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2016年8月25日 (木)

妄想劇場・番外編

妄想劇場・番外編

信じれば真実、疑えば妄想……


1810



 メジャーでは無いけど、
 こんな小説あっても、
 良いかな !!
 アングラ小説です、
 不快感がある方は、
 読むのを中断して下さい





子を持つも持たぬも人の宿命(さだめ)なり
日に日に努めて行かむ
あなたの人生なんだから好きなように
お行きなさい(生きなさい)



『☆ うたかた花火 ☆』

Prologue

さよなら、と告げる風鈴のような声を、半ば茫然と聞きながら、
腕からすり抜けていってしまう彼女の腕を、奇跡的に
自分の手がつかんだ。 
何を言えばいいのか、などわからない。
だけど、言いたいことはたった一つ。

「……楪。俺は、お前のことが・・・・」言いかけて、ふいに、
走馬灯のごとく思い出すのは、彼女と初めて出会った日からの、
日常だった。・・・



月下美人の花には強い香りがあり、花を見なくても、
漂い始める香りで咲き始めたことがわかるほど。
初夏から秋まで開花を続けます。

B13_2



俺には、あまりクラス内では友人という人物はいなかった。
……いや、クラス外でもいない。
残念なことに、俺もそれをあまり気にしていなかったし、
まぁ、一人のほうが何かと自由が利くから、と作ることもなかった。
呆れたことに、クラスの連中も、同学年も、後輩すらも、
俺のことがまるで眼中にないかのように生活をしていて。
俺も、ほとんどそんなことに気にしなかった。

そんなある、祭りを控えた日。
毎年のように一人で行く祭りは、別に楽しくもなんともなかったが、
花火がよく見える高台がそばにあったこともあって、
一人で見に行くことも、嫌いではなかった。
「えー、今日は転校生がいます。入ってきてくださーい。」
担任のその言葉に、ガラッと教室のドアを開けて入ってきたのは、
すべての人を釘づけにしてしまうほど美しい少女だった。

真っ白な髪に、美しい黄金色の目。スラリと伸びた手足に、
雪のように白い肌。
「貴島(きしま)楪(ゆずりは)です。よろしくお願いします。」
「えー、席は……狭山(さやま)お前の隣、空いていたな。
そこに座れ。」

俺の隣になった。おかげで、久し振りにクラス中から
視線を浴びた気がする。
「よろしくね。」可愛らしい声で俺にそう言ったその少女に、
軽く頷き返したとき、ふいに、どこかでこの少女を
見たことがあるような、知っているような気がした。
だが、誰だったのか全く思い出せない。

そんなもやもやとした思いを胸に抱きながら一日を過ごし、
放課後、帰ろうと思って席を立ったとき、
「狭山君。」隣に座っていた貴島が、俺を呼んだ。
「一緒に、帰らない?」
「……まぁ、いいけど。」彼女のことを思い出せるかもしれない。
そう思って、適当に頷けば、彼女は嬉しそうにはにかんで、
俺との家路についた。

言葉もなく2人で歩いていると、ふいに、貴島が立ち止まった。
そちらを振り返れば、少し顔を赤らめた貴島が、
小さな声で、呟くように言った。
「あのね。……私、好きな人がいるの。」
「……ああ。いいんじゃないか?」
そう答えれば、貴島は、俺のほうを見て、何かを
決心したような顔で、言葉を放った。

「わ、私……狭山君のことが、好きです!
つ、付き合ってくださいっ!」
一瞬、思考回路が止まった。だが、それもすぐに巡りだし、
言葉を理解したところで、俺自身が唖然としてしまった。
俺のことが好き?あって1日なのに?おかしいだろう。
「……何かの間違いじゃないか。」

「ううん、私。本当に、狭山君のこと、好きなの。覚えてないかな。
昔一度会ってるんだけど……、もし、迷惑、なら……」
「いや。……いいよ。」
ぱぁぁっと、花が開くかのように笑顔を見せた貴島に、
何かが重なった。

俺は別に、こいつのことが好きだったわけでもない。
ただ、こいつを泣かせると、あとが面倒臭そうだった、
ただそれだけの理由で頷いただけだった。
だが、こいつの見せた笑顔は、どこかで一度、
見たことがあるような気がして。・・・・

