« 妄想劇場・漢の韓信・(163)策略… | トップページ | 妄想劇場・チャンネルニュース »

2017年3月 1日 (水)

妄想劇場・番外編・「八 音 琴 」

V0151111115


なぜ、美人はいつもつまらない男と結婚するんだろう?
賢い男は美人と結婚しないからさ。・・・



181011


「八 音 琴」 転落  

王との仕事は表向き、順調であった。
そしていつしか、とてつもなく大きな商談と化していった。
福田は王を信頼しきっていた。

仕事の流れは王から絶えず報告を受けていたものの、
自分の目で確かめることはしなかった。
王は蘭華に対しても最大限の信頼を得ようと、
常日頃心掛けていた。

王は、福田と蘭華の仲をすでに見破っていた。
福田は誰よりも蘭華の主張を信頼していた。
福田はすっかり蘭華を自分の右腕に据えていた。
福田の蘭華に対する教育は、十分に完結されて
いたかの様子であった。従って、

蘭華の口から否定的な意見が出ない様に、
王は注意して商売を進めていった。
そんな王を疑問視する社員は少なくなかった。
社員が福田に注意を促しても、蘭華がそれを
否定すれば、福田には疑いなど生じはしなかった。    

いつもの様に、輸入商品を満載したコンテナが
上海の港に入り、通関後、中国国内の市場に
回ることになっていた。しかし、

乗っているはずの船に、積まれているはずの
コンテナが無い。この時の商売は、今までに
無かったくらい大きな金額が動いていた。

福田「なんやて? L/Cも、B/Lも、船済み書類が
ここにあるやんけ。輸出許可証まで、ここにあるやんか。
ちょっと、蘭華、王さんにすぐ電話してみて・・・」  

福田も蘭華も、もう、王やその仲間、王の会社とも
連絡が取れなくなっていた。
更に、船会社の担当者、銀行の担当者共に、
実在しない事に気が付いた。そして、書類は全て
偽物であったのだ。

福田「もう、おしまいや・・・」
蘭華は震えの止まらない福田をじっと見つめるしか
出来なかった。  

翌日、会社の電話が鳴り止む事はなかった。
福田と蘭華はもちろん、中国人社員全員が、
その電話の対応に追われていた。  

福田「蘭華、わし、今から大阪に行って来る。
船会社、確かめて来る。すまんが、しばらく対応、
頼むで・・・」

蘭華「無理です。私には対応出来ません。」
福田「大丈夫や・・・。蘭華、お前は優秀や。
客に上手く説明出来る。わしも、すぐに
帰って来るけん・・・」  

その後は更に、中国国内から多くの債権者たちが
蘭福貿易に押しかけて来た。その全てを蘭華が
応対する羽目になっていた。

債権者「私たちが払った金、早く返せ!」
債権者「あんた、重事だろ、会社の役員だろ、
経営者だろ・・・」

社員 「蘭華さん、私たち今日で会社を辞めます。
今までの給料、払って下さい。」
社員 「社長が居なくても、今まで貴方が独りで
銀行に行って、私たちに給料払ったじゃないか・・・。
ほら、今すぐに銀行に行きましょうよ。
私たちと一緒に行きましょうよ・・・」

債権者「俺も一緒に銀行に行くから・・・、
会社の口座に金、無かったら、あんた、立て替えて
払うんだぞ。あんたも会社の経営者だろ・・・」  

債権者はおろか、社員たちは蘭華を容赦しなかった。
とうとう、会社の銀行口座はもちろん、
蘭華個人の銀行口座まで、残高はゼロとなってしまった。  

日本では、会社か窮地に押し入った時、
まずは取引銀行が手を差し伸べるものだ。
それでも駄目な場合は、法的手続きを経て債権者には
配当が分配される。

中小企業の社長や役員でも、借入金の保証人に
なっていない限り、全財産まで取られる事はない。
一般的な普通の日本人であれば、この様なことは理解し、
個人の金までも取ろうとは考えないが、
中国では日本の様な常識は存在しないのであった。    

数日後、蘭華は机ひとつ、何一つ無い会社の
事務所に居た。独り、ぽつんと暗い事務所で
福田の帰りだけを待っていた。しかし、
そこに福田が現れることは二度と無かった。

アパートにあった蘭華の持ち物は、全て、
債権者たちに持ち去られていた。そして、
すでに蘭華はアパートからも追い出されていた。

この事務所に居られるのも、あと数日となった時、
警察の人間が現れた。蘭華は、債務不履行と
詐欺の罪で、身柄を拘束されてしまったのだ。  

腕に鎖を縛り付けられた蘭華は、ホロ付きの
トラックの荷台に座らせられ、何時間も揺られた後、
狭く薄暗いコンクリートの壁の中に入れられた。
壁の上の方には、小さな窓らしきものがあったが、
到底、そこから外を見ることなど出来やしなかった。

もう、生きる気力さえ失ってしまった蘭華であったが、
そこでは自ら生を終わらす自由ですら
存在していなかった。寒さで震えの止まらない日々が
永遠と続いたと思ったら、蒸し風呂の様な暑さの中、
身体にまとわり付くいくつもの虫を振り払う事も
出来ない日々も、長く続いたのであった。

そんな状況下でも、蘭華は時々、夢を見た。
それは、いつも同じ、あの北海道の夢だった。
山奥の中、丸太小屋で料理をしている夢だった。

そんな丸太小屋の横では、西村が独り、
薪を割っていた。
そこに出てくる西村は、薪を割る手を休め、
フーと息を吐くと、額の汗を首に掛けたタオルで
ぬぐい、振り返って蘭華を見つめるのであった。

そして、いつもの笑顔で蘭華につぶやくのだった。
『蘭華、今日もがんばったね!』

何も悪い事ひとつしていない蘭華ではあったが、
蘭華はとうとう普通に結婚し、普通に子供ができ、
どこにでも在る様な普通の家庭を持つ女性になることは
出来なかった。
・・・ 

つづく

Author :夢庵壇次郎
http://www.ne.jp/asahi/muan-danjiroh/jp/


A71211


歌は心の走馬灯、歌は世につれ、
 世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…



とんでもない夜(お色気演歌)






Ongaku



P R 

汚れが染み込まないので、艶や光沢が
長く続きます。お手入れも簡単です。

Rinsu1

カーリンス(車の保護剤)

ボディーの塗装面を保護します

« 妄想劇場・漢の韓信・(163)策略… | トップページ | 妄想劇場・チャンネルニュース »

妄想劇場」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1772781/69772314

この記事へのトラックバック一覧です: 妄想劇場・番外編・「八 音 琴 」:

« 妄想劇場・漢の韓信・(163)策略… | トップページ | 妄想劇場・チャンネルニュース »

最近のトラックバック

2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
フォト
無料ブログはココログ

流れ雲(^o^)