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2016年12月26日 (月)

妄想物語  (雪のかけら)

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妄想物語  (雪のかけら)


Yukijpg

私には、病気の母がいます。母の病気はガンです。
最初は病気と戦っていました。抗癌剤をやったり、
放射線治療をしたり。民間療法も試してみました。
生きるためにあらゆることをしました。
しかし、ガンは消えませんでした。

いや、消えるところか、 だんだん大きくなっていきました。
そして今日、父と母の担当の医師が話をしました。
医師は父に告げました。母の命は1ヶ月持つかどうか…。
父は私にそのことを話しました。でも、母には内緒です。
本人が知らない方がいいだろうから。

母は今日もガンと戦っています。でも、
奇跡でも起きない限り、 ガンに勝つことはもう無理でしょう。
私は、どうすればいいのだろう。
母とどう接していいかもわからない。
変に接して病気のことが母に感づかれそうで怖い。
そして、母が居ない世の中も怖い。
いつかは私より先に居なくなってしまう。
それはわかっていました。でも、それがこんなに早くに…。
語り終えると、少女の目から涙がこぼれ出た。

少女の話を静かに聞いていたマスター。
そしてマスターは静かに言った。
「奇跡を起こせばいいのです。」
奇跡を起こす?そんな簡単に起きるものなの?
少女は再び悩む。「どうしたら、奇跡は起こせるの?
こんなに手を尽くしてもダメなのに、 奇跡って起きるの?」
目に涙を貯めたまま、少女は言った。

「ひとつだけ、方法があります。」
方法?それは何?
「ただ、それはとても難しいのです。」
マスターは困ったような顔をしていった。
どんな難しいものでも、奇跡が起きて 母が助かるのなら、
何でもやる。 少女は強い意志をもっていた。

「あなたは強い意志があります。
だから、出来るかもしれません。教えましょう。」
そんなことまで分かってしまうマスターが少女は
不思議だった。
「私のことを不思議がっている場合ではないですよ。」
やっぱり、不思議だ。

マスターから教わった奇跡を起こす方法は。
毎日夕方5時ぴったりに、空から虹色に光る
雪のかけらが降ってくる。それは、
誰にでも見えるものではなく、本当に必要としている
人にだけ見えるという。
その雪のかけらを拾ってマスターに届ければいい。

「あなたは、簡単そうだと思っているようですが、
とても難しいです。
まず、見えるまでに相当時間がかかるでしょう。
ここであきらめる人がほとんどです。出来ますか?」
少女はうなずいた。
「では、私は、ここで待っています。何かあったら、
相談にのりますよ。」 マスターは少女に笑いかけた。

雪のかけらを探せば、母親を助けられるかもしれない。
その喜びで心の中はいっぱいだった。
少女は、早速午後5時5分前に、雪の降り積もる
自分の家の庭に出た。 上を見て、落ちてくる雪に
目を凝らすも、雪のかけらは降ってこなかった。
何日か同じことをやり、少女は気がついた。

雪は、風に流れてあっちこっちへとふわりふわり移動する。
もし、雪のかけらが落ちてきたとき、自分の家の
庭以外のところに落ちそうになり、 その時に慌てて
門を開けて外に出て、雪のかけらの着地点に
間に合うのだろうか。
ましてや、少女の家の前の道路は、頻繁じゃないものの、
車も通る。 左右の安全を確認して外に出たのでは、
間に合わないのでは。

次の日から、場所を近くの公園に変えた。
ここなら広くて、どこに落ちてこようと気にしなくてもいい。
5時5分前に公園へ行って上を見上げても、
雪のかけらは落ちてくる気配がない。
もしかしたら、5時ピッタリではなく、5時台かもしれない。
少女は、6時まで公園にいた。
それでも、雪のかけらは 落ちてくる気配がなかった。
そんなことをしている間にも、少女の母親は
日を追うごとに 悪くなっていく。
少女が行くたびに、元気がなくなっていくのがわかる。

奇跡を起こさないと。奇跡を起こしてお母さんを
助けないと。 少女は、その思いでいっぱいだった。
だから、毎日公園へ行って、 必死に落ちてくる雪を見た。
そしてその日はやってきた。

少女の住む街は、5時になるとチャイムが鳴る。
そのチャイムが鳴り始めたとき、空からキラキラと
虹色に光るものが、 風に運ばれながら落ちてきた。
きっとあれが雪のかけらだ。そう思い、両手を上に伸ばし、
移動しながら、雪のかけらをとった。

やった。これをマスターにもっていけば、奇跡が起こる。
しかし、雪のかけらは、少女の手袋の中で静かに
溶けていった。
雪だから、溶けるのは当たり前なのだ。
でも、少女は悔しかった。ここまでくるのに何日も
かかったのに。少女は、あの喫茶店に行った。

マスターに雪のかけらを見つけたことを報告するために。
でも、雪のかけらは手元にない。それだけが悔しかった。

「雪のかけらを見つけることがてきたのですね。」
マスターは微笑んでいた。そして、少女にココアを入れた。
「見つけるだけでも、すごいことなんですよ。
持ってこれればもう奇跡ですね。
これからは、もっと見つけやすくなりますよ。」

どうすれば、持ってくることができるのだろう。
次の日から、直接手で触れると溶けるから、
小さい入れ物を持っていった。 いつものとおり、
いつもの時間に空を見た。キラキラと光る雪が落ちてきた。