それを思い出す前に、近くに駆け寄ってきた貴島が
俺に話しかけてくる。
「ねぇ、蒼(そう)くん、って呼んでもいい?
私のことも、楪でかまわないから!」
「あ、ああ。」
「わーい!嬉しいなっ!」風鈴のような心地いい声をした彼女が、
俺に笑顔を向けてくる。

・・・ああ、どうしようか。俺も、本気でこいつのことを
好きになってしまいそうだ。
「ねぇねぇ、蒼くん。私、明日の夜にあるお祭りに行きたい!」
「は?」思わず聞き返してしまった。
「だめ、かな?」
「いや、別に明日予定があるわけでもないし、いいよ。」

「楽しみにしてるね!はい、約束!」
小指を立ててくる楪に、少々面倒だが、右手の小指を出した。
互いに小指を絡めて、約束をする。 
明日の夜、祭りが始まる前に、河川敷で会おう。
そんな約束を、久し振りに、誰かとした気がした。

翌日、俺たちはいつも通り学校に行き、そして、いつもよりも楽しく、
学校を過ごした。
そうして一瞬にしてそれは過ぎ去り、家に帰って、
手早く毎年着ている紺の矢絣柄の浴衣を身に着け、
河川敷に出向いた。すでに多くの人が集まっており、
楪の姿はなかった。

少し待っていれば来るだろう。そう思って、川を眺めながら、
昨日感じた既視感の正体を探っていると、涼やかな声が聞こえた。
「蒼くーん!」見れば、白い地に蝶と何かの花が描かれた、
夜闇に映える浴衣を着た楪がいた。

楽しそうに笑うその姿を見ると、自然と微笑みができた。
「お待たせ!ごめんね、待たせちゃった?」
「いや、ちょうど来たところだから、行こうか。」
そう言って手を差し出すと、一瞬驚いたように
目を見開いたものの、ふわり、と微笑んで、俺の手を取った。

いろんな出店を見回っているうちに、人は徐々に
多くなっていった。
「凄い人だなー。はぐれないように、ちゃんと……って、楪?」
「蒼くん、ちょっと待って。速いよ~」
慌てたようにこちらに走ってくる楪。
先ほどヨーヨー釣りをしたときに、そういえば手を放していた。

「あ、そんなに走ると……!」
「わっ!」楪が転びそうになり、間一髪、彼女を抱き留めた。
「あっぶな……」「わわっ、ごめんっ!」
体勢を立て直した楪が少しだけ頬を赤らめて、ちゃんと立った。
そして、俺の浴衣の袂をそっと握る。
「これで、はぐれないから。」

「……行こう」彼女のもう一方の手には、先ほど釣った、
黒のヨーヨーがあった。
楽し気にそれをつく彼女を眺めて、胸が暖かくなった。
少し山道を歩き、
彼女を、俺がいつも一人で見ていたあの高台へと、連れていった。

「ん?あれ、ここは?」
「さっき祭りやってた神社の裏。ここからだと、花火がよく見えるんだ。
人もいないし。」
「へぇ~。よく知ってるんだね!」
毎年、一人で見に来ていたから、とは言わなかった。

しばしの沈黙ののち、腹に響くような、低く大きな音がした。 
ドーン!!「綺麗……」
夜空に咲く美しい炎の花は、一瞬にして散っていく。
無言でそれをいくつか見たあと、ふいに、楪が泣きそうな顔をして、
俺のほうを向いた。
どうかしたのか、と聞くその前に、唇に柔らかなものが触れた。

それも一瞬のことで、次の瞬間には、切なげに笑った楪の顔があった。
「楪?」
「ごめんなさいっ……。私……っ、もう、蒼くんと、
一緒にいられないっ……!」
「どういう、ことだよ。」
「私は、人じゃないから。もうすぐ、散ってしまうから。」
涙をこぼしながら、美しい声を響かせて、楪は、それでも
優しく微笑んだ。

その笑みは、今まで見たどんな笑みよりも、儚く、そして、
美しかった。
「ゆずり……」
「ごめんね、蒼くん。さよなら。」楪が、背を向けて、
駆けだそうとしたとき。呆然としながらも、俺の体は勝手に動いた。
楪の細い腕を浴衣越しにつかんで、無理やりに彼女を
自分のほうに引き寄せて、抱きしめる。息を呑んだ気配がした。
「行くな。」気づけば、そう囁いていた。

