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2016年7月12日 (火)

漢の韓信-(136)

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー



こうして、こうすりゃ、こうなるものと、
  知りつつ、こうして、こうなった



メジャーでは無いけど、 こんな小説あっても、
良いかな !!
アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい



Kanshin021111


韓信
紀元前二〇〇年代の
中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
「国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。





漢の韓信-(136)


楚を討つにあたって、劉邦は韓信・彭越の両軍を
招集するのに先行し、黥布に淮南の地を制圧させている。
黥布は劉邦の従弟である劉賈りゅうかとともに
楚の南方地域に侵攻し、ついに旧都寿春を陥落させた。
さらには楚の大司馬周殷しゅういんを説き、
これを寝返らせることに成功すると、ともに
北上して城父を陥とし、決戦の地に向かうべく
さらに北上を続けた。

これにより黥布は正式に淮南王を称した。
韓信・彭越・黥布。この三人こそが、楚を倒し、
漢の世を築いた元勲である。
並び賞されることの多い彼らであるが、この中で
武勲随一の者は、やはり韓信であろう。

韓信は他の二人とは違い、長く劉邦の配下として
働いてきた男であり、漢が国家として産声をあげたときから
支え続けた男なのである。
このため韓信は彭越・黥布のほかに、
張良・蕭何と並び賞されることも多い。

その意識はこの時代に生きる者の通念であり、
韓信自身もそれを否定していない。
しかし後世に残された史書の中には、
韓信の増長をうかがわせるような発言の記録はなく、
彼の自意識がどれほどのものだったかを
客観的に推測することは難しい。

ごくわずかな判断材料として、このとき各地から
集結した漢軍を指揮したのが、
やはり韓信だったことが挙げられる。
劉邦は居並ぶ豪傑たちの中から韓信を選び、
韓信も迷わずそれを受けたのであった。
この事実は韓信の実力が自他ともに
認めるものであったことを証明するものだと
言えるのではないか。

臨淄を発ち、決戦場へ向かう道すがら、
韓信は灌嬰をその軍に迎え、行軍を共にした。
「斉王……いよいよ、ですな。いよいよ項王を……」
灌嬰は積年の抗争がついに終結することに
興奮を抑えきれない。

「ああ。いよいよだ。私が淮陰を出てから
何年の日々が経ったことか……。
あっという間のことのように思える。
しかし逆に長い年月だったとも思う。
いずれにせよ、ついに我々の戦いの日々も
終わりを告げる。……そう思うと実に感慨深い」

韓信のこのときの表情は、灌嬰にはひと言で
説明できない。喜んでいるようでもあり、寂しそうでもある。
「私は、自分自身のことがよくわからない……。
もう無用に人命を犠牲にすることがなくなることは、
やはり嬉しい。しかし、一方で私はまだ
戦い足りないのではないかと……。
戦いを指揮することしか能のない男から、
戦いを取りあげたらなにが残る? 
おそらくそれは無であろう」

「斉王には、王として斉国の発展に責任がございます。
この先もやることは多いでしょう。
無であるはずがありません」
「……私などは国政に口を挟まぬ方が良いのだ。
曹参がうまくやってくれる。あの者は寛大で、
人の良いところも悪いところも受け入れる。
そして緩やかに、社会全体を包むように
統治していける男だ。
狭量な私にはその真似ができぬ」

「大王、あなた様には曹参のような能力は
ないとおっしゃるのか?」
灌嬰の見るところ、韓信は常に正しさを
意識している男であった。
それは確かに素晴らしいことである。
しかし、今本人が語ったように、確かに
狭量なところは存在するようであった。

「ない。実は私はこう考えている。
他人には気を許すことができないと。
社会は悪意の塊のようなものであり、
その悪意は過去から脈々と受け継がれてきたものだと。

つまり、ちんぴらから生まれた子はやはり
成長してちんぴらとなり、ちんぴら同士で寄り添う。
そしてやがてちんぴらの子を産むのだ。
世の中からちんぴらをなくすには、
その血脈を絶つしかない。殺すしかないのだ」

灌嬰は絶句し、ひとしきり考えた。
この方は以前からこのような考え方をしていたのだろうか。
あるいは魏蘭の死がきっかけとなり、一時的に
極度の人間不信に陥っているのかもしれぬ。
「極端に過ぎますな」
結局どう答えてよいかわからず、そのひと言だけを返した。

もしかしたらこのひと言が韓信を怒らすのではないかと
灌嬰は内心で恐れたが、意外にも韓信はこれを肯定した。
「そのとおりだな。だから私は王には向かないのだ。
以前にも言ったが、私はこの戦いが終わったのち、
漢王に斉国を献上するつもりだ。誰かに譲ってもいい」

「……また、そのようなことを」
「私は生前の魏蘭とひとつ約束を交わしていた。
戦いが終わったら静かなところで、
誰にも干渉されず、ひっそりと暮らそうと。
残念ながら魏蘭はいなくなってしまったが、
今でも私の思いは変わらない。

私が王であれば、きっと世の中を正したくなる。
理想を掲げて、その実現のために人の命を
軽々しく絶とうとするだろう。
おそらく私は、自分自身を止められないに違いない」

韓信はそう語り、不思議なことに灌嬰は
この言葉に納得したのだった。
私が仕えた韓信という人は、王座にありながら
自身の増長を恐れ、ありのままに
権力を振るうことを嫌った。……
一言でいえば、自制の人だった。
灌嬰はのちに知人に対してそう語ったという。・・・・


つづく

Author :紀之沢直・:野沢直樹
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る


歌は心の走馬灯、歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…


冬の恋歌




人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ


時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる



P R

カビの生えない・きれいなお風呂

お風呂物語 

入れてもらえば気持ちは良いが、
    どこか気兼ねなもらい風呂

Set1

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