はほかに
どうすることもできなかったんだと思った。
彼女も怖かったのに、好きな人を失うことが、
きっと自分が死ぬ以上に恐ろしかったと思う。

年末に、癌が全身にまわり、肺に転移。
従兄弟は最初の意識不明に陥った。
医師は、「癌を抑える薬がある。しかし、
一時的に抑える効果しかない。
苦しみがのびるだけ。私の子供が患者だったら
このまま死なせる」ときっぱり。

両親は、「せめて27歳の誕生日を迎えさせたい」と
延命を望んだ。
横で、彼女はだまって、ふるえていた。
薬は効いて従兄弟は劇的に回復した。
彼女と温泉にいったり、近場に旅行いったり、
新薬は2人に時間をくれた。

「癌が治った」とはしゃいでいたけど、
一時的だというのは本人が何よりも知っていたと思う。
最後のときをすごす2人に、両親も親戚も
なにもいわず見守った。

春、従兄弟が3度目の意識不明に陥った。
あまりの痛みに子供のように泣き叫ぶ従兄弟を、
彼女と従兄弟の母親が押さえつけ、抱きしめた。
「ここにいるよ。ひとりじゃないよ」
彼女は、死の激痛にあえぐ従兄弟の顔にキスして、
手足をさすった。

医師が死亡宣告し、遺体が自宅に搬送されるまで、
彼女は従兄弟を抱いた。
何かにとりつかれたように嗚咽する彼女をみて
「人を愛する」ってこういうことかと思った。
彼女は、親戚の手前、通夜、葬式にも出られなかった。
毎年、従兄弟の墓参りには来ていた。
従兄弟が死んで数ヶ月あと、
勤めていた会社をやめたことを聞いた。

数年たって、墓参りにもこなくなった。
最近、彼女が結婚し、1児の母になったことを聞いた。
寂しく思った反面、ほっとした。
幸せになってよかったと思った……。



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



時は絶えず流れ、
 今、微笑む花も、明日には枯れる


マザー・テレサ

思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。







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歴史・履歴への許可証

歴史・履歴への許可証

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

夢はでっかく、根はふかく。
花を支える枝 枝を支える幹 幹を支える根 
根はみえないんだなあ



Kobanasi_3


『吉四六(きっちょむ)さん』(1)

むかしむかし、吉四六(きっちょむ)さんと言う、
人がいました。
吉四六さんの村には、話しを聞くのが何よりも好きな、
お金持ちのおじいさんがいました。
人から色々と話しを聞くのですが、話しが面白くなると、
「まさか、そんな事はありゃんすめえ」と、
必ず言うのです。だから、この頃は
誰も相手にしてくれません。

「退屈だな。誰か話をしてくれんかな」
おじいさんがそう思っていると、
ちょうど吉四六さんが通りかかったので、
おじいさんが話しをしてくれとせがみました。
「まあ、しても良いですが、話しの途中で、
『まさか、そんな事はありゃんすめえ』と、
言わない約束をしてくれますか?」
吉四六さんが聞くと、「いいとも。もし言ったら、
米を一俵(いっぴょう)やろう」と、
おじいさんは約束しました。

「それでは、話しましょう」縁側に腰をかけると、
吉四六さんが話し始めました。
「むかし、ある国の殿さまが立派なカゴに乗って、
家来を連れて旅をしていた。
殿さまのカゴが山道にさしかかると、
どこからかトンビが一羽飛んで来て。
『ピーヒョロロロロ』と、カゴの周りを
グルグル舞い始めたのです」

「ふむ、なるほど」
『何と良い鳴き声じゃ。どこで鳴いておるのじゃ』と、
殿さまがカゴの戸を開けて体を乗り出すと、
トンビが鳴きながら殿さまの羽織のそでに、
『ポトン』と、フンを落とした」
「ふーむ、なるほど」
おじいさんは米を一俵も取られては大変と、
いつもの口ぐせを言わない様に気をつけています。

「殿さまは家来に言いつけて、
『はよう、羽織の代わりを持ってまいれ』と、命じて、
持って来た羽織に着替えた」
「なるほど、なるほど」
「羽織を着替えてしばらく行くと、また先程のトンビが、
『ピーヒョロロロ』と、鳴いたので、
殿さまがまたカゴの戸を開けて体を乗り出すと、
今度はトンビのフンが殿さまの刀にポトン」

「うーむ。まさか・・・」
おじいさんは言いかけて、危なく思い止まりました。
「殿さまは家来に言いつけて、
刀の代わりのを持って来させた。

しばらく行くと、またまたさっきのトンビが、
『ピーヒョロロロ』と、鳴いたんだ。
殿さまがカゴの戸を開けて、またまた体を乗り出すと、
今度はトンビのフンが殿さまの頭にポトン。

すると殿さまは、『はよう、首の代わりを持ってまいれ』と、
家来に命じて、自分の刀で首をチョンと切ってな。
家来の持って来た代わりの首とすげ代えて、
そのまま何事もなく旅を続けたそうじゃ」

おじいさんは、思わず、
「まさか、そんな事はありゃんすめえ!」と、
大声で言ってしまいました。
「へい。米を一俵ありがとうございます」
こうして吉四六さんは、おじいさんから約束の
米をもらうと、さっさと帰って行きました。


おしまい


『吉四六(きっちょむ)さん』(2)
むかしむかし、話しを聞くのが
何よりも好きなお金持ちのおじいさんがいて、
「まさか、そんな事はありゃんすめえ」と
言わない約束に失敗して、きっちょむさんに
お米を一俵(いっぴょう)取られた事があります。

そのおじいさんが、またきっちょむさんに言いました。
「きっちょむさん、たいくつでたいくつで仕方ないんじゃ。
何か話をしてくれんかな」
「まあ、しても良いですが、今度もまた話しの途中で
『まさか、そんな事はありゃんすめえ』と、
言わない約束をしてくれますか?」
「いいとも、いいとも。もしも言ったら、
今度も米を一俵(いっぴょう)やろう」
「また、米ですか。前にもらった米にも
手をつけていないので、今度は米ではなく、
お金の方が」
「よし、それなら、こうしよう。ここに千両箱を置いて、
もしもわしがその言葉を言ったら、
その千両箱を持って帰ってもいいから」

おじいさんが本当に千両箱を用意したので、
きっちょむさんは話を始めました。
「これはむかしの話ですが、あるところに
クチナワというヘビがいました。
そのヘビは冬ごもりの準備に、どこからか
手に入れた餅(もち)を巣穴に持ち込みました」
「ふむ、なるほど」
「そして冬になって雪がつもり始めた頃、

ヘビは巣穴の中でその餅を食べようとしたんだが、
何と餅と思っていた物は、実は餅に似た白い石でした」
「ふーむ、なるほど」
「外はすでに大雪なので、今さら食べ物を
探しに行くことも出来ない。
こまったヘビは仕方なく、くるりと首を回して
自分の尻尾を一口かじった」
「なるほど、なるほど」

「それからもヘビはお腹が空くと
自分の尻尾をかじっていって、
冬が終わる頃には、残っているのは頭だけでした」
「うーむ。まさか・・・」
おじいさんは言いかけて、危なく思い止まりました。

「体がなくなっては、春になっても
動く事が出来ない。そこでヘビは仕方なく、
『おらの命も、いよいよこれまでか』と、言って、
最後に残った自分の頭を、
大きな口を開けてパクリと食べてしまったんじゃ。

こうしてヘビは、この世から消えてしまった」
これを聞いたおじいさんはすっかりあきれかえって、
思わず言ってしまいました。
「まさか、そんな事はありゃんすめえ!」
するときっちょむさんは、ニヤリと笑って、
「はい、千両箱をありがとうございます」と、
千両箱をかついで帰って行きました。


おしまい


『冒険したリス』



『おりゅう柳』 兵庫県の民話


むかしむかし、但馬の国(たじまのくに)の
高柳というところに、とても大きな柳の木がありました。
その高さは四十間(→約72メートル)、
幹のまわりは二丈三尺(→約6.9メートル)という大きさで、
五百年も前からそこにあるという事です。
秋になると、この柳の落葉は
遠く一里(約3.9キロメートル)も離れた
九鹿村(くろくむら)まで舞い下りて行くのです。
その九鹿村に、おりゅうという美しい娘がいました。
おりゅうは高柳の造り酒屋に女中として
奉公(ほうこう)しており、ひまを見つけては
柳の木の下で過ごしていました。
それを見た村人たちが、
「おりゅうは、柳の木の嫁さんだ」と、言うほどです。

また村人たちは、こんな歌も歌いました。
♪夕焼け小焼けの、紅かね(→お化粧)つけて
♪九鹿娘は、どこ行きやる
♪風もないのに、柳がゆれる 
♪娘恋しと、夕空に
♪柳の下には、殿ごがお待ち
♪おりゅう、いとしと、抱いてねた
♪娘ぬれてる、柳の露に
♪髪のほつれも、しっぽりと

やがておりゅうは、可愛らしい男の子を生みました。
すると誰もが、
「あの赤ん坊は、柳の木の精の子にちがいない」と、
思ったそうです。

その男の子が五歳になったある日、
京都で三十三間堂(さんじゅうさんげんどう)の
お堂を建てるため、柳の大木を棟木(むなぎ)にするから
切り出す様にとの命令が下りました。

それを知ったおりゅうは、悲しくて毎日
泣いてばかりいました。
やがて柳の木に、木こりたちが
オノを入れる日がやって来ました。
カンコン、カンコン・・・。

次の日、木こりの棟梁(とうりょう)が柳の木を見ると、
昨日オノを入れたはずなのに切り口が
ふさがっているのです。
「あれ? おかしい? 昨日、オノを入れたはずだが」
棟梁は首をかしげながらも、木こりたちにもう一度
オノを入れる様に命じました。
カンコン、カンコン・・・。
木こりたちは昨日よりも深い切り口を入れて、
その日は帰りました。

ところが次の日になると、また切り口が
ふさがっているではありませんか。
「馬鹿な!」棟梁は、不思議でたまりません。

こんな事が何日も続いたある日、棟梁は夢を見ました。
棟梁のもとへヒョロヒョロとやせた
ヘクソカズラ (→アカネ科の蔓性多年草)がやって来て、
こう言うのです。「あの柳の木は、木の殿さまです。
だから夜中になると、家来のヒノキや松が集まって
切り口におがくずをつめているのです。
そうすると、おがくずは切り口の中で固まって、
元のようになるのです。

わたしも殿さまを助けようと、おがくず拾いに来たのですが、
ヒノキや松に、『お前は、木の仲間じゃない。帰れ!』と、
言われましてね。それがくやしくてくやしくて、
だから言いつけに来たのです」

次の日、棟梁は切り口からこぼれたおがくずを、
全部燃やして帰りました。
その次の日、切り口はふさがる事なく、
そのまま残っていました。
「よし、これで切り倒せるぞ」
棟梁は毎日おがくずを燃やして帰り、
ようやく柳の木を切り倒す事が出来たのです。

すると不思議な事に、突然、
おりゅうが死んでしまったのです。

そして、やっと柳の木を切り倒したのですが、
今度はどうしても柳の木が動きません。
馬に引かせても、力自慢の大人が何十人で引いても、
丸太になった柳の木はびくともしないのです。
「せっかく切り倒したのに、これではどうしようもない」
「何か、良い手はないか?」
「そうだ。おりゅうの子に頼もう」

棟梁の命令で、村人たちがおりゅうの子どもを
呼びに行きました。
おりゅうの子どもは母親を亡くしてしょんぼりしていましたが、
村人たちに頼まれるとすぐに来ました。
そして柳の木をなでながら、こうささやきました。
「ここには、もうお母さんはいないよ。
ぼくと一緒に、都へ行こう」
そのとたん、丸太になった柳の木が、
ゴロゴロと動き出したのです。

そして柳の木は、おりゅうの子どもと一緒に
京都まで行って、三十三間堂の棟木になりました。


おしまい


『あわれな悪魔 』



時は絶えず流れ、
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人の為(ため) と
書いて、
いつわり(偽) と
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誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
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カビの生えないお風呂

お風呂物語

furo










2015年7月14日 (火)

妄想劇場・番外編(18禁)

妄想劇場・番外編(18禁)

信じれば真実、疑えば妄想……

時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる


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メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


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口伝つちのこ異聞(5)

全身を被う脂ののった肉感。その感触を
確かめながら、私は眩むような
快感の波に没入していった。
女はしばし、私に身を委ねた。
◎◎を舐めていると、ときおり小刻みに
微細な痙攣が走るのが感じられる。
明らかに昇っている。……口を噛みしめ、
声を呑み込んでいる様子である。

頃合いかと体を起こすと、女は乱れた
息の合間に、 「そのまま、来てください…」
そして脚を開き、膝を引き上げ、
◎◎を上に向けて身構えた。
宛てがって、のしかかった。

「あうう…」 ◎◎で動き始めて間もなく、
女が合わせて腰を使い出した。
私が引くと女も締めながら扱くように引く。
その加減は◎◎そのものが◎◎を包んで
巻き上げている一体感であった。
やがて女の締め上げがきつくなって
律動が乱れてきた。頂の星が遠く瞬き、
私はそこに向かって突き進んだ。

首に絡んだ女の腕にぐっと力が加わる。
脚にも挟まれ、まさに一体となった。
「ごめんなさい…あたし…」
女の声は切迫していた。体も硬直してきた。
(◎◎…) 思った時、
自分の引き金も引いていた。
女がはっきりと口走った。
「◎◎ !」 腹の底から絞り出された声は
私の絶頂を導いた。
「うお…」放出と女の収縮がせめぎ合い、
長い余韻を引きずった。

目覚めると女の姿はなく、
かすかに朝餉の支度らしい物音が聴こえていた。
雨戸はすでに開けられていて、
夏の日差しが障子に切り込んでいる。
鳥のさえずりと蝉の声が現実を揺り動かしていた。

(昨夜のこと…) 二度目の後、
女に誘われるまま一緒にもつれるように
風呂に入った。
…言葉の代わりに口づけ……そして酒を飲み……
ぐったりして横になったところで
丹念な◎◎が始まったのだ。……
私はそのまま眠りに就いてもいいほど満足していた。
だからなかなか◎◎なかった。それでも女は
口をすぼめて上下を繰り返した。

硬くなった…と感じた時には◎◎宛がわれ、
根元まで埋め込まれた。
そしてそれまでにはなかった激しい動きが
始まった。
叩きつけるように弾む体、
ゆっさゆっさと◎◎が円を描いて乱舞した。
「イッテくださいね…」
息を乱した女の声を聞きながら
気が遠くなっていったのを憶えている。
(それから間もなく寝入ってしまったようだ…)

私は頭の重い感覚にしばらく起き上がれなかった。
居間に行くと、老婆も女も何事もなかったように
朝の微笑みを見せた。
「よくお休みになれましたか?」
女の言葉は自然なやさしさに溢れていた。
裏に何か含んだものは微塵も感じさせない
明るい物言いである。
「今日も暑くなりそうです」

朝食を終え、帰り際に老婆が小瓶を持ってきて
新聞紙に包んだ。
「お荷物ですが、ゆうべ召しあがった酒です。
気に入っていただいたので少しですが
お持ちください」 そして手渡しながら、
「ご内密に…」
目を伏せて意を含めるように小声で言った。
「またのお越しを…」

老婆と女に見送られ、歩きだしてから
何度村を振り返ったことだろう。
何かを引きずっているような、複雑な想いが
心を去来していた。けだるさと心地よさ、
夢と現実。相反する想念が混然として、
しかも同じ方向に流れている。
理解よりも受け止めるしかない現実と事実があった。
案内板のある分岐で煙草を喫って一服していると、
村の方から数人の男たちがやって来た。
一人、二人、三人。各々間隔があいている。
連れではなさそうである。


続く

Author :まきお
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人が世間をつくるのか 
世間が人をつくるのか 
渡る浮世の冷たい風に 
いいことばかりじゃなかったわ 
悲しいことが多かった 
酒に酔いしれ つぶやく言葉 
いつも女は哀しいものよ 
今度は男に生まれたい……



歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡



松崎しげる『 ハゲのメモリー 』




Tinko_2
人の為(ため)と
書いて
いつわり(偽)と
読むんだねぇ




誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば言い訳と、愚痴になるから……







P R

カビの生えない・お風呂

お風呂物語

furo











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妄想劇場・特別編

妄想劇場・特別編

信じれば真実、疑えば妄想……

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昨日という日は
歴史、
今日という日は
プレゼント
明日という日は
ミステリー





『祝辞』

浅田賢一は、夕べからずっと痛みに耐えていた。
以前、治療をした奥歯がズキズキするのだ。
それは、今回に始まったことではない。
年に2、3回、こうしたことが突然起こる。
最初は歯医者で診てもらったが、
虫歯ではないという。
疲れが溜まると、血流が悪くなって
歯茎が腫れるらしい。
根本的な解決をするには、
方法は一つ。抜歯だ。
賢一はそれが嫌で、鎮痛剤でごまかしてきた。
その日は、会社の後輩の結婚式だった。
痛みで眠れなかったので、夜中の3時に
鎮痛剤を飲んだ。 それがいけなかった。
気が付くと午前9時半。
目覚ましを止めてしまったらしい。
「なんで起こしてくれなかったんだ! 
言っといただろう」
「あ・・・ごめん。なんだか身体が重くて、  
私もぐっすり眠っちゃったの。
急いで朝ごはん作るわ」
「もういいよ」ベッドから起き上がろうとする
妻の陽子に、怒鳴り声になりそうなのをグッと堪えて
寝室から飛び出した。慌てて礼服に着替える。
朝めしどころの問題じゃない。
髭も剃る時間がない。
シェーバーをセカンドバッグに入れた。
会場のトイレで剃ればいい。
「ええっと、ご祝儀はあるな・・・
ケターイ、ケターイ、よしよし」
二度、電車を乗り継ぎ、なんとか
披露宴の席に間に合った。

賢一は、ずっと、しかめっ面をしていた。
「おい、そんな顔してちゃ嫌がられるゾ」
2人目の祝辞が終わった拍手の最中に、
円卓の隣の席に座っている課長に、
耳元でコソッと言われた。

「い、いえ、そうじゃなくて・・・
夕べから歯が痛くて・・・」
「なんだよ、そうか。俺はまた、
うちの社長のスピーチが長くて詰まらんから
ムカムカしてるんじゃないかとか思ったぜ」
「うん、それもありますけどね」
「そうだろ!」社長は、「スピーチは
短い方が好かれるので、 簡単に
お祝いの言葉を申し上げます」と言いながらも
10分以上もダラダラと話し続けた。

それも、大半は景気の話だ。
しかし、この後に続けて祝辞に立った来賓には
かなわなかった。
新婦の大学の恩師だという。
場の空気が読めないというか、
延々と自分の研究の自慢話を始めたのだ。
賢一は、ますます歯が痛くなり、
セカンドバックから鎮痛剤を取り出そうとして
ハッとした。
急いでいて、忘れて来てしまったのだ。
よけいにイライラしてきた。
「おい、何カッタカッタやってんだよ」
またまた、隣の席の課長に言われた。
歯の痛みと、長いスピーチで知らぬ間に
貧乏ゆすりをしていたらしい。
賢一は、「早く帰りたい」と思った。
長い長~いスピーチが、ようやく終った。
次はようやく乾杯だ。
「乾杯のご発生は、新郎の高校時代の
恩師でいらっしゃいます、本田幸太郎様に
お願いいたします。
それでは、本田様、よろしくお願いいたします」
司会者に促されて登場したのは、
白髪の老人だった。
とぼとぼと、ゆっくり前へと出てきた。
手にはステッキを持っている。
足が少し不自由らしい。
「いけない」とは思いつつも、心の中で
「早く乾杯しちまぇ」と呟いていた。
しかし、本田という名の老人は、
シャンパングラスを手にして、
こんなことを言い出したのだった。

「え~、オホン。乾杯の前に一つだけ、
新郎新婦のご両人に、  
円満な夫婦生活を送るための
アドバイスをしておきたいと思います。
オホン」賢一だけでなく、「またかよ~」という
空気が会場に広がった。

それを知ってか知らずか、老人はグラスを片手に
喋り始めた。
「わたしが昔、う~ん、もう50年以上も
前のことになりますかな。  
うちの婆さん・・・いや失礼、
妻と一緒になりました時のことです。  
当時は貧乏でしたからね、いや私がではなく、
日本中が貧しかったから、  
こんな立派なところで披露宴なんてできんかった。  
近くの神社の社務所を借りて仕出し屋から
料理を取ってやったもんでした。・・いや失礼」

やっぱり長くなりそうだ。
賢一は、 ますます痛くなってきた右頬に
手を当てて、溜息をついた。
「その披露宴の席でね、私の母親の一番下の
兄が祝辞をしてくれまして。  
それが今でも忘れられんのです。
それを今日はですねぇ、ここにいるお二人に
贈りたいと思うしだいです」

どの席の出席者も、「これは長くなるなあ」と
覚悟を決めた様子。
老人は、マイペースで語り始めた。
「その母の兄というのは、私が幼い頃から
ずいぶんと  私のことを可愛がってくれましてな。
本当は『おじさん』なんですが、
年もいくらか近いこともあって
『お兄ちゃん』と呼んでおりました。  
腕のいい大工をしておりました。

お兄ちゃんは、前に出てくるなり、  
今、式を挙げたばかりの私たちに向かって
こう言うんです。『いいかい、あんたたち。
これからは夫婦だ。夫婦っていうのは  
必ずケンカをするものだ。
オレのうちも、カカアとよくケンカをする。  
なんでケンカをするかっていうと、
自分の傲を通そうとするからだ。
傲ってえのは、傲慢の傲だな。
驕りたかぶりのこと。  
オレがオレが、私が私がってえように、  
自分のことばっかり考える人間のことだな。

会場はいつの間にか、鎮まり返っていた。
老人に、その「お兄ちゃん」が
乗り移ったかのように見えた。
「でもな、傲のない人間なんていやしねぇ。  
じゃあ、どうしたらいいのかってえとな。
自分が辛い時に、辛れえよ~と言ったらオシマイよ。  
腹が立ったからと言って、怒っちまってたら
ケンカになる。
悲しいときも、苦しいときも同じさ。
つまりな、辛れえ時には、相手も辛れぇと
考えるんだな。  
自分が悲しかったら、相手も悲しいんじゃないか。  
こいつは、どんな時にも当てはまる」