「……楪。俺は、お前のことが・・・・好きだ。」
ようやく自覚した、この思い。……簡単に捨て去ることなど、
できなかった。
初めてだった。これほどまで恋い焦がれたのは。
たった一日でそんな感情が芽生えるか?
昨日までの俺だったらそういうかもしれない。
だが、現にそうだ。楪のすべてが、尊くて、愛しい。

「私だって。好きだけどっ……!でもっ……ダメなんだよっ……!」
泣くのを押し殺したような、震えた声で、楪が呟く。
その間にも、花火は夜空に次々に咲き続けていた。
「もう、時間が、ないのっ……!」
その体が、ふいに、淡く輝く。腕からするり、と抜け出した楪は、
俺の前に立った。
月明かりと、花火に照らし出されたその姿は、
まるで・・・・・そこで、気づいた。

「……月下美人、か。」少しの間しか咲かない、
儚い、真っ白な花。
ああ、そう考えてみれば、そうじゃないか。
彼女の姿は、真っ白な髪に、黄金色の瞳。
月下美人は、白い花弁に、黄金色の花芯。
夜の女王と呼ばれる美しい花は、たしかに、
見るものを惹きつける、彼女の容姿とぴったりだろう。

「……そうだよ。覚えてる?
少し前に、踏まれそうになった私を、助けてくれたのを。」
確かに、2,3か月前に、倒れていた鉢植えを直したことはある。
危なかったし、何より、踏まれたら植物がかわいそうだと
思ったからだった。

「あの時から、ずっと、そばで見守ってた。
ずっとひとりだったから、そばにいてあげたかった。
でも、私の力じゃ、花が咲いている間しか、
一緒にいられなくて。」

そう言っている間にも、楪の体はより強く輝いていく。
「……ごめんね。蒼くん。」

微笑む楪の頬を伝う透明な雫は、いつまでたっても
消えなかった。
「っ……」涙がこみ上げてくるのを、必死で抑えながら。
俺は、たまらず彼女をもう一度抱きしめた。

「独りに、しないで。」独りは、もう、嫌だった。
昔からずっと一人だった。
両親は毎日のように喧嘩をして、俺はずっと部屋に
閉じこもって、一人で耳をふさいで、毛布の中に
潜り込んでいた。

そうして、いつの間にか両親はいなくなっていて。
俺は保護されて、施設で育った。
成績は良かったから、支援してくれる人がいて、
高校に進めた。
だけど、周りの奴らはすでにグループを作っていて、
俺は入れなかった。
だから、ずっと一人で、ただ無心になることで、
一人は嫌だ、という感情を流していた。

でも。楪と一緒にいて、楽しかった。楪に、恋をしてしまった。
人といて、楽しいことを知ってしまえば、もう、ひとりには、
戻れなかった。
ひとりには。・・・・・・・独りには。

「……ごめんね。蒼くん。……ずっと、そばで見守っているから。
だから、また、来年の夏。ここで、また、もう一度、会おう?
約束。」
「っ……ああ……!」
小指を絡めて、涙で霞みそうになる視界を、
浴衣の袂でぬぐいさり、約束をした。

そして、その直後、優しく笑った楪の姿は、光の粒となって、
空へと、高く、高く、蛍のように、ゆらゆらと、飛んでいった。
翌日、楪のことを覚えている人物は、誰もいなかった。
俺を、のぞいて。・・・

Author :一瀬 深雪
https://kakuyomu.jp/users/Zeck



歌は心の走馬灯、歌は世につれ、世は歌につれ、
人生、絵模様、万華鏡…


『紅い川…』


忘れられない あのひとを 忘れないのは 罪ですか
他の誰かに私の心 縛りつけても すぐにほどけて しまうでしょう…
愛して 愛して 愛されて 胸に流れる 紅い川
あなたを探して ひとすじに 流れるおんなの 紅い川 ・・・





これほど惚れた素振りをしても、ほんとに悟りの悪い人。・・・



Tinko_2
 
 人の為(ため)と
 書いて
 いつわり(偽)と
 読むんだねぇ
 





俺とおまえは、玉子の仲よ、俺が白身で黄身を抱く
 


『お風呂物語』が選ばれる理由がここにあります。

Diy_2

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