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2017年2月 6日 (月)

妄想劇場・漢の韓信-(160)追いつめられて…

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昨日という日は歴史、今日という日はプレゼント
 明日という日はミステリー


メジャーでは無いけど、 こんな小説あっても、
 
良いかな・・・


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい


Kansin


漢の韓信-(160)追いつめられて…

事態が風雲急を告げていることを、この時点で
知っている者は、韓信と陳豨しかいない。
たった二人だけの叛乱。
かつて韓信の周囲にあって行動を共にしたり、
助言を与えたりしてくれた者たちは、皆既にいない。
この時期の韓信は、孤独であった。
その孤独さが彼の思考を過激にしたのかもしれない。
常に抱いていた不満が、この時期の孤独に
誘発されて爆発したのだ。

私は深い後悔を抱かざるを得ない。
どうして彼の悩みに気付くことができなかったのかと。
今にしてみると、蒯通がしつこく自分に勧めたことは、
すべて正しかったように韓信には思われた。

「知識を得ておきながら、決断して行動に移す
勇気を持たぬ者に幸福は訪れぬ」  
かつて蒯通は、そう言った。
あのとき彼の勧めに応じて決断していれば、その後の
彼の運命は変わっていたかもしれない。  

酈生は、死ぬ間際に残した書簡の中で、
彼に独立を示唆した。
「将軍は自分の欲に気付いていないために、
行動を起こせずにいる」  今、韓信は
自分の欲が何であるかを知った。  

誰にも膝を屈したくない自分。  人の上に
立ちたいと望んだことはないが、かといって
卑屈な存在であることを拒否したがる自分。

つまり自分は、誰にも邪魔されずに言いたいことを
言い、やりたいことができる社会を望んでいたのだ。  
酈生は韓信より、韓信のことを見抜いていた。  

カムジンは戦場で成長し、自我に目覚め、それ故に
罪を犯した。  そのカムジンの晩年の姿と
今の自分が重なるような気がして、
彼は悪寒を覚えた。

彼は今に至り、ようやく彼自身の欲求を理解することが
できたからである。  
これは、自我に目覚めたということに違いなかった。  
そのようなことを常に考え、彼は自分の
決意に対して悩み続けた。その期間は長く、
まる二年に及ぶ。  

韓信は、陳豨の行動を待っていたのである。
「……君は陛下の信頼が厚い。二度三度
君の忠誠を疑う行為が発覚して、ようやく陛下は
行動を起こす」  韓信のその言葉を受けた陳豨は、
鉅鹿に到着するとすぐに食客を集め、
私的勢力の形成に努めた。  

その食客の数は膨大で、あるとき陳豨が趙の
邯鄲を訪れた際、連なる食客の車が一千台を超え、
公立の宿舎がすべていっぱいになったくらいである。  
趙のある大臣がこれに不信と危機を感じ、
朝廷に参内して皇帝に訴えた。

陳豨は軍令の範囲をこえる私的勢力を持ち、
そのため謀反の可能性が高い、と主張したのである。  
皇帝はこの主張を受け、人を遣って陳豨の食客の
素性を調べさせた。

その中には後ろ暗い過去を持つ者も多かったが、
そのことが陳豨の謀反を証明することにはならない。  
皇帝は陳豨を罷免しようとはしなかった。

「大丈夫、その調子だ。ゆっくりで構わない。
構わず勢力の拡充に尽力せよ」  
韓信は陳豨からの密使の報告に、そう返答した。
「我が主の陳豨は、今後どのように行動すべきか、
淮陰侯におうかがいして参れ、と申して
おりましたが……」  韓信は、満足した。

陳豨は自分のために行動してくれている。
「殊勝だな……陳豨という男は。彼の行動は
彼自身の野心から発せられているものではなく、
私のために捧げられている。……
もっと早い段階で出会うべき人物であった」  

韓信は密使に伝えた。 「帰ったら、陳豨に
伝えてほしい……匈奴に亡命した韓王信と
ひそかに同盟せよ、と。具体的な方策は問わぬ。
陳豨の数多い食客の中には、韓王信の部下に
誼がある者もいるだろう……

そのつてを頼るのも方策のひとつだ」
「承知いたしました。必ず、そのように」  
密使はそう答えて陳豨のもとへ帰っていった。  

韓信はその後ろ姿を見つめつつ、思う。  
策士として裏から謀りごとを巡らす、というのは
性分に合っていないが……なかなか
根気がいるものだな。自分で戦う方が、
よっぽど気楽だ。  

しかし、今の韓信に手持ちの兵力はない。
戦いは陳豨に任せ、自分は機会を待つことしか
出来なかった。 なまじ待っている間は
考える時間があるだけに、くじけそうになる。

彼は自分の意志を保つべく、弱気と
戦っているのだった。  
翌年の七月、皇帝劉邦の父、劉太公が
死去した。
・・・

つづく

Author :紀之沢直樹 (野沢直樹)
http://kinozawanaosi.com
http://mypage.syosetu.com/273441/

愚人は過去を、賢人は現在を、
 狂人は未来を語る


歌は心の走馬灯、歌は世につれ、
 世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…



「昭和ブルース」



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