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2017年8月 5日 (土)

妄想劇場・特別編(愛しきお妻様)

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昨日という日は歴史、今日という日はプレゼント
明日という日はミステリ 



過去に起きていることから浮かび上がってくる
真実もある。・・・ 



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※ 高次脳=脳神経細胞が壊死することで起きる
精神神経的な障害で、
見てわかる身体のマヒなどとは違い人の内面の
精神活動や認知行動に起きる障害。
行動や感情がコントロールできなくなったり、
記憶障害や注意障害、遂行機能障害、
失語などがある


されど愛しきお妻様【7】 


「大人の発達障害」と合法ドラッグカルチャーの切っても
切れない関係

給料1ヵ月分の指輪と、同人誌40冊分の結婚式場

同棲開始から5年を目前にした03年9月、僕と彼女様は
結婚し、彼女様はお妻様になった。 とはいえ結婚に
踏み切った理由は、彼女様側は「母親がうるさいから」で、
僕側は「親と対峙せよと言いながら親が彼女様の税金を
払っているのは理不尽だから」というめちゃめちゃ
消極的な理由だ。

婚約指輪と結婚指輪にしたところで、宝飾品の
デート商法をやっている不良な女友達と一緒に
御徒町の宝飾問屋街をめぐり、サラリーマンの
給料3ヵ月分程度の品を問屋価格で給料1ヵ月分ぐらいで
買い求めた。 そ

んな指輪だけど、渡す時ぐらいはロマンチックにいきたい。
選んだ場所は、彼女様が子ども時代から家族で通っていた
六本木のイタ飯屋。いざサプライズ! 
ちょっと目をつぶっていてもらえますか? 
開けていいですよ。

「なにこれ?」
「ぼぼぼぼくとけけけけっこんしてください」
「えーと。この指輪、質屋に持っていったらいくらになんの?」
わー、そう来ましたかこのやろー。
こうなるともうロマンも屁ったくれもない。

結婚式に金をかけるぐらいなら「『ゼクシィ』と同じ厚みの
エロ同人誌に金をかけたい」という彼女様だから、
式場は都内最安値のエロ同人誌40冊程度
(基本料金4万円)という冗談みたいな場所を発掘し、
両家両親に彼女様サイドのばあちゃん2人と
僕サイドの姉家族を加えた合計9人という極めて
シンプルなお式を挙げた。

レンタルドレスの試着時に撮った記念写真には、
純白ドレス姿のお妻様が、舌のど真ん中にピアスを
光らせて中指を立てている。
なお、手続きごとがめっぽう嫌いな彼女様は
式場の予約にも家族への連絡も一切任せっきりだったし、
いざ挙式が終わってみれば僕は、 「入籍の書類を
市役所に出しに行くのが糞面倒くせえし、
挙式までの手続きは全部俺がやったんだから
入籍ぐらいはお妻様でやってほしい」

対するお妻様は 「そんなに入籍したいなら市役所の人が
婚姻届を取りに来ればいいと思うの」(無理) という理由で、
結局2人で市役所の夜間受付に婚姻届けを
投げ込みに行ったのは、翌年の2月末なのであった。
おかげで我が家の結婚記念日は2回ある。

また、お妻様になった彼女様は、結婚とほぼ同時に
「俺はドール服のお針子さんになる」
(人形の服作りをして稼ぐ)と宣言して、頑張っていた
バイトを退職。物であふれかえるアパートのダイニングには
新たにミシン机と裁断机と資料本の棚やらが増設され、
一層床の見えない部屋になった。

暴走趣味夫妻
おばあちゃんの家に来たみたい


一方の僕はと言えば、フリーの記者業としての僕も
ようやく脂がのってきた時期。
毎日のように取材や打ち合わせで東奔西走し、
仕事用のバイクを新たに買い足したのをきっかけに
それまでの仕事バイクに稼ぎをぶち込んで、
バイクのレースに参戦するようになった。

思えばこの当時の取材ターゲットは、どんどん
社会的弱者を中心に収斂していった時期。
無知だった僕は、日々出会う取材対象の抱えた
苦しみや心の闇と、どの程度の距離感で対峙すれば
いいのかがつかめず、時にはダークサイドに思いっきり
引きずり込まれたりもしていた。

