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2016年8月 4日 (木)

妄想劇場・番外編

妄想劇場・番外編

信じれば真実、疑えば妄想……



1810

 メジャーでは無いけど、
 こんな小説あっても、
 良いかな !!
 アングラ小説です、
 不快感がある方は、
 読むのを中断して下さい





子を持つも持たぬも人の宿命(さだめ)なり
日に日に努めて行かむ
あなたの人生なんだから好きなように
お行きなさい(生きなさい)



『☆ 流れ星 ☆』
      
「あっ! 今日はデートの日?」
「うん! ひっさしぶりだから緊張する~。」
「そうだよね~。1年ぶりだもんね。」
友達の香織が気合いを入れてメイクしている。
彼氏の雅彦とは、年に一度しか会えないらしい。
「あ~ん、もう時間が無い。 よし!行ってくるね!」

香織が慌てて飛び出して行った。
私は軽く微笑んで「行ってらっしゃい。」と小声で見送る。
既に気持ちが別の方へ向いてる彼女には、
私の見送りなど眼中に無かった。
飛んで行く香織を見届けた後は静寂が残る。
微かに身支度で使っていたシトラスの残り香も漂っていた。
手前にあった水瓶を引き寄せ、中を覗き込んでみる。

水面には、下界の夜景が広がっていた。・・・
あの人は何をしているかな?
香織のデート気分に触発され、私も久しぶりに浩昌の姿が
見たくなっていた。水面に指を近づけ、
彼の事を思い浮かべながらスワイプする。
波紋の奥で映像がパラパラと変わり、
やがて彼の顔がぼんやりと浮かんできた。・・・!

浩昌は水瓶の奥からこっちを見上げていた。とはいえ、
彼の方からは私の姿は見えない。
胸が高鳴り、頬に血の気が差してくる。
あの日から何年経っただろうか?
髪型もメガネも変わらない。

最期に見せてくれた優しい表情も、あの時のままだった。
それでも、彼を取り巻く環境は変わった。
今は新しい家族と生活を得ている。
前に彼を見たのは、別の女性(ひと)と式を挙げてる
場面だった。多少の動揺は隠せなかったが、
怒るほどのものではない。

もそも私には、あの二人の間に入る余地すら無いと
思っている。
彼から離れてしまったのは、嘘をつき通していた
私のせいだったから・・・。

***   ***

気が付いた時は病院のベッドの上だった。
軽い目眩がして、視界が徐々に狭くなったところまでは
覚えている。
浩昌が私の覚醒に気付き、ナースコールのボタンを押した。
不安と憤りの表情を半々に見せながら私に話しかける。

「おはよう。」「・・・。」言葉が詰まる。
どう応えれば良いか分からなかった。
記憶障害などではない。私は自分の病を彼に話さずに、
ずっと過ごしていた。

調子の悪さを微塵も見せずに、ずっと強がっていた。
気付かれた後に、彼がどういう反応を見せるのか
怖かったから。彼と過ごしていた日々が崩れていくのを
受け入れるのが怖かったから。
「どうして黙って・・・。」その言葉をグッと堪えてる彼。
私が一番見たくない表情だった。
恐れていた事が私の心を強く締め付ける。

呼び出しに駆け付けたドクターとナースのおかげで
この場は収まった。それ以降、再び寝ては覚め、
寝ては覚めのボンヤリした日が続く。
日を追うごとに、彼も諦めたのか悟ったのか・・・。
理由を訊く事もなく、時間を見つけては常に
寄り添っていてくれた

。あの日。爽やかな風が部屋のカーテンを揺らしている。
浩昌は今日も傍に居た。
彼は、日々の周りに起きた事や感じた事を話してくれる。
私は、彼と共に行動する妄想を膨らませるのが
唯一の楽しみになっていた。

「ヒロくん・・・。」
「ん?」普段と変わらない優しい表情で私を見てる彼。
その表情を見ていても、時折、安堵感とは別の
やるせない思いが膨らむ。
いつまで続くか分からない不安定な仲。
私からは何もしてあげられない悔しさ。
何よりも、いつ意識が落ちるか分からない恐怖心が
襲ってくるのだ。

「ごめんね。」色々な意味で・・・。
これしか言葉が浮かばない。
あとは、じわじわと涙腺がゆるんでくるだけだった。
そんな時の彼は、いつも背中に手を当てて、
ゆっくりと撫でてくれる。

「もう少しだけ・・・好きでいて・・・。」
「そんな事言うなよ。ずっと好きでいるよ。」
浩昌は体勢を立て直し、背中を撫でる手の動作を
大きくした。
手から伝わる体温が、冷たくなろうとしている
私の体と心を包み込む。彼の最期の言葉に安堵し、
私はゆっくりと目を閉じた。
部屋に入り込んだ強めの風が、彼の匂いを
かき消していく・・・。

***   ***

水瓶の奥の浩昌は、まだ私の方を見ていた。
・・・美樹~・・・
彼が私を呼んだ。驚きを隠せない。
水面を通して映る姿は、向こうからは見えないはず。
しかも、声はおろか、あらゆる音も一切通わす事は
できない。
・・・美樹~・・・まただ。聞こえるわけではないが、
彼の口の動きが私を呼んでいる。
できる事なら水瓶の中に飛び込んで、
彼の所へ降りていきたい。
両手で縁を掴んで「ヒロくん!」と小さく叫んだ。

・・・!?揺れる水面の下の方から、女の子が
浩昌に向かって走り寄ってきた。
彼はその子を抱きかかえ、左手で私の方を指差す。
続けて少し左の方を指差して、何やら女の子に
語りかけていた。
・・・ヒロくん・・・何を言っているのかは大体想像できた。

私に指差したのは、私の星座。
少し左に指差したのは、彼の星座。
お互い寄り添うように位置しているのを、
二人で確かめた事がある。
きっと、あの女の子も私と同じ星座なのだろう。
星座だけでなく名前も同じに違いない。
だから私が呼ばれたように感じたのだ。

「ずっと好きでいるよ。」あの日の背中に感じた温かさが
少しずつ蘇る。一筋の涙が頬を伝い、雫となって
水瓶の中に吸い込まれていった。

雫はゆらゆらと下界へ沈み、流れ星に変化して
二人の頭上を横切っていく。
今度は、女の子の方が私に向かって指差した。
彼は笑いながら女の子に話しかけ、ゆっくりと
自分の腕から降ろす。そして二人は手を合わせて、
しばらくその場を動かなかった。

どんな願い事をしているのだろう・・・?
今の私にできる事。それは、二人の願いを
私も一緒に祈ってあげる事だった。
その願い。叶いますように・・・。



 Author :ヒストリカル
https://kakuyomu.jp/users/hannbee_chan




歌は心の走馬灯、歌は世につれ、世は歌につれ、
人生、絵模様、万華鏡…

情熱のバラ




これほど惚れた素振りをしても、ほんとに悟りの悪い人。・・・



Tinko_2
人の為(ため)と
書いて
いつわり(偽)と
読むんだねぇ
 




俺とおまえは、玉子の仲よ、俺が白身で黄身を抱く

P R

    カビの生えない・きれいなお風呂

    お風呂物語

入れてもらえば気持ちは良いが、
  どこか気兼ねなもらい風呂


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