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2017年1月12日 (木)

妄想劇場・特別編 「歴史が神話になる日」

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昨日という日は歴史、今日という日はプレゼント
明日という日はミステリ



歴史が神話になる日~「フォレスト・ガンプ」

われわれは、歴史と神話を区別している。
歴史は事実、神話は物語、つまり、
神話は事実の裏付けを必要としない。
神話は人を感動させ、人生に影響を与えるが、
歴史は現実世界と結びついている。

たとえば、
ユダヤ民族とイスラム教徒の過去の歴史は、
現代のパレスチナ問題を形成している。
過去の歴史が、長大な時間をへて、現代の
地球世界を操っているのだ。もちろん、神話が
この種の力をもつことはない。
それゆえ、人間は神話に寛大で、歴史には
冷徹なのである。


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映画「フォレスト・ガンプ・一期一会」


オツムは弱いが、足が速くて素直が取りえの
ガンプが、生き馬の目を抜くアメリカ社会を
生き抜く。
ストーリーは、歴史上の事件をモチーフにしているが、
イデオロギーや批判のたぐいは一切ない。

素直な青年がそのまま生きているのに、
それに世界が合わせるかのように、ことがうまく運ぶ。
彼の人生を支配しているのは、才能ではなく、
運命(ほし)なのだ。

そして最後に、大事を成し遂げるわけでもなく、
自分の大好きな芝刈りの仕事に就く。
こんな世界があるわけない、と思う反面、
子供の頃読みふけった童話のような没入感がある。

人生はチョコレートの箱のようなもの、
開いてみるまでわからない。
ガンプの母親は死に際に、そう言いきかせる。
ところが、ガンプにはそんな教訓は必要なさそうだ。

先を考えず、今を一生懸命生きて、その結果、
周囲を巻きこみ、彼に幸福がもたらされる。
成功も失敗もない、ただ、命の輝きがあるだけだ。
ガンプの人生は運命(ほし)なのである。

「フォレスト・ガンプ・一期一会」のキャストもいい。
トム ハンクスの演技はオスカー主演男優賞に
ふさわしいものだったし、ガンプの上官を演じた
ゲイリー シニーズも素晴らしかった。

同類の映画がない、役者の演技が素晴らしい、
押しつけがましい主義主張がない、だから
自然に感動するのだ。

古代より伝承された神話は、たとえ事実が
ベースであっても、歴史とは根本が違う。
神話学者ジョセフ キャンベルはかつてこう語った。

「神話とは宇宙の歌、人間の意識にしみこんだ音楽である」
神話は史実の羅列ではなく、人間に魂を揺さぶるもの。
「フォレスト・ガンプ・一期一会」もアメリカの現代神話と
いえるかもしれない。

「フォレスト・ガンプ」は主要部門の他に、もう1つ
オスカーを受賞している。視覚効果賞だ。
ガンプの上官、ダン中尉は、ベトナム戦争で両足を
失うのだが、両足のない映像が従来の映像とは
明らかに違った。この手の加工映像は何かしら
不自然さがともなうものだが、それが全くない。

さらにガンプが、ケネディ大統領と握手をする
リアルなシーンもあった。過去の映像と新しい映像を
合成し、架空の映像つくる技術がここまで進化したのだ。
問題は、目を凝らしても、偽物だと分からないこと。
もし、本物と偽物を判別するすべがなくなれば、
「本物」という概念も言葉も消滅する。
これは、世界を変える可能性がある。・・・


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本物と偽物  

シェークスピアは本当に実在したのか?
そんな疑問を投げかける人がいる。
ウィリアム シェークスピアは、16世紀イングランドに
彗星のごとく出現した劇作家で、作品の質と量が
傑出しているので、複数の作家が書いたのでは?と
いうわけだ。

確かに、本人の写真はないし、肖像画はあるものの、
実在の証拠にはならない。
シェークスピアの作品は事実だが、
「シェークスピアの存在」は神話かもしれないのだ。

一方、ヒトラーはどうだろう。
写真も映像も残っているし、第二次世界大戦を
引き起こした張本人、という歴史的事実も動かしがたい。
実在したことを疑う人はいないだろう。

では、これからは?もし、イミテーション技術が
進化したら、今残っているヒトラーの証拠など
簡単に偽造できるだろう。

この手のイミテーション技術は、一般に
「デジタル加工技術」と呼ばれる。
この技術のコアは、すべての情報を「0」と「1」の
数字に置き換えること。文字、映像、音、
それがなんであれ、一旦「0、1」で数値化すれば、
偽造はカンタン。数値の置き換えで事が済むからだ。
しかも、「数値の置き換え」はすべてコンピュータが
やってくれる。

ゴッホの贋作をなぞってつくる時代は終わったのだ。
いつの間にか、我々の生活に浸透したデジタル
加工技術は、地球の歴史を根っこからひっくり
返そうとしている。
このままでは、歴史と神話の区別がつかなくなるのだ。

歴史が神話になる日

今、世界中で情報がデジタル化されている。
一旦、デジタル化すれば、加工は簡単だし、
完全なコピーが可能になる。

もし、ハード(記憶媒体)が劣化すれば、
新しい媒体にコピーするだけでいいのだ。
これまで、地球文明を支えてきた紙媒体は、
その寿命は500年から1000年と言われている。

ところが、デジタル情報は、媒体から媒体へと
霊のごとく乗りうつり、地球の最期の日まで
生きつづける。
しかし、一見便利に見える「デジタル技術」も、
グロスでみれば人類にとって「悪」だろう。
「デジタル技術」のもう一つの顔、

イミテーション技術のことだ。イミテーション技術は
際限なく進歩をつづけ、やがて、高度な科学的手法を
もってしても、本物と偽物の見分けがつかなくなる。
そして、その日が「歴史が終わる日」なのだ。
本物と偽物の区別がつかないなら、
「歴史」は消滅する。・・・

そう遠くない未来、歴史が真実か否か、論ずること
そのものが無意味になる。歴史は死語となり、
我々にとって、今の瞬間だけが真実となる。
これは、文明の根幹を揺さぶる。
我々は、過去の膨大な情報を不老不死にすべく、
せっせとデジタル化し、その引き替えに、
「真実」を消滅させている。その結果、
歴史と神話は同一化する。
歴史が神話になる日がそこまで来ている・・・のだ。

Author :ベネディクト
http://www.benedict.co.jp/



こうして、こうすりゃ、こうなるものと、 知りつつ、
  こうして、こうなった




歌は心の走馬灯、歌は世につれ、
 世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…


「愛のフィナーレ」

      


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