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2016年7月14日 (木)

妄想劇場・番外編

妄想劇場・番外編

信じれば真実、疑えば妄想……


Oiran

 メジャーでは無いけど、
 こんな小説あっても、
 良いかな !!
 アングラ小説です、
 不快感がある方は、
 読むのを中断して下さい。






子を持つも持たぬも人の宿命(さだめ)なり
日に日に努めて行かむ
あなたの人生なんだから好きなように
お行きなさい(生きなさい)




『真実と現実・・・・』

夜8時。新宿のネオン街。
そこには財布の中の蜜を求めて、
華やかに着飾った蝶達が舞い降りる。

「や~、すっかり降ってきちゃったな。」
「もう~、せっかくの巻き毛が台無し!」
「そんな顔すんなよ~。」
「でも大丈夫!ご飯ごちそうしてもらったから、
私はご機嫌だよ。」

政司の差し出す傘の下で、玲緒奈は指で
クルクルと巻き毛を遊ばせながら歩いていた。
「レオちゃんは、そんな派手な格好しなくても
十分可愛いよ。」
政司の言葉に「うふふ。」とうつむき、
そのまま顔を上げずに呟いた。

「ねぇ、知ってる? 
女の人が派手な格好するのは自分が
寂しいからなんだって。
私もいつのまにか、そうなっちゃってるのかな?」
政司は軽く笑って応える。

「何?寂しいの?何言ってんだよ。
俺がいるじゃないか。
なんなら俺と一緒に住むか?
飲み屋のホステスなんか辞めたって
そこそこ養えるぞ。」
玲緒奈はうつむいたまま「ぷっ」っと吹き出して、
政司の腕に絡んだ。

「あっはは!冗談よ! 
でも、ありがとう。私は政ちゃんと
飲んでるだけで楽しいよ。
今日もたくさん飲んでってね。」
そう言って、政司の傘の中から抜け出し、
細長いビルへ入ってエレベーターの
ボタンを押した。

政司も傘を閉じてバサバサ降りながら
後からやってくる。
玲緒奈は「4F」のボタンを押して、
嬉々としながら政司を見上げる。
静電気を帯びたような甘い香りに包まれた
エレベーターは、やがて「4F」のフロアに
光を点した。

ポ~ン♪エレベーターのドアが開いた。
目の前に白いタイルの内装とコバルトブルーの
光が目に入る。

「いらっしゃいませ~。あ!な~に、
レオちゃん同伴?いいわねぇ~。
政司さん、いらっしゃい。ボトルすぐ持ってくからね。」

ママの明美が、口早に二人を促して奥へと案内した。
レオちゃん、2番なんだけどいいかな・・・
芳彦君なんだけど。」
「あっ、はい。」玲緒奈は酔いで上機嫌な
政司の手を軽く握って笑顔を作った。

「ごめんね。ちょっと別のテーブル行ってくるね。」
「おう! 人気者はつらいな。帰っちゃおうかな~。」
「そんな事言わないでよ。すぐに戻ってくるから。」
玲緒奈は明るく騒ぐ政司を尻目に、
足早で芳彦のテーブルへ向かった。

「いらっしゃい。今日も素敵なシャツね。」
携帯をいじっていた芳彦は、目線を上げて
玲緒奈を見る。
優しい眼差しで玲緒奈にニコっと微笑んだ。

玲緒奈は芳彦が好きだった。
政司ほど金払いが良いわけでもなく、
会話のユーモアも持ち合わせていないが
物静かな雰囲気と優しい口調が、
不思議と玲緒奈の心を落ち着かせてくれた。
気取らず飾らず・・・自然体の自分でいられる。
芳彦の横に座っている時間が、
玲緒奈にとって憩いの一時だった。

「じゃあ、そろそろ帰ろうかな。」
芳彦は赤い顔に満面の笑みを浮かべて
残りの酒を飲み干した。
玲緒奈は少し憂いの表情を見せたが、
すぐに笑顔で取り繕う。

芳彦が会計を済ませてる間に、玲緒奈は
エレベーターのボタンを押しに向かう。
途中で横切る大鏡の前で髪型を整え、
小指で唇をなぞってから「よしっ!」と
小声で呟いた。