出席者の中で、何組かの夫婦がお互いに
チラッと顔を見合わせて苦笑いしていた。
主賓の新郎の会社の社長は、ウンウンと
頷いて耳を傾けていた。
『だからな』って言って、
お兄ちゃんは私の方を向いてこう言ったんじゃ。  
『もし、お前が腹が痛くなったらな、
隣にいるべっぴんの嫁さんに訊いてやりな。  
「腹が痛くないかい?」ってな。  
そんなふうに毎日を暮していたら、
絶対ケンカなんかにはなりゃしねぇ・・・

賢一は、その瞬間、ハッとして妻の陽子のことが
頭に浮かんだ。
二人は結婚3年目だった。
まだ、子供はいない。
ここのところ、気にもしていなかったが、
結婚前に付き合っているときから、
陽子は偏頭痛に悩まされていた。
デートの最中に、痛みがひどくなり、
レストランで吐いてしまったことがある。
(今朝、身体が重くて起きられないって言ってたな)
賢一は、そのときの陽子の辛そうな
表情を思い浮かべた。
しかし、慌てていたので、「熱があるのか?」とか
「風邪か?」とか、 何も声をかけないまま
家を出てきてしまった。

賢一は後悔していた。
自分のことしか考えていなかった。
セカンドバッグからケータイを取り出し、
真っ白なテーブルクロスで隠れるようにして、
膝の上でメールを打った。
「洋子へ。今、披露宴が始まったところ。
ところで、大丈夫か?」と。

老人が、「そうは言われはしましたが、
婆さんとたくさんケンカしましたけどね」
それが「落ち」だった。
飄々とした口調に、 会場は
割れんばかりの拍手になった。

司会者が、「それでは皆様、
その場でご起立くださいませ」と言い、
老人は軽くグラスを掲げて、
「カンパーイ」と発声した。
賢一は、その時にはもう居ても経っても
いられなくなっていた。
司会者が、「ご着席ください」と
言い終わらぬうちに、ロビーへと
一人飛び出していた。

家へ電話をした。ケータイを持つ手が汗ばんでいた。
3回コールして、妻の陽子の声が聞こえた。
「はい、浅田です」
「ああ、オレ。オレだ」
「ああ、びっくりした。結婚式、間に合ったの?」
「う、うん」
「さっき、メール見て心配してたのよ・・・

何よ『大丈夫か』って」
「い、いや、朝さ、身体が重いって言ってじゃないか」
「う、うん。ちょっとね。風邪気味かもしれない。
のどが少し痛くて。でも大丈夫よ。
今も洗濯物干してたところ。  
これから買い物に出掛けるわ・・・

「それより、歯の具合はどう? 痛くないの?   
机の上に鎮痛剤が置きっぱなしになっていたから、
心配してたのよ。
会場はホテルでしょ。ホテルの人に言ったら、
鎮痛剤ぐらいくれると思うから、  
我慢しないで頼みなさいよ」
賢一は、思った。
「良いカミサンをもらったな」と。


《終わり》

【巷の噂話】
島田紳助が引退後恫喝した大物芸人





人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ


誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……


時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる






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お風呂物語

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漢の韓信-85

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
「国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。



漢の韓信-85


遅めの朝食の中、兵たちは口々に
韓信に質問を投げかけた。
「将軍、このたびの戦術はいったい……
私どもはなにがなんだかさっぱりわかりませんでした。
いまだにどうして我々が勝利を得たか、
よくわかりません。これは、
偶然の結果なのでしょうか」

韓信は、犬肉をほおばりながら、
兵たちの質問に答えた。
「そうだな……いや、偶然などではない。
まずは、私は君たちに謝らなければならないだろう……。
私は君たちをあえて死地に置き、
それを利用してこのたびの勝利を得たのだ。
結果は私の狙いどおりだった。
決して偶然ではない」

韓信はそう話しながら、口の中の犬肉を
吐き出しそうな素振りを見せた。
犬の肉の味が嫌いだったわけではない。
ただそれを味わうと、かつて犬の屠殺人の
股をくぐった屈辱が思い出されるのであった。

兵士はそんな韓信の気持ちにはお構いなしに
質問攻めにする。
「兵法には『山や丘を後方に、
水や沼沢を前方に陣せよ』と記されていると
うかがっております。しかしこのたび将軍は、
これとは真逆に川を後ろにして陣を構えました。

将軍の作戦は兵法に基づいたものではない、
ということなのでしょうか」
「そういうわけではない。このたびの私の作戦も
兵法に基づいたものである。
しかし、兵法には抽象的なことしか
記されていないため、君たちが
気付かないだけなんだ」

「と、いうと?」
「孫子の書には『死地に陥れられて初めて生き、
亡地に置かれて初めて存する』とある。
これはちょうど君たちのことを示しているのだ。
つまり、戦いの中では死にたくないという
気持ちの強い者ほど、生き残ることができる。
このため私はあえて君たちを死地に置いた。
謝らなければならないと言ったのは、このことだ」

「なるほど」「いっぽう兵書には
『兵を死地に置いて奮闘させるためには、
川を後ろに陣構えさせよ』などということは
いちいち記されていない。
兵書にある言葉どおりに戦えば必ず
勝つというのであれば、この乱世に
敗者は存在しないだろう? 

大事なのは兵書から何を読み取るかであり、
忠実に兵書にある内容を実行すればそれでいい、
というわけではないのだ」
「趙の陳余も一説には兵書に通じていた、
ということですが……」

「我々よりも大軍を擁することができたので、
それで満足したのだろう。
確かに兵法には相手より多くの兵力で戦い、
数で劣る時は逃げよ、ということが記されている。
陳余はそれを盲信し、陣を敷いた時点で
勝ったつもりでいた。

生意気な言い方を許してもらえるならば、
彼は底の浅い男だ」韓信は陳余が嫌いだった。
苦難を共にした張耳との過去の交友を忘れ、
己の野心のみに基づいて行動した、
儒者でありながら義に疎い男。
それが韓信の陳余に対する評価だった。

また、正面から戦えば自尊心は満足させられるが、
それで勝ちを得たとしても兵は少なからず損耗し、
失わくてもすむ人命を失うことに
気付かなかったというのも気に入らない。

いらいらとしたが、肉を飲み込み、
ひとしきり気を落ち着けた韓信はさらに語を継いだ。

「私が、君たちを死地に置いた理由はまだある……。
私は、見ての通り若輩者だし、
日ごろから君たちを心服させようと
努力していたわけではない。
よって、私の号令だけでは君たちの
本当の力を引き出すのは無理だと思った。

このたびの勝利は君たちの生き延びたい、
という願いが敵兵にまさった、
それがいちばんの要素なのだ。
私は、それを少し手助けしただけに過ぎない」

「しかし、兵の力を引き出したのは、
他ならぬ将軍の知謀でございます。
とても私たちの及ぶところではございません」
兵たちは揃って韓信を祝福し、
あらためて勝利を喜んだ。

韓信は、尻が痒くなるような気恥ずかしさを感じたが、
喜びを感じずにはいられなかった。
兵士たちと気持ちを共有することができたことに、
初めて感動したのである。
しかし、やはり自分の決断のせいで
命を散らした者がいる、という事実は変わらなかった。

それは指揮官として常に背負っていかねばならない
、贖うことのできない罪であり、
逃れられない責務であった。
韓信はほんの一瞬でも喜びを感じたことに、
恥を感じた。


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る



歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…


美空ひばり・悲しい酒



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……


哀愁波止場 ♪ 美空ひばり



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる






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妄想劇場・一樂編

妄想劇場・一樂編

信じれば真実、疑えば妄想

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー


Mituo

人の為(ため)と
書いて
いつわり(偽)と
読むんだねぇ





上村 松園(うえむら しょうえん)、
(1875年4月23日 - 1949年8月27日)は、
日本画家。本名は上村 津禰(うえむら つね、
「禰」は「示」ヘンに「爾」)、
常子(つねこ)と名乗っていたこともある。
明治の京都下京に生まれ育ち、
女性の目を通して「美人画」を描いた。
1948年(昭和23年)女性として初めて文化勲章を受賞。
子の上村松篁、孫の上村淳之と三代続く日本画家である。


Uemura


父は生れる二ヶ月前に他界していた。
家は葉茶屋で、母が女手一つで彼女を育て上げる。
子どもの頃から絵がたまらなく好きだった松園は、
小学校を卒業すると、京都に開校したばかりの
日本最初の画学校に12歳で入学する。
しかしカリキュラム優先の学校よりも、
尊敬する師匠の内弟子となって修業する方が
身になると思い翌年退学、
鈴木松年に師事する(1888年)。
めきめきと腕をあげる彼女は“松園”の号を与えられた。
親戚や周囲には彼女のこうした生き方を
非難する声も多かった。
明治の世では「女は嫁に行き家を守ることが最上の美徳」
とされており、教育を受けたり絵を習うということは
中傷の対象だったのだ。


1890年、
第3回内国勧業博覧会に出品した「四季美人図」
(女の一生を、四季になぞらえた4人の女性で
表現した作品。)が
英国皇太子コンノート殿下の買上げとなり、
彼女は15歳にして一等褒状を受け、
「京に天才少女有り」と世間から俄かに
注目されるようになった。



Siki

小柄な松園だが精神力は
鋼のようだった。
描かれる女性達はどれも
凛として気品に満ちており、
画風はどこまでも格調高かった。
1907年(32歳)に始まった
文部省美術展覧会(文展)では、
毎回のように入選&受賞を繰り返し、
第10回からは
“永久無鑑査”となる。






多くの人々が作品に魅了され、以降、
帝展、新文展、日展の審査員となる一方で
ニューヨーク万国博覧会に出品もした。


新たな画法を学ぶべく師匠を
幾度と変えていった松園は、20歳から
京都画壇の中心人物・竹内栖鳳(せいほう)に
師事する。

やがて27歳で妊娠。
相手は最初の師匠松年と言われているが、
先方に家庭があるため松園は多くを語っていない。
彼女は未婚の母の道を選び、
世間の冷たい視線に耐えながら
長男松篁(しょうこう)を出産する。
※松篁は成長して画家になり
文化勲章を受章している。


Tudumi1

私生活がどんな状況でも、
早朝から絵の勉強を
怠らなかった彼女。
その絵筆はますます冴え渡り、
各地の展覧会・博覧会で
作品が高く評価された






飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍する松園は、
「女のくせに」とライバルの男性画家たちから
激しい嫉妬と憎しみの対象になった。
それは晩年に松園が「戦場の軍人と同じ
血みどろな戦いでした」と記すほどで、
女性の社会進出を嫌う保守的な日本画壇の中で、
ひたむきに、孤高に絵筆を握り続けた。



Yujiyo

誹謗や中傷が渦巻く中、
1904年(29歳)には、
展覧会に出品中の
『遊女亀遊』の顔が
落書きされるという
酷い事件も起きる。
会場の職員から絵を前に
「どうしますか」と
尋ねられた松園は、
「そのまま展示を続けて下さい。
この現実を見せましょう…」と
語ったという。







しかし、社会の偏見とは敢然と戦った松園だったが、
40代に入って年下の男性に大失恋し、
スランプに陥ってしまう。
1918年(43歳)そこから生れた作品が問題作
『焔(ほのお)』だ。
清らかな美人画を描き続けてきた松園が刻んだ、  
女の怨念の世界。


Honoo
『焔(ほのお)』
光源氏の愛人・六条御息所が、
正妻の葵上に嫉妬して
生霊となった姿だ。
怨念を込めて乱れた
髪を口で噛むなど、
なんともオドロオドロしい…






松園自身「なぜこのような凄絶な作品を
描いたのか自分でも分からない」と語り、
この作品の発表後、
3年間なにも展覧会に出品しなかった。

作品の発表後,松園の評価をさらに高め、
それまで彼女を単なる美人画描きと
否定していた連中は、
凄まじい情念が込められた『焔』に、
松園のすごさに圧倒された。


Uemurz


1934年、ずっと影で
松園を支えてくれていた
母が死亡。

その2年後の1936年、
61歳の松園は代表作となる
『序の舞』を完成させる。








それは女性が描く“
真に理想の女性像”だった。

様々な苦悩を克服して描かれたのは、
燃える心を内に秘めるが如く、
朱に染められた着物を着て、
指し延ばした扇の先を、ただ真っ直ぐに、
毅然として見つめる女性だった。
「何ものにも犯されない女性の内に潜む
強い意志をこの絵に表現したかった。
一点の卑俗なところもなく、
清澄な感じのする香り高い珠玉のような絵こそ、
私の念願するものなのです」(松園)……。



Uemura11



『待月』団扇を手に
昇り来る月を待っている
気品のある作品










1948年(73歳)女性として
初めて文化勲章を受章。
その翌年74歳で逝去した。

現代の画壇では「松園の前に松園なく、
松園の後に松園なし」とまで言われている


Uemura_2

「気性だけで
生き抜いて来たとも思い、
絵を描くために
生き続けて来たようにも
思える」(松園)






※近代日本の美人画の代表的作家は、
西(京都)の松園と東の鏑木(かぶらき)清方。
松園の3歳年下だった鏑木は、若い頃を回想して
「松園の作品は自らの目標であり、
裏返しても見たいほどの欲望にかられた」と
記している。


《終わり》



誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と言い訳になるから……



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる





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きれいなお風呂・宣言

お風呂物語

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2015年7月13日 (月)

漢の韓信-84

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
「国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。



漢の韓信-84


韓信たち先鋒部隊は抵抗もそこそこに後退し、
川岸まで追い込まれたところで味方の軍と合流した。
「諸君!」ここで韓信は息を切らしながらその長剣を抜き、
たかだかとかざして士卒に号令を下した。
「見よ! 前方は敵、後背は川だ! 
怯懦な心で敵に臨めば、諸君を待っているのは死である! 
恐れをなして後退すれば、諸君は川に飲まれ、
やはり待っているのは死だ! 
諸君が生き残るには、前方の敵を撃ち破るしかない」

漢兵たちの間に緊張の空気が充満する。
韓信はそれを断ち切るかのように剣を振り下ろして
命令を下した。「反撃せよ!」
おしよせる趙軍を相手に、漢の兵士は
死にものぐるいになって戦った。
「退くな! 踏みとどまれ!」
死地に追い込まれた漢兵たちは数で
劣勢であるにも関わらず、
意外なことに趙軍の猛攻に持ちこたえようとしている。

「……大軍に細かな作戦などいらぬ。
数で圧倒すればよいのだ」
戦況の膠着状態に苛立った陳余は、
ついに砦で待機する兵たちに出陣を命じた。
この時点で、砦は空になった。

「諸君、もう少しの辛抱だ! 持ちこたえろ! 死ぬな!」
韓信は自らも剣を振るって、敵を切り倒しながら、
味方を鼓舞する。
しかし味方の兵の中には猛攻に耐えきれず、
川に落ちて溺死する者が続出し始めていた。
「退くなと言っているのに!」
彼らを助けてやることはできない。
韓信としては見捨てることしかできず、
ある程度の犠牲が出ることは覚悟の上の作戦だった。
あらかじめわかっていながらそうした、
というのは救われない武将の性(さが)とでもいうしかない。

韓信が、自分には愛を口にする資格がないと言ったのは、
このような自分の行為の罪深さを自覚しているからだろう。
そうした苦戦を小一時間も繰り広げたころ、
城壁の旗が趙のものから漢のものにさし変わった。
例の赤い旗である。

潜伏していた二千の騎兵が空になった砦を占拠したのだった。
これにより、状勢は逆転した。
「砦が奪われたぞ! あれは漢の旗だ!」
兵の声に驚愕した陳余は後ろを振り向き、
さらに驚愕した。そんな馬鹿な。
そんなはずはない!しかし目に見えるのは、
砦からこちらに向かって突入してくる漢の騎兵の姿であった。
紛れもない現実だった。

士気を失った趙軍は、総崩れとなった。
砦と川からの挟撃にあった趙兵たちは次々に討ち取られていく。
「陳余だ! 誰でもいい、早く陳余を討つのだ!」
韓信は叫びながら、自分でも陳余を追いかけた。
陳余は馬を走らせたが、決まった逃げ道があるわけではない。
無計画に走り回るしかなかった。

「誰か、わしを守れ! 助けろ!」
しかし、趙兵たちは自分たちを守ることで精一杯である。
ある趙の将軍は逃げ惑う配下の兵を斬り、
反撃するよう強要したが、やがて乱戦の中で自分も斬られた。
すでに状勢は敵味方入り交じっての
狂乱と呼ぶべきものとなっていた。

そしてその狂乱の中、逃げる陳余の
脳天に矢が突き刺さった。
陳余は落馬し、自らの馬に踏まれて人形のように転がり、
落命した。激しい血しぶきが飛び散った瞬間、
狂乱の場が静まり返り、
兵たちの視線が矢を放った人物に集中した。

「楼煩だ!」陳余を射殺したのは、カムジンだった。
「大将の陳余は……討ち取った……
殺されたくないやつは……降れ!」
カムジンのそのひと言で、それまで逃げ回ってばかりいた
趙兵たちが馬を降り、地べたにひれ伏し始めた。
戦局は終結を迎えたのである。

やれやれ、またもカムジンに手柄を与えたことになるな……
しかし、まあ……これでよい」
韓信は周囲の者にそう言って、安堵の溜息を漏らしたという。
陳余の遺体は、川のほとりに運ばれ、そこで首を切断された。
「趙王をこれへ……」
捕虜となった趙王の歇は、韓信の前に引き出され、
引見を受けた。

「累々と続く趙の王家の血筋を私が絶とうとは、
考えていません……。
ただ、これからは市井の者として、静かに、
大過なく暮らしていただきたい。
それがあなたのためであり、我々のためでもあるのです」
韓信の言葉を受けて、歇は静かに頭を下げながら言った。

「そもそも余をかつぎ上げたのは、陳余と、
そこにいる張耳である……。
擁立した者に裏切られるとは……実に悲しいことだ。
しかし、いま将軍の慈悲により、こうして
生かされていることに感謝し、恨みごとは言うまい。
……また、将軍に言われるまでもなく、
余は静かな生活を望んでいる。

張耳よ、余は……余は、王になどなりたくなかったのだ! 
たまたま王家の血筋に生まれたというだけで
運命を翻弄されるのは、もう終わりにしたい。
なぜ余をそっとしておかなかったのか!」
韓信の横にいた張耳はこれを聞き、
自分の野心に満ちた人生を恥じ、さめざめと泣き崩れた。

韓信は、これに深く心を動かされ、
「不肖、張耳に代わって謝罪申し上げます」と、
歇に向かって深々と頭を下げた。
歇にも、張耳にも同情したのである。
さらに韓信は、井口(せいけいこう)の戦いに先立って
奇襲を献策した李左車を殺さず、生け捕りにしている。

韓信は虜囚となった李左車を前にすると
その縛めを自ら解き、
東を向くように座らせ、自分は西を向いて座った。
これは韓信が李左車に師事することを意味する。
軍事に対する根本的な考え方が、
自分と同じだと考えたのだった。
こうして捕虜の引見を終えた韓信は、約束どおり、
士卒と食事を共にした。……


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る



歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…


『美空ひばり - 舟唄~人恋酒



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……


『 むらさきの夜明け - 美空ひばり 』



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる






P R
カビの生えないお風呂

お風呂物語

furo










2015年7月10日 (金)

妄想劇場・番外編(18禁)

妄想劇場・番外編(18禁)

信じれば真実、疑えば妄想……

時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる


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18歳未満の方は
ご遠慮下さい。





メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい。



口伝つちのこ異聞(4)

雨戸を繰り終えた女は私に湯を浴びるようにすすめた。
「ぬるくなっていますから、汗もひきます。ぜひ…」
言われるまま入っていると、間もなく扉がノックされた。
「お背中流します」 私の返事を待たずに
開かれた扉からは音もなく白い
◎◎が湯気の中に現われた。

「あなたは…」
「何も言わないでください」
女は私の背に湯を流し、丁寧にタオルを使い、
最後に肩の辺りに頬を寄せて、
「先に上がってください…」吐息のように囁いた。

私は◎◎の変化を隠しながら浴室を出た。
部屋には適度な冷房が効いていて、
枕元には酒と水、灰皿が用意されていた。
(こんなことって…)何か裏があるのではないか?
いろいろ考えを巡らせてみた。
そう思わざるを得ない稀有な事態である。

しかし、 (了解済みのことなのだ。
女の行動がそれを示している。運がいいということだ…)
信じられない展開だが、割り切って気持ちを整理すると、
思いに任せて欲情が昂ぶってきた。
やがて静寂の中をひたひたと微かな足音が伝わってきた。

部屋の前まで来て、間を置いて潛めた声をかけてきた女。
畳に正座をしてたおやかに頭を下げ、
まるで時代劇で観る伽のような挨拶をみせた女。 
私は初々しい彼女の恥じらいと覚悟を感じて
さらなる昂揚を覚えた。

ところが、ためらうことなく浴衣を脱ぎ捨てて
◎◎になるとイメージは一変した。
にじり寄ってくる美しい女体。
私の浴衣に手をかけて脱がせながら
熱い吐息とともに唇を合わせてきた。
ゆっくり、しかも縦横に舌が◎◎をまさぐって
蕩けるような動きが繰り返された。
絶妙な◎◎であった。

私は甘い誘いにうろたえながら女の背に
手を回して目を閉じた。肌は滑らかでありながら、
しっとりと吸いつくような潤いがある。
湯上りの温もりと女のもつ匂いが陶酔に引き込む
◎◎のように鼻腔に流れ込んでくる。

濃厚な◎◎の後女の体が重なってきて、
そのまま仰向けになった。
触れていた口が離れて女の息が洩れ、
爽やかな香料が匂った。
上になったやや小ぶりで形のよい白い◎◎が揺れる。
上体を迫り上げ、せがむように◎◎を
私の口元に寄せてくる。
先端を含むと初めて女の◎◎が洩れた。

「ああ…」 軽く歯を当て、吸い、舌で弄う。
両手は◎◎の◎◎を探る。指先が蕾に達して
◎◎がきゅっと閉じられた。 「
あう…」 身をよじりながら、彼女の手は
◎◎を握ってきた。

