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2017年2月28日 (火)

妄想劇場・漢の韓信・(163)策略…

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昨日という日は歴史、今日という日はプレゼント
 明日という日はミステリー


メジャーでは無いけど、 こんな小説あっても、
 良いかな・・・

アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい


Kansin

漢の韓信-(163)策略…

「項王が死んだことで」  韓信の口調は、暗い。
頭の中に散乱する思いを必死に体系化して
言葉にしていくために、すらすらと口から
言葉が出てこない。  

しかし、かえってそのことが聞いている側の
側近たちにとって、一言一言の重みを感じさせる。
そして、いかにも自分たちが陰謀を巡らせている
ようにも思えてくるのだった。

「秦末からの楚漢興亡の歴史は終わりを告げた、
と考える者は多い。しかし……私はそうは考えない。
状況は、楚が滅び、漢が大陸を統一したというだけで、
秦が漢に変わっただけのことだ。
単に支配者が変わったというだけのことだ」

「しかし、秦の政治は腐敗していました。
変わるだけの理由はあったと思われます」
「政治の腐敗があったのは確かだ。しかし、
単に腐敗していただけだとしたら、腐敗の原因を
取り除けばいい。すなわち腐敗の元凶であった
宦官の趙高を殺して天下の良識家を採用し、
二世皇帝をもり立ててやればよかったのだ。

しかし、秦が滅ぼされたのは腐敗が原因ではなく、
もっと根本のところが原因だ。
腐敗以前に問題があったのだ……
法で人々が身分を定められたのが秦の政治の
特徴であったが、その法は支配階級に
利益をもたらすためだけに存在し、
被支配者である民衆にとって、法は弊害で
しかなかった。

これが秦の滅んだ最大の原因だ」 「…………」  
側近たちは韓信の話に聞き入る。
韓信はいったん口をつぐんだが、それは
側近たちの反応を知りたいからではなく、
やはり自分の考えを整理しようとしている
からであった。  

側近たちは、それを知り、あえて口を挟もうとは
しない。 「大沢郷で決起した陳勝は、後世まで
伝わるであろう名言を残した。

『王侯将相、いずくんぞ種あらんや』……
王侯や将軍・大臣、どれも皆おなじ人である。
家柄や血統などによらず、自らの才覚でその地位を
得ることが、誰にでも可能なのだ、と。一連の
楚漢の興亡が革命と呼べるものならば、
私はこの陳勝の言葉こそが、今後の
活動方針を示す綱領と言えるものだったと思う」
テーゼだったと言うのである。

韓信の言葉は、古代における革命論であった。
「陳勝は王侯の存在を否定したわけではなく、
それが家柄や血統で継承されることを拒んだ。
才能や努力で成功をつかみ取る社会を夢みて、
それを言葉にした。

その言葉に同調した群雄が乱を起こし、中原は
革命の場となったのだ。しかし、漢によって
統一された現在の社会は、陳勝が望んだ形とは違う。
才能を持ち、かつ多大な貢献をした諸侯は
劉姓を持つ血族に取って代わられ、
血族は世襲でその地位を確約されている。

皇帝は至尊の地位とされ、神仙と同様、
あるいはそれ以上の存在となり仰せた。
そしてやはりその地位は世襲され、
血族による支配が続いていく……。

春秋の世の氏族社会の復活だ。
劉一族による独裁体制の確立。
陳勝の唱えた才覚や努力で地位を得る体制が
生まれる余地は微塵もなく、その意味で
革命はまったく完成していない。

時代は逆戻りしている、と言えるだろう」
「ですが……皇位が血統で継承されないことに
なると、常に天下は戦乱の危険に晒されます。
そのことをどうお考えで?」

「人々が正しくものを言える社会が到来すれば、
戦いは武力によるものではなくなるはずだ。
武力のない世界に戦乱は訪れぬ。
私がこれからやろうとしていることは武力抗争に
他ならないが、……しかしこれは避けては通れない
道なのだ」

「では、皇帝と戦って勝ち、淮陰侯自ら皇帝を称すことが
目的ではないのですか」
「私は……憚りながら言うが、自分のことを優れた
武将だとは思っている。しかし、古来優秀な武人が
同時に優秀な統治者であったことは稀だ。

私もその例に違わない。経験があるから言えることだが、
どうも私には統治者としての才覚はなさそうだ」  
それでは後に混乱の種を残すだけではないか……。  
側近たちはそのように思い、韓信自身もそう考えた。  

しかし自分が皇帝に勝てば、才覚ある者を
市中から選び、政務を執らせることが出来るだろう。
その者の才覚次第では、玉座に座らせることも
考えてもいい。韓信はそう思い、語を継いだ。

「皇帝が態度を改め、才覚に応じて人材を適所に
置けば私としても剣を収めるつもりはある……
しかし、期待できないだろう。
あの方は、お変わりになられた。
旗揚げ当時の度量の深さはすっかり影を
潜めてしまった。・・・


つづく

Author :紀之沢直樹 (野沢直樹)
http://kinozawanaosi.com
http://mypage.syosetu.com/273441/


愚人は過去を、賢人は現在を、
 狂人は未来を語る


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歌は心の走馬灯、歌は世につれ、
 世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…



「命あたえて」


Ongaku



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