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2017年3月23日 (木)

妄想劇場・番外編・「〜蜜月の逆説〜 」

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なぜ、美人はいつもつまらない男と結婚するんだろう?
賢い男は美人と結婚しないからさ。・・・



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Bitter Moon 〜蜜月の逆説〜 

結婚式まであと1ヶ月と迫る中、瑤子は婚約者の
正志が「瑤子が便利な女だから」結婚を
決めたのだという本心を知ってしまう。
失意の瑤子には、実は半年の命しか
残されていなかった・・・。

瑤子と正志が婚約したのは、桜舞い散る春の
始めだった。高校時代のクラスメイト。
当時は何もなかったが、10年ぶりの同窓会で
花が咲いたという、ありがちな話だ。

結納などもすべて終わり、季節は晩夏を迎えていた。
その夜は、正志の会社関係の友人男女10人ほどが
集まって婚約祝いをしてくれることになっていた。
個室のとれるダイニングバーで、お酒より
健康志向の食事が充実している。

それは、仲間が正志のことを気遣ってのことだった。
正志は喘息持ちの上、心臓が弱い。仕事も
日常生活も傍から見れば他の人と変わりなく
送れるが、食事や定期通院、投薬など、配慮
すべき事が山ほどある。

いつ発作が起きるかわからないし、
無理がきかない身体ゆえ一人暮らしもできない。
正志だけでなく、正志の抱える病気と
一生を共にする覚悟がなければ、
結婚などできない。

瑤子はすべてを承知で、すべてを受け入れて
結婚を決意した。それだけの決意をするための
エネルギーが、どこから湧いたのか。
別に結婚を焦っていたわけでもないし、
仕事を辞めるきっかけが欲しかったわけでもない。
それはただ純粋に、正志が好きだったから。

高校3年生のとき、瑤子と正志は席が隣だった上、
同じ私立理系コースを選択していたため
時間割もほとんど一緒だった。
正志はサッカー部のエースで、下級生の彼女がいた。
瑤子は同級生の別の男子に熱を上げていたが、
こっぴどく振られて以来、恋愛には縁のない
学園生活を送っていた。

瑤子が覚えている高校時代の正志との
思い出といえば、ただ一つ。掃除当番で、
バケツの水を一緒に取替えに行った時のことだ。
正志が、何か愚痴をこぼした。それが
何だったのかは、今となっては覚えていない。
しかし、それに対して自分が何と言ったかは
鮮明に覚えている。

それは、尾見君が優しすぎるからだよ
その時、正志は返事をしなかった。
それ以降のことは、覚えていない。
誰かに言ったセリフを、こんなにも鮮明に覚えて
いるなんてめずらしい。

後悔した言葉なら、確かに忘れられない。
だが、このセリフは違う。覚えていたのは、
正志とこうなる運命を予感していたからなのか。
未だに、わからない。

実はこの夜、瑤子は正志に言いたいことがあった。
だが決して明るいとはいえない話題のため、
この会の前に言うべきではないと判断し、帰り道の
途中に打ち明けるつもりだった。

会は和やかに、そして恙無く進んでいった。
途中、瑤子はトイレに行くため席を立った。
個室の障子襖をそっと開け、店の人に尋ねて
遠くまで足を運んだ。
トイレは男女別に一つずつしかなく、週末の
ピークの時間帯のため行列ができていた。

やっと用を済ませ、個室に戻れるようになったのは
一体何分後だったのか。
少し急ぎ足で個室に迎い、障子襖に手を
かけようとした、そのときだった。

「なあ、尾見が彼女と結婚しようと思った理由を
教えてくれよ。」
突然、そんな質問が部屋の中から
漏れ聞こえてきた。
瑤子がいないからこそ、出た質問なのかもしれない。
見た目、地味で目立たない瑤子など、どうして
選んだのかという趣旨の質問なのだろう。
瑤子は思わず自分の影が見えない位置に下がり、
固唾を呑んで正志の答えに耳をすませた。

「理由?それは高校時代に遡る。」
「おお、その頃に何かあったのか?」
「俺たち男連中の間で、『結婚しようと思った相手が
どうしても家で馬を飼いたい、と言ってきたら
どうする?』という質問を女子にするのが流行ってた。」
「それで?瑤子さんは何て答えたの?」
「実は、あの時瑤子だけだったんだよ。

『それでも、構わない。』って答えたのは。」
瑤子は、(そんなこともあったな。)と思い出した。
そこへ、正志の言葉が続いた。
『旦那が忙しくて世話を全部やってくれって
言ってもか。』とね。
それでも瑤子は『構わない。』と即答した。」

「じゃあ、そこに惚れたのね。」
「そう言えば、そうなるかな。」
「何だ?その曖昧な返事は。」
「俺がその時思ったのは『こんな便利な女は
そういない』ってことさ。
あの当時はそれだけだったけど、同窓会のとき
この会話を思い出して、つくづく思ったよ。

病気と一生背中合わせの俺の面倒を、決して
裏切らずにやるのはこの女しかいない、ってね。」
瑤子の呼吸が、止まった。
正志の言葉は続く。

「結婚は、恋愛じゃないんだ。好き嫌い以上に、
俺には重大なことがある。一人暮らしさえできない
俺が、両親亡き後、死ぬまで面倒見る存在が
絶対必要なんだ。しかも、無料ただで。
絶対に裏切ることなく。」

「それって、奥さんは家政婦代わりって言ってるみたい。」
不愉快そうな女性の言葉に、正志は笑った。
「それが、世の男の本音さ。いくら最初は愛していたって、
数年もすれば変わる。その時残っているのは、
便利な女か、不要な女かのどちらかなんだよ。」

瑤子は呆然とし、しばらく動くことができなかった。
足が棒のようになっている。ショック、というより、
聞きたくなかったという気持ちの方が大きい。
瑤子は、自分と結婚して正志に何の見返りが
あるのか、とずっと思ってはいた。

愛していると言われたこともないし、言ったこともない。
だが、瑤子は確かに正志が好きだった。
正志の思惑がどうであろうと、それで十分だと
思っていた。しかし。正志の口から本音を
聞いてしまっては、「それで十分」とは
言い切れなくなってしまう。

それは、心のどこかで正志も自分を好いて
くれているという自負があったから。
それが、瑤子の滑稽な独りよがりだったなんて。
・・・
つづく

Author :井浦美朗
http://mypage.syosetu.com/6105/

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歌は心の走馬灯、歌は世につれ、
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