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2018年5月15日 (火)

妄想劇場・歴史への訪問

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昨日という日は歴史、今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー


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むかしむかし、つる平(へい)さんという人が、
お嫁さんの実家へ出かけました。
お嫁さんの実家の人は、みんな大喜びです。

「よく来てくれたのう」
「婿どのには、おいしい物をごちそうするからな」
お母さんは台所に行くと、何かを作り始めました。
すると台所へ、子どもたちが行きました。

お母さんは子どもたちを追い出そうと、子どもたちに
言いました。
「これこれ、近寄るんじゃないよ。今作っているのは、
恐ろしい物だからね」
「きゃーっ、恐ろしい物だって!」
「逃げろ! 逃げろ!」
子どもたちは、あわてて逃げて行きました。

さて、これを聞いていたつる平さんも、なんだか
恐ろしくなりました。(恐ろしい物とは、何だろう?)
しばらくして、お母さんは作った物をつる平さんの前に
運んできました。

「さあ、おいしい物が出来ましたよ」
けれど、つる平さんは食べようとせず、真っ青な顔で
ブルブルと震えていました。

「どうしました? たんと作ったから、どんどん
食べてくださいよ」
そう言われても、恐ろしくて手が出せません。
出された物をチラリと見ると、まっ黒な気味の
悪い物がたくさん並んでいます。

「あの、その、・・・わしは、腹が、いっぱいで」
「ああ、そうね。そんならお重に詰めてあげるから、
おみやげに持って行きなされ」
お母さんはそう言って、怖い物を詰めたふろしき包みを
つる平さんの首にゆわえてくれました。

怖いふろしき包みを首にゆわえたつる平さんは、
生きた心地がしません。
「もし、怖い物が食いついて来たら、どうしよう?
でも、せっかくのもらい物を、捨てるわけにもいかんし。

・・・あっ、良い物が落ちているぞ」
つる平さんは道に落ちていた長い木の棒を拾うと、
ふろしき包みを棒の先の方にゆわえつけて、
さわらない様にして歩いて行きました。

「よし、これなら大丈夫」安心して歩いて行くと、
石につまずいて転びそうになりました。
「あっ!」
そのひょうしに棒の先の包みが滑って、つる平さんの
首にペタンとすいついてきました。

「ひゃあっ、助けてくれえー!」
つる平さんはふろしき包みを投げ出して、
家にかけ出しました。

家に逃げ込んだつる平さんは、大急ぎでお嫁さんに
怖いおみやげの話をしました。
それを聞いたお嫁さんは、つる平さんに言いました。
「まあまあ、それはきっと、おはぎですよ」

「おはぎ?」
「知りませんか? それなら一緒に拾いに行きましょう」
お嫁さんはそう言うと、つる平さんと一緒に、
ふろしき包みを拾いに出かけました。

ふろしき包みは、すぐに見つかりました。
お嫁さんが包みを開くと、中からおはぎが出て来ました。
「ほら、やっぱりおはぎですよ」
お嫁さんに言われて、つる平さんがそれを見てみると、
おはぎのあんこのところがくずれて、中の白いごはんが
見えていました。

「あっ、やっぱり怖い物だ! 白い牙をむいてる!」
つる平さんはまっ青な顔をして、飛ぶ様に
逃げてしまいました。

・・・おしまい




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むかしむかし、吉四六さんと言う、とても
ゆかいな人がいました。
ある時、庄屋(しょうや)さんが風邪をひいて
しまいました。

「庄屋さんは口うるさいから、見舞い(みまい)に
行っておかんと、後で何を言われるか
分からんからな」
村人たちは次々と見舞いに出かけましたが、
ひねくれ者の吉四六さんは、みんなが見舞いを
終えた後に、一人で出かけました。

「庄屋さん、お加減はいかがでしょうか?」
「何じゃい、今頃。村の者がみんな早く見舞いに
来てくれたというのに、お前は一体、今頃まで
何をしておった? 
何をさておいても見舞いに駆けつけるのが、
礼儀というものではないか」

庄屋さんは、プリプリと文句を言いました。

「いえ、実は、庄屋さんにもしもの事があっては
いけないと、お医者さんを呼びに行ったのです。
あいにく、お医者さんは出かけておりましたので、
また帰りに寄って頼んできます」

すると庄屋さんは、たちまち機嫌を治して、
「そうか、そうか。さすがは吉四六さんじゃ。
よく気が利く。
さっきは叱ったりして悪かったな。お医者さんには、
もう大丈夫だからと言ってくれまいか」と、
吉四六さんを、酒やごちそうでもてなしました。

ところが何日かすると、庄屋さんの風邪が
ぶり返したというので、村のみんながまた、
ぞろぞろと見舞いに出かけました。

吉四六さんが一番最後に見舞いに行くと、
庄屋さんは息もたえだえに、「ああ、よく来てくれた。
今度も気を利かせて、お医者さまを呼んで
来てくれたか?」と、吉四六さんの手を取りました。

