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2017年2月26日 (日)

妄想劇場・妄想物語

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信じれば真実、疑えば妄想・・

運転手という職業に携わっている人間にとって、
交通違反は致命的。
免許停止にでもなれば、生活の危機だ。

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それでも、深夜の空いている首都高速を
60キロで走るタクシーなどいないのも事実だし、
都内では違法駐車の車がない道を探すのは至難の業。
「見つからなければ、事故にさえ気をつければ…」
というのは、みんな心の中で思っていることだ。

とはいっても、違反行為自体を正当化しようとは
思わないが…。
ある雨の早朝のこと。
ふと反対車線を見ると、いかにもタクシーを
探しているらしい老夫婦が目に入った。

この時間、車庫帰りの車が多くて、
あちら側には全くタクシーが走っていない。
私は思わず速度をゆるめた。
しかし悪いことにここはUターン禁止。

しかも老夫婦の立っているすぐ近くには交番があり、
若い警察官がひとり道路に目を光らせていた。
降りしきる雨の中、夫はどこか具合が悪いのだろう、
立っているのさえ辛そうだ。

そのとき、警察官が私のほうをちらりと
見たような気がした。
そして、くるっと後ろを向いて、交番の中に
入っていくった,、その瞬間、

私は前後に車がいないのを確認し、ハンドルを
目いっぱい右に切った。
車は半回転し、老夫婦の前に止まった。
妻が駆け寄ってきた。
「すみません。ありがとうございます」と、
何度も頭を下げる。

「××病院までお願いします」
「わかりました」と言ったが、目はバックミラーに
吸い付けられていた。
すると、先ほどの警察官が小走りで向かってきた。

「汚い手を……」
心の中で舌打ちをしながらも、私は覚悟を
決めていた。規則は規則。それをもののみごとに
破ったのだから、しかし、誓って言えるのは、
「稼ぎ」のために違反をしたのではないということだ。

だが、警察官は私ではなく、老夫婦のほうに
駆け寄った。「おじいちゃん、よかったなあ。
タクシーが来て。「ほら、私につかまって」
そういうと、夫の体を支えるように車に
連れてきたのだ。

「ほら、よっこらしょっと」
夫は小刻みに震える体を若い警察官に
預けるようにして、シートに体を横たえた。
老夫婦を車に乗せると、今度は私に向かって、
「いやあ、なかなかタクシー来ないんで、
心配してたんだ。よろしく頼むね」と言った。

「お巡りさん、すみません。いま……」と
言いかけると、・・・
「ほら、早く行ってあげなきゃ」と言って
軽くウインクした。

私の心の中はうれしさでいっぱいだった。
「世の中、まだまだ捨てたもんじゃないぞ」
そんな独り言をいいながら、しかし
あの若い警察官は、寒い日の夜勤で
かなり疲れていたかもしれないが、
心の温もりは失っていなかった。

「お父さん、もうすぐ病院ですからね」と、
妻がさかんに夫を励ましている。
あの警察官の好意に応えるために私が
しなければならないことは、このお客さんを
無事病院に安全に送り届けることしかない。・・・


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去年の11月、こんなことがあった。
旧友が拙宅を訪ねてくるという。
何しろ何十年ぶりの再会だものだから、
俺は年甲斐もなく胸がときめいて、

何日も前から妻に指図して、家を整え、
古いアルバムを用意し、障子の張替えまで
させたもんだ。

そうしているうちに、何十年も忘れていた
中学時代の思い出がありありと蘇ってきてね。
そういえば川遊びが好きでアユ釣りの得意だった
アイツは、中一のとき淵に落ちて九死に
一生を得たっけ。

ところが泳げない俺は、真っ青になって
大人を呼びに行ったものだ。
自分で飛び込んで助けなかったことを後ろめたく
感じて、俺はしばらくはアイツの顔が
真っ直ぐには見られなかったっけ。

また、ヤツは勇気がある男だったよ。
俺が上級生にタカられて、腹を蹴られているのを
見つけると、すかさず道端の石ころを拾って、
上級生に殴りかかって俺を助けてくれたからな。

試験でも運動会でも、いつだって二人は
親友だった。
そのくせしょっちゅうケンカをしたけどさ、
そうさ、そう殴り合っても俺たちはずっと
親友だった。

また、思い出した。
二人で同じ女子に惚れたことがあった。
俺のためにアイツは黙って身を引いて、
そうして俺はもちろんヤツのために
身を引いたってわけさ。

ま、子供じみたそんなあれこれをキリもなく
思い出して、何だかソワソワしてたもんだから。
高校生の娘から「まるで恋人に会うみたいね、
お父さん」なんて冷やかされる始末だ。

俺ときたら自然に頬が緩んで、二、三の
思いでを妻と娘にも語って聞かせたもんだよ。

ヤツは寒い日曜日にやってきたのさ。
待ち兼ねたオレは、大喜びで家に招じ入れた。
ところがどっこい話はいっこうに弾まなかった。
ヤツの目はまるで死んだ魚のように曇っていたし、
服装もだらしなく、疲れ切った風体だった。

彼の用件は・・彼の用件は金だった。
何だかわけのわからん品物をカバンから
出して並べて、ご利益があるから
ン十万円で買ってくれだと!

バケツで水をぶっかけられた気分さ。
「まあ商売の話は抜きにして……」
俺は楽しく昔話をしようとしたけど、
彼は昔のことなどすっかり忘れていて、
売ることで頭が一杯らしかった。

妻が俺の袖を引いて、仕方なく10万円の
ツボを一つ求めることにした。
彼は急に愛想がよくなったけど、
尻がまったく落ち着かず、引き留めるのを
振り切って早々と帰っていった。

玄関でヤツの背中に「頑張るんだぞ」と、
そっと声をかけたら、「うん」とうなずいて、
振り向いた横顔が寂しすぎて、目頭が
熱くなっちまったよ。

重い気分でヤツを見送って、部屋へ戻ったら、
さっきから一部始終を見ていた娘が、
なぜか庭の方を向いて突っ立っていた。

その肩が小刻みに震えて、しきりに目を
こすっている。泣いているらしい。
「なんだ、どうかしたのか?」
振り返った娘は、赤い目をこすりこすり、
小さな声でこう言った。

「しかたないよね、溺れそうになっていたって、
助けてあげられないことだってあるよね」
俺は、少年時代に水辺で知ったあの
後ろめたさをまた味わっていた。・・・
・・・

Author :ゆるゆる倶楽部
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こうして、こうすりゃ、こうなるものと、 知りつつ、
  こうして、こうなった



Photo



歌は心の走馬灯、歌は世につれ、
 世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…



「紅い雪」


            


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