日々の取材活動におけるストレスは尋常ではないし、
そこそこ稼げるようになると20代のド貧乏時代の
フラストレーションも頭をもたげてくる。
それらすべてが僕の趣味方面にも暴発した。

それじゃー私も~ということで、お妻様もバイクの
免許を取得。免許取得前にサーキットに連れて行くと、
1日で6回も転倒して大喜び(しないでください)。

どうにもやっぱり頭のねじが数本足りないので、
速度に対する恐怖心というものがあまりないらしく、
そこそこのタイムで走るお妻様である。
こうなると、もう僕もお妻様のことばかり言ってられない、
暴走趣味夫婦だ。

僕はレース活動のために、毎週土日は軽貨物車に
バイク積んで、助手席に無理やり起こしたお妻様を乗せて
練習会場へ。 平日も競技車両のセッティングをしたくて、
取材や打ち合わせにバイク積みっぱなしの
軽貨物で出かけて、そのまま港湾地帯などに車を停車し、
その中で原稿を書いて、バイクをいじって帰宅なんて
日々が続いた。

物好きがこうじて古いバイクでの参戦だから、
アパートの階段から居間や台所の隅っこまで、
最大時で7本のストックエンジンが置かれ、
それでも足りずに近所のコンテナ倉庫を借りて
予備フレームやら練習用車両など突っ込む始末だった。

お妻様はお妻様で、僕が仕事からの逃避で近所の沼で
釣ってきたクチボソ(小魚)なんかを飼い始めたのを見て
何か変なスイッチが入ってしまったらしく、熱帯魚飼育を開始。
1年後には居間の壁際に13本の水槽が並ぶ
水族館状態を作り上げる。

なお、なぜか飼育するのは「淡水フグ」が中心で、
メコン川やらアマゾン川やらコンゴ川やら世界各地の
河川に棲むお魚が我が家の居間に大集合! 
それぞれに「ルンルン」「ちーちゃん」「だいだいさん」
「だいごろうさん」「あほちゃん」「おなかちゃん」
「米倉兄」「米倉弟」などと絶妙に最低のセンスで命名し、
日々「ルンルンは可愛いねえ、お姉さん襲っちゃいたいよ」
「だいさんこの戦争が終わったら僕と結婚してください」
などと水槽のガラス越しに話しかけている。

こうして数年、我がアパートは、大量の書籍と
鉄とアルミの塊と熱帯魚の水槽で、日本の木造建築の
耐力テストみたいな状況になってしまったのだった。 「
なんだただの似た者夫婦じゃないか」という読者の
ツッコミが聞こえるようだが、断じて違う! 
相変わらず僕はなんとか部屋の秩序を保とうとしていたし、
朝起きればお妻様が床に散らかしたものを拾い、
脱ぎ捨てたお妻様の服を洗濯機にフルスイングで
突っ込む日常を続けていた。

けれどなぜかお妻様の作る生活感マックスなカオス
我が家は、訪れる友人らから「鈴木さんのアパートに
来るとおばあちゃんの家に来たみたいな感じがある」と
好評であったことを付け加えたい。

「そう言ってもらえる雰囲気なんだからいいじゃない」 と
お妻様。あまりの惨劇にいたたまれず、
「気を遣ってそう言ってくださっている」という発想は
ないのか君には。・・・

発達障害とジャンキーカルチャー
発達障害を語る上で外せない「リタリン」


さて一方で、ハードリストカッターだったお妻様の
メンタルの具合と、小言大王の僕との夫婦関係は
どうだったろうか。
振り返ると、相変わらず僕の小言は続いていたが、
自ら育て上げたスルー力と逆切れ力によって
リストカットは再発することはなかった。

また、そのころ(2000年代中盤)は、いわゆる大人の
発達障害が一つの言説として盛んに語られるようになった
時期でもあり、僕自身も飛びつくようにして書籍を読んだり、
その著者の取材もした。

となれば当然、お妻様の抱えてきた問題が、
実は発達面にあるという確信はこの頃には
できていたことになる。
けれど、残念ながら僕は記者といっても、ご立派な
新聞記者などではなく単なる雑誌記者。
発達障害界隈のことを記事にするとなれば、
その取材の切り口はお妻様の抱えた問題の根底を
探るためとかではなく、「あなたの職場にもいる
発達障害の大人たち」みたいな興味本位な記事だったり、

