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2016年9月27日 (火)

妄想劇場……漢の韓信-(145) 破局の訪れ

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー



こうして、こうすりゃ、こうなるものと、知りつつ、こうして、こうなった


メジャーでは無いけど、 こんな小説あっても、
良いかな !!
アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい




Kanshin021111



韓信
紀元前二〇〇年代の
中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
「国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。








漢の韓信-(145) 第四部

破局の訪れ
 
  死を命じられれば、死ぬしかない、そんな存在に自分がなるのは
  認められなかった。
  「今、大王は項王を倒し、天下の覇者となりえた……
  その事実は認めましょう。
  臣下は覇者の命令を聞かねばならない……それもわかります。
  しかし、大王は大事なことをお忘れになられている。……
  功ある者をそれにふさわしい態度で迎えなければ、忠誠は失われる。
  いったい私の忠誠はどこに向けられるべきか? 
 
  大王は私の忠誠が不要なのか!」
  「お前の忠誠はうわべだけのものだ。お前は、
  わしが死ねと命じても死ぬことはない。しかし、
  わしが今まで窮地を脱してこられたのは、そのような死士たちが
  いたからなのだ。
  お前の功績は、彼らに及ばぬ」
 
  「仮にそいつらが生きていたところで、私と同じ働きが
  出来たかどうかは疑問ですな。
  よいか大王、あえて言わせていただきます。
  事実上、項王を倒したのはこの私だ! 
  あなたの言う死士が具体的に誰かは知らぬが、
  彼らに項王を倒すことができたというのですか」
  韓信の本音がついに出たかのような発言であった。
 
  「信! そんなことを言うな! 臣下の功績は、主君に帰せられるものだ。
  そんなことぐらいお前にも理解できるだろう。子供でもわかることだぞ!」
  夏侯嬰がまた騒がしく叫んだ。
  韓信には、嬰が自分を心配して叫んでいることがわかる。
  しかし、それをありがたく感じるだけの気持ちの余裕が、
  このときの彼にはなかった。
 
  「うるさい、黙れ、嬰っ!」韓信は感情をあらわにした。
  そもそも駆け引きをしようとしていたわけではない彼の気持ちが、
  そこに表れている。
  「よせ。功臣たちが相争う姿を兵の前で見せるな。……
  信、お前の言いたいことはわかる。確かにお前に死なれては、
  天下統一の業はならなかった。わしとて感謝はしているのだ……。
  しかし、あえてわしはお前に言わざるを得ない」
 
  「なにを」「お前が先刻夏侯嬰に向かって言った内容と同じことだ。
  お前ほどの重鎮が軍功を鼻にかけて、わしの前で
  野放図な態度で振る舞うな。
  馬鹿な者の中には、お前のそのような態度を形だけ
  真似ようとする奴らが出てくるものだからだ」…………
 
  なにも言い返せない。
  韓信は自分の立場を理解せざるを得なかった。
  軍功随一の彼は、軍功随一であるがために、見せしめに
  されようとしているのであった。
  劉邦の言う「馬鹿な者」とは、彭越や黥布のことを指すのだろうか。
  それとも趙王張耳や燕王臧荼(ぞうと)あるいは韓王信……。
  彼らを統御するために自分は屈辱を受けながらもそれに耐えることを
  強いられているようであった。
 
  あるいは、自分は滅ぼされるかもしれない。
  彼らが増長し、権利を主張し始めることになれば……。
  軍功随一の韓信でさえ、粛清される。我々など彼に比べれば、
  くずのような存在に過ぎぬ……。
  彼が殺されたのだから、我々もいずれ……。
  諸侯たちがそう考え、おとなしくしていれば、
  劉邦としてはやりやすいに違いない。
  私は、やはり道具に過ぎぬ。韓信はそう考え、これ以降、
  自分のこれまでの行動を後悔するようになった。
 
