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2017年8月13日 (日)

妄想劇場・特別編(愛しきお妻様)

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昨日という日は歴史、今日という日はプレゼント
明日という日はミステリ



過去に起きていることから浮かび上がってくる
真実もある。・・・



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※ 高次脳=脳神経細胞が壊死することで起きる
精神神経的な障害で、
見てわかる身体のマヒなどとは違い人の内面の
精神活動や認知行動に起きる障害。
行動や感情がコントロールできなくなったり、
記憶障害や注意障害、遂行機能障害、
失語などがある

憧れの田舎暮らしを始めた矢先に、激しい頭痛を訴えた
お妻様。慌てて病院へ行くと「脳腫瘍」と診断され、
そのまま意識を失ってしまい……。

直径65mmの巨大脳腫瘍を緊急摘出!お妻様
「5年生存率 8%」に。。。

されど愛しきお妻様【8-2】

手術は成功するのか
「ヒャッハーしてましたよね」・・・

緊急入院から4日後、何時間にも及ぶ手術の結果、
お妻様の脳腫瘍の摘出は成功。
担当医から「ほぼ100%切除できた」
「少なくとも命は取り留めたと言える」との
言葉を聞いて、僕はICUの床に腰を抜かして、
目から涙、鼻から鼻水、口からよだれと、
顔面から流れ得るあらゆる液体を垂れ流して
立ち上がれなくなった。

とはいえ、一命を取り留めたからには最大の心配は、
直径60㎜以上もの巨大な腫瘍を切除して、
そのパーソナリティが失われてしまわないかだ。
手術翌日、病室に行くとお妻様はすでに目を
覚ましていて、スッキリした顔をしていた。
「ああ、死ぬかと思った」 返す言葉がない。

「なんかいろいろ覚えてないんだけど、そういえば
夢見たよ。映画の実験室みたいな感じに、ガラス越しに
ICUを観察できる部屋があって、あたしベッドで
寝てるじゃん。

そうしたらガラスの向こう側で手術した先生たちが、
三角のパーティ帽かぶって、みんなでなんか
クラッカー鳴らしてヒャッハーってフィーバーしてんだよね。
それで、朝に先生に『ヒャッハーしてましたよね』って
聞いたら、ヒャッハーしてませんって言われた」

聞いたんかい! 間違いなくお妻様だった。
あの得難い性格は、失われていなかった。
「あたしの腫瘍とったところって、丸めた読売新聞
入ってるのかな?」 手術翌日の夜にかけて顔面に
手術による内出血の鬱血が出てきて腫れあがり、
試合後のボクサーのようになってしまったけれども、
とにかくお妻様としては悩まされていた頭痛が
なくなったことで相当スッキリなようだ。

後遺症さえなければ、多くの脳腫瘍は「腫瘍を
取ってしまえば健常」と言われているらしい
。けれど……。 膠芽腫 、
脳腫瘍の中でも最も悪性が高いもの。5年後の
生存率8%。
一命を取り留め、そのパーソナリティを失わずに済んだ。
そんな喜びから急転直下、2011年末、主治医より
告知された腫瘍の組織検査の結果は、考え得る
最悪のものだった。

膠芽腫 は、腫瘍細胞が浸潤(染みわたる)ように
正常な脳細胞の間に広がり、しかも外縁部はMRIにも
造影されないため、手術で全腫瘍細胞を摘出することが
困難で、再発率も高い。

ネットで当事者や家族の発信する情報を見ても、
1年そこらで再発して亡くなりましたといったものばかり。
「完治はない」と断言する無慈悲な医師の言葉も
散見された。

治療方針は、まず標準療法として、従来型の薬品より
分子が細かく 膠芽腫に効果が見込めるとして承認されて
数年の「テモダール」なる抗がん剤と、手術で摘出した
腫瘍の外縁部に集中して放射線を照射する療法の併用。
加えて抗がん剤の奏効率を上げる目的の治験として、
インターフェロン点滴の併用。

まずはこれを入院加療として集中して1ヵ月行い、
その後は毎月5日間、自宅での抗がん剤服用を
続けるというもの。
だが、この突き付けられた現実に、僕とお妻様の
立ち位置は、あまりに異なっていたように思う。

後追い自殺も考えた (たった一度の涙)

僕はといえば、失うことばかりを考えていた。
もし再発したらどうやって生きていくか、
生きることを あきらめて後追い自殺をすることを
含めて考えた。

せっかく念願の自然に囲まれた田舎暮らしを始めたのに、
日々移り行く季節の花々を見ては、来年この花を
夫婦で見ることはできないかもしれないと思い、
2ヵ月に一度のMRIが無事に「再発兆候なし」の結果で
検査終了すると、次のMRI検査までの2ヵ月が夫婦で
過ごせる最後の時間だとしても悔いのない夫婦生活を
送ろうと、毎回誓った。