「今日もありがとね。」
エレベーターの中で、玲緒奈は芳彦の肩に
寄りかかって語りかけた。
「明日も会いたいな・・・」

「・・・・・・。」芳彦は応えない。
毎日通い詰めてくれるのは嬉しい事だが、
芳彦の経済状況を全く知らないわけではないので
答えは「ノー」でも構わない。

ただ、嘘でもいいから「会いに来ようかな」と
軽い冗談を言って欲しい。
こういう場面で、芳彦の生真面目ぶりが
時折もどかしくなる。

黙っていた芳彦がボソっと言った。
「俺・・・来月から仕事で海外に住むんだ・・・。」
「えっ!?」玲緒奈は突然の言葉に息を呑んだ。
「こんなこと、突然言うのもアレなの分かるけど。
俺・・・レオちゃんと離れるの・・・
なんか・・・んだよね・・・」

「えっ!?」最後の言葉が途切れて
聞き取れなかったが、芳彦の言いたそうな事は、
なんとなく理解できた。
エレベーターの中の空気が一気に消えたような
息苦しさに襲われ期待とも不安ともいえる動悸が
玲緒奈の中で鼓動する。

芳彦が意を決したように、両手で玲緒奈の右手を
ギュっと包み込んだ。
そのまま玲緒奈を真っ直ぐ見て
次の言葉を吐こうとする。
「・・・・・レ・・」ポ~ン♪

二人は我に返ってエレベーターの外を振り向いた。
幸い目の前には誰もいなかったが、
ビルの外は相変わらず雨音と人ごみの雑踏で
賑わっていた。
二人は慌ててエレベーターから降り、
ビルの出入口まで無言で歩いた。

芳彦が傘を広げてビルの外に出る。
そのままクルっと玲緒奈の方に振り向いて
ニコっと笑った。
玲緒奈も笑いながら、芳彦の差す傘の
下まで寄ってみる。
「あはは・・・ごめんな。なんかタイミング悪かったな。」

「うふふ。あなたらしいかも。」
芳彦が再び真剣な眼差しで玲緒奈を見つめる。
「一緒に来てくれないか・・・。」「・・・・・・。」
「まだ、日にちはあるし、今答えなくてもいいから・・・
少し考えて欲しいな。」

「うん、ありがとう。」玲緒奈は、少し目に涙を浮かべて
掠れた声で芳彦に答えた。
「でも、ゴメンね。私、まだこの商売やっていきたいし。
それに、今私を養ってくれてる人もいるから・・・。」
「それって、政司さんって人?」
「うん。」

芳彦は驚いた表情で玲緒奈を見たが、
すぐにいつもの優しい表情になって静かに呟いた。
「・・・そっか。それじゃあしょうがないや。
あの人俺の目から見てもスゲーって思えるから。」
「うふふ。そんな事ないよ。あたしから見たら
あなたもスゲー人だよ。」

「あはは・・・こりゃ参ったな。」
芳彦は苦笑いを残したまま、玲緒奈の肩に
ポンっと手を置いた。
「じゃ、また旅立つ前に何度か来るね。」
「うん。」
背中を向けて遠ざかる芳彦を玲緒奈はしばらく
見つめていた。

・・・咄嗟の嘘・・・本心は違う。
「一緒に来てくれないか?」と言われた時は
体が震えた。
もちろん今後の不安も頭を過ったが、
それ以上に、芳彦の気持ちを知る事が
できたのが嬉しかった。

できれば「行きます!」と明るい笑顔で
応えたかった。
・・・でも、ここは新宿。偽りの街に、
真実は似合わない・・・

芳彦の後ろ姿が見えなくなると、玲緒奈は
フゥっと軽い溜め息をついて、目の前を歩いてくる
サラリーマン二人組に声をかけた。
「飲んでいきませんかぁ♪」

おわり 

Author :半ちゃん
https://kakuyomu.jp/users/hannbee_chan


これほど惚れた素振りをしても、ほんとに悟りの悪い人。・・・



紋黄蝶






Tinko_2
人の為(ため)と
書いて
いつわり(偽)と
読むんだねぇ
 




俺とおまえは、玉子の仲よ、俺が白身で黄身を抱く 

P R

    カビの生えない・きれいなお風呂

    お風呂物語

入れてもらえば気持ちは良いが、
  どこか気兼ねなもらい風呂

Set1

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