ところが吉四六さんは、首を横に振って言いました。
「いやいや。
どうも、今度ばかりは助かりそうもないと思って、
お寺のお坊さんを呼びに行ったり、お葬式
(そうしき)の棺(かん)おけやら、お通夜の後に出す
料理の材料の手配をして来ました。

それですっかり、遅くなりました」

吉四六さんの、あまりの手回しの良さに、
庄屋さんはカンカンに怒りました。
「この馬鹿者! わしは、まだまだ死なんぞ! 
気を利かすにも、ほどがあるわ!」

この怒った勢いで、庄屋さんの病気はすっかり
治ってしまったそうです。
・・・
おしまい


鬼が餅つきゃ、閻魔が捏ねる、
   そばで 地蔵が食べたがる


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「ねぇねぇ、ママはどうしてパパと結婚したのよ」

リビングで洗濯物をたたんでいると、高校一年になる
娘の沙耶香が 帰ってくるなりこんなことを聞かれた。
別に驚くことではなかった。

我が家に隠し事はない。
いや、…ないつもりで教育している。 だから、京子も、
建前ではなく本音で娘と向き合ってきた。 そ
れが時折、こういう質問の形で現れる。

「なによ、急に」 「だってさあ、パパってどう見たって
カッコイイとは言えないじゃん」

妻の口から言うのもおかしいが、まったくその通りだ。
17年前の結婚式の披露宴では、いったい何人から
「美女と野獣」と言われたことか。 それに加えて、
年齢とともに お腹周りが大きくなった。
頭のてっぺんも少々淋しい。・・

「サヤちゃん何かあったんでしょ」
「あれ、バレたか」
「ひょっとして、ダサイ男の子からコクられたとか」
「ええ~!なんでわかるのよ、ママ」

「男はね、見てくれじゃないのよ」
「またママの口癖ね」
「男を見る目を養うのも勉強よ」

京子は大学を卒業すると、中堅の繊維メーカーに
就職した。 自分で言うのもおこがましいが、
「新入社員にすごい美人がいる」と社内は騒然とした。
あちこちの部署から、コンパのお誘いがあった。
何人もの独身男性から電話番号を聞かれた。

そして、そのうちの一人の、超二枚目で将来有望と
目される三つ年上の先輩と付き合い始めた。
それから何ヶ月か経った頃、学生時代のゼミの
仲間からコンパの誘いがあった。

「付き合ってる人がいるし…」と断ったが、
「女の子が足りないのよ。
人数合わせと思って義理で来てよ」と頼まれ、
仕方なく出掛けた。

そこに来ていたのが、今の旦那の忠司である。
冗談ではなく、どこかの山から下りて来たんじゃ
ないか、というのが第一印象だった。

ヒゲ面で頭はボサボサ。下膨れの顔つきにタレ目と
ダンゴのような鼻。 聞けば、ワンゲル部で本当に
穂高に登って来た帰りだという。
指差す部屋の隅にはリュックが転がっていた。

その男がこともあろうに、会計を済ませて店を出るなり、
京子に「付き合ってください」と大きな声で言って
きたのだ。

身分違いもはなはだしいと思った。
けっしてお高く止まっているわけではないが、
付き合い始めた彼氏もいたし…。

「お願いします!」と頭を下げられた。 まったく
その気はなかったが、今まで出会ったことのない
タイプの男性だった。

一言でいうなら「野人」というか。それが京子には
新鮮に映った。
けっして、彼氏と二股をかけようというつもりは
なかったが、 ついつい勢いに押されて「はい」と
答えてしまった。

(まあ、1回だけならいいか)という軽い気持ちで
次の日曜日にデートの約束をした。
ちょっとだけ彼氏には後ろめたい気持ちを
抱きつつ・・・。

待ち合わせの場所がある駅のホームで電車を
降りると、 見覚えのある後姿があった。忠司だった。
なんと、この前と同じシャツにジーパン。
思わず笑ってしまった。初デートだというのに。

10メートルくらい後ろから追いかけていくと、
階段のところで忠司が老婆に声をかけるのが
目に入った。

荷物をいっぱい積んだシルバーカーを、階下まで
運んであげたのだった。
京子は思わず「やるじゃん」と口にしていた。

老婆を見送り、2、3歩歩き始めた忠司が踵を返し、
今度は別の老婆に声をかけた。
そして、デパートの大きな紙袋を二つ持ってやり、
ゆっくりと階段を上がり始めた。

慌てて京子は見つからないように柱の影に隠れた。
歩道橋を登ったり、下ったり。
説明はつかなかったが、心の中に春風が吹いたような
気持ちがした。

「へえ~、パパなら当たり前なんだろうね」
「でしょ」
「今でも同じだものね」
「ちょっと呆れるくらいにね」

「でもさ、その程度のことでママったら乗り換え
ちゃったの?」
「乗り換えるって何よ、失礼な娘ね」
