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2017年1月30日 (月)

妄想劇場・番外編・「八 音 琴 」

A71211

なぜ、美人はいつもつまらない男と結婚するんだろう?
賢い男は美人と結婚しないからさ。・・・



181011


「八 音 琴」


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この日の西村の体調は良好だった。日頃は常に手足の
しびれがあったが、この日は全く感じなかった。
西村は蘭華を助手席に乗せ、空港の駐車場料金所の
精算機横に車を停めた。
機械は「チュウシャケンヲオイレクダサイ」と音を出した。
蘭華「すごい、この機械、しゃべったよ!」  
日本では当たり前な事でも、蘭華にとっては見るもの聞くもの
全てが初めての経験だった。  

西村の運転する車は、千歳インターから高速に入ると、
ぐんぐん加速して周りの車を追い越して行った。
蘭華「西村さん、運転、上手ね。」
西村「僕でも上海でタクシーの仕事できるかな?」  
高速を降りると、まず西村は、蘭華を北海道開拓記念館に
案内した。

閑散としている館内は、まるで蘭華を待っていたかの様だった。
どこへ行っても大勢の人間がいる上海とは違い、
重厚な博物館の中は二人きりであった。
もし、西村にとって病が無かったら、妻と別れて
独り身だったら、蘭華の肩を抱き寄せていただろう。
手を繋いでゆっくりと展示物を見て回ったであろう。

しかし、蘭華を優しく見守ることしかできない西村であった。  
二日目から、二人の北海道大陸の大移動が始まった。
北へ向かう途中、二人は誰も居ない日本海の砂浜に
車を止めた。
蘭華「北海道、広いねぇ・・・。海、綺麗ねぇ・・・。
誰も居ないよ」  誰もいない浜辺では、強い風が
二人を包んでいた。冷たい風は蘭華の美しい
長い髪を容赦なくかきあげ、蘭華は幾度無く
舞い上がった髪を戻そうとしていた。

西村「そのままでいいよ。そんな君も素敵だから・・・」  
潮風に身を任せた蘭華は、なんと美しかったであろうか。
時々舞い上がる蘭華の髪の奥から見えてくる
白い首筋は、女の弱々しさも感じさせた。
そして、しばらく砂浜を走り回った二人は、自然と互いに
手を取り合い車に戻った。

西村「この景色、全部、君の為にあるんだよ。
君だけのものなんだよ。神様からのプレゼントだよ。
もう少ししたら、あの太陽が海の向こうに沈んで行くよ。
まあるい太陽が、オレンジ色になって・・・」  
誰もいない北国の海岸で、二人は車の中、黙って陽が
沈むのを待っていた。

蘭華の身体は、すっぽりと西村の胸の中に抱かれていた。
西村は蘭華の乱れた長い髪を優しく整え、
彼女の細い首筋から髪の中に手を入れた。
それから、もう片方の手の平で、そっと彼女の小さな胸に
手を置いた。蘭華は何も言わず、西村に身を委ねていた。

日本海に沈む夕陽は、なんと美しいことだっただろうか。
蘭華は、太陽が丸い事を生まれて初めて自分の目で
知ったのであった。  
その晩、二人がホテルのバーラウンジで話しをし、
そろそろ各々の部屋に帰って休もうかという時である。
西村の携帯電話が急に鳴り出した。なんと、それは
上海にいる福田からの電話であった。

福田「西村さん、急な話なんですけど、わし明日、
中国人を連れて大阪に行く事になりましたんや。
すんまへんが、蘭華を大阪行きの飛行機に乗せて
もらいまへんか? 
蘭華に通訳をさせよう思うてんです。
これ、仕事やさかい、頼みまっせ。」  

これを聞いた西村は、福田が蘭華を取り戻そうと
していることを悟った。
中国人が日本行きビザを取得するには、最低でも
一週間はかかるはずだ。在日の中国人ならば
再入国許可を取得していればビザは不要だが、
もし、在日中国人ならば、日本語は蘭華よりも
上手なはずだ。
ここまでしても、福田は蘭華を縛りつけようとするのか・・

西村「蘭華さんは、休みを頂いて日本に来ているんでしょ? 
蘭華にトラブルがあっても貴方の会社では一切、
責任を持たない。全て、西村に責任があると、あなた、
言いましたよ。今回の訪日は蘭華のプライベートで、
福田さん、自分の会社には責任が無いと、貴方、
言いましたよ。私はそれに同意して、全ての行動に
責任を持ちました。それなのに、今さら仕事だから
送り返せとは、筋が通りませんよ」  

福田「そやけど西村はん、蘭華はわしの会社の役員や。
取締役なんや。会社の運営には責任があるんや」
西村「しかし社長、蘭華さんが役員である事、貴方、
私には言っていませんでしたよ。責任を全て私に
押し付け、都合のいい時だけ役員という肩書きを
利用するんですか? 
ちょっと、虫が良すぎませんか?」

福田「・・・、解りました。今回の事は、こちらで
どうにかします。」 
福田が蘭華を会社の役員にしていたことを西村は
知らなかったが、それを聞いたとしても別段、驚く事は
なかった。愛する女を縛りつけようと思えば、
そこまでするのは当然だと思っていたからだ。

でも、中国は違う。日本とは違う。蘭華の会社の業種、
取引金額からして、蘭華には危険が多過ぎる。
何も世間を知らない二十六歳の女性には役員という
肩書きが危険過ぎるのだ。

西村「それと、蘭華さんが北海道にいる間、あなたには
電話させません。どうせ、あなた、明日から大阪に
行くのでしたら連絡つきませんでしょ? 
日本の携帯電話、持っていませんでしょ?」

西村には、横で全ての会話を聞いている蘭華の目から、
幾つもの涙が零れ落ちているのを感じていた。
西村「蘭華、心配無いよ。大丈夫、だいじょうぶ・・・」  
その後、二人の旅行は、西村の予定通りに進んでいった。

・・・

つづく



Author :夢庵壇次郎
http://www.ne.jp/asahi/muan-danjiroh/jp/




歌は心の走馬灯、歌は世につれ、
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