「ああ…」 今度は私が喘ぐ。
その拍子に口からまろび出た◎◎は、
小さなさくらんぼ……。
柔らかな身のこなしで彼女は下へと移動していく。
そして◎◎が吸い込まれるように咥えられた。
「あっ、ああ…」 (力が抜ける…)
◎◎を含んだ圧迫とそこを掠める舌の動きの加減が
えもいわれぬほど心地いい。
舌先が敏感な部分にじらすように触れてきて、
上下、左右、角度も微妙に変化してくる。

(どうして、こんな…) これは自然に出来ることか?
老婆は慰めてくれと言ったが、こちらが翻弄されている。
咥えたまま女の体勢が移動し始め、
時計回りに◎◎が迫ってくる。
互いに舐める、ということだ。……
顔を跨ぐ時、ねちっと粘着音がして、
それは◎◎の壺が開いたのであった。
妖しく微笑む◎◎が真っ赤に濡れ光った。

(◎◎がない…) いや、剃っている。
毛根の様相から分かる。 なぜ?,と考えるより、
恥丘の膨らみを露にした◎◎の全貌に私は
昂奮して堪らず口を押し付けた。

「くうっ…」 女は一瞬◎◎を離すも、
すぐに乱れた息のままふたたびすっぽり呑み込んだ。
◎◎の内外、◎◎を舌先でなぞり、ぬめりを掻き出す。
石鹸の香の中に仄かな女臭が漂う。

突然限界がきた。女をどかそうにもヤモリみたいに
張り付いて◎◎続けて離さない。
「もう、だめだ…◎◎…」
合図をしても女は舌頭を絡ませ、
さらに小刻みな動きは速度を増した。
私は覚悟して怒涛の快感に備えて四肢を踏ん張った。
目いっぱい引き絞った弓がグンと矢を放った。

「あっ!あっ!」 放出の直後に女の吸引が
追い打ちをかけてきて、耐えがたいほどの◎◎を迎えた。
「くうう!」 噴き出す度に女の喉が鳴って
すべて飲み込んでいるのが分かる。
舌はなおも◎◎を這い、流れ出る◎◎を
待ち受けるように鈴口をなぞった。

女は多くを語らなかった。何か訊ねてもはぐらかすように
微笑んで、差し障りのない言葉を口にして
体を押し付けてきた。
民宿を手伝うきっかけを訊いても、
「いろいろ考えることがありまして…」 濁すだけだった。

「今夜は何もかも忘れたいの…」
女の手は常に私のどこかに触れて刺激を与え続けていた。
おかげで早めに反応が復活した。(溺れてしまう…)
たわわな◎◎に頬擦りをしながらそう思った。


続く

Author :まきお
http://syosetu.net/pc/



人が世間をつくるのか 
世間が人をつくるのか 
渡る浮世の冷たい風に 
いいことばかりじゃなかったわ 
悲しいことが多かった 
酒に酔いしれ つぶやく言葉 
いつも女は哀しいものよ 
今度は男に生まれたい……


「日活100周年記念・生きつづけるロマンポルノ」






Tinko_2
人の為(ため)と
書いて
いつわり(偽)と
読むんだねぇ




誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば言い訳と、愚痴になるから……






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カビの生えない・お風呂

お風呂物語

furo










言葉の魔術師・言葉の達人

言葉の魔術師・言葉の達人

達人たちは1曲の詞を書くために、
言葉を巧みに操り、
その時代を象徴する言葉を探した。
その言葉は多くの老若男女の心を掴んで離さず、
その歌は大ヒットした。


「孤独がつらく感じるとき」
「愛することがよくわからなくなったとき」
いつも、勇気と力を与えてくれた…、
作詞家は言葉の魔術師である。
そんなプロの「作詞家」の皆さんを紹介します。


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日本語そのものが本来もっている「美」を
巧みに表現しながら、これまでに
1000曲以上の作品を世に送り出し、
「とまり木」小林幸子や
「ふりむけばヨコハマ」マルシアなどの
ヒット曲でお馴染みの

「たきのえいじ」
さんです。

代表作
「とまり木」小林幸子
「忍ぶ雨」伍代夏子
「函館本線」山川豊
「ふりむけばヨコハマ」マルシア
「冬桜」湯原昌幸

「東京発」堀内孝雄
「河」堀内孝雄
「北海岸」田川寿美  他多数



歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…


湯原昌幸 冬桜
作詞:たきのえいじ・作曲:杉本眞人


一度だけの人生と
誰もが口にするけれど
悔やんじゃいない この生き方を
急がば回れの夢がある

桜 桜 冬桜
春に背いて咲くがいい
桜 桜 冬桜
歩いた道を 恥じるなと
ただひそやかに 心にそっと
ふり注ぐ



湯原 昌幸(本名・桜井 昌幸 )は、茨城県出身の歌手、
俳優、レポーター、パネラーなどをこなすマルチタレント。
妻は、タレントで女優の荒木由美子。



作詞論
 
一番大切なのは美意識。その次 体力。
 書く対象のハードルを下げないで、
 いつも上をねらう姿勢をもっていること。
 花鳥風月や、人の往来を単に写生するのでなく、
 人の心の根っこにあるものをさぐり、
 言葉という種を選び、原稿に植える。
 いさぎよく、しなやかに…。



作詞家になったきっかけは?
 
ジャクソンファイブ、等の訳詞。


プロ、初作品について
 つばさがあれば (フィンガー5 ‘74年)


作品を提供したいアーティスト
 五木ひろし・坂本冬美・
 天童よしみ・香西かおり


あまり売れなかったが、私の好きなこの歌
 
雪ふりやまず (城之内早苗)
 酒挽歌 (小林旭)


なぜ「詩を書くことを選んだか」
 
日本語は、それそのものが物語を成している。
 その単語、言葉という静止画像を理論だてて
 組み立てていけば、文字で描くところの動画となる。
 この作業が好きだ。


プロの作詞家になりたい人へのアドバイス
 
詞を書くとは、川の中に、
 紙に書いた魚を泳がせるようなもの。
 その虚の世界を本当らしく映し出させる
 感性を磨いてください。


一口メモ
 心の糸 この曲は、‘95年の阪神淡路大震災の
 エイドソングとして作ったもので、
 5人の歌手と、ソニー、ポリドール、ビクター、
 東芝EMI、各社の協力で完成し、
 売り上げ金の全てを、寄付させていただきました。
 音楽の力を改めて感じた一曲です。


私の好きなあのフレーズ
 「覚えててあなた 私がここにいることを
 忘れないであなた 歩いた道のほとり」


プロフィール 

 たきの えいじ(本名:滝野 英治)
 ‘49年愛媛県大洲市で生まれる。作詞・作曲家。
 劇団・早稲田小劇場・研究生を経て、
 音楽の道へ進む。
 子供番組やNHKのみんなの歌や、はぐれ刑事の
 主題歌等々と共に、1000曲以上、レコーディングし
 現在に至る。

 福祉活動を兼ねて、月に1回、横浜で
 平均年令80歳の方々30人と集まり、楽器の指導をしている。
 著作に「歌の河(二十五年目の作詞ノート)」
 
 日本音楽著作権協会(JASRAC)理事 
 日本作詩家協会(JLA)理事



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる




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カビの生えない・お風呂

お風呂物語

furo










妄想劇場・一樂編

妄想劇場・一樂編

信じれば真実、疑えば妄想


昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー



Mituo

人の為(ため)と
書いて
いつわり(偽)と
読むんだねぇ






『思いやり !・・・』


犬も食わない・・・と言えば、
夫婦げんかのことだ。
田所良太は、妻の真知子と詰まらぬことで
言い争いをしてしまった。
良太が妻の妊娠を知ったのは、
ほんの2週間前のことだった。
結婚して3年目。 そろそろ欲しいなぁ、と
思っていた矢先のことでもあり、
飛び上がるほどに喜んだ。 ところが、
その妊娠がきっかけとなり、夫婦間に亀裂が入った。

3年間我慢していた妻のストレスが、
噴出したのだった。
「いつも言ってるでしょ。シャツのポケットから
ハンカチを出しておいてよねって!  
この前なんかコンビニのレシートが入ったままで、
洗濯してたいへんだったんだから」
「洗面台がまたビショビショ! 
使ったらちゃんと拭いてよね」
「いつも良太の実家にばっかり気を遣って。
少しは私の身にもなってよね!」

本当は、そんなことは最近になって
始まったことではないはずだ。
しかし、気分が悪くて食べ物がろくに取れない日もある。
そのはけ口が、良太に向かったのではないかと思っていた。

今日は、朝からバスで駅前のデパートへ買い物に出掛けた。
レストランで昼ごはんを食べている最中、またしても・・・。
「い~い。私は絶対に私立じゃなきゃダメ! 
この子がイジメに遭ってもいいと思ってるの?」
「そんな極端な・・・。イジメに遭わないように
強い子に育てればいいよ」
「何言ってるのよ。小学生に強いも弱いもないのよ。  
良太はちょっと空手ができからって、勘違いしてるのよ!」
「なんだよ!勘違いって!」

要するに、子供を私立に入れるか、
地元の公立へ通わせるかという教育方針でもめたのだった。
まだ、産まれてもいないのに・・・。
(これはマズかったかな)と良太が思ったときには遅かった。
真知子は、プイッと席を立ち、レジで精算を済ませて
店を出て行った。
追いかけるようにして良太がついていく。

こんな時、(ごめん、悪かったよ)と素直に
言えればいいのだろうが、良太も今日は意地を張っていた。
このところ、妻の文句ばかりを浴びて、
我慢に我慢を重ねていたので爆発してしまったのだ。
バス停の列に真知子が並ぶ。その後ろに良太が立った。
しかし、真知子は振り返りもしない。
すぐにバスはやって来た。

二人が乗り込むと、車内はほぼ満席だった。
一番後ろのシートが空いていた。
リアウインドウを背にした六人掛けだ。
一番両端にそれぞれ乗客が座っている。
そして、真ん中に、若い母親と幼稚園の制服を来た
女の子が座っていた。
先に乗って、奥へ奥へと進んだ真知子が、母親の隣に座った。
後を追う良太は、仕方なく幼稚園の女の子の隣へ。

夫婦で、母娘をサンドイッチしたような恰好になった。
良太は、(参ったなぁ~)と思った。
家に帰るまで、なんとかご機嫌を取って
仲直りしたいと思っていたのだ。
チラッと真知子の方を向くと、
わざと良太の視線を避けてか、
その女の子にやさしげな眼差しを送っていた。

バスが動き出してしばらくすると、女の子が母親にせがんだ。
「ねぇ~読んで~」女の子は、手提げカバンから、
絵本を取り出した。
「いいわよ。バスの中だから、小さな声でね」 「うん」
母親は、女の子と自分の真ん中に絵本を置いた。
「ごんぎつね」と書かれてあった。良太はハッとした。

昔、昔、ずっと昔に読んだ覚えがあった。
それも、まったく同じものを。
たしか、父親が誕生日に買ってくれた
ものだったような気がした。
少し遠目に絵本を覗いた。母親が、ささやくように
読み始めた。

「これは、わたしが小さいときに、
村の茂平というおじいさんから聞いたお話です」
良太は、おぼろげな記憶がよみがえってきた。
(そういえば、大好きな話で、何度もオフクロに読んで~と
頼んだっけ
でも、ストーリーがおぼろげにしか思い出せない。

ごんというキツネはいたずら好き。 兵十(へいじゅう)が
川でウナギを獲っているのを見つけ、
こっそりと魚籠の中のウナギを川へ戻してしまいます。
「うわあ、ぬすっとぎつねめ」
ごんはウナギが首に巻き付いたまま逃げました。

十日後のこと。 ごんが兵十の家の前を通ると、
何やら大勢の人が集まっています。
最初は、秋祭りかと思ったが、違うらしい。
兵十の母親が、病気で亡くなったのだ。
ごんは、その時、初めて知りました。
母親に食べさせたくて、兵十は
ウナギを獲りに行ったのだいうことを。

それを自分は・・・。
あんないたずらをするんじゃなかった」と反省します。
ごんは、お詫びにと、いわし売りの籠を盗んで、
兵十の家の中に投げ込みます。
喜んでくれると思いきや、反対に兵十は
泥棒と思われていわし売りに殴られてしまう。

ごんは、今度こそはと、栗を拾って来て、
兵十の家にこっそり届けます。来る日も来る日も。
兵十は、誰の仕業かわからず、
「きっと神様の仕業だ」と思い込みました。

ここまで、聴いて、良太ははっきりと思い出した。
悲しい悲しい結末を。
それを思うと、胸が締め付けられるようだった。
母親は、娘のために、朗読を続けた。

そして、ある日のこと。 兵十は、家の中に入って来た
ごんの姿を見つけます。
ウナギを盗みやがったキツネだ。 兵十は、
納屋に立て掛けてあった火縄銃を手に、
足を忍ばせて。 戸口を出ようとしたごんを、ドン! 

倒れたごんに近づいて、兵十はびっくりしました。
土間に置いてある栗を見て知ります。
「おまえだったのか、いつも栗をくれたのは」
兵十は、火縄銃をぱたりと、取り落としました。
青い煙が、まだ、筒口から細く出ていました。……

良太は、気が付くと堪えきれずに泣き出していた。
(子供の前で恥ずかしいなあ)と思い、
下を向いて手の甲で涙を拭った。 その時だった。

「あ、あ~ん」甲高い鳴き声が聞こえた。
二つ席をはさんだところで、妻の真知子が
ハンカチを取り出して泣いていた。
「あ~ん」
驚いて、母娘が真知子の方を見る。
なんと、前の方に座っていた乗客も
「何事か」と後ろを振り返った。

その晩。 寝室の灯りを消した後、真知子が言った。
「今日は、ごめんなさい。学校なんてどこでもいいわ。  
私、思いやりのある優しい子に育てたい」
良太は、「うん、そうだな」と答えた。

(参考図書)新美南吉・「ごんぎつね」金の星社


《終わり》

Author :志賀内泰弘



歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…



白冰冰-銀座の蝶+みちづれ



誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる






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きれいなお風呂・宣言

お風呂物語

furo











漢の韓信-83

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
「国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。



漢の韓信-83


「私が思うに、陳余という男は戦争を
美化して考えているな。
正義とか、男の見栄などを重視しているように思える」
韓信の言葉に、即座に張耳は反応した。
「それはそうだろう。彼は儒者だからな」
「! そうでしたか。それは初耳でした。

……しかし、だとすれば、彼は腐れ儒者だ。
戦争の本質がなんたるかをまるでわかっていない。
以前の私と同じように、彼は戦争を
競技のように考えている」

「ほう……」「戦争には少なからず、犠牲が伴う。
そうである以上、手法はともかく勝たなくては意味がない。
陳余は李左車の意見を取り入れるべきだった。
他に方法があるのに、正々堂々と正面から
戦うことなど……偽善だ。反吐が出る」

張耳は韓信が感情をあらわにするのを初めて見た。
意外に思ったが、しかし言いたいことはわかる。
「だが、それによって我々に勝機が見えてきた、違うか?」
「確かに。兵法に通じた陳余の鼻っ柱を折ってみせよう……
いや、すみません。張耳どのの旧友であることを失念して、
少し興奮してしまいました」

「構わん。すでに袂を分かった、と言っているではないか。
その様子では充分に勝算があるのだな?」
「はい」韓信の頭の中には、すでに作戦の構図が
描かれていた。
韓信は井口(せいけいこう)の手前三十里に陣を留め、
その日の深夜、カムジンを始めとする騎兵二千人を招集した。
それら騎兵一人一人に赤い旗を持たせ、
韓信はここに至り、初めて作戦を明かしたのだった。

「諸君はこの赤い旗を持ち、間道から趙の
砦に近づいたところで、待機しておれ。
くれぐれも見つからぬように林間に身を潜めているのだぞ。
私は本隊を率いて趙軍と正面から戦うつもりだが……、
その際あえて敗れたふりをするつもりだ」
「は……?」
「私が敗走する姿を見れば、砦の中の趙兵は
追撃を始めるに違いない。
つまり、そのとき砦は無人となる」「…………」
「その瞬間を逃さず諸君はいち早く砦に侵入し、
趙の旗を抜き取り、この赤い旗を立てよ」

そう言いながら、韓信は兵たちに軽食を配った。
「作戦前のことなので腹一杯食わせてやることは
できぬが……今日、趙を破ったのち、
みなで一緒に会食することにしよう」

朝飯前に戦局が決する、というのである。
兵たちは了承の返事をしたものの、
誰も本気で信じる者はいなかった。
せいぜい士気を高めるくらいの発言だと思ったのである。

しかし、韓信は本気だった。趙軍は塁壁を築いて
それに身を隠し、さすがに軽々しくは
出撃しない様子であった。
すでに地勢を得ているのだから、
じっくり時間をかけて戦うつもりだろう。
そう踏んだ韓信は、士卒に対してこう言い放った。

「趙軍は軽挙妄動を謹む構えを見せているようだが、
彼らの自制心を解放する術を私は知っている。
……それは大将たる私自身が突出し、
その結果敵陣の中に孤立することだ」
士卒たちは、それを聞いてざわつき始めた。

「それでは危険すぎます」
「それこそ、軽挙妄動ではないのですか」
韓信はそれを手振りで制し、
「私は死ぬつもりはないが、事実その危険はある。
君たちはそうならないようせいぜい踏みとどまって、
私を守れ。我々が勝つか負けるかは、
そこが分かれ目である」と言い放った。

そして敵が守備に徹して動きを見せないのをいいことに
悠々と進軍し、なんと川を背にして陣取ったのである
。趙軍はその様子を見て大笑いした。
「韓信は兵法を知らない」
「自ら退路を断つとは、しろうと同然」
味方の漢兵も口にこそ出さないが、
同じようなことを思った。

「……川を前に置けば、敵の侵入はある程度防げるが、
いま敵地に侵入しようとしているのは、我々の側だ。
よって本来川を前面に陣を張らなければならないのは
趙軍の方であり、彼らに川の向こう側に陣取られると、
攻めるこちらとしてはやりにくいこと甚だしい。
……だから、私はそうさせない」

戦いを前に魏蘭や通を前に語った韓信の言である。
しかし、韓信は具体的なことはそれ以上
語らなかったという。
夜明けとともに戦鼓が高らかに鳴り、
漢軍の進撃が開始された。趙兵たちは迎撃しようと
撃って出たが、そこにあったのは彼らにとって
目を疑う光景であった。

「……大将旗だ!」「韓信が先鋒でいるぞ!」
「裏切り者の張耳もいるぞ! 取り囲め! 捕らえよ」
趙軍の兵士はみな塁壁から出て、
飢えた虎のように韓信めがけて突撃を開始した。
「来たぞ、諸君。さあ、逃げるぞ!」
韓信を始めとする先鋒部隊は、
なりふり構わず逃げ出した。
戦鼓や旗を捨て、一目散に川岸に向かって
走り続ける。

「後退せよ! 退却するのだ」韓信は大声で
命令を発する。
それに呼応するかのように趙兵は次々と塁壁から出撃し、
漢軍を追いつめて行くのだった。

それまで戦況を見続けていた陳余は、
傍らの李左車へ勝ち誇ったように語りかけた。
「見ろ。韓信は弱い。
君の言う勝ちに乗じた軍というのは、
こういうのを言うのか?」
李左車は不審に思いつつも、返す言葉もない。
「……私の誤りだったと思われます……」
「ふむ。誤りを認める潔さは認めよう。
しかし、作戦前の重要時に弱気な妄言を
吐いた罪は重い。
君の処分については、この戦いのあと、
じっくり考えさせてもらう……
さあ、者ども! 私も出るぞ。付いてこい!」

陳余はそう言いつつ馬に跨がり、自らも
出陣することを宣言した。
つまり、彼は韓信の罠にはまった。


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.

愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る



歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…


『魂の歌姫 』


舞う鳥も 私とおなじ 
この世にも 生きてこそあれ 
歌ひとすじの道…美空ひばり



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……

時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる






P R
カビの生えないお風呂

お風呂物語

furo










2015年7月 9日 (木)

妄想劇場・特別編

妄想劇場・特別編

信じれば真実、疑えば妄想……

Mituo2_2

昨日という日は
歴史、
今日という日は
プレゼント
明日という日は
ミステリー





『下座に生きる』その3

 



坐という文字は土の上に、二人の人が
並んでいる、
上下でなく対等にならんでいる
そこが実にいい


「再・リクエスト」
・18歳の孤児の生涯
それはもっとも尊い人としての逝き方。


「おっさん、昨日、病院の人たちに
話をしたというてたなあ」
白み始めた早朝の薄暗がりの中で、
いつの間に目覚めたのか、卯一が言った。
「ああ」
「おれにも何か話してくれ」
「聞くかい」「うん、聞かせてくれ」  
「今朝は高校へ話にいかにゃならんので、
長い話はできんが・・・・。

卯一、お前は何のために、
生まれて来たか知っとるか」
「何じゃ、そんなことか。
男と女がいちゃいちゃしたら、子どもができらあ」  
「そんなんじゃなくて、生まれてきた意味だよ」
「そんなこと、わかるけ。
腹がへった、飯を食うだけさ」  
「飯を食うためだけじゃ、寂しかないか。
それだけじゃないぞ、人生は」 「・・・・・」

「誰かの役に立って、
ありがとうと言われたら、うれしいと思うだろう。
あれだよ、あれ。
お前が昨夜から何も食べていないという
女の子に、パンをやったとき、
その子はお兄ちゃん、ありがとうと言って
おいしそうに食べたろ。
それを見て、お前もうれしかったろ。

誰かのお役に立てたとき、人はうれしいんだ。
お前、いままで誰かの役に立ったかい」
この質問は酷だった。
何かを考えているようだった

卯一は投げ出すように言った。
「おれは駄目だ」「どうしてだ」
「おれはもうじき死ぬんだよ。命がないんだ。
人の役に立ってって言ったって、
いまさら何ができるんだ」泣顔だ。  
「できる、できる。まだまだできるぞ」
「起き上がることもできないおれに
何ができるというんだ」

「なあ、卯一。お前、ここの院長先生や
みんなに良くしてもらって死んでいける。
だから、みんなに感謝して死んでいくんだ。
憎まれ口をきくのではなく、
邪魔にならないよう死んでいくんだ。
それがせめてもの恩返しだ」

「おっさん、わかったぞ。これまでおれは
気にいらないことがあると、
『院長の馬鹿野郎、殺せ!』って怒鳴っていた。
これからは止める。言わないことにするよ」  
「そうか。できるかい。努力するんだよ」

「そのかわり、おっさんもおれの頼みを
聞いてくれ」
「約束しよう。何だ、言ってみな」
「おっさん、いま高等学校に行くと言ったな。
中学校や小学校にも行くのか ?」
「行くよ」
「そうしたら、子どもたちに言ってくれ。
親は子どもに小言を言うだろうが、
反抗するなって。
おれって男が しみじみそう言ってたって」  

「反抗したらいけないのか」
怪訝なことを言うと思って聞き返してみると、
卯一はこう言った。  
「いやな、小言を言ってくれる人がいるってのは
うれしいことだよ。
おれみたいに、言ってくれる人が誰もいないってのは
寂しいもんだ。
それに対して文句を言うってのは贅沢だよ」

「なるほど、そういうことか。わかった。
わしは命が続くかぎり、お前が言ったことを
言ってまわろう。お前も上手に死んでいけよ」
「それじゃ、これで帰るぞ」
「もう行くのか?」
「行かなきゃならん。高校で話をすることになっている」  
「おっさん!」
「何だ」
「いや、何でもない」

「何でもなかったら呼ぶな」
「返事するのが悪いんだ。呼んだって返事するな」
「そんなわけにはいかんがな」
三上さんが立ち去ろうとすると、また卯一は呼んだ。  
「おっさん!」「返事せんぞ。
もう行かにゃならんのだ」 そう言って、
後ろ手にドアを閉めると、部屋の中から、

「おっさーん、おっさーん」と泣きじゃくる声が聞こえた。
母を呼ぶ子どもの声のように、
「おっさーん、 おっさーん」 といつまでも
いつまでも聞こえていた。 
卯一は、 三上さんが去ってから、その後を追うように、
号泣したのです。寂しかったんでしょうね。

三上さんが院長室に帰ると、そこに院長先生がいた。
昨晩は家に帰らず、院長室のソファに寝たようだ。
「あなたがあの部屋で看病していらっしゃると思うと、
帰ることができなかったのです。
夜中に二度ほど様子を覗きに行きましたが、
夜通し足をさすっていらっしゃった。頭が下がります」
「いえいえ」と言っている時に、

院長室のドアが慌ただしくノックされた
卯一の病室へ診察に行った若い医師が、
院長室へ飛び込んできました。
「ちょっと報告が・・・・」という声に、
院長は座を立って、事務机の方で
若い医師の報告を聞いた。そして聞くなり、叫んだ。

「三上先生 ! 津田卯一がたった今
息を引き取りました」
「えっ!」  三上さんは茫然とした。
「でも、昨日は十日は持つとおっしゃっていたのに・・」

当直の若い医師が真面目な顔で切り出した。
「不思議なことがあったのです。
あいつはみんなの嫌われ者で、
何か気にいらないことがあると、
『殺せ ! 殺せ ! 』とわめきたてていました。
なのに、一晩で まるで変わっていました

「今朝、私が診察に入って行くと、
いつになくニコッと笑うのです。
おっ、今朝は機嫌がよさそうだなと言い、
消毒液を入れ換えて、いざ診察にかかろうとすると、
妙に静かです。卯一 ! 津田 ! と呼んでみましたが、
反応はありません。死んでいたのです。

私が入って来たときと同じように、
うっすらと 微笑さえ浮かべていました。
私はあわれに思って、
『お前ほどかわいそうな境遇に育った者は
いないよ』と言いつつ、はだけていた
毛布を直そうとしたのです。ところが・・・・」  
若い医師は信じられないものを見たかのように、
深く息を吸い込んだ。
三上さんもつられて大きく息を吸い込んだ。

「毛布の下で合掌していたんです !
あいつが、ですよ・・信じられない・・
・・合掌していたんです」  
涙声に変わっている。院長もうつむいている。
三上さんもくしゃくしゃな顔になった。

「・・・・卯一、でかしたぞ。よくやった。
合掌して死んでいったなんて・・・・
お前、すごいなあ・・・・すごいぞ」  
あたかもそこにいる卯一に語りかけているようだ。
「な、わしも約束は忘れんぞ。命のあるかぎり、
講演先でお前のことを語り、死ぬ前日まで
親御さんは大事にしろよと言ってたと言うぞ」
そこまで言うと、三上さんは泣き崩れた。

肩を震わせて泣く三上さんのかたわらで、
院長も若い医師も泣いた。
「卯一よお、聞いているかあ・・・・・。なあ、
お前の親のことを恨むなよ・・・。
少なくとも母さんは自分の命と引き換えに
お前を生んでくれたんだ。それを思うたら、
母さんには感謝しても感謝しきれんがな・・・・」

三上さんはしゃくり上げながら、
虚空に向かって話している。  「それになあ、
お前に辛く当たった大人たちのことも
許してやってくれ・・わしもお
詫びするさかいなあ・・・・。
みんな弱いんだ。同情こそすれ、
責めたらあかんぞお・・・」

三上さんの涙声に、院長の泣き声が大きくなった。
そうだった。誰も人を責めることはできないのだ。  
責めるどころか、お詫びしなければいけないのだ。
いさかい合い、いがみ合う世の中を
作ってしまっていることに対し、
こちらから先に詫びなければいけないのだ。
そうするとき、和み合い、睦み合う
世の中が生まれてくるのだ。

病院を出て、次の講演先の高校に向かう
三上さんの肩に、秋の陽が踊っていた。


《終わり》

「下坐に生きる」神渡良平(作家)


【巷の噂話】隠し子の存在が発覚した芸能人



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ


誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……


時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる






P R

カビの生えないお風呂

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妄想劇場・特別編

妄想劇場・特別編

信じれば真実、疑えば妄想……

Mituo2_2

昨日という日は
歴史、
今日という日は
プレゼント
明日という日は
ミステリー




『下座に生きる』その2

 



坐という文字は土の上に、二人の人が
並んでいる、
上下でなく対等にならんでいる
そこが実にいい


「再・リクエスト」
・18歳の孤児の生涯
それはもっとも尊い人としての逝き方。


「お前の両親はどうした?」
 「そんなもん、知るけ」
嫌なことを聞くなと拒絶するような雰囲気だ。
「知るけって言ったって、親父やお袋が無くて
赤ん坊が生まれるかい」
少年は激しく咳き込んで、血を吐いた。
おれはなあ、うどん屋のおなごに生まれた
父無し子だ。親父はお袋のところに
遊びに来ていた大工だそうだ。
お袋が妊娠したって聞いた途端、
来なくなったってよ。
お袋はおれを産み落とすとそのまま死んじまった」

お母さんは、 うどん屋で奉公している中に、
出入りのお客さんと仲良くなって妊娠した。
それを知ったその男は、 彼女から
遠ざかっていった。
結局、 お母さんは、 母体が
危ないよといわれながらも、
「自分が死んでもこの子だけは
何とかこの世に送り出して欲しい」 と
お医者さんに頼み、 お腹に宿した子を産んだ。
名前は、卯一と付けられた。
お母さんは、 お医者さんの言う通りに、
産んだ後に、息を引き取った。

「そうか」
「うどん屋じゃ困ってしまい、人に預けて
育てたんだとよ。
そしておれが7つのときに呼び戻して出前をさせた。
学校には行かせてくれたが、
学校じゃいじめられてばかりいて、
ろくなことはなかった。

店の主人からもいつも殴られていた。
ちょっと早めに学校に行くと、
朝の仕事を怠けたと言っては殴られ、
ちょっと遅れて帰ると、遊んで来たなと言って
殴られた。
食べるものも、客の食べ残ししか
与えられなかった。
だから14のときに飛び出したんだい」

「そうか。いろんなことがあったんだな」
十四歳の時に、家を飛び出して、そして、
神社の賽銭泥棒になった。
卯一は何かを思い出すように、遠くを見た。  

「昔、おれが神社の床下で寝起きしていたころだ。
朝起きてみると、境内の大きな栴檀の木の下で
泣いている九つぐらいの女の子がいた。
おい、どうしたと近寄っていってもその子は
逃げないんだ。ぼろぼろの着物を着た
おれの姿を見たら、大抵の子は
恐ろしがって逃げるのにな。
『昨晩、おっかさんに叱られて、
家を放り出されたの』
朝御飯は食べたのかと聞くと、
昨夜も食べていないという。

『ちぇっ、おれよりしけてやんの』と言いながら、
縁の下に潜り込んで、
とっておいたパンを差し出した。
『これでも、食いな !』するとその子は
目をまん丸くして、
『えっ、兄ちゃんくれるの』と言いやがった。
おれのことを兄ちゃんって言ったんだ。
あの馬鹿たれめが。

『やるから早く食いな』って言うと、
むさぼるように食った。  
それでおれは おれの分の半分も差し出して、
『これもやるから食いな』って言うと、
それ食ったら兄ちゃんの分がなくなるというんだ。
あの馬鹿たれが。いいから食えというと
おいしそうに食った。

『食べ終わったら、早う家に帰れよ』と言ったが、
その子は帰らんという。帰らなかったら、
おれみたいになっちまうぞと言っても、
『おっかさん、大嫌い。
もう家には帰らん!』と言う。

脅かしたら帰るだろうと思って、
帰らんと殴るぞと拳を振り上げると、
家の方に逃げた。
追っ掛けると、その子は二つ目の横丁を曲がって、
豆腐屋に駆け込んでしまった。

『お前、昨晩はどこに行ってたんだ。
心配したぞ』家の人がそういうのが聞こえてくる。
『ざまあ見ろ。帰りやがった。
よかった、よかった』
おれはそう思って神社に帰ってきた。

でもなあ、でもなあ・・・」そこまで話すと、
卯一は涙声になった。
「どうした、泣いたりして」
「おれはなあ、またもとの独りぼっちに
なってしまったんだ」
卯一はわあわあ泣いた。あの枯れ切った
体のどこから出るかと思うほどに泣きじゃくった。

「そうだったのか。そんなことがあったのか。
ごめんよ。思い出させちまって」
卯一は泣き止むと、意を決したように
三上さんを見据えて言った。
「おっさん。笑っちゃいかんぞ」
「何じゃ。笑いはせんぞ。言っちまいな」
「あのなー、一度でいいから、
お父っつぁんと呼んでいいかい」
三上さんは思わず卯一の顔を見た。

この機会を逃すまいと真剣そのものだ。
「ああ、いいよ。わしでよかったら、返事するぞ」
「じゃあ、言うぞ」「いちいち断わるな」
しかし、卯一はお父っつぁんと言いかけて、
激しく咳き込んだ。
身をよじって苦しんで血痰を吐いた。
三上さんは背中をさすって、介抱しながら、
「咳がひどいから止めておけ。
興奮しちゃあ体によくないよ」と言うのだが、
卯一は何とか言おうとする。

すると続けざまに咳をして、死ぬほどに苦しがる。
「なあ卯一。今日は止めておけ。体に悪いよ」
三上さんは泣いた。それほどまでして、
こいつはお父っつぁんと言いたいのか。
悲しい星の下に生まれたんだなあと思うと、
後から後から涙が頬を伝わった。

苦しい息の下からとぎれとぎれに、
とうとう卯一が言った。
「お父っつぁん!」
「おう、ここにいるぞ」
卯一の閉じた瞼から涙がこぼれた。
どれほどこの言葉を言いたかったことか。
それに返事が返ってくる。

卯一はもう一度言った。「お父っつぁん」
「卯一、何だ。お父っつぁんはここにいるぞ」  
もう駄目だった。大声を上げて卯一は泣いた。
十八年間、この言葉を言いたかったのだ。
わあわあ泣く卯一を、毛布の上から
撫でてさすりながら、三上さんも何度も鼻を拭った。
明け方、とろとろと卯一は寝入った。
三上さんは安らかな卯一の寝顔に満足し、
一睡もせず足をさすり続けた。

つづく

「下坐に生きる」神渡良平(作家)


【巷の噂話】浮気に明け暮れた中村勘三郎





人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ


誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……


時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる






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カビの生えないお風呂

お風呂物語

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妄想劇場・特別編

信じれば真実、疑えば妄想……

Mituo2_2

昨日という日は
歴史、
今日という日は
プレゼント
明日という日は
ミステリー






(再読)下座に生きる』その1

下座に生きる

坐という文字は土の上に、二人の人が
並んでいる、
上下でなく対等にならんでいる
そこが実にいい


「」■18歳の孤児の生涯
それはもっとも尊い人としての逝き方。

京都・山科に一燈園という修養団体がある。
宗教法人ではなく、人間としての生き方を学ぶ
修養団体で、大正10年(1921)
西田天香さんが家々を回り、便所掃除をし、
うかつに生きていることをお詫びして
生活されたことから始まった集まりである。

天香さんの生き方は、影響を与え、
昭和の精神史を形作ったといえる。
その天香さんに三上和志さんという高弟がいた。  
ある日、三上さんはある病院に招かれて
講話に行った。

ホールには患者さんや
看護婦さん、検査技師、医療事務員などが
詰めかけて話を聞いた。
ベッドを離れられない患者はスピーカーを
通して聞いた。涙を誘う話となった。
1時間ほど話して院長室に戻ると、
院長がいたく感動して、お願いがあるという。
何ですかと聞くと、院長は切りだした。

「実は私の病院に少年院から預かっている
18歳になる結核患者がいます。容態は悪く、
あと10日も持つかという状態です。
この少年に三上先生の話を
聞かせてやりたいのです。
ただ問題なのは、両親も身寄りもなく、
非常にひねくれていて、三上先生の話を
素直に聞いてくれるかどうかはわかりません。

重体で病室からは1歩も出られないので、
こちらから出向くしかないのですが、
今日のような話をたとえ20分でも30分でも
聞かせてやりたいのです。
少しでも素直な気持ちになってくれれば・・・・」  

そう聞いて、三上さんは躊躇した。
「ちょっと話をしたぐらいで素直になるでしょうか。
そうは思えませんが」
「確かにそういう懸念はありますが、
仮に素直にならないでも、もともとです」
そう言われると、断わることもできない。
話をしてみることになった。では仕度をと言って、
院長は大きなマスクと白い上着を渡した。
「付けなければいけませんか?」
三上さんは躊躇した。
 
ひねくれてしまっている少年の心を
動かそうとするものが、白い上着を着て
マスク越しに恐る恐る話をしても通じまい。  
「もしも伝染したらいけませんから。
開放性の伝染病ですから・・・・」 そう言われて、
三上さんは意を決した。

「伝染すると決まっているわけではありませんから、
付けないことにします。
その少年の気持ちを思うと・・・
このままの方がよいと思いますので・・・・」
院長に案内されて行ったところは病院の
一番奥にある隔離病棟で、五つある個室のうち
彼の部屋だけ使われていた。

院長に続いて中に入ると、六畳ほどの
広さの部屋に白木のベッドが一つ、
コンクリート剥き出しの寒々とした床の上に
新聞紙を敷いて、尿器、便器が置いてあり、
入り口には消毒液を満たした洗面器が置かれている。  
げっそり痩せて頬骨が尖り、
不精髭を生やした少年の顔は黄色く淀んでおり、
目のまわりが黒ずんでいる。
黄疸を併発しているのだろうか。

「気分はどうかね」院長が話しかけたが、
少年は顔をそむけたまま返事しない。
「少しは食べているかい?」それでも少年は答えない。
うるさそうにしている。「眠れるかね?」  
顔をそむけたまま答えようとしない少年の
向こう側に回って、三上さんが顔をのぞいて見ると、
憎憎しげな様子だ。

少年が答えないのをみて、院長は構わず言った。
「こちらにいらっしゃるのは三上先生という方だ。
私らは向こうでお話を伺って非常に感動した。
お前にも聞かせてやりたいと思い、
一人のためにすまないと思ったけれども
無理にお願いして、来てもらった。
体がきついかもしれないが、辛抱して聞きなさい。
わかったか」
「・・・・・」少年は黙ったままだ。

「三上先生、どうぞ」と言われ、
三上さんは少年の仲間の言葉で話かけた。
「おいどうでぇ!」ところが、
うんともすんとも言わない。三上さんは怒鳴った。
「折角見舞いに来たんじゃねえか。
何とか言えよ!」ところが、
その声が終わるか終わらないかのうちに、
「うるせえ!」という言葉が返ってきた。

こんなに痩せた体のどこから出るかと思われるような
大きな声だった。
院長が小声で「こりゃ、駄目ですな」と言い、
「退散するしかないようです」と付け加えた。  
「そうですね」と三上さんも諦め、
部屋を出がけに「おい!帰るぜ」と怒鳴った。
そして引き手に手を掛け、もう一度振り返って見た。

すると、意外だった。少年が燃えるような目で、
こちらをじっと見つめていたのだ。
その目にどうしょうもない孤独の影が見えた。
人恋しいのに、その恋しい人が来れば、
本心とは裏腹に顔をそむけてしまう。  
それでいて、その人が去れば、後を追いかけたくなる。
素直な気持ちを表現できないのだ。

三上さんが向き直ると、少年は慌てて顔をそむけた。
三上さんはベッドのところまで引き返した。
顔を隠そうとする少年の顔を、
伸び上がって後ろから覗いてみると、
涙が頬を伝っていた。寂しい姿だった。  
それを見た途端、三上さんは心を決めた。
今晩はここに泊まって、一晩なりとも看病しようと。

急いで廊下に出て、その旨を院長に言うと、
院長は語気強く言った。「それはいけません。
開放性の結核ですからうつります」
「でも、わが子ならそうするでしょう。
お願いします」
「とは言っても・・・・しかし・・・」  
迷う院長に三上さんは再度言った。

「うつるかどうか、わかりません。
明日はどうなろうとも、今日一日は
真でありたいと私は思います。
今日一日真であれば、明日死んでも満足です」
そう言いおわると、三上さんは病室に戻った。
院長は追って来なかった。

つづく

「下坐に生きる」神渡良平(作家)


【巷の噂話】75歳で急逝した島倉千代子




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いつわり(偽)と読むんだねぇ


誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……


時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる






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チャンネル・ニュース

幸せがつづいても、不幸になるとは言えない
 不幸がつづいても、幸せが来るとは限らない



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昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー


愛された事が無い動物達が愛を知らなかった
人間と共に虹の橋を一緒に渡る感動話

このお話は、作者不明にもかかわらず、
世界中の動物を愛する人々の手によって翻訳され、
広められている古いインディアンの
伝承に基づいたお話です。
誰からも愛された事のない動物達が、
愛を知らなかった人間と出会い、
一緒に虹の橋を渡って天国に行く・・・という内容。

「虹の橋」に共感を持った世界中の動物を
愛する人々によって、インターネットを通して
世界中に伝えられています。

11



『虹の橋のたもと』

天国とこの世を結ぶ橋がある。
その橋は、様々な色合いから『虹の橋』と呼ばれている。
『虹の橋』の一歩手前には草地や丘、
青々とした緑あふれる谷がある。
大切な動物達は、死ぬとその場所へ行くのです。
そこにはいつも食べ物と水があり、
気候はいつも暖かいまるで春のようです。
歳をとって、からだが弱っていた者でも、
ここへ来て若さを取り戻し、からだが不自由になっていた者は、
元どおりの健康な姿になる。
そして一日中いっしょになって遊んだりしている。

だが、橋のそばにはみんなと様子が
異なるものもいるのです。
疲れ果て、飢え、苦しみ、誰にも愛されなかった
動物たちです。
他の動物たちが一匹また一匹と、
それぞれの特別なだれかといっしょに
橋を渡っていくのをとても悲しげに眺めているのです。

彼らには特別なだれかなどいない。
生きている間、そんな人間は誰一人現れなかった。
しかし、ある日、動物たちが走ったり遊んだりしていると、
橋への道のかたわらに誰かが
立っているのに気づくのです
彼はそこに繰り広げられている友の再会を
ものほしそうに眺めている。
生きている間、彼は動物と暮らしたことがなかった。
彼は疲れ果て、飢え、苦しみ、
だれにも愛されなかったのです。
そんな彼がポツンと立っていると、
愛されたことがない動物がどうして
一人ぼっちなのだろうとそっと近づいてくのです。

すると、なんと不思議な事が・・・・・・・・・。
愛されたことがない動物と愛されたことがない人間が
互いに近づくにつれ、奇跡が起こるのです。
なぜなら、彼らは一緒になるべくして生まれたからだ。
この世では決してめぐりあえなかった特別なだれかと
大切な動物として。今、やっと『虹の橋』のたもとで
彼らの魂は出会い、痛みや悲しみは消え、
友はいっしょになるのです。
そして、いっしょに『虹の橋』をわたり、
もう二度と別れる事は無いのです。


お母さんへのプレゼント
『300円の白いハイヒ-ル』



『自分がぶつかられそうになった体験談』

数年前妊娠中だったのですが、買い物先で
小学校高学年ぐらいの女の子が二人ローラーシューズで
走り回っていた。
しばらくして、ニヤニヤしながら私の周りを走り出し、
「○○(女の子の名前)ねぇ、知ってるんだよ。
どうしたらそんなおなかになるのか。
おばちゃんやらしいんだぁ。エロいんだぁ。」
ともう一人の女の子に向かって話していた。

するともう一人の女の子が「ならさぁ、あんなおなか、
なくなっちゃえばいいんだよー」と。
はぁ?なに???と思っていると、なくなっちゃえば・・・と
いった女の子が、もう一人の女の子の背中を
私のほうへぶつかるように押してきた
(至近距離)ぶつかる! とうずくまる
状態になったのですが、その後なにもおこらず、
おそるおそる目をあけてみると
多分同じぐらいの学年の男の子が思いっきり
女の子に体当たりしていました。

その反動で背中を押した女の子と、押された女の子が
もつれて転んでいろんなことを叫びながら
男の子に食って掛かったのですが、
男の子はひたすら無視。

騒ぎを聞きつけ警備員?がやってきて
女の子二人とその騒ぎで集まったその女の子の親たち、
男の子の親が別室に集まりました。

ぎゃーぎゃーと「ちょーいたい! うったえてやるー!
ぎゃはははは!」と言う女の子たち。
「うちの子が何をしたんですか!お宅の子供の
教育はどうなんですか! これだから男のガキは
最低だよ!」とわめく女の子の母親。
どうして男の子がつきとばしたのか状況がわからず
ひたすら謝る男の子の親。

