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2017年3月15日 (水)

妄想劇場・漢の韓信(悪意の絆)…

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昨日という日は歴史、今日という日はプレゼント
 明日という日はミステリー



メジャーでは無いけど、 こんな小説あっても、
 良いかな・・・

アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい

Kansin

漢の韓信-(165) 悪意の絆…

淮陰からあがってくる租税の額があわなかった
問題である。真相は、帳簿の記入を担当していた
家令の横領であった。

「この忙しいときに……。ひとまず、獄に繋げ。
殺してしまいたいところだが…囚人を兵として
雇っておきながら、彼だけを死罪にする
わけにもいかん」  

沙汰を後回しにして、当面の問題に集中する
つもりだったのだろう。  しかし韓信はどちらかと
いうと潔癖な性格だったので、この種の悪事に対して
決して寛容な男ではなかった。  

兵とした囚人たちには利を追及することに
気後れするな、という内容のことを言ったくせに、
本心ではそのような人間のうつろいやすい心が
許せなかった。そしてこの時代に韓信を知る者たちは、
彼がこの種の問題に厳しいことを皆知っていたのである。  

そのためこの家令も死を覚悟した。  
罪を犯した家令には弟がいた。  
兄弟ともに韓信が楚王となったときに初めて
仕えることとなり、いずれも戦闘の経験はない。  

彼らは、韓信が彭城の西で項羽を撃退したことも、
兵書にとらわれない策を用いて井陘口で
大勝利を得たことも知らない。  
さらには大国の斉を制圧した栄光の陰に
酈食其を失ったという悲劇

、劉邦に義理立てをして出兵しようとした結果、
愛する蘭を失ったこと、それらすべてを知らなかった。  
知っていたのは散文的な事実のみだけであった。  

かつて斉王を名乗り、その後は楚王となったが、
友人という理由だけで楚将の鍾離眛を匿った結果、
降格されて現在は淮陰侯に留まっている、
という事実。  

どうやら自分たちは朝廷に睨まれている人物に
仕えているらしい、という漠然とした不安は、
かつて親衛隊を名乗っていた家令たちも同じように
感じていた。  

しかし忠誠の度合いが少ない新参の者は、その
不安を跳ね返すことができなかったのである。  
家令の弟は、兄がいずれ殺されることになると思い、
ひそかに屋敷を抜け出て長楽宮へ走った。
「大事件です」  と叫びながら上奏し、韓信の
計略のいっさいを皇后である呂氏にぶちまけて
しまったのである。

大いなる計略は、小人物の密告によって、
実現を阻まれた。つまらぬ男によって運命を
台無しにされたという見方が出来ないでもないが、
やはりこれは韓信自身の失態なのであった。

大を見るあまり小を見ず、天空を泳ぐ竜を
眺めていたら蜂に刺され、それがはからずも
致命傷になった、といったところだろう。
しかし、この時点での韓信はまだ自分の
失敗を知らない。

作戦決行を三日後に控えて彼が考えることは、
実務的な不安がまず第一であった。もと親衛隊の
連中は十分に信用に足る者たちであったが、
実戦からしばらく離れている。
心配してし過ぎるということはなかった。

こんなとき、カムジンが…かえすがえすも惜しい。
自ら手にかけたことを今さらながら
後悔する韓信であった。

しかし、あのときの自分の判断は間違いでは
なかった。後悔することは自分の行為を否定
することである。カムジンは、罪人であった。
よって裁いたことは正しい。

だが一方で自分は罪人どもを赦し、兵として
迎えている。他に方法がなかったとはいえ、
カムジンに顔向けできない、と考えて
しまうのだった。いずれにしても、カムジンは
もういない。考えても無駄なことだ。

そう思い、とりとめのない思考を打ち切ろうとしたが、
そもそも自分の決断自体が正しいかどうかさえ、
確信がない。思考はさらに深みにはまって
いくのであった。

蘭がいてくれたら…。実際は彼女がいても
韓信の言うことに無条件に従うだけの
ことだったに違いない。しかし、彼女が後押しを
してくれることで、自分が気分的に楽に
なれることは確かだった。

一人で決断するのではなく、ともに悩み、
励まし合いすることでこそ、人は実行力を
発揮する。

しかし、蘭ももういない。やはり、考えても
無駄なことだ。絆は断ち切られ、彼はたった
ひとりで行動を起こさねばならなかった。
謀反が謀反に終わった理由が、そこにあった。

・・・

つづく

Author :紀之沢直樹 (野沢直樹)
http://kinozawanaosi.com
http://mypage.syosetu.com/273441/


愚人は過去を、賢人は現在を、
 狂人は未来を語る


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歌は心の走馬灯、歌は世につれ、
 世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…




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