その当時大人の発達障害に特効的な効果があると
されていた中枢神経活性剤=「リタリン」についての
アンダーグラウンドな取材がほとんどだった。

言い訳がてら、少々脱線させてほしい。
なぜ発達障害の薬がアングラ記事のネタなのか。
それはこのリタリンの成分が極めて覚せい剤に
近いもので、これに強く依存したり、日常的に乱用する
ジャンキーなスニッファー(スニッフィング=
薬剤を砕いて粉末を鼻腔吸引する者たち)が
現れたからだ。

当時の僕はいわば、不良少年少女の専門記者。
リタリンの乱用ブームが起こる随分前からクラブ
(踊る方の)を中心とした10代の不良少女カルチャーの
中では、タマ=MDMAや精神科処方薬のドラッグとしての
乱用が着実に広まりつつあったところで、
リタリンもそうした乱用薬物の中に現われた
ひとつという認識が、僕の中であった。

元々クラブとドラッグは親和性が高かったし、
2000年代初頭のクラブには、当時でいう合法ドラッグが
かなり蔓延していて、ハードなドラッグユーザーが
数えきれないほど種類のあったケミカル
(化学合成系の合法ドラッグ)を自ら人体実験みたいにして
昏倒したりゲロ吐いたりしながら試していった。

結果、最終的にクラブに最もフィットするとして
選抜されたのが、MDMAだったという経緯がある
(MDMAには他者に対しての親近感がアップする=
クラブにおけるフロアの一体感がメチャ増す
効果があった)。

後には規制薬物となり、乱用による死亡者も問題になった
MDMAだったが、当時はドラッグとしての怖さの
認識は薄く、少女らの中には 「学校は不登校だし
人と話すのも苦手だけど、一発バツ(MDMA)食えば
知らない人に自分からガンガン声かけられるし、
ハグれるし、バツとクラブがわたしを孤独から救ってくれた」
みたいな肯定的な捉え方をしている子が多かったように思う。

けれど、そんなクラブ通いのジャンキー少女らを
取材する中で耳にするようになったのが、「エリミン」=
通称赤玉なる錠剤だった。 エリミンは精神科から
処方される睡眠導入剤だったが、MDMAのラブ感に加えて
アルコールを飲んだような酩酊感がブーストできるとかで、
一気にジャンキー少女らの中に広まっていった。

彼女らは明らかに、日常生活に、学校や地元や家庭での
生活に違和感や苦しさを感じている子たちの
集団だったと思う。 とはいえ、薬効をダイレクトにするために、
ダイエットコークで鼻うがいし、中身を抜いたボールペンを
巧みに転がして錠剤を粉末にし、そのボールペンを
ストロー代わりにして白い粉末をスニッフィングする姿は、
まるで洋画のコカイン中毒者みたいだった。

精神系処方薬でジャンキーに
ドラッグがジャンキー少女たちの孤独を紛らわす?


エリミン以外の様々な精神系の処方薬の名前が
出て来るようになるまで、そんなに時間はかからなかった。
そして、そんな乱用カルチャーの中で「あれはヤバい。
まじパキる」と聞かれるようになったのが、
リタリンだったというわけだ。

リタリンは本来はナルコレプシー(睡眠障害)に
処方されていた薬で、大人の発達障害(ADHD=
注意障害と多動)にも大きく奏功するとされていたが、
その特異な「覚醒効果」がドラッグとして注目されて
しまったのだ。

当時の取材ケースでは、ベゲスニ(ベゲタミンという
強い睡眠薬の鼻腔吸引)で強制的に睡眠して、
強い覚醒効果のあるリタスニ(リタリンの鼻腔吸引)で
精神を強制起動するというルーチンにハマっている
ミドルティーンの少女らもいたが、こうなるともう
クラブ遊びの一環なんてステージは通り越して、
廃人状態だ。

だがここで疑問。そもそもなぜ10代半ばの少女らと
こんなに近距離に薬があったのか。
多くの少女はクラブ遊びを通じた友好関係の中に
薬との接点があったが、そこにエリミンだのベゲタミンだの
リタリンだのといった精神系の処方薬が入って来る
理由が分からない。


次回へ続く



こうして、こうすりゃ、こうなるものと、
  知りつつ、 こうして、こうなった


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歌は心の走馬灯、歌は世につれ、
 世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…






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