無言だった男の子が、男の子の父親に向かって
なにか耳打ちをし、男の子の父親はうなずき
母親を一旦外にだした。

その後男の子は泣くのをこらえるように
「お母さん、昔、ぶつかられて、
赤ちゃんしんだんだ。お前らのしたことは、
ひとごろしだぞ。」とそれだけを言うと
あとはうつむき泣くのをこらえていた。

女の子たちの親は「うちの子が
そんなことをするはずがない!
コレだから男の子は!!!」と叫びだしたのですが、
それを制止し、「あなた方の娘さんは私に対して、
恥ずかしい行為をしたからおなかが大きいんだ。
なら、それをなくせばいい、と
体当たりしてきたんです。」

その後、男の子に向かって「ありがとう。
つらい気持ちにさせちゃったね。」と言いました。
男の子は泣き顔のままにっこりと笑い、
「よかった・・・」一言言うとまたうつむきました。

その後はローラーシューズ禁止の場所で
滑っていたこと、
女の子のポケットに未会計の品が入っていたこと
(店外ではないので、万引き罪には当たらない)
以前に万引きで補導されてるみたいな風な
感じの対応をしていました。)で、
女の子たちの親と一緒に別室に
連れて行かれてました。

体を張って守ってくれたこと、
そのうえ自分の母親に対する気遣いができる
この男の子が女の子たちとすごく対照的で
何度もお礼をいい、その場を去りました。


『ん』がついても幸せなしりとり

二人が部屋でマッタリしていて、しりとりが始まった。
「りんご」「ごりら」「らっぱ」「パラソル」
「ルビイ」・・・数十回続き、
スピードが次第に落ちてくる。
そして、お題が「け」で回ってきた。
オレ「け・・・け・・・」
女 「はやくー、『け』なんて簡単じゃんー」
オレ「け・・・け・・・結婚しよう・・・」
女 「・・・・・うん」
オレ「『ん』がついたからお前の負けだぞー」
女 「負けちゃったけど、
すっごくうれしいからいいもん!」




人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



時は絶えず流れ、
 今、微笑む花も、明日には枯れる

マザー・テレサ
思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。



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漢の韓信-82

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
「国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。


漢の韓信-82


「陳余という男は学者肌であってな。
兵書などはよく読んで理解している。
しかしわしの見る限り、頭の固いところがあるようだ。
兵書に書いてある以上のことは、決してしない」
張耳は趙への道すがら、韓信にそう話して聞かせた。

「例えば?」「陳余の陣形は基本に忠実で、
見た目も美しい。しかしそれだけでは勝てぬ。
一言でいえば、やつには応用力が乏しい。
わしが鉅鹿で章邯に囲まれていた時も、
陳余は並みいる諸侯軍の中で最もきらびやかな
軍容を保ちながら、何もできなかった」

「なるほど……ところで張耳どのと陳余は
刎頸の契りを結んだ間柄とお聞きしていますが、
いま陳余を討つことに対してためらいはございませんか」
張耳は、韓信の問いに深いため息をついた。
「本音を言えば……陳余を殺さずにすむのならそうしたい。
魏の県令だったわしと陳余は昔、秦によって二人とも
首に懸賞金を賭けられ、逃亡生活を送った。
苦楽をともにした朋友なのだ。
それがどうしてこうなったか……
所詮はわしに人を見る目がなかった、
ということなのだろう。

いずれにしてももはや、わしと陳余は
並び立つことはできない」
「……討つことに迷いはないと?」
「しつこく聞くな。迷いはない」
韓信は、信じられなかった。人はこうも
割り切れるものなのか……。
それというのも、韓信は旧友の鍾離眛を
討てなかったのである。

私が、弱いということなのだろうか。
思いに沈む韓信の背に、蘭の手が添えられた。
韓信の軍は閼与から東へ進軍を始め、
山岳地帯にはいった。
趙軍は

井口

(

せいけいこう

)

でこれを迎え撃つべく、
二十万もの兵を集めた。大軍である。

対する韓信の軍は、魏や代に駐屯する兵や、
劉邦のもとに送った兵を差し引いて、
三万程度しかいなかったのである。
加えて

井口

という地名はその字の通り
井戸のような形をしていることに由来しており、
四方が山に囲まれ、中央は谷となって深く沈み、
その底に川が流れている。
水量は決して多くはないが、戦場に川があることは
戦術上の制約が多い。
川そのものを防衛線として利用されれば、
攻める側は非常に不利である。
ましてそこに至るまでの道が、険しい。
山中のことなので道幅が狭く、行軍は横に広がらず、
縦に伸びる。これは行軍に分断の
危険を伴うことを意味した。圧倒的不利の条件であった。

韓信は密偵を送り、状況の把握に務めた。
一方、そのとき趙の陳余は幕僚の

李左車

(

りさしゃ

)

から
熱のこもった献策を受けていた。その李左車は言う。
「漢将の韓信は、平陽で魏王を虜にし、
閼与で夏説を生け捕り、勝ちに乗じております。
いま韓信は張耳を補佐として得、
謀議して趙を降そうと画策しており、
その鋭鋒には正面から当たるべきではありません。
ところが幸いなことに

井口

への道は狭く、
車や騎馬が並んで行けないことは、
我が軍にとって有利でございます。

つきましては私に兵三万をお貸しください。
間道から出陣し、敵の横っ腹を討って分断いたしましょう。
その間、本隊は塁を高くして陣営を固め、
防御に徹すれば、敵は進もうにも進めず、
退こうにも退けず、十日以内に
韓信・張耳両将の首を持参することができます」

陳余はこれを聞き、不快感をあらわにした。
「なにを言う。兵法に『敵に十倍すれば、これを囲み、
二倍ならば戦う』とあるではないか。
いま韓信の軍は数万と称してはいるが、
実際には二万かそこらだろう。
まして彼らは千里の道を歩き、
我が軍と対峙しようとしているのだ。
いくら勝ちに乗じているといっても、
疲れているに決まっている。

この程度の敵を正面から敗れないようでどうする」
李左車はなおも食い下がった。
「しかし、聞くところによりますと韓信は
詭計を得意とするとか。こちらが正面から
迎え撃とうとしても、やつらが正面から
現れるとは限りません。現状では
地の利はこちらにあるのですから、それを最大限に
利用することを考えるべきではないですか」

陳余はそれに対して鼻で笑うような態度を示した。
「君は、政治というものをわかっていない。
戦争というものは、勝てばそれで
よいというものではないのだ。
いま我々が有利な立場にありながら、
弱い韓信の軍を騙し討ちにしたと世間に知れたら……
諸侯は趙を

懦弱

(

だじゃく

)

な国と評し、
軽んじるだろう。軽んじられれば、攻め入られる。
それが道理というものだ」

「漢軍が弱いと、はたして言い切れますか? 
おそれながら正々堂々と戦うのは
武人としての本懐ではありますが、
この戦いにおいて趙は負けることは許されず、
確実に勝つ方策を採らねばなりません。
あなたにはそれが……」

「もうよい。下がれ。すでにわしは
君の策を採らぬことに決めた」「…………」
「君は、戦場では趙王のそばにおり、
護衛に徹しろ。それ以上のことはするな。
王はもともとこの戦いに乗り気でないゆえ、
窮地に立たされると安易に降伏しかねない。
目を離すな」「…………」
「わかったのか」「……御意にございます」

この会話の一部始終が密偵によって
韓信の耳に入った。これにより韓信は

井口

に至る隘路の途中に伏兵が
いないことを確信し、安心して
軍を進めることができたのだった。


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.

愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る



歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…


『魂の歌姫 』



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……


時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる

 


P R
カビの生えないお風呂

お風呂物語

furo










2015年7月 8日 (水)

歴史・履歴への許可証

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昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

夢はでっかく、根はふかく。
花を支える枝 枝を支える幹 幹を支える根 
根はみえないんだなあ

Kobanasi_3


『フクロウとカラス』兵庫県の民話

むかしむかし、あるところに、
腕の良い染め物屋がいました。
この染め物屋は、お城からも染め物の
仕事が来るほどの評判でしたが、
この染物屋の息子がどうしようもない道楽息子で、
仕事の手伝いもせずにいつもふらふらと
遊び歩いていたのです。

ある日の事、お城からの使いが、
上等な白絹(しろぎぬ)を持って来て言いました。
「急な頼みですまないが、
殿さまが江戸へのぼる事になったので、
十日後にはこれを紋服(もんぷく)に染め上げてくれ」
「へへーっ。必ず十日後には、
染め上げますので」

こうして染め物屋の主人は、さっそくその白絹に
下地を練り込み、ていねいに乾かしていました。
するとそこへ、酔っぱらった道楽息子が
帰ってきたのです。
「なんだ、親父。また、仕事をしているのか?
染め物なんて、川に入って冷たい思いをして、
また乾かして冷たい思いをする。

そんな事を、毎日繰り返してどうするんだ?
それよりも、おれみたいにバクチでもすればいいんだ。
そうすれば金なんて、いくらでも手に入るのによ」
「しかし息子よ、働くというのは・・・」
「うるせえ! おれに説教をするな!」
そう言って道楽息子は、なんと殿さまの白絹に
泥を塗りつけてしまったのです。

「ああっ! お前は、何て事を!」
染物屋の主人はあわてて白絹を洗い直すと、
再び下地を練り込んでていねいに
乾かそうとしたのですが、
その日から毎日雨が続いたために、
約束の日までに白絹を染めることが
出来なかったのです。

やがて、お城からの使いが染めた白絹を
取りに来たのですが、白絹が染め
上がっていない事を知った殿さまは大変怒って、
「このふらち者を、討ち首にせい!」と、
染物屋の主人を殺してしまったのです。

これを知った道楽息子は、
父親の死骸(しがい)に取りすがって泣きました。
「すまねえ、親父。おれが、馬鹿だった」

そしてこのうわさを知った近所の子どもたちに、
道楽息子は寄ってたかって
石を投げつけられたり、
棒で叩かれたりしたのです。

道楽息子は、くやんでくやんで、
とうとうフクロウになってしまいました。
そして人目につく昼間は林の中に隠れて、
夜も暗くなってから出歩くようになったのです。

そして道楽息子をいじめていた子どもたちは、
カラスになりました。
こうして今でも、カラスは昼間に
フクロウを見つけると、
寄ってたかってフクロウを
いじめるのだそうです。


おしまい


『わらびの恩』





『姥っ皮』新潟県の民話

むかしむかし、ある長者の家に、
とても気立てが良く、美しい娘がいました。
娘はみんなに可愛がられて育ちましたが、
でも新しいお母さんがやって来てから娘の
運命が変わりました。

新しいお母さんにはみにくい娘がいた為、
自分の娘よりもはるかにきれいな娘が憎かったのです。
そこで新しいお母さんは、美しい娘を毎日いじめました。
お父さんはその事を知っていましたが、
せっかく来てくれた新しいお母さんには
何も言いませんでした。
そして新しいお母さんに言われるままに、
お父さんは娘に家を出て行けと言ったのです。

娘が家を出て行く日、新しいお母さんもお父さんも、
娘が家を出て行くのを見送ろうともしませんでした。
でもただ一人、最後まで娘に優しかった
乳母だけが娘を見送り、目に涙をためながら
出て行く娘に言いました。
「お嬢さま。あなたさまは、とても器量よしです。
その為に、この様な事になりました。
そしてこんな事は、世に出てからも続くでしょう。
そこで用心の為に、これをかぶって行きなさい。
あなたさまの事を、心からお守りくださる
お人が現れるまでは」
そして乳母は姥っ皮(うばっかわ)と言って、
年を取ったおばあさんになるための作り物の
皮をくれたのです。
娘はそれを被って年寄りのおばあさんに化けると、
その姿で家を出ました。

年寄りの姿になった娘は、ある大商人の家の
水くみ女に雇われました。
娘はいつも姥っ皮を被って働き、
お風呂も一番最後に入ったので、
誰にも姥っ皮を脱いだ姿は見られませんでした。

そんなある晩の事、娘がいつもの様に
姥っ皮を脱いでお風呂に入っているところを、
散歩に出かけていたこの家の若旦那が
見つけてしまったのです。
「何と、美しい娘なんだ」
若旦那は娘に声をかけようとして、思い止まりました。
「いや、よほどの事情があって、
あの様な皮を被っているのだろう。今は、
そっとしておいてやろう」

若旦那はその場を立ち去ったのですが、
娘に一目惚れした若旦那は、それ以来
食事が喉を通らず、とうとう
病気になってしまったのです。
何人もの医者に診てもらいましたが、
若旦那の病気は全然治りません。
そこで心配した父親の大旦那が
有名な占い師を連れて来て、
若旦那の病気を占ってもらいました。

すると占い師は、にっこり笑い、
「これは、恋の病ですな。
このお屋敷には、多くの若い女中がいます。
おそらく若旦那は、その女中の誰かを
好きになったのでしょう。
その娘を嫁にすれば、この病気はすぐに
治ってしまいます」と、言うのです。

「何と、息子は恋の病であったか。
それはちょうど良い、息子にはそろそろ
嫁を迎えねばと思っていたところだ」
そこで大旦那は家中の女中に命じて、
一人一人若旦那の部屋に行かせてみました。

大旦那は隣の部屋から細くふすまを開けて
若旦那の様子を見ていましたが、
しかし若旦那はどの女中が来ても
何の興味も示しません。
大旦那は首を傾げると、
「はて? これでこの家の女は全てのはずだが。……
いや、もう一人いるが、
あれは水汲みのばあさんだし」と、
思いつつも、念には念を入れて、
大旦那は水汲みばあさんを若旦那の部屋に
連れて行きました。

すると若旦那は布団から起き上がって、
水汲みばあさんにこう言ったのです。
「どの様な事情でその様な姿をしているのかは
分かりませんが、もしよければ、
わたしの妻になっていただけませんか?」

すると娘はこくりと頷いて、姥っ皮を脱いで
美しい娘の姿を見せたのです。
それをふすまのすき間からのぞいていた大旦那は、
大喜びです。
こうして姥っ皮を脱いだ娘はこの家の嫁となって、
いつまでも幸せに暮らしたという事です。

おしまい


ネコがネズミを追いかけるわけ






人の為(ため) と
書いて、
いつわり(偽) と
読むんだねぇ





誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから。


時は絶えず流れ、
  今、微笑む花も、明日には枯れる 






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お風呂物語

furo









漢の韓信-81ー(番外編)

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin

韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
「国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。



漢の韓信-81ー(番外編


項羽が垓下(がいか)で漢軍に包囲され,
四面楚歌(しめんそか)の声を聞いて
うたった詩の一節

力拔山兮氣蓋世 (力は山を抜き、気は世を覆う)
時不利兮騅不逝 (時利あらずして騅逝かず)
騅不逝兮可奈何 (騅逝かざるを如何せん)
虞兮虞兮奈若何 (虞や虞や汝を如何せん)
と歌い、垓下から脱出する。

この歌は、ライバル劉邦との戦に破れ
山中に包囲されてしまい
騅という名馬の働き場も無い
連れて来ていた妃『虞美人』との
最期のひと時をかみしめている・・。
そんな時に詠まれたものです。
『四面楚歌』の語源にもなった
エピソードです。

わが力は山をも抜き、
わが意気は天下をおおった。
しかし今、時の運にみはなされ、
わが愛馬・騅も歩みを進めない。
騅が進まぬ事をどうしたらよいというのか。
愛しい虞よ、虞よ、今はそなたを
どうする事もできないのだ)

項羽のこの歌の後、虞妃も
「漢軍既に侵略し 四面みな楚の歌 
大王の意気尽きん 私如何に生くべし」と
歌を返し、自分が足手まといになるのを嫌い
自害をします。

項羽は泣き悲しんだ後、虞妃を弔い、
そして最期の突撃に向かうのです。
その後、この時の虞妃の墓から
一輪のひなげしの花が咲いた、という
そして「虞美人草」という異名がつく由来と
なりました。

『中国史上最強の男、項羽』
中国は秦の時代、始皇帝の死後
2世皇帝の時代になるとその政治は
ますますひどいものになり、
各地で秦に滅ぼされた国々の残党や
民衆による反乱が起こりました。

その時、項羽も楚の名門・項燕の孫として
旗揚げすると、連戦連勝で秦軍を撃破します。
項羽率いる『楚軍』の勢いは凄まじく、
一時は天下をほぼ手中にした程でした。

ライバル劉邦(後の漢)(前漢)の時代の
初代皇帝とも99度戦い一度も敗れなかったと
言われています。
ただ、自身の力があまりにも優れていたためか
部下の進言を聞き入れず、始皇帝の
墳墓の焼き討ちなど乱暴な行為も多かった為に
次第に人心は離れていきます。

ついには劉邦率いる『漢軍』との
100度目の戦いで敗れてしまい、
山中に包囲されてしまいます。

そしてある夜、包囲した漢軍は一斉に
楚の国の歌を歌います。
これは漢軍の策略でありました。
包囲されていた楚軍はその楚の歌を聞き、
故郷の家族を思い出し戦意を喪失、
次々に投降してしまいます。

項羽の最期
周りにはたった二十八騎しか
残っていなかったそうです。 
しかし、そのたった二十八騎で数度にわたって
漢軍に突撃をしかけます。
そして漢軍数百人を討ち果たし
最期の意地を見せたのです。そして、

自らを滅ぼしたのは天であり
実力の為ではないと宣言して自害。
この時僅か三十一才でした。


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る


歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…



魂の歌姫 』 (2)



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……


時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる







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お風呂物語

furo










2015年7月 7日 (火)

妄想劇場・特別編

妄想劇場・特別編

信じれば真実、疑えば妄想……


Mituo2_2

昨日という日は
歴史、
今日という日は
プレゼント
明日という日は
ミステリー








『バードウオッチング』その2


「しまった~」ひとみは、空に舞った雁を
見上げて目で追った。
「おかしいなぁ~」ひとみは首を傾げた。
なぜなら、雁の群れまではかなりの距離があった。
彼らがいくら臆病だからといって、
安全を脅かしたわけではないのだ。
でも、明らかにひとみを敵だと認識したのだ。
(こんな若い女の子に失礼ね!)そんなことを考えていると、
空を飛び回っていた群れは、
かなり離れた田んぼへと着地した。

もう一度、近くまで行って観察してやろう。
そう思っていた、その時だった。
「あんた、雁に嫌われちまったなあ~」と
いう声が聴こえた。
(え?!)声の主が、予想もしないところから顔を出した。
20メートルほど先に、ワラが家のように
こんもりと積んである。 その陰から、一人の老人が
現れたのだった。70歳、いや80近いかもしれない。

腰を屈めてひとみの方へと近づいてきた。
「えらいベッピンさんやなぁ」 「・・・」
「鳥を見に来たんじゃろ」そう言うと、老人は
ニコニコして話しかけた。
「あ、はい・・・ここの田んぼの方ですか?」
それには答えず、老人は訊いてきた。

「あんたな、何で雁が逃げたかわかるかな」
「え?」唐突に訊かれて言葉を失った。
「何でって・・・私が近づき過ぎたからですよね」
「たしかに。近づいたら逃げるわな。
でもな、あんたより、ワシの方がずっと
雁の群れ近くにいたんじゃよ。  
それも、ワシは身体を動かして作業をしておった。  
それなのに、雁はワシのことなぞお構いもせずに
メシを食うておった。

雁が急に飛び立ったんで、ワシも妙だなと
思ったんじゃ・・・  
そうしたらあんたの姿が見えたんで
声をかけたというわけじゃ」

「・・・ごめんなさい」
「いやいや、別に謝らんでもいい。
あいつらは、この時期、どこへ行ってもメシは食える。
第一、ワシが飼っているわけじゃないしな、ハハハハッ」
「そうですよね」そう言うと、ひとみもつられて微笑んだ。
「でもな、一つ気になることがあるんじゃ」
「え? 何でしょう」
「あんたな、何でそんなに『気』を出しているんじゃ」
「・・・『気』ですって?」
老人は、戸惑うひとみに対して、さらに問いかけた。

「あのなぁ~、あんたからはビンビンというのかな、  
ババッというのかな、上手く言えんが、  
『気』が発せられているように感じるんじゃ」
「ビンビンって・・・」 「何と言うか・・・
電波みたいなもんじゃな。ここに私はいますよ~、
こっちを見て下さい~ってな。  
そうそう、大声で叫んでいるみたいな感じかな」

「大声ですって?」
「いやいや、実際に声を出すという意味じゃない。  
あんたの存在自体が、こっちを見てよと
喋っているみたいに感じられるんじゃ」
「そんなことしてません」ひとみは反発した。
それよりも反対に、 気配を消すようにと
努力していたつもりだ。
「じゃあ訊くがな~、ワシはあそこでずっと
仕事をしておった。あんたが来てからも、ずっとな。
でも、ワシには雁は驚かんかった。  
なぜだかわかるかな?」 「・・・」

「ワシはな、何も『気』を発していないからじゃ。  
ワシの存在が自然の中に溶け込んでいるからじゃ。
ワシは敵ではない。いや、味方ですらない。
ただの無意味な存在というかな。  
それに比べて、あんたは、雁を見よう見ようとしている。  
いや、見るために、気づかれないようにしようという
『気』を、知らぬ間に発していたんじゃ」
ひとみは言い返すことができなかった。
理屈としては理解できないが、 老人の
言わんとしていることが事実として伝わってきた。

さらに老人は、追い打ちをかけるように言った。
「よけいなおせっかいかもしれんがな~、
あんたひょっとするとな、普段から、
そんな『気』をビンビン出してはおらんかな?  
私の方をみんな見て見てってな」
ひとみは愕然とした。 その通りだった。
子供たちに敬遠されている理由が、そこに
あるような気がした。

「どうしたんじゃ、大丈夫かな?」
老人は心配そうにひとみの様子を伺った。
「あ・・・は、はい」 「もしよかったらな、
さっきの連中が降り立ったところまで、
一緒に行ってみようか。もちろん、近づけば
こっちの存在はわかるに決まっておる。  
でもな、ワシらは危ない奴とは違うんじゃよ~。  
敵でもないけど味方でもないよ~ってな。
いっぺんやってみんか」