一方のお妻様はというと、生きることだけを考えていた。
不安や恐怖しかない宣告を受けても、お妻様が
涙を流したのはたったの一度きりだ。

手術が無事に終わり、病名告知を受けた後、
抗がん剤治療が始まると生モノが食べられなくなる
ということで、僕らは茨城県の那珂湊に寿司を
食いに行った。
その帰り、車の窓から美しい冬の夕日を見て、
お妻様は涙を流した。

予定されている放射線治療は、切除した腫瘍の
外縁部を最大限広範囲で照射することが求められ、
左右の視神経が交差する視床下部をギリギリ
攻めることになる。

放射線の担当医からは、この際の弊害として
「最悪のケースは全盲」と告知されていた。
お妻様は生きることだけを考えていたが、夕日を、
空を、小鳥を見られなくなるかもしれない可能性に、
一度だけ涙を流した。

そのあとのお妻様は、「死ぬときは死ぬし、
死なない人間はいない」と宣言し、生きている今を
最大限楽しむモードに見事にシフトチェンジ。

いや、もともとそれこそがお妻様の主義そのもの
なのだが、一層楽しむモードを加速させたのであった。
そんな男前のお妻様を前に、僕もまた、間違った
方向に加速した。

まずお妻様には毎月の抗がん剤治療に集中して
もらうべく、「家事は一切しないでいい」宣言。

従来のものに比べれば圧倒的に副作用が少ないと
言われている抗がん剤テモダールだったが、
やはりどうしても正常な細胞にもダメージを与えてしまうため、
免疫の強さの指標である「WBC(好中球)」が落ちてしまう。

この数値が一定の基準を満たしていないと抗がん剤
治療が継続できないため、とにかくストレスになることは
一切してほしくなかった。

同時にやはり免疫を強くするために、三度の食事は
「免疫を強くする食事〇品」みたいなレシピ本を参考に
僕が管理し、食事と起床就寝時間を管理するために、
携帯電話のタイマー機能に「僕の起床、お妻様起床、
朝食、昼食、夕食、就寝」と、複数の設定を
入れるありさま。

今度は僕の「脳が壊れた」1日でも長生きしてほしくて
今思えば、お妻様にとって最もストレスがない生活とは、
「好きな時間に起きて好きな時間に寝る」なのだが、
とにかく毎回の血液検査の数値に一喜一憂してしまう僕は、
健康情報を見ればどこにでも書いてある

「午前中の日の光を浴びる」=太陽信仰みたいなものを、
お妻様に押し付けた。
お妻様に1日でも長生きしてほしいという思いがさせた
こととはいえ、完全に僕は喪失の恐怖にとらわれ、
暴走していたのだと思う。

お妻様はと言えば、見事なまでに、変わらなかった。
面倒くさい僕との生活の中でご立派に育てあげた
圧倒的スルー力で、小うるさい管理魔の僕をのらり
くらりと巧みに交わし、愛想のかけらもない地域の猫に
滅茶滅茶しつこく話しかけるという謎ロジックで
篭絡しては、我が家に招きまくる日々。

お約束の酷いネーミングセンスは脳みそに直径65ミリの
大穴が空いているくせに健在で、「くさいちゃん、
汚いちゃん、ひゃんちゃん、眉毛、にゃん王、ビビり玉、
うなしー、エレノアさん、大白、中白、小白、汚れちゃん、
錆ぃさん、おばやん、ラテ男ちゃん、しっぽさん、
ロングしっぽさん、しっぽぼーん」と、えーと、
あと誰がいましたっけお妻様?

「パンティちゃんな。最近あの子来ないなあ」
とまあ、思い出すだけでうんざりする命名をなさっている。
僕が手汗びっちょりかくほどに緊張して聞く毎回の
MRI検査後の問診時にもお妻様はシレッとしたもので、
主治医からも「お妻様は、その突き抜けた性格だから
いいんだと思います」(うまく闘病できています)と
太鼓判。

結局毎月1回の抗がん剤治療を2年間クリアし、
2017年初春をもって、5年存命率8%の中にも
滑り込んだのであった。
が、残念ながら、そこまで僕の身体がもたなかった。

2015年5月末、僕は脳梗塞を発症し、緊急入院する
ことになってしまったのだった。

次回に続く



こうして、こうすりゃ、こうなるものと、
  知りつつ、 こうして、こうなった


A111


歌は心の走馬灯、歌は世につれ、
 世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…






P R :

Bu

隙間産業(ニッチ市場)

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