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2017年4月 6日 (木)

妄想劇場・漢の韓信-(168) 悪意の絆…

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昨日という日は歴史、今日という日はプレゼント
 明日という日はミステリー



メジャーでは無いけど、 こんな小説あっても、
 良いかな・・・

アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい


Kansin


漢の韓信-(168) 悪意の絆…

「……人は、淮陰侯のことを高慢で、
自分だけが正しいと信じている、と評します。
そのため、人はあの方の軍功や高い見識を
評価しながらも、必要以上に近づこうとはしません。

淮陰侯もそのことは自覚しておられるようですが、
自分から態度を改めたりはしないし、
自ら交流を広めようと努力される方でもありませんので、
孤立することが多いように思われます。

しかし、実際にあの方と触れ合うと、その考えの深さ、
謙虚な態度、相手に対する敬意を持った言動に
驚かされます。……考えられますか? 

淮陰侯は天下随一の軍功を持ちながら、
常に自分の成してきた行為に疑問を持ち、
与えられた任務とはいえ、人を殺してきたことを
後悔ばかりしているのです」

灌嬰は話しながら感情が高ぶってきたのか、
目に涙を浮かべているようであった。
蕭何はそれを認めながら、つとめて冷静に
振る舞おうとした。

一緒になって韓信に同情していたら、これから
成すべき任務が果たせなくなる。
「韓信は……将軍としては一流であったが、
王としては、中途半端な存在であった。
彼は性格的には物静かな男であるから、
民衆に対しては慈悲を持った心で臨むだろう
、と私は考えていたのだ。しかし、実際に
彼のしたことは軍威を見せつけて、民衆の心に
恐怖を植え付け、厳しく取り締まることであった。
それが逆効果だったな。
民衆はひそかに彼に反発するようになったのだ。
相次いで彼を告発する密告が朝廷に
もたらされたのも、自然な成り行きだろうて」

灌嬰は、目を伏せるようにして頷いた。
「認めます。しかし、それも淮陰侯がご自分の行為が
絶対的に正しいものだと確信が持てなかったからこそ
なされた行為であり、それでいて民衆の小さな悪事が
許せなかったことのあらわれでございます。

つまり、淮陰侯は……悪事を見つけても、
それを裁くことは自分に許さなかった。
幾多の人間を血祭りに上げてきた罪多き自分が、
人を裁くことなどできない、と考えたのです。

だから民衆が罪を犯さないよう脅し、それでも
罪をなす者には法や軍律で対処したのです」
「……要するに自覚が足りなかった、ということだ。
王として強い意志をもって民衆と向かい合う
気持ちが足りなかったのだ。

人は……基本的に罪を犯すものだ。
施政者たる王は、それを丸ごと抱きかかえる
度量が必要なのだ。善も悪も、罪も……
丸ごと、すべてだ」

「それは、なかなか難しいことでしょう。
人は淮陰侯のことを、こう言います。
感情がなく、人間味にかける、と。ですが
、私に言わせれば、いま相国のおっしゃったことが
できる人こそ、人間らしくありません。

相国だって……本心ではそう思うでしょう? 
そもそも淮陰侯の可能性を一番先に見出したのは
貴方ではないですか! 
その貴方が、淮陰侯を謀殺しようと
しているとは……。相国は平気なのですか?」

「私とて、心穏やかではいられない。……
しかし、やらねばならんのだ。韓信が謀反に
成功すれば、その意味するところは、
陳豨や韓王信の叛乱どころではない。
韓信は確かに人との交流が少ない男だが、
その能力は天下に高く評価されている。

よって彼が叛旗を翻せば、諸侯の中で彼に
味方するものが出てくるだろう。
黥布や彭越などが韓信と組めば、国土は
燎原の火に焼き尽くされる。
悲しいことだが、……彼は除かねばならない」

「……しかし、淮陰侯の叛乱は、決してあのお方の
気まぐれから起きたものではない。
それを導いたのは我々のあのお方に対する
仕打ちであり、陛下のなさりようです! 

今だからこそ申し上げますが、あのお方に
謀反を勧める者は、何人となくいた。
しかし淮陰侯は、その進言をすべて退け、
陛下に対する臣従を示し続けました。
人臣たる身である以上、臣従することが正しいと
信じ続けたからです。

しかし、あのお方が正しい行動をとろうと
努力なさっていたのに、我々や陛下の淮陰侯に
対する態度は、正しくなかった。
今からでも遅くありません。彼に今までの
無礼を謝し、待遇を改めることを
約束するのです。

淮陰侯は決して広大な領土を欲しているわけでは
ありません。ただ、一人の男として尊厳を保つことを
約束すれば、それで満足なさるはずです」

蕭何は考えた。灌嬰の言うことは、おそらく正しい。
だが、やはりその通りに行動するわけには
いかなかった。
「……先ほど申したとおり、施政者は正・邪を丸ごと
抱え込む必要がある。君の言うように、韓信が正で、
我々や陛下が邪だとしても…国を保つためには
邪が正を除くことも時には必要なことかもしれぬ。

そしておそらく……今がその時なのだ」
「……相国の仰ることは、矛盾しています! 
どうして淮陰侯が正だと知っておきながら、
それを抱え込もうとしないのですか!」

灌嬰はついに絶叫した。蕭何はしかし、
それを咎めようとはせず、静かに答えた。
「天の導きだ。我々のような矮小な存在には、
時代の流れを止めることはできない」

「……そのような物言いは、卑怯です」
「もう言うな。早く行け。行って陳豨の首をあげよ
。陳豨の乱は、韓信の策略だ。陳豨の首をあげ、
叛乱を鎮めることで、君は尊敬する韓信を
超克できる」

「淮陰侯を超克することで、彼と同じ運命を
辿ることはご免ですよ! ……
しかし、もう行きます。……やはり、あのお方の
殺される姿は見たくありません」

座を立った灌嬰の後ろ姿は、肩を落として
いるように蕭何の目に映った。
灌嬰! 泣き言を言うな! お前はまだいい…
見ないで済むのだからな。私は……。

蕭何は明日、韓信と対面しなければならない。
そのときどんな顔をして彼に向かうべきか、
よくわからなかった。

つづく

Author :紀之沢直樹 (野沢直樹)
http://kinozawanaosi.com
http://mypage.syosetu.com/273441/


愚人は過去を、賢人は現在を、
 狂人は未来を語る



Photo_2




歌は心の走馬灯、歌は世につれ、
 世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…




「織江の唄」



      

五木寛之の作詞、山崎ハコの作曲の歌。
五木寛之の「青春の門」の登場人物、
牧織江をイメージして作られた。

主人公の伊吹信介の幼なじみで、
初体験の相手でもあった、

両親が早くに亡くなり、自分で働いて
生きざるを得なかった女性である。
「青春の門・筑豊編」のサブテーマであるが、
映画では使用されなかった。


P R : 

G・ブラックコート  

黒の復活(黒のコーティング)

G02

未塗装樹脂部分の白くなっている
箇所を→ 黒くします。


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