「は、はい。よろしくお願いいたします」
「よし、行こう行こう」そう言うと、老人は
スタスタと田んぼの中を歩いて行った。
後ろをついて行きながら、ひとみは思った。
気張り過ぎていたんだ。それが、子供たちに
ビンビンに伝わってしまった。
押し付けだから、引かれてしまった。
だから・・・ウザイ。

老人が振り向いて言った。
「あのな、一つ頼みがあるんじゃがなぁ」
「はい、何でしょう」 「その双眼鏡、
ワシにも覗かせてくれんかな」
「いいですよ」と言い、老人に差し出した。
その時、ひとみは思った。
双眼鏡なんていらないのかもしれないと。
見よう見ようと思っていた自分の心に
気付いた瞬間だった。

「おおっ、こりゃいい! こんなに近くに見える! 
ウワッハハ」老人が大声で笑うと、
遠くにいた雁の群れが、
またまた一斉に空へと飛び立った。


《終わり》


歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…


「紅とんぼ」 ちあきなおみ




高倉 健も彼女のフアンと言われており、
この歌で ”しんみりしないで "ケンさん"  と
歌われている


人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば言い訳と、愚痴になるから……



朝日楼(朝日のあたる家) ちあきなおみ




時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる






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漢の韓信-80

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
「国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。



漢の韓信-80ー(背水の陣


趙の井(せいけい)で戦端を開いた韓信であったが、
彼の率いる軍は敵に比すと兵数において数段劣っていた。
その状況を打開しようとした彼がそのときとった行動は、
敵軍のみならず味方をも驚愕させるものであった。
それが、韓信の名を現代まで知らしめることとなった
背水の陣である。

彼のとった作戦はあまりにも突飛で、余人には
真似をすることも不可能であろうからだ。
ただ、現代において「背水の陣」とは
『一歩も引けない絶体絶命の中で、全力を尽くす』と
いう意の成語となっているが、このとき韓信は
敵に追い込まれて絶体絶命となったわけではなく、
自らそのような状況を作り出した、ということだけは
付け加えておく。

代という国は、もともと戦国時代には趙の一郡であり、
北のはずれにある。この時代には
項羽の諸国分割により独立の体をなしていたが、
事実上は趙の属国といってよかった。
代王は、名目上陳余である。

しかし陳余は政務を宰相の夏説(かえつ)に任せ、
自分は趙王の後見人として邯鄲にいることが多い。
戦略上重要なのは代より趙であるので陳余の気持ちも
わからないわけではない。
しかし置き去りにされた代の住民は哀れであった。
本来国を守備するはずの戦力は趙に持っていかれ、
代を守る兵は極端に少ないのである。
しかし、逆にこのことがかえって
代の国民を救うことになった、ともいえる。

「……守る気があるのか疑いたくなる陣容ですな」
軍事には明るくない通でさえ、そのように言った。
「陳余は代を失っても構わない、と考えているのだろう。
そのぶん趙の防衛は固めているに違いない。
しかし、いただけるものならいただいておこう」
韓信はそう話し、代城を囲んだ
(代は国名であるのと同時に都市の名でもある)。

「戦略上、無駄な戦いというものは、
敵兵にとっても味方にとってもよくないものだな」
そう話す韓信の隣には、蘭がいる。
韓信は蘭を危地には置きたくないと考えていたが
、蘭が応じなかったため、やむなく
常に目の届くところに置くことにした。

立場は幕僚といったところか。とはいっても
韓信は基本的に戦術は自分ひとりで考案し、実行する。
蘭には話し相手になってもらえればよかった。
頭の中だけで戦術を練るよりは、
会話をした方が構想を具体化しやすかったのだろう。

「将軍がそう言われますからには……
投降を呼びかけるのですか?」
蘭の問いに韓信はしばし考え、返答した。

「……いや、なまじ投降などを勧め、
相手が応じなければ籠城が長引く。
それでは付き合わされる住民にとってはいい迷惑だ。
速攻即決、これに限る」
韓信は兵力を集中させ、城門を撃ち破ると同時に
城内に騎馬兵を侵入させ、あっという間に制圧した。
宰相の夏説は逃亡し、西の閼与(あつよ)まで逃れて
抵抗を試みたが、そこで眼前に弓矢を構えた兵士を
目の当たりにし、硬直してしまった。

「民を思い、降伏するか。それとも代王への
忠節を果たすか。
貴公が忠節を果たそうと思えば、代の幾多の城市は
ことごとく焼け、民は死ぬ。貴公もやはり死ぬだろう。
しかし降伏すれば、民は救われ、貴公も死なずにすむのだ」

弓を構えた兵が言っているのではない。
その隣にいた兵がまるで通訳でもするように
語っているのだった。
「念のために聞くが、降伏したら、私の忠節はどうなるのだ」
夏説は恐怖におののいた声で、尋ねた。
「……代王はいずれ……我々が討つ。
死人に忠節を誓っても……意味はない」
弓を構えた兵士が、たどたどしい調子で答えた。
それは楼煩人のカムジンであった。

代は短期間で韓信の手に落ち、
宰相夏説は捕虜となった。
代の住民は戦乱に巻き込まれることが少なく、
このため漢の統治を容易に受け入れたという。
この戦いで得た代兵の捕虜は三千名ほどであったが、
韓信はやはりそれを劉邦のもとへ送った。


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る


歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…



美空ひばり 』



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば言い訳と、愚痴になるから……


時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる







P R
カビの生えないお風呂

お風呂物語

furo










妄想劇場・番外編(18禁)

妄想劇場・番外編(18禁)

信じれば真実、疑えば妄想……

時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる


f:id:campbll:20150526121810j:plain

18歳未満禁止の内容が
含まれています
18歳未満の方は
ご遠慮下さい。





メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい。



口伝つちのこ異聞(3)

ある日、トメという醜女が山菜採りに山へ入った。
歩くうち、開けた草地に出たところで
ぎょっとして足を竦ませた。
(蛇?) よく見ると人が寝ているのだった。
(ハツの倅…) トメが驚いたのは
『人』がいたからではない。
その股間から伸びた『◎◎』にびっくりしたのである。
まっ先に目に入ったのはそれであった。

トメは三十路を越えて独り身だったが、生娘ではない。
器量が悪いと嫁の口もなく、買い手もつかず、
下女のように一生働いて自分の食いぶちを
賄うしか方法はない。
そんな境遇の女が村には何人かいた。
彼女たちは盛りを迎えても相手がいないのだが、
ときおり他家の男が近寄ってきて、
尻を摩って藪に連れ込まれることがある。

女房が月の物で交われない時に
慰み物にするのである。
哀しいことに彼女たちはそれでも嬉しかった。
男は余計なことはせず、ただ押し込んで
道具のように使うだけだった。
だからトメも何人かの男の一物は目にしている。

ところが、 (これは……)
褌からはみ出た物は尺はありそうだった。 
(まるでネズミを呑んだ青大将だ…)
ごくりと唾を飲み込むと、◎◎がじわっと濡れてきた。
近寄ると、男は眩しそうに薄目を開けた。
トメは欲情を制御出来なかった。

「あんた、ハツさんの倅か?」 ハツのことは
子供の頃から耳にしている。
男は寝たまま顎で返事をした。
跪いて改めて一物を眺めた。
見ているだけで腰が抜けてしまいそうな大きさである。
「何してる、昼寝か?」
男はまた顎を動かした。

「あのな、今度卵持ってきてやる。ぼた餅も。
だから、じっとしてろ、な」 恐る恐る◎◎を握った。
根元の辺りはひと握りでは指先が届かない。
「あ……」 その時、むくむくと動き出した
◎◎はあっという間に天に向かってそそり立った。

たまげて思わず手を離したトメの◎◎から
溢れた◎◎が尻の◎◎まで伝い流れていった。
「後生だ、おらに貸してくれ」
言い終わらぬうちに跨って、当たりをつけると
腰を落とした。 (きつい…裂けそう…)

そう感じながらも痛みより目が眩む
◎◎の方が勝っていた。 ◎◎の奥にずんと突き当たる。
いっぱいに押し広げられたところを触ってみると、
◎◎は入り切っていない。これ以上は無理だった。
トメは激しく喘ぎながら屈伸して声を上げた。
引き抜いて仰向けに寝転んで一物を見ると
濡れ光ってぐんぐんとしなっている。

トメはそれから三度達して足元をふらつかせながら帰った。
巨大な◎◎はまだ隆々としていた。
村に戻った彼女は同じ境遇のサナエとトキにこの話をした。
そして翌日、三人は沢山の食べ物を担いで
◎◎の元を訪れた。

寝そべったまま餅を食らう男に跨って、
三人は代わる代わる差し込んで狂喜乱舞した。
「おお、すげえ、おお、すげえ」
それぞれ気をやった後、トメが両手で
◎◎を扱いてみると男が初めて唸った。
そして見上げるほどに精水を噴き上げた。
「おお!」 揃って昂奮の声を上げて見守っていると、
いったん瓜のように縮んだ後、
すぐにむくっと勃ち上がってきた。
「これはまた、なんてことだ」
「これならいつでもできるぞ」
「もう他の男はいらぬわ」 3人は小躍りして歓んだ。

それからしばらくして、ハツの家の方には
鹿を呑み込むほどの蛇に似た
化け物がいると噂が立った。
3人が申し合わせたのかどうか不明だが、
自分たちだけの愉しみを守りたい想いが
人を遠ざける作り話を生んだのかもしれない。

老婆はいったん言葉を切ってから、
「気味の悪い話なんですが、続きがありまして…」
その後、まぐわいを拒む女たちに
不審を抱いた男たちが、連れ立って
山に入る女等の後を付けて事の次第を知った。
そして歪んだ嫉妬に燃えた彼らの手によって
ハツの倅は殺され、土中に埋められてしまう。

ところが女たちは相も変わらず山行を止めない。
おかしいと思った男がふたたび後を追うと、
女たちは倅を葬った土饅頭の周りに輪を作って
餅や干し柿などを供えて拝み始めた。

男は間もなく恐怖に戦き、半狂乱になって駆け戻った。
何を見たのか。女たちが一心不乱に拝むうち、
土の中からは巨大な◎◎がタケノコのように
突き出てきたのだった。
女たちはそこに跨ると尻を落とし、
いとおしむように◎◎した。

「こんな話でな。大人だけに伝っている話で……」
「へえ…それは…。子供には話せないことですね…」
私が頷いていると、老婆はいっそう体を屈めて、
声をひそめた。
「実は、お願いがありまして、
無理なら忘れてもらいたのですが…」

真顔なので、心持ち私も顔を寄せた。
話を聞いて耳を疑った。
老婆の顔をまじまじと見つめた。
孫の嫁を慰めてくれないかというのである。
隣室の気配を窺った。
布団を敷きにいったきり戻ってこないのは
隣にいるのだろうか。

「あの娘も淋しいはずです。ここへ来てから
一歩も村を出ていない。
こんな婆でも男を知った女の体の切なさは
よく憶えております。だからといって、
誰にでも頼めることではないので……」
私が口が固く、信頼できそうだというのである。

「しかし…」と言いかけて、言葉が続かない。
据え膳……といっていいのか、とはいえ、
そんなうまい話に出合ったことがないので
何と答えていいか分からない。
それに話の出所が祖母からなのだ。
私はようやく、「ですが、ご本人のお気持ちが…」
濁しながら迷いを伝えた。

「ご心配には及びません。確かめてあります。
本人の望みでもあります。
恥をかかせることはありません」
それだけ言うと、立ち上がって土間に下りた。
「あとは頼みましたよ」 奥から女の返事が聞こえた。
老婆が外へ出ると、女は引き戸を閉めて鍵を掛けた。

「祖母は離れで休むんです。
朝まで来ることはありません」
私に言い聞かせるような言い方だった。


続く

Author :まきお
http://syosetu.net/pc/


人が世間をつくるのか 
世間が人をつくるのか 
渡る浮世のネオン街 
いいことばかりじゃなかったわ 
悲しいことが多かった 
酒に酔いしれ つぶやく言葉 
いつも女は哀しいものよ 
今度は男に生まれたい……



「かまきり夫人の告白」予告編




Tinko_2
人の為(ため)と
書いて
いつわり(偽)と
読むんだねぇ




誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……






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カビの生えない・お風呂

お風呂物語

furo










2015年7月 6日 (月)

漢の韓信-79

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin

韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
「国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。


漢の韓信-79ー(愛・反間・苦肉


「漢が韓信を使って北の諸国を
討伐しているのは憂慮すべき事態だが、
これは逆に絶好の機会でもある。
つまり、本隊の守備に韓信はおらず、
漢を降すにいまより好機はないのだ! 
和睦などもってのほか。
今すぐ士卒に命令なさって陽を陥とすのです」

范増は口から唾を飛ばしながら、力説した。
しかし項羽はすでに范増を疑い、
その言葉に従う気はない。項羽は言った。
「亜父、我々の敵は漢のみにあらず、
後方に斉もいる。いまわしが陽を
本気で陥とそうとして自ら出撃したら、
彭城は斉に奪われるだろう。

それとも亜父はそれを見通してわしに
献策なさるのか?」
范増は目を剥いた。項羽が自分に対して
このような口の聞き方をしたのは初めてである。
「なにを言っておられるのか。
陽を獲ればよいのだ。
彭城がその隙に奪われることがあっても、
あとから奪い返せばよい。
王にとって先に潰す相手は、斉より漢だ。
なにを迷われるのか」

「……亜父、貴公を亜父などと呼ぶのは
今日でやめにして、他の武将と同列に扱うことにする。
以後は後方へ下がれ。
それが不満ならば劉邦のもとに馳せ参じるがよかろう。
本来漢に通じていることなど許されない大罪ではあるが、
貴公のこれまでの功績をかんがみて、
特別に不問に付す」

范増は耳を疑った。「大罪? 不問? 
なんのことだ。王はわしが漢に
内通でもしていると言っているのか? 
王よ、気でも狂ったのか?」

「黙れ! 貴公の裏切りはすでに明らかだ。
殺されないだけでもましだと思え」
項羽はついに怒気を発した。
范増はいたたまれなくなり、退出せざるを得なかった。

いったいどういうことか?
范増は身に覚えのない疑いをかけられ、
その原因を探った。
それは間もなく明らかとなったが、
漢の詭計に陥った項羽に落胆した范増は、
自らにかけられた疑いを晴らそうとはしなかったという。

「天下はだいたいおさまったことだし、
あとは王自ら治められますよう。
わしのような老将はもはや必要ありますまい……
骸骨を乞い(辞職を申し出ること)、
(一身を捧げてきたが、骨だけは返してもらいたい、
という意。
故郷に帰らせていただこうと存じます」

項羽はこれを許し、范増はひとり彭城に向かったが、
その途上で背中に悪性の腫瘍ができ、
それがもとで死んだ。
范増の死は病気が原因ではあったが、
憤死といって差し支えなかろう。

項羽が真相を知ったのは、
范増の死後間もなくである。
漢による詭計だと判明した結果、
鍾離眛など諸将はその地位を回復したが、
范増はすでに亡く、取り返しがつかなかった。
そのため項羽は劉邦を激しく憎み、
いっそう陽の囲みを強化した。
漢・楚の対立は激しさを伴い、続いていく。


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.

愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る



歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…



  夢芝居 』 美空ひばり



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



『しのぶ 』 美空ひばり



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる







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カビの生えないお風呂

お風呂物語

furo










2015年7月 5日 (日)

妄想劇場・番外編(18禁)

妄想劇場・番外編(18禁)

信じれば真実、疑えば妄想……

時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる


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18歳未満禁止の内容が
含まれています
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メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい。



口伝つちのこ異聞(2)

檜風呂ならセールスポイントになる。
すぐに書き換えればいいのに……。
部屋にはエアコンが設置されている。
見たところ最近のものではなさそうだ。
(たしか、冷房なしとあった…
あのホームページはいつから
更新されていないのか…)

ともかく、山に囲まれているとはいえ、
高山ではないのでクーラーがあるのは有難かった。
煙草を喫いながら一息ついて考えた。
道々の様子から観光のための整備は
されていないようだし、素朴な景色は
味わい深いとは思うが、特に
風光明媚というわけでもない。
(予約が殺到する魅力がどこにあるのか)

料理はこれからだが、
驚くものは期待できそうもない気がした。
何か貴重な名産品があったろうか。
思い浮かばない……
だが、(もう来てしまったんだ…)
半ば諦めの気持ちだったが、
落胆というほどのものでもない。
(たまにはいいだろう)
明日は早めに立ってどこか回って帰ろう。
私は地図を広げていくつかの予定を立てた。

風呂から出ると囲炉裏端に食事の
用意が整っていた。ヤマメの塩焼き、
山菜の天ぷら、猪とおぼしき肉のみそ焼き…。
丁寧な作りではあるが、山里の宿として
想像の域を出ない料理が並んでいた。
「檜の香りがしていていいお風呂でした」
女は微笑みを返し、囲炉裏にさした
ヤマメの串の焼き加減を見ている。
作務衣から覗く手や項の白い肌が
潤いを滲ませている。
「そうですか。それはよかったです。
よろしければ後で火を落として
ぬるくしておきますから、お休み前に
もう一度お入りになってください。
さっぱりしますから」
「ぜひそうなされ。よく眠れます」
老婆も口を添えて頷いた。

サービスだと出された酒は実に美味かった。
さっぱりとしていながら深みとこくが混在して、
その中に優しさを感じる味わいがあった。
買って帰りたいと思って訊ねると、
市販されていないという。
「濁り酒を一度だけ漉したもので
清酒にはない円やかさがあります」
女の説明を聞きながらよく見ると
微かに澱んだような色合いがある。
「実は許可を受けていないので、
外には出せないのです。
それにたくさんは造っていませんし。
でもお客様の分はありますから
お好きなだけどうぞ」

私が食事をしている間、二人とも隣室で
食事を摂っていたようだ。
会話は聞こえなかったが食器の物音と
気配がしていた。
食後、ふと思い出し、
『つちのこ』のことを女に訊いてみた。
「村の名前にもなっているということは、
何かいわれがあるんですか?」
女は息を止めたように頷き、
「昔のことは祖母が詳しいので……」
そばにいた老婆は頷いて微笑んだ。

「お蒲団を敷いてきます」
女の後姿を目で追っていた私は、
彼女の言葉が気になった。
(祖母と言った…たしか、嫁ではなかったか…)
「お嫁さん、ですよね?」
老婆は怪訝な顔を見せてから、
質問の意味を理解したようで、
「あのう、孫の嫁なので…」
孫は三年前に事故で亡くなり、
彼女は子供もなく独り身だったので
民宿を手伝ってくれるようになったのだという。
「私一人ではどうにも大変ですから。
助かっています」

息子夫婦は東京で家を持っているので、
たまに遊びに来るだけらしい。
「若いのに偉いですね」
老婆は私に酒をすすめた。
「つちのこの話ですが、
十里四方に昔からあったもので…」と
語り出した。

話の内容は土地によって異なるという。
「この村にだけ伝わる話がありましてな。
今夜は殿方お一人なのでよろしければ
お話しましょうか」
老婆は腰を屈めたまま上目使いで私を見上げた。
「昔、この村にハツという娘がいてな…」
ハツは器量よしで子供の頃から評判だった。
年頃になると近在の誰もが羨んだものだった。

『これは高く売れる』と……。
村には不思議な血の流れがあって、
滅多に男が生まれなかった。
だから女でそこそこの器量の娘は、
家が裕福なら他の村から養子をもらうか、
そうでなければよそに売られていくしかなかった。
ハツの家は貧しい小作農家で、
幸い長男がいたので彼女は当然
売られるものとみんな思っていた。

ところがあまりの美しさに名主の跡取りが
手を出してしまった。
舞い上がったのは男を知ったハツの方だった。
女の身でありながら自ら夜這いをかけるほど
入れ込んだ。しかし、
夜な夜な乳繰り合ううちに孕んでしまい、
やがて名主の知るところとなって大騒ぎになった。
激怒した名主はハツの家を村八分にしてしまった。
小作としては何も言えない時代であった。
ハツの親も傷物にされて娘の値が落ちたことで
怒りをハツにぶつけて家を追い出した。

ハツは山にこもって一人で子を産んだようだ。
山に住んでいることはわかっていたが、
その後どうやって彼女が暮らしていたのか
誰も知らない。
ひもじさに耐えられなくなったのだろう、
真冬の雪の中を物乞いをして歩いている姿を
見かけることもあった。
気の毒に思う村人もいたようで、
餅などを分け与える者もいたらしい。

月日が経ち、ハツの親も亡くなり、
息子も村を出て家は絶えた。
その家に大男が住み始めたのは
いつからなのか定かではない。
「ハツの倅だ」という噂が広がった。
別に悪さをするわけではないので
みんな関わらないようにしていた。


続く

Author :まきお
http://syosetu.net/pc/


歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡


替え歌 (※黒い珊瑚礁 )



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人の為(ため)と
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いつわり(偽)と
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誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……






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カビの生えない・お風呂

お風呂物語

furo










漢の韓信-78

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
「国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。


漢の韓信-78ー(愛・反間・苦肉



このころ、陽の漢軍は窮地に立たされている。
漢は陽から秦時代からの穀物倉である
敖倉につながる甬道(ようどう)を築いてこれを
補給の要としたが、楚は断続的にこの甬道を急襲し、
分断した。これにより、陽には
飢えの気配が漂い始めている。

「やはり当初の構想どおり、陽以東は
楚にくれてやるのが得策かもしれぬ。
誰が何と言おうと、和睦じゃ。それ以外どうしようもない」
劉邦はそう弱音を吐いたが、張良を始めとする諸将は
諦めがつかない。

いまに、韓信は西魏を降し、趙・代を降すに違いない。
さらに燕・斉を降すことができれば
大陸の北半分は漢の勢力圏となるのである。
これに加えて、南には新たに参じた黥布を淮南に派遣し、
楚の後背を突く計画を立てている。これが成功すれば、
楚を完全に封じ込める包囲網が完成するはずであった。