よし、今度こそ。少女は入れ物を上に持ち上げて、
雪のかけらは静かに入れ物の中へ。
とれた。早くマスターのところへ。 しかし、
マスターのところに行くまでに、少女の手の体温が
入れ物に伝わり、溶けてしまった。

喫茶店についたときには、入れ物の中に
1滴の水が入っていた。
「でも、これはいいアイデアですね。気持ちが
伝わってきます。」
マスターは少女にココアを入れて励ました。

次の日から、温めたら溶けるから、小さいクーラーボックスを
持っていった。保冷剤もいくつも入れて溶けないようにした。
雪のかけらをとり、急いでクーラーボックスに入れた。
そしていそいでマスターのもとへ。

しかし、出したと同時に雪のかけらは溶けていた。
冷凍庫のように凍らせるぐらい温度を下げないと
溶けてしまう。クーラーボックスではそれは無理だ。

でも、少女は諦めたくなかった。 どうすれば、
冷凍庫のような状態に保ったまま持っていけるのか。
次の日、一晩冷凍庫にいれた金属製の入れ物を
持っていった。

その入れ物はギンギンに冷えていた。
いつものように雪のかけらが降ってきた。
入れ物の中に雪のかけらをいれ、 急いで
クーラーボックスにいれ、急いでマスターのところへ。

喫茶店で冷凍庫を借り、そこで そおっと入れ物を出し、
雪のかけらを見た。
かけらは、虹色に光ったまま残っていた。 やった。
これで奇跡が起こせる。お母さんを助けることができる。
「これで、奇跡が起こるね。ありがとう。」
少女はマスターにお礼を言った。

しかし、マスターは 「もう、奇跡が起こっていますよ。」と
言って微笑んだ。奇跡が、起こっている?
「正確にいえば、あなたが奇跡を起こしたのです。
この雪のかけらを持ってくるという奇跡を。」

意味が分からなかった。雪のかけらを持ってくる
奇跡じゃなく、お母さんを助ける奇跡は起こらないの?
「奇跡は、待っていれば起こるものではありません。
自みずからの手で起こすものなのです。」

少女は、意味が分からなかった。ここまで頑張ったのに、
自分の力で起こす物って言われても…。
「あなたは、いろいろな困難があったのにもかかわらず、
それを自分の力で乗り越え、雪のかけらをここに
もってくるという奇跡を起こしました。
この奇跡は、あなたの努力の結果が起こしたものです。」

確かに、諦めそうにもなったけど、母親を助けたい一心で
雪のかけらを持ってきた。
「雪のかけらを持ってきたあなたなら、お母さんを助ける
奇跡を起こせます。」

結局、雪のかけらを持ってきても母親が助からないのは
分かった。 でも、少女は満足だった。
奇跡は願っていて起こるものではない。
自分が動かないと起きないものと分かったから。
奇跡は起こすもの 少女の母親は日に日に弱っていった。

ある日、少女が家に帰ると、父親がいた。
父親は、母親の担当の医師と話があったらしい。
その内容は、母親に新薬を使ってみるてはどうだろう?
というものだった。
「ただ、その新薬を使えば治るものではないらしい。
治らないかもしれない。それに、副作用もひどくなるらしい。

お母さんは、もう体も弱っているから、
その薬を使うことによって、命が縮まるかもしれない。
お父さんは、もう、家に引き取って、ここで
面倒を見て最後を迎えて欲しいと思うのだけど。」

少女は、父親の話に納得できなかった。
「その新薬、使ってみようよ。やってみないと
わからないじゃない。
何もやらないで見ているだけだと奇跡は起こらないよ。
奇跡を起こすために使ってみようよ。」

少女は、何もやらないで死ぬのを待っているだけ
というのがとても嫌だった。
どんなものでもいい。可能性があれば、
やってみればいい。そうしないと、
奇跡は起こせなし、起こらない。 ・・・

「わかった。先生にお願いしてみるよ。」
数日後、新薬の投薬が始まった。
副作用がひどく、少女の母親は、物が食べれなくなった。
しかし、 食べないと体力が落ちるから、少女は必死に
家で母親が食べれそうなのを作り、病院にもっていって
食べさせた。

副作用で、全身がしびれて苦しい時も、少女は必死に
看病した。 そして春が近づいてきたある日。
担当の医師に呼ばれた。

「頑張ったね。もう大丈夫だよ。」 医師は笑顔で言った。
新薬が効いたらしく、ガンはどんどん小さくなっていった。
そして、手術で切り取れるぐらいまで小さくなったから、
手術で取れば長い闘病生活は終わる。

治れば奇跡と思っていたのに、その奇跡が起きた。
少女は嬉しかった。 そうだ、お礼をしにいこう。

喫茶店の場所へ行くと、空き地になっていた。
近所の人に転居先を聞こうと思い、
隣の店に入って聞いたら、そこはずうっと空き地に
なっていたらしい。

少女が入った喫茶店は?あのマスターは?
なにものだったのだろう…。
空き地を見ると、雪の間からタンポポが
顔を出していた。・・・

Author :英 亜莉子
http://mypage.syosetu.com/300121/・・・



昨日という日は歴史、今日という日はプレゼント
明日という日はミステリ


「ひとひらの雪」



歌は心の走馬灯、
歌は世につれ、
世は歌につれ、
人生、絵模様、
万華鏡…







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