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2017年3月22日 (水)

妄想劇場・漢の韓信-(166) 悪意の絆…

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昨日という日は歴史、今日という日はプレゼント
 明日という日はミステリー



メジャーでは無いけど、 こんな小説あっても、
 良いかな・・・

アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい


Kansin

漢の韓信-(166) 悪意の絆…

「私が聞くところによりますと、淮陰侯韓信という男は、
そもそも貴方が皇帝に推挙した人物だとか。
大変な人物を推してくれたものですね」
命を狙われていることを密告によって知った呂后は、
傍らに控える相国蕭何にとげとげしい口調で言った。

「は……。しかしまさかこのような事態になるとは……」
蕭何はしどろもどろしている。人質として項羽に
捕らえられていた呂氏は、解放された後、
性格が豹変して恐ろしくなった。

蕭何は呂氏の目を直接見ることができない。
「淮陰侯は当代随一の知将と聞きます。私は戦時中
一貫してとらわれの身でしたので詳しくは知りませぬが。
本当にそうなのですか?」
蕭何は額に流れようとする冷や汗を呂后に
悟られぬように拭いながら、答えた。

…かつて臣は、淮陰侯のことを『無双の国士』として
皇帝陛下に推挙いたしました。そのことは
間違いございません。また、実際に彼はその
異称のとおり、天下の大国を次々に制圧し、
ついには仇敵である楚を滅ぼしました。

今、こうやって皇妃様と臣が宮殿にいられるのは、
半分以上彼の功績によるものなのです」
呂后はこの蕭何の言葉を聞き、不満げな表情をした。
「それでは皇帝陛下の功績は半分以下と、
相国は言うのですか? 
なんとも不遜な発言ではありませぬか。

…まあ、相国は嘘はつかないお方だと私は思って
いますので、信じましょう。それで、相国はこの
事態をどう解決しようとお考えですか? 

密告者の話によると、淮陰侯の兵の正体は、
囚人だとか。
将が優秀でも兵が烏合の衆では、私としては
対処は楽なように思えるのですが」

「とんでもございません」蕭何は顔を上げて、反論した。
宮中にも関わらず、叫ぼうとしたほどである。
「韓信と戦うには漢の総力をあげて戦うしか、
勝つ見込みはございません。

しかし今、国の兵の大半は陳豨の討伐に……。
彼は勝つ戦いしかしない男です。
彼が行動を起こすときには、必ず勝利の算段が
出来ているのです。したがって、彼と戦っては
なりません」

「戦わずに、どう解決するというのです? 
淮陰侯の武勇を褒めちぎるのはほどほどにして、
早く策を示しなさい」
蕭何の額の冷や汗は、脂汗となった。
実を言うと、策がないことはない。
しかしそれを実行することは、ためらわれた。

自分がいち早く認めた男を裏切るのは、
国のためとはいえ、後味が悪すぎる。
しかし、蕭何に選択の余地はなかった。
「臣と……淮陰侯に共通して信頼できる者を
使者として遣わしたいと思います。
うまくいけば、彼は一人でここを訪れることに
なりましょう」

決行の前日、午後になってから韓信は朝廷から
使者を迎えた。側近たちは心配し、もともと病気を
称しているのだから会わない方がいいと勧めたが、
韓信は逆に怪しまれることを嫌い、使者を通した。

しかし、韓信は使者の姿を見て、すぐに後悔した。
やはり会わない方がよかった、と思ったのである。
使者は、灌嬰であった。

「淮陰侯……病気と聞いておりましたが、
お加減はいかがですか」
灌嬰は嫌みともとれる口調で、そんな挨拶をする。
「灌嬰将軍……なぜ今時分にこんな所にいるのか。
君は陛下の陳豨討伐に随行したはずでは
なかったのか」

韓信の心に一抹の不安がよぎる。彼はすべてを
計算のうちにおいていたはずだった。
ところが意外なところに、意外な男がいる。
それだけで彼は気分が落ち着かなくなるのであった。

「正確なところは、少し違います。
私は皇帝陛下に先行し、三日ばかり早く戦場に
到達いたしました」
「ほう、そうか……。しかし、私が聞いているのは
そのことではない。戦場に行ったはずの君が
なぜここにいるのか、と聞いているのだ」

灌嬰は少し間を置いてから、いたずらっぽい笑いを
含んで答えた。
韓信は一瞬、それが彼の演技のように思えた。
「どうか、驚かれますなよ。私は戦勝報告にいち早く
長安に舞い戻ったのです!」

「戦勝報告……? と、すると陳豨は……」
「討ちました。陳豨は、死にましたよ!」
韓信の心の中で、なにかが崩れる音がした。
ほんの一瞬ではあるが、彼はなにも考えられなくなり、
返す言葉を失った。

予想外の事態。計算外の出来事。めまいがして、
目の前の灌嬰の姿がよく見えなくなった。
たまらず焦点を合わそうと努力をするが、
それにも意識が集中しない。顔色は蒼白になり、
視線は空を泳いだ。

「どうかなさいましたか」
灌嬰の声に一瞬の自失から解き放たれる。
それでも言葉は流暢には出てこなかった。
「いや……それは……めでたい。慶事だ。
…君が、討ち取ったのか?」
「そうです」

…さすが、私の見込んだ男だ」
灌嬰はその言葉に微笑したが、韓信の目には、
それがどことなく気まずそうで、かつぎこちない
もののように見えた。照れているのだろうか。
それにしても皮肉とはこのことである。

・・・

つづく

Author :紀之沢直樹 (野沢直樹)
http://kinozawanaosi.com
http://mypage.syosetu.com/273441/


愚人は過去を、賢人は現在を、
 狂人は未来を語る


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歌は心の走馬灯、歌は世につれ、
 世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…




「小雨のアムール」

 



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