さらには彭城と陽の中間に位置する梁
(かつての首都大梁などの魏の中心地域)周辺では、
彭越が神出鬼没的に兵を率いて出没し、
楚の補給路を断っている。
ここで劉邦率いる本隊が和睦を結んでしまっては、
せっかくの彼らの活躍もまったく無意味なものに
なってしまうのだった。

「誰かいないか? わしのかわりに
全軍を指揮する者は?」
その漢王劉邦の痛切なる願いに応えたのが、
新参の護軍中尉、陳平であった。
陳平は劉邦の前に進み寄り、奏上した。
「私の腹づもりでは、項王は情にもろいお方、
こちらが頭を下げ、和睦を請う形をとれば
必ずや了承します。
しかし強硬派の亜父范増などは反対いたしましょう。
そこにつけいる隙が生じるかと存じます」

「項羽の性格……
あれは情にもろいというのだろうか? 
わしが思うに、やつは暴虐だ」
劉邦は疑問を呈してみせた。
「暴虐なのは、敵に対してのみです。
項王は自分に敵対する相手を無条件に
憎むことができますが、逆に味方に対しては
愛情をもって臨みます。
これは項王が愛憎のみで動く人物であることを
示しています。
これを逆手に取れば……はっきり言って、
項王に取り入るのは簡単です」

「しかしわしはかつて鴻門で項羽に頭を下げ、
それから態度を翻すかのようにして今に至っている。
それでもやつは和睦を承諾するのか」
「するでしょう。しかし、先ほども言った通り、
項王が承諾しても范増が反対します。
和睦は結局成立しません。
そこで私は策を弄し、彼らを切り離そうと思います」

劉邦は陳平に軍資金として黄金四万斤を与え、
それを自由に使わせて工作に当たらせた。
それは、反間(はんかん)(スパイの意)の
策であった。
劉邦は陳平がどのように金を使おうと文句を言わず、
出納に関しては報告の義務なし、としたという。

それをいいことに陳平は、漢の軍中から
数名を選び出して楚軍に寝返らせて、
これを反間としたのである。もちろん、
後の厚遇を約束してのことであった。
もともと陳平は楚で項羽の配下にあった男なので、
楚軍中の事情には詳しい。

彼は楚軍を内部から切り崩すために具体的な標的となる
人物を定め、彼らに不利益な流言をばらまかせた。
そのうえで陳平は項羽に和睦を申し込んだ。
項羽はこれを受けようと考えたが、
諸将が必死になってこれを止めにかかった結果、
この時点での和睦は流れた。

しかし、これは陳平の予測の範囲内であった。
陳平は和睦がならないと知ると、
ここで反間に命じ、噂が項羽その人の耳に
入るよう工作をした。

その噂は次のようなものである。
「将軍鍾離眛は功が多く、項王に
珍重されてはいるが、それでも未だ王侯とはなれず、
自らの土地も持たない。このため彼は
漢に寝返ろうとしている」
この種の噂は鍾離眛のみならず、
范増を始めとする他の楚将に対しても
同様に流された。

項羽が部下に恩賞を施すにあたって
吝嗇だとされている噂を利用したのである。
感情が多く、根が単純な項羽は、これで部下を
信用しなくなった。
鍾離眛は前線から戻され、後方に待機を命じられた。
范増はしきりに総攻撃を主張するが、
項羽は范増に裏の意図があることを疑い、
いうことを素直に聞かなかった。

ついに項羽は使者を漢に送り、
独断で和睦を前提とした交渉を行うに至る。
漢軍の陣中に至った項羽の使者たちの目にしたものは、
歓待の渦であった。
太牢(たいろう)といわれる豪勢な料理、
それを目前で調理するための巨大なまな板や
鼎(かなえ)さらには調理人までその場に待機していた。
使者たちが食いたいものをその場で調理して
提供しようということらしい。

「このような厚いおもてなしを……
項王がこれを知ったら、きっと漢王を
厚遇いたしましょう」使者の一人が
そう口にした途端、劉邦、陳平を始めとする
漢軍の誰もが白けた表情を見せた。

「項王……? 我々はみな、てっきり君たちのことを
亜父范増の使者かと思っていたのだが……
勘違いのようでしたな。なるほど、
項王の使者か……いや、失礼申した」

あっという間に豪勢な食事の類いはすべて片付けられ、
かわりに粗末なものが提供された。
使者たちが驚愕したことは言うまでもない。
これは……范増が漢に通じているということだ!
使者たちはそう確信し、
帰ってその旨をつぶさに項羽に報告した。
これによって項羽は范増の裏切りを信じたのである。


つづく

Author :紀之沢直
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愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る



歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…



美空ひばり 「すきま風



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



美空ひばり 「ひばりの佐渡情話」



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる







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カビの生えないお風呂

お風呂物語

furo










2015年7月 4日 (土)

漢の韓信-77

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
「国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。



漢の韓信-77ー(愛・反間・苦肉


「使嗾されて不安な気持ちを催されるのであれば……
?通さまを遠ざけてはいかがですか?」
「そうしたところで漢王の気持ちが変わるわけでもあるまい。
?先生は……あれはあれで私のことを
高く買っているところがあってな……。
無下に扱うのは申し訳がないのだ。
子供っぽい言い方かもしれぬが……
彼ほど私を褒めてくれる人物は、実はそうそういない」

「私は、将軍を高く評価することにかけては、
?通さま以上です」
「……?先生がそう言え、と言ったのだろう。
それとも君も私に叛逆を勧め、王となれと使嗾したいのか」
「違います。私はただ将軍のことを……
お慕い申し上げます、と言いたいのです」

「……からかっているのか」
「そんな……本気です」「…………」
二人の間にしばしの間、沈黙の空気が流れた。
「……私は作戦行動中は、あまり自己を
甘やかさないように心がけている。食事は簡素に、
睡眠も短くとり、よほどのことがない限り、酒も飲まない」

「そうでしょう。私も将軍がお酒を嗜むお姿を見るのは、
今日が初めてです」
「もともとそれほど酒が好きなわけではない。
いま目の前にしているこの酒にしても、
いいものであることには違いないのだろうが……
実を言うと私には酒の味など、よくわからない。
多く飲めば酩酊する、それだけだ。私は、それを嫌う」
「なぜ?」

「……かつて上官だった項梁は、酒に酔って
正確な状況判断ができず、そのおかげで
私の目の前で章邯に惨敗し、死んだ。
あのときの衝撃は、忘れられない……
それゆえ私は常に正気でありたい、と望んでいる。

女は……男にとって酒と同じようなものだ。
深くのめり込みすぎると、正気を失う」
「将軍がそのように自己を律しておられることは、
素晴らしいことだと思います。……
ですが、将軍……酒の味も知らず、女も知らずでは、
人生の半分しか知らないのと同じでございます。
深くのめり込まず、適度に味わえば、
酒も女も人生を彩るものとなるのです」

「……だから君のことを適度に味わえと……
そう君は言っているのか?」
「! ……将軍。そのような言い方は、
いやらしゅうございます」
「すまぬ。自分でもわかっているのだ。
私は過度に自己を押し殺し、そのためか
たまに耐えきれなくなり、はち切れるようになることがある。

若い頃、私は自分で生活することができず、
よく人の世話になった。……
私は彼らの好意に感謝しつつも、自分自身が情けなく、
それに我慢しきれなかった。
思うに私にはいい意味での厚顔さが足りないのだろう。
人の好意に触れるたび、私はそれを恥に思い、
常に自分から絶交を持ちかけたものだ」

「…………」「かつて旧友の鍾離眛は、
楚の項梁のもとに参じる際に、私を誘った。
私は意地を張り、それを断った。
しかしそれでいながら私は……
結局項梁のもとへ参じたのだ。
そのとき眛はそれを咎めもせず、
推挙してやる、とまで言ってくれた。

だが私はそれも断り……いまとなっては
お互いに殺し合うような仲と成り果てている。
私が素直に眛の誘いに従っていれば
避けられた悲劇だ。いったい誰を責められよう、
すべて私の責任にほかならないのだ」
「…………」
「蘭、君の好意も私は素直に受け入れられないでいる。
軍服姿の君は、凛々しく魅力的だ。
それにもまして今宵の君は、まったく違う印象で……
やはり美しい。
しかし駄目だ。私の手は、敵兵の血で汚れている。
君はもう人質ではないのだから、私のもとを離れ、
もっと清廉潔白な男を見つけてどこか平和な地で暮らすといい」

「……将軍は、父を死に至らしめた章邯を
廃丘に追い込み、そしてこのたびは魏豹を……。
将軍は私にとって英雄なのです。
どうかお近くに置いてください。
そしてわがままを申すならば、私は将軍の
いちばんお近くに居たいのです」

「そうすれば君が私の人生の半分を
教えてくれる、というのか。
君がそばに居ることで、私の人生が
彩られる、というのか?」
「そうありたい、と思っています。どうです? 
私は将軍と違い、自分の気持ちに素直でしょう?」

「……ふむ。どうすれば、
そのように素直になれるのだ?」
「さしあたっては、私の身を将軍に捧げます。
将軍はなにも言わず、それをお受け取りくださいませ」
「私に、君を抱けと言っているのか?」
「……将軍、私は、なにも言わずに、と申しました」
蘭の態度に媚びる様子はなかった。
彼女は私を抱いてください、と韓信に
懇願しているのではなく、
私を抱きなさい、と言っているのだった。


つづく 

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.

愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る



藤圭子:おんな道


歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…



おんな道
作詞:浜圭介・作曲:浜圭介


生まれた時から みなし子で
親の顔さえ わからずに
夜に生まれて 夜に育った 女の姿
嫌なお客に せがまれて
男の枕に されながら
つくる笑顔も 生きるため


おんな道 三善英史 浜真二(浜圭介) 





人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる



南 夏希「おんな道」









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カビの生えないお風呂

お風呂物語

furo










妄想劇場・番外編(18禁)

妄想劇場・番外編(18禁)

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!

信じれば真実、疑えば妄想……

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18歳未満禁止の内容が

含まれています
18歳未満の方は
ご遠慮下さい。






時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる



アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい。


ひと頃『つちのこ』ブームが世間を騒がせた。
若い世代の中には何のことか分からない向きもあるだろう。
蛇に似た胴の太い架空の生き物である。
もっともいまだに実在すると信じてやまない人たちも
いるようだから、そこは濁しておこう。

もう30年以上も昔のことである。
各地から目撃情報が寄せられ、
その度にレポーターがマイク片手に
山野を歩き回ってまことしやかに『怪事件』を
伝えていたものだ。
中には死体や抜けがらの写真まで現われたが、
どういうわけか実物がない。
写真もピンボケでよく写っていない。

『つちのこ大捜索』と称した特別番組まで
編成されたが、見つかったのは
数匹の蛇だけだった。
専門家の意見はほぼ一致していた。
獲物を呑み込んだ腹の膨れた蛇という説である。
発見者には懸賞金を出すと宣言した自治体もあった。
話題作りとはいえ、どれほどの効果があったのだろうか。
最近はマスコミが取り上げることは
皆無に等しいが、今でも『つちのこ』を
観光に利用している町や村はある。

私が昨夏訪れたN村もその一つである。
戸数二十ほどの小さな村で、
『つちのこ民宿村』と謳って、
全戸が宿泊できるようになっている。
ホームページを見ていて、ふと興味を抱いたのは、
つちのこに関してではない。
セールスポイントが気になって目を留めたのである。
『温かいおもてなし。各戸一日一組限定。
男性のひとり旅歓迎』
女性ではなく男性である。
男性というのは聞いたことがない。
予約状況を見て驚いた。ほとんど埋まっている。
温泉があるわけでもなし、
冬には雪に埋もれてしまうほどの豪雪地帯である。
茅葺き屋根の村落の写真が載っている。
懐古趣味や田舎暮らしに憧れをもつ人たちも
少なくないが、その流れに乗ったものなのかと
思いながらも気になる記載があった。

『連泊不可。冷房不備。五右衛門風呂。
トイレは水洗ではありません』
都会から訪れる人たちは、ふだんの生活に
備わっているものは当然どこにでもあるものだと
考えている。
さらに案内は続く。 『○○駅より徒歩四十分。
バス、タクシーなし。送迎はありません』
いいことが一つもない。
あらかじめ苦情を回避するためのものか、
あえて不便さを逆手にとっているのか、
どちらにしても女性が好む所ではないと思われた。
それなのに予約が多い。
料金は一泊二食付きで六万円である。
この情報からすればいくら一日一組とはいえ
高いと思う。 なぜなのか……。

私が申し込んだ理由はそれに尽きる。
特別な料理が出るのか、珍しい酒があるのか。
それは期待にはちがいないが、
むしろ好奇心、話の種にという
気持ちの方が強かった。
週末は三か月先までいっぱいだったので、
有給をとって平日の予約をした。
どんな所なのか、早く確かめたかったのである。
梅雨明け直後の猛暑の中、
私は駅からひたすら歩いた。
実を言うと高をくくっていた。
駅があるのだからタクシーの一台くらい
あるだろうと考えていたのだ。
だが、降り立ってみて、『案内』に
納得せざるを得なかった。
無人駅というだけでなく、付近に人家がない。
遠くにぽつぽつと農家らしき家は見えるが
そこまでかなりの距離がある。
地図によると『村』はその方向とは
反対の山に向かって行くことになる。
私は何度か駅の方を振り返り、
その存在の意味を疑った。
(どれほどの人が乗り降りするのだろう……)
三十分ほど歩いて登りにさしかかって間もなく、
『つちのこ民宿村』の案内板があった。
そこからは山林を縫うように続く山道である。
西日が木々に遮られていくらか涼しく
感じられるものの、すでに全身は汗まみれだった。
視界が開けたのはほぼ駅から四十分、
案内通り村を見渡せる場所に出た。
山懐に点在する茅葺き屋根。陳腐な感慨だが、
日本の原風景とはまさにこの光景だと思った。
屋根が反り立っているのは、
冬場雪が深いからだろう。
陽が山の端に隠れ始めて薄暗くなってきた。
案内所と書かれた一軒を訊ねると、
野良着姿の女が出てきて丁寧に頭を下げた。
ノートを見て確認すると、村の略図を渡された。
「タノヤという家です。
道は一本ですからすぐわかります。お寛ぎください」
私が歩き出すと山道から旅行者らしい男が一人、
やって来るのが見えた。
『田の屋』とは屋号であった。
腰の曲がった老婆に迎えられて中に入ると、
薄暗い土間と囲炉裏の火がちらつく
居間がひろがった。
「遠いところ、よく来てくれましたな」
かまどには火が焚かれて鍋や窯が湯気を立てている。
「かまどを使ってるんですか?」
「ここではいまでもそうです」
梁も柱も黒光りしている。相当の歴史を
感じさせる風格ある建物である。
「いらっしゃいませ」 土間の奥から現われたのは
割烹着姿の女だった。
物音がしていたので人がいることはわかっていたが、
微笑む女を見て、私は思わず言葉に詰まって、
心を乱した。
彼女は若く、艶やかで、あまりにも
この場にそぐわない輝きを持っていた。
「うちの嫁です」 齢の頃、三十前後だろうか。
萌黄色の作務衣が、地味で落ち着いた雰囲気と、
しっとりした、たおやかな演出を果たしていた。
「どうぞこちらに」 女に従って一番奥の部屋に
案内された。途中、見たところ
八畳ほどの部屋が三つあった。
「手を入れていないのでそのままの部屋ですが、
ごゆっくりなさってください」
たしかに改装した様子はない。
ただ、ここの畳だけが青々としているのは
客間ということなのだろう。
「お風呂が沸いていますので、いつでもどうぞ。
温泉ではありませんが、薪で焚いていますので
お湯が柔らかです」
「五右衛門風呂だとか」
女はちょっと含み笑いをみせて、
「それはいまはありません。
檜風呂に替えましたので…」
そう言うと部屋をあとにした。

続く

Author :まきお
http://syosetu.net/pc/


歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…


替え歌 (※小柳ルミ子 お独り様ね )




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人の為(ため)と
書いて
いつわり(偽)と
読むんだねぇ




誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……






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カビの生えない・お風呂

お風呂物語

furo










2015年7月 3日 (金)

妄想劇場・一樂編

妄想劇場・一樂編

信じれば真実、疑えば妄想


昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー


Mituo

人の為(ため)と
書いて
いつわり(偽)と
読むんだねぇ






『地図を作ろう!・・・』


大沢ユカリは、コンビニのバイトをしている。
なぜなら・・・就活に失敗したからだ。
大学を卒業はしたものの、就職試験に落ちまくった。
失意の中、派遣会社に登録。
ケータイの販売会社の営業、イベント会社の事務、
マンション販売の補佐など、 いくつかの仕事を
短期間に転々とした。

「やりたい仕事」が見つからない。
さらに、「誰も自分のことを認めてくれない」。
そんな思いで、悶々とした日々を過ごしていた。
かといって、霞を食って生きるわけにもいかない。
食べるために仕方なく、家の近くのコンビニで
バイトを始めた。
そんな仕事とバカにしていた。
絶対に、自分がやる仕事ではないと思っていた。

ペコペコしてレジを打つなんて、
ユカリのプライドが許さなかった。
「嫌ならいつでも辞めてやる」と思ってレジに立っていた。

ところが、である。
ユカリはそこで、カミナリに撃たれた。
もちろん、本物のカミナリではない。
水野さんというバイトのオバサンだ。
小太りで背が低く、とうに60歳を過ぎていると思われる。
ちょっと、動きが緩慢で、のろのろもしている。
しかし、ずば抜けて「デキる」人なのだ。
「水野さんがいるから買いに来る」というファンの
お客さんもいる。

常連のお客さんの、おにぎりの好みの具の
種類を覚えていたり、
元気のない大学生がいると優しい声を
掛けてあげたりする。
どう見てもヤバそうなお兄さんにも、
堂々と注意する。
オーナー店長ですら、一目を置いているくらいだ。

ユカリは水野のオバサンに勝手に弟子入りした。
サービスの達人になろうと。
オバサンは、最初のうちは迷惑そうだったが、
聞けば何でも教えてくれるようになった。
ユカリは、今、コンビニの仕事が
面白くて面白くてたまらなくなっていた。

そんなある日のことだった。
「ねえ、このへんにガソリンスタンドなかとですか」
「ありますよ」
スーツを来た、中年のサラリーマンだった。
ユカリは、店の前の国道を差して答えた。
「これを左に真っ直ぐ行って、二つ目の信号を・・」

道を尋ねたサラリーマンが出て行くと、
水野のオバサンがユカリに話し掛けた。
「ねえねえ、ユカリちゃん」
「はい」
「ガソリンスタンドってよく訊かれるわね」
「はい、
私も三回目かな、それでパッと答えられたんですよ。  
今の人、ちょっと手前のところで
ガス欠になっちゃったらしくて」
「あのね、頼みがあるんだけど」
「何です?」
「地図を作って欲しいのよ、
パソコンでチャチャッとね。
私、そういうのオンチだから」
「地図って?」
「よく訊かれる所を書き込んだ地図。
それをね、道を訊かれたたら渡すのよ。  
この周辺のだいだいの地図さえ作っておいたらいいのよ。  
載ってない場所を訊かれたら赤ペンで
印してあげければいいの」

ユカリは、水野のオバサンの弟子のつもりだった。
しかし、何でも素直に聞けるわけではない。
「そんなぁ~。ホテルのフロントじゃあるまいし。
今日みたいに教えてあげたらいいじゃないですか」
「ううん、それはそうだけどね。
でも、その方が親切かなって」

「だって、さっきの人だって、
何にも買わずに帰っちゃいましたよ。  
普通、買うでしょ! ジュースか何か。
それが義理ってものですよ」
「・・・」
「それに、あの人、九州の訛りがあったし。
ひょっとすると、営業でこっちへ来てるのかもしれないし。  
そうしたら、いくら親切にしたって
二度と来てくれないと思いますよ」

水野のオバサンは、けっして不満そうな様子もなく、
「そうねぇ」とだけ返事をして菓子パンの
賞味期限のチェックの作業を始めた。

そこへ、店の前に、一台のタクシーが乗り入れてきた。
ドアが開くと、運転手が飛び出して店内に駈け込んできた。
被っていた帽子を取って、小さくおじぎをした。
「すみませ~ん」
レジのユカリのところにやって来た。

「あのあの・・・このへんに、
安藤医院ってありませんか?」
50代後半の男の運転手。ツルツルの頭に
噴き出した汗をハンカチで拭っている。
「安藤?」
「カーナビでは、こんへんらしいんですけど。
ぐるぐる回ってもわかんなくて」
「医院って病院ですか?内科か何か?」
「いえ、鍼灸です。

お客さんが車で待ってて急いでいるんだけど、
困っちゃって。  
予約時間に間に合わないらしくて」
「シンキューって?」
「あ、はい。針とかお灸の鍼灸です」
「ああ!」ユカリは思わず頷いた。
ついこの前も、同じところの道を尋ねられたことがある。

「それだったらですね・・・」
ユカリは、レジから出て、運転手に教え始めた。
「あのですね。ちょうど、うちの店の裏手になるんです。  
店を出て、一旦、左に曲がってください。  
一通なので近いけど右に行くと
遠回りになっちゃいますから。  
左に曲がったらね・・・ええっと細い路地があって・・・」

そこへ、そばで聞いていた水野のオバサンが
口をはさんだ。
「ユカリちゃん、連れてった方が早いわよ。  
あそこ、看板が出てないからわかんないのよ。  
普通の家で、一人暮らしのお爺さんがやってるから」
「え? ・・・でもお店が・・・」
「いいから、いってらっしゃい」
「はい。運転手さん! 助手席に乗せてくれる? 
案内するから」
「え? いいんですか?」
「早く、早く。お客さん怒っちゃうわよ」
そう言うと、ユカリはもう店の外へと飛び出していた。
水野のオバサンの声が聞こえた。

「帰りは走って来るのよ~! 
オーナーに叱られちゃうから~」

それから、ほんの5分後。
ユカリは、あの運転手のタクシーに乗せてもらって
店に帰ってきた。
一緒に着いてきた運転手は、店に入ってくるなり
奥の冷蔵のコーナーに足を向けた。
そして、レジに戻ったユカリに微糖の
缶コーヒーを差し出した。