  「信のやつめ。あいつはすっかり変わりましたな。
  昔はあんなことを言う男ではなかったのに」夏侯嬰は
  去りゆく韓信の背を眺めながら、なんとも悔しそうに呟いた。
  「いや」劉邦は感心したようにそれに答える。
  「昔のあいつは、軍事を極めようとするただの学生のようであったが、
  すっかり頼もしくなった。このわしを恫喝してみせるとは、
  やはり奴もいっぱしの王のひとり、ということよ」
 
  「それは……褒めているのですか? それとも……」
  「どちらとも言えん」臣下の成長を喜ぶと同時に、その危険を
  考えざるを得ない劉邦の微妙な心理がそのひとことにあらわれていた。が、
  夏侯嬰はそれに気付かない。
 
  「聞くところによると、韓信は例の……魏の公女を失ったとか。
  奴の性格が変わったのはそれが一因ではないかと思われます」
  「魏の公女? あの魏豹の娘を失った? 死んだのか」
  「斉国内のちょっとした内乱が原因で命を落とした、と聞いております」
  「ふうむ……。では、もしかしたら奴は、
  単に捨て鉢になっているだけかもしれぬな。しかし、
  人というものは大事なものを失ってからこそ、真価が問われる。
  奴がどう変わっていくのか、今後は見ものだな」
 
  「? あまり意味がよく分かりませんが」
  「あいつはもともと……何と言えばいいのか……面従腹背の男だ。
  表面的な態度は柔らかいが、心の底では誰も信頼していない。
  そんなあいつが愛した女が、魏豹の娘であった。
  おそらく魏豹の娘は、韓信の欠点を補い、奴が道を誤らないように
  導いたことだろう。
  わしも何度かあの娘を見たことがあるが、そのとき受けた印象が、
  そんなものだった。
 
  お前も彼女を見たことがあっただろう」
  「私は、女は外見しか重要視しないたちですので……。
  しかし、それを失った韓信は?」「導く者を失って道を誤るか、
  失った者の生前の教えを尊重して正しく生きるか、そのどちらかだろう」
  劉邦はそう言って識者ぶった表情をしてみせた。
 
  元来ぐうたらで、やくざのような生活をしてきた漢王などに、
  人が正しく生きる道などわかるのだろうか?夏侯嬰は、ひそかにそう思った。
  劉邦の付き人のような存在の嬰でさえそう思うのだから、
  もし韓信本人がこの言葉を聞いたとしたら、怒りをあらわにしたかもしれない。
  「お前に、人の道のなにがわかるというのか!」と。
 
  右手に握られた剣は、振り回す機会を与えられないまま、
  鞘に納められた。あるいは韓信が劉邦に叛意を示し、
  殺そうとしたとすれば、このときが最後の機会であったかもしれない。
  しかし、忠義のために命を捨てる死士とまではいかなくとも、
  常識的な意味での忠誠心をもっていた彼は、
  それがために思い切った行動はとれなかった。
  だがそのために、未来は彼の予見したとおりの方向に動いていくのである。
 
  つづく
 
  Author :紀之沢直樹
  http://kinozawanaosi.com

 
 
  愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る
 

 
 
 

歌は心の走馬灯、歌は世につれ、世は歌につれ、

 
     人生、絵模様、万華鏡・・・

 
 
  『 いにしえワルツ 』
 
 
砂時計 逆さにすれば時よ もどしてくれますか
  ピンク電話の十円玉が 切れて終わった 昔の恋を
  春よおいでと口ずさむ どこか淋しい 三拍子
  貴方がひざで眠ったころが 懐かしすぎます いにしえワルツ

 
 
 
 
 
 

時は絶えず流れ、 今、微笑む花も、明日には枯れる


 
 

 
 
 

 

     

P R
 
 
カビの生えない・きれいなお風呂
 

 
お風呂物語
 
  『お風呂物語』が選ばれる理由がここにあります。

 
  Diy

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