「ホントにありがとうございます」
「いいえ・・・」ユカリはポッと顔を紅らめた。
「仕事柄、よく道を尋ねるんです。  
でもね、その場所まで付いて行ってもらったのは
初めてで。せめて・・・これくらいしか・・・」
「いいんですよ、別に買ってもらおうと思って
案内したわけじゃないですから」

ユカリは、ドキッとした。
今、自分は何て言ったのか。
たしかに「別に買ってもらおうと思って
案内したわけじゃない」なんて言った。

仕事をするって、お金をもらうことだと思っていた。
何かをしたから、対価としてお金をもらう。
そういうものだと思っていた。

いや、今だって、そう思っている。
なのに・・・。買ってもらわなくて、
運転手さんに、喜んでもらいたいと思った。
役に立ちたいと思った。間違いなく、
自分の中で、何かが変化している。

頭をなぜながら、真面目な顔をして運転手は言った。
「近くを通ったら、今度は弁当を買いに来ます」
「気にしなくても・・・」
「気にするんです。ううん、そうじゃない。  
気にいったんです、ここが。絶対に来ますからね!」

そう言うと、鼻歌を歌いながら手を振って、
バーイというポーズを取り、
車に乗り込んで行った。
ユカリは、決めた。今夜、地図を作ろうと。……


《終わり》

Author :志賀内泰弘


歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…



少年記
作詞:吉田旺・作曲:中村泰士


下駄の鼻緒が 切れたとき
白いハンカチ 八重歯で裂いて
だまってすげて くれたヒト
あゝ くれたヒト
おねえさん? はつ恋屋敷町
そのあとぼくは オトナになりました
三月一日 花ぐもりでした




三善英史、本名・田村照彦。
東京渋谷区で生まれた。
母は渋谷円山町の売れっ子芸者だった。
幼少期から彼は父親のいない生活を送った。
島倉千代子の歌にやさしさを求め、
水前寺清子の人生の応援歌を聞いては、
自らを奮い立たせた。

昭和47年、照彦少年は三善英史になった。
「雨」は発売同時からヒットチャートを駆け上り、
新時代の花形歌手に成長。
続く「あなたが帰るとき」も大ヒット、

さらに翌年には、自分の母の身の上を歌った、
母になれても 妻にはなれず……の
「円山・花町・母の町」、そのあと
ぼくはオトナになりました…の「少年記」。
その意味深モードが女心をくすぐって、
みごと「紅白歌合戦」に初出場を決めました。



誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる






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きれいなお風呂・宣言

お風呂物語

furo












2015年7月 1日 (水)

チャンネル掲示板

チャンネル・ニュース

幸せがつづいても、不幸になるとは言えない
 不幸がつづいても、幸せが来るとは限らない



Mousou









昨日という日は歴史、 今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

『じいちゃんとばあちゃん

じいちゃんとばあちゃんが2人で暮らしていました。
ばあちゃんはボケが進んでた。
じいちゃんが介護してた。いろいろ大変だったけど、
会話はできているようで、人が思うほど
大変じゃないよって言ってた。

ばあちゃんの家に行くと、いろんな事が紙に書かれていた。
「冷蔵庫は閉めましょう」「電気は消しましょう」
「トイレは←」「ふく、くつした↓」とか、
いろんな字がじいちゃんの手で半紙に筆で書かれていた。
書いてあれば守ってくれるんだって。

じいちゃんはいつも一緒にいてあげたけど、
どうしても区役所とか病院に
薬をもらいにとか出かける事があった。
心配だけど「外には出ないこと」と玄関に
書いておけば、大人しく待っていてくれたんだって。

ある日、じいちゃんが出かけた。
もちろん玄関には「外には出ないこと」と書いておいた。
それなのに、じいちゃんが戻ってきたら、
ばあちゃんは家のすぐ前で車に轢かれて、
救急車で運ばれた。
じいちゃんが駆けつけると、待っていたかのように、
じいちゃんの手を強く握って天国へ行った。

じいちゃんはとても悔やんだ。悔しかった。
今まで書いてあることは必ず守ってたのに、
なぜ家を出たんだろう。
家族同然の付き合いをしていた隣の
おばちゃんが話をしてくれた。

事故の直前、急に雨が降ってきて、
おばちゃんは布団を取り込みに庭に出た。
すると、ばあちゃんが傘を持って慌てて
道路に出てったそうだ。
その時に事故にあった。

じいちゃんが勤めていた頃、ばあちゃんは
雨が降ると必ず駅までじいちゃんを
迎えに行ってたそうだ。
ちょっとでも雨が降ると必ず迎えに行ってたんだって。
雨を見て、じいちゃんが家に居なくて、
傘を持っていこうとしたのだろう。

それだけ、じいちゃんが好きだった。
じいちゃんもばあちゃんが好きだった。
じいちゃんもしばらくして病気で天国へ行った。
ばあちゃんが持っていた傘と一緒にお墓に眠っている。
じいちゃん、ばあちゃんは天国でも
幸せになってね。……



『本当に優しい人



『爺さんと婆さんのラーメン屋

お爺「婆さん、そろそろ引き上げようか?」
お婆「早く帰ったって、子供や孫の顔が見られる訳じゃなし。
  ねえ、爺さん、一緒になって四十年以上、
  もう子供は駄目かねえ」
お爺「おい、婆さん、お前、その歳で子供生むつもりかい?」
  そこへ一人の客。
「おい、ラーメン、作ってくれ」
お爺「へい、いらっしゃいまし、少しお待ちくださいよ
  ・・・へいお待ちどう様。
お婆「(小声で)この人、二十二、三くらいかね。
  鼻が上を向いている所なんざ、爺さんそっくりだねえ」

ところが、このお客。ラーメン三杯食べたあげく、
金がないから、無銭飲食で交番へ
突きだしてくれ、と言いだした。

「物心がついた時にゃ、他人に育てられて、
 親もねえ、家のねえ身。真面目に働くのもいやになってな。
 今夜は寝る所もない、ブタ箱で一晩すごせば、
 朝飯だけは食わせてくれるから」
お爺「じゃ屋台を終いますから、ちょっと待ってください。
 片付けますんで。あら、ヨイショっと。
 おい、婆さん、しっかり押しなよ、
 重いな、ぶらさがってんじゃないのかい?」

「お爺さん、俺が引いてやろう。
 爺さんとこの家族は大勢なのかい?」
お爺「いやあ、婆ぁさんと二人っきりですよ。
 息子も嫁もいません。ああ、すいません、 
 この横丁を入ってください。
 おい、婆さん、茶でも入れな。」

「でも、交番へ行かなきゃ。」
お婆「爺さん、あそこから家まで屋台を引いてもらった
 労働賃金はどうしましょう?
 真夜中に屋台をひいてもらったら、
 ラーメンの三つくらいトントンじゃないですか。」
お爺「そうだな、それじゃ、今夜はここでお休みなさい。
 きたない家だが、ブタ箱よりはましだ。
 先ほども話しましたが、四十何年の夫婦でありながら、
 うちは一人の子供もいない淋しい爺ぃ婆ぁなんですよ。
 百円差し上げます。たった一言でいいから、”
 お父っつぁん”と言ってくれませんか?」

「ええっ?じゃあ、目をつぶって言わしてもらうよ。
 お父っつぁん!」
お爺(泣きながら)ああ、ありがとう、良い気持ちだ。
お婆「じゃ、私は二百円出しますから、
 少し小声で甘えるようにさ、”おっ母さん”って
 呼んでくださいな」
「そんな、呼んだこともねえ言葉だし、難しいなぁ。
 こうかい? おっ母さん・・・」

お婆「(泣きながら)なんだい?(かみしめて喜ぶ)」
お爺「あなた名前は何てんですか? 
 えっ安夫さんってのかい?じゃ、今度は三百円で、
 私が呼び捨てにしますから、
 ”何だい、お父っつぁん”、って言ってください。
 良い ですか。
 『安夫!』」
「何だい、お父っつぁん。」
お爺「うーん、三百円じゃ安い(泣く)。」

お婆「はい、今度は私が五百円出しますから、
 あなたがいたずらをしたということで
 『安夫!』って叱るように言いますから、
 『おっ母さん、ご免ね』と言ってくださいな。
 じゃ、やりますよ、
 『どこへ行ってたのさ今頃まで、
 お前が帰って来ないからおっ母さん、
 ご飯ものどを通らないで・・・』」
お爺「婆ぁ、長げぇなぁ!」
お婆「五百円なんだから、少しは楽しませてくださいよ。
 『どこへ行くかと、行き先ぐらい言って
 いったらどうなの! 安夫!』」

「おっ母さん・(見つめて涙が出る)、
 おっ母さん、ご免ね。」
お婆「ありがとう、ありがとう(顔を押さえる)。」
お爺「じゃあ今度は私が七百円で、
 あなたが先に『お父っつぁん、僕が働くから、
 ラーメン屋なんかよしてくれよ。』と言ってください。
 後は私の方で勝手にやりますから、
 はい、どうぞ。」

「(泣きながら)お父っつぁん、俺が働くから、
 ラーメン屋なんかよしてくれよ。
 安心して俺にまかせてくれよ(号泣)。」
お爺「そう言ってくれるのはありがたいが、
 いくらかでも小金を貯めておかないと、
 おまえが嫁をもらって子供でも出来れば、
 孫におもちゃのひとつも買ってやりてぇじゃあねぇか(泣く)。
 ああ、楽しかった。婆さん、今夜は楽しかったなぁ。」

「・・・今までもらったお金は全部返します。
 返しますから、私の頼みも聞いてください。」
お爺「あなたの頼みって?」
「(泣きながら)せがれ、と呼んでください・・・」

このあと、この三人は
本当の家族になったのだろうか。……



『いのちをいただく』




『乳母捨て山の話』


「乳母捨て山」の話聞いたことありますか?
年老いた親を、子どもが背負って
山に捨てるというやつです。
昔、貧しさから本当にその風習があったそうです。

背負われている間、親は山の木の枝を
折って落としましました。
やせこけた腕を一生懸命のばして、
一本一本、折り続けました。
山奥に着き、自分を捨てて去っていく我が子に、
親は言いました。
「目印に木の枝を折ったから迷わずに下るんだよ」
親ってこういうものです。……


人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



時は絶えず流れ、
 今、微笑む花も、明日には枯れる





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カビの生えない・きれいなお風呂

お風呂物語


furo









漢の韓信-76

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
「国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。



漢の韓信-76ー(愛・反間・苦肉


劉邦のもとより返答の使者が送られてきたのは
それから十日ほど経ってからであった。
「漢王は左丞相韓信どのに三万の兵を送ることを、
お決めになりました。つきましては丞相には
代・趙の攻略をつつがなく実行してもらいたい、との
仰せです。
なお、三万の兵を統率してこちらに送り届けるのは
張耳どのが担当されます。
丞相は張耳どのをそのまま留め置き、
趙攻略に際しての補佐をさせよ、とのご命令です」
見たか! 賭けは、私の勝ちだ!

韓信は魏を滅ぼした際に、捕らえた魏兵を
自軍に編入させ、兵力を増強させることに
成功している。それを考えれば、あらたな
三万の増兵はどうしても必要というわけではなく、
送ってもらえればありがたい、という
程度でしかなかった。
?通が賭けを持ちかけてきたために、
万が一劉邦が兵をよこさなくても損はない、と
考えて話に乗ったのである。

しかし実際に劉邦が三万の兵を送ることを聞いて、
韓信は心底安心した。
自分の要求どおり、劉邦が兵をよこしてくれることは、
劉邦が自分を信用していることに他ならないと思え、
言いようもなく心が安らいでいくのを感じた。

とりわけ心強かったのは重鎮である張耳の
派遣を決めてくれたことである。
なんといっても張耳は趙の建国に中心的に携わった男で、
そのような人物と行動をともにできることは、
心強いことこの上ない。
かつての朋友の陳余と雌雄を決しなければ
ならないことを思えば気の毒ではあるが……
しかし、それは韓信にはどうすることもできない
問題であった。

賭け自体はくだらないものではあったが、
漢王のお気持ちを確認できたことは、有意義であった。
韓信はそう思い、さらに、漢王に、
私の真心が通じたのだ。とさえ思った。
連戦連勝の漢の総大将としては
無邪気すぎるような感はあるが、それだけに
このときの韓信の喜びがひとしおであった、
ということがわかる。

ひとり悦にいった様子で居室で安らぐ韓信に、
室外の衛士が来客の旨を告げた。
「?通さまからのお届けものをお持ちしました」
そう言って入室してきたのは、
軍装を解いた姿の蘭であった。
白の長衣に幅の狭い帯を巻いただけの
簡素な平服であったが、いつもと違うだけに
新鮮に見える。

韓信は思わず目を細めた。しかし蘭は
それに気付かない風を装って話し始めた。
「私にはこれがどういう意味をもつのか
よくわかりませんが……?通さまは私に
将軍のもとへ行き、この酒を届けよ、と
申されました」

韓信もあえて普段どおりの態度を保ちながら、
応じた。
「そうか……。まあ、座るがいい。
せっかくの届け物だから、飲むことにする。
君にも付き合ってもらおう」
「はい。瑟(しつ)(琴に似た楽器)でも
弾きましょうか?」
「ほう、弾けるのか? さすがに良家の娘だな。

しかし、それは次の機会に。今は、話がしたい」
「はい」酒器が用意され、青銅の瓶から酒が注がれる。
この時代の酒は香りが強い反面
アルコール分は少なく、相当に飲まなければ
酔うことはない。
また、成分は穀物を原料にしており、
色は薄黄色である。
しかし年代物になると容器である青銅の成分が混入し、
趣味の悪い青みがかった色となる。
よって、この時代の人々は、いわゆる古酒を好まなかった。
身分の高い者ほど新しい物を好み、
古酒を飲む者は、貧しい者とされたのである。
このとき魏蘭が持参した酒は新しく、
器に注がれたそれは室内の明かりに反射して、
黄金色に輝いていた。
「……この酒の届け主である?先生は、
私に王として立つことを使嗾し続けている」
韓信は黄金色に輝くその酒を一息に飲み干すと、
そう口にした。
「え?」察しのいい蘭は話の内容が危険なことに、
すぐ気が付いた。

「?先生は漢王が私のことを内心で恐れていると……だ
から要請しても兵を送ることはないと……
しかし漢王は私の要請どおり、兵を送って下さった。
この酒は、私が賭けに勝った証なのだ」

韓信は危険な話をしているが、表情は明るい。
どうやら賭けに勝って安堵し、単純に喜んでいるらしい。
蘭にはそう思えた。
「?通さまは私に、結果はまだわからないと
伝えてほしいと申しておりましたが……。
私も内容はよく存じませんが、
いま聞いた限りでは安心するのはまだ早いかと存じます」

蘭は二杯めを注ぎながら言った。
それを口につけようとした韓信の手が止まる。
「……どういうことだ」
「将軍は、頭の良いお方でございます。
本当はご自分でもお気づきになっているのに、
考えたくないに違いありません。
それゆえ、気付かないふりをしているのでございましょう。

いま、兵三万が増強されることは、
私も聞き及んでおります。
将軍はそれを漢王との信頼関係の証だと
考えておられるようですが、
これはやはり漢王が将軍のご機嫌を
損なうことを恐れている、と考えた方が
自然のように思われます」

「そうなのか? 人はやはり……
そのように思うものなのか。
しかし私は軍を漢に向けたりすることは考えていない。
漢王もそう思ったからこそ兵を
私に貸し与えたのだろう。
私が離反することはないと……。
叛逆して自立をするかもしれない将に、
王が兵を与えたりするものだろうか?」

「そこは、漢王とて確信がないからでございましょう。
要するに将軍は試されているのです。
将軍が漢王の気持ちを賭けで確かめたのと同じです。
私の個人的な考えでは……
漢王はそのうち、兵を返せと言ってくるでしょう。
そのとき将軍がなにかと理由をつけて返さなければ、
将軍に叛意あり、と考えるに違いありません」
韓信は二杯めを飲み干した。
すでにその表情から安堵の色は消え去っていた。


つづく 

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.

愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る



『昭和えれじい』岩本公水




歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…



昭和えれじい
作詞:吉田旺・作曲:船村徹


憂き世しぐれの 冷たさに
生きているさえ つらい夜は
せめて酔わせて ねえお酒
昔(もと)にゃ戻れぬ 昭和川


『昭和えれじい 』
ちあきなおみ 




人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる






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カビの生えないお風呂

お風呂物語

furo










妄想劇場・特別編

妄想劇場・特別編

信じれば真実、疑えば妄想……


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昨日という日は
歴史、
今日という日は
プレゼント
明日という日は
ミステリー









『珍しい写真25選 』




『バードウオッチング』その1

家から車で20分ほど走ったところにある河原。
中洲で羽を休めるシラサギをボーと見つめながら、
島田ひとみは、悩んでいた。
どうしたら子供たちに受け入れてもらえるのだろうかと。

ひとみは、今年、念願かなって学校の先生になった。
県境の山裾の町にある小学校。副担任ではあるが、
いきなり3年生のクラスを持たせてもらえたことが
嬉しくて仕方がなかった。

校長からも、直々に、
「久しぶりに若い先生が赴任してきてくれて有難いです。
期待してますよ」と言われ、俄然ファイトが湧いた。
そのファイトを、全力で子供たちに向けた。

ところが・・・。 やること成すこと、
まったく上手くいかない。
「先生とみんなで、交換日記をしよう!」と提案した。
担任の山田先生も大賛成してくれた。
「私も前からやりたかったんだけどね、
最近、歳のせいで目が辛くてね。  
あなたがやってくれるなら嬉しいわ」

山田先生は56歳。ベテランの女性教諭だ。
張り切って、100円ショップに行き、
自腹でノートを買い込んだ。28冊。
どれも、デザインのかわいいものを選んだ。
一つひとつに28人の子供の名前を書き入れ、
ホームルームの時間に手渡しした。
子供たちは、わいわい言いながら喜んでくれた。

「じゃあね、毎週月曜日に先生に提出してね。
どんなことを書いてもいいのよ。  
好きなアイドルのことでも、好きな食べ物のことでも。  
困っていることがあったら相談してくれてもいいの。
絶対内緒にするからね」

子供たちは、大いに盛り上がった・・・かに見えた。
しかし、次の月曜日。交換日記を持ってきたのは、
わずか二人だった。
最初だから無理はないと思った。
もう一度、ホームルームで説明をした。
すると、翌週には7人に増えた。

でも、その中身はというと、
「今日、家族で焼肉を食べに行きました」
「塾でテストがありました」
そのたった一行。
そして、そのまた翌週は、
一人も出さなくなってしまった。

山田先生は、「私からもみんなに言おうか」と
言ってくれたが、情けなくなってしまい断った。
新米とはいえ、わずかながらのプライドがあった。
それだけではない。
近くの山へ遠足に出掛けたとき、
「歩きながら歌を歌おうよ」とみんなに提案した。
「ええ~」という声が上がった。

後ろから、「一人で歌えば」という声が聴こえた。
男の子の声だった。
そっちを向いたときには、全員が下を向いていた。
まだある。 国語のテストの答案用紙を
返却したときのことだ。
他のクラスに比べて、かなり点数がよくなかった。
そこで、「今度は、隣のクラスに
アッと言わせようよ!」と笑顔で言った。
そう、満面の笑顔で。

次の帰りのホームルームに、教室に入ろうとすると、
中からこんな声が漏れてきた。
「うざくねぇ、島田先生」
ひとみは青ざめた。呼吸が乱れた。
そのまま教室に入ることができず、
踵を返してトイレに入った。
鏡を見ると、ずいぶん疲れた顔をしていた。

山田先生にも、正直に相談した。
すると、笑って、「焦っちゃダメよ。
あなたは校長先生の期待の星なんだから、  
デンと構えて自信を持ってやりたいようにやりなさい」
「でも・・・」 「私が付いてるから、
何があっても大丈夫よ」
そうは言ってくれたが、
「私が付いてるから」にはショックを覚えた。

私は半人前。 保護者付きの先生なのだと思うと、
夜も眠れなくなった。
そんなことがあった週末。
ひとみは、一人で河原に出掛けた。
バードウオッチングをするためだ。

高校生のときに、自然科学部というクラブに
入っていて始めたものだ。
夢中になって双眼鏡で鳥を見ていると、
嫌なことも何もかも忘れることができる。
卒業後も、辛いことがあると山や野原に出掛けた。
堤防の上を歩き、橋を渡った。
すると、そこは広大な田んぼが広がっていた。
かなり前に稲刈りが済んで、
茶色の地面が広がっていた。
この春に来たときには、眩しいほど
青々とした早稲田が目に飛び込んで来たことを
覚えている。

その茶色は、ひとみの自身の心を
映しているかのように思えた。
ふと見ると、300メートルくらい先に
雁(がん)の群れが降りているのが見えた。
土手の斜面から双眼鏡を覗く。
稲を刈り取った後の落ち穂をつついているのだった。

食事に夢中のようだ。100羽近くいるだろうか。
ひとみは気付かれないように、忍び足で近づいた。
まだ、群れからは相当の距離がある。
でも、用心、用心・・・。ちょっと足を止め、
腰を低くする。そして、再び、
双眼鏡を覗き込んだ瞬間のことだった。

雁の群れの中の一羽が、ヌッ~と首をもたげた。
そして、ひとみの方を伺うように見る。
たしかに、向こうもこちらを
観察していることがわかった。
ひとみは、身体を動かさないようにして、
中腰のままじっと耐えた。

10秒もしないうちに、その一羽も
再び首を下に向けて、こぼれた穂を
ついばみはじめた。

どうやら、雁は常に周りに敵がいないかどうかと
注意を払っているようだ。
(ふう~危ない危ない)
再び、手にした双眼鏡を覗き込んだとき、
さっきの一羽がまた首を上げた。
そしてひとみの方を向いた。
それはまるで、睨んでいるかのように見えた。

次の瞬間、100羽の仲間たちが、
一斉に首をもたげてクルッとひとみの方を向く。
(え?!)つい今しがたまで、
ただ食べることに夢中だった雁たちが、
まるで機関銃の砲列のように
クチバシをひとみに向けていた。
アッ!100羽が、バタバタバタッと
100枚もの布団をハタキで叩くような
ものすごい音を立てて飛び立った。


続く


『動物タクシー』珍しい写真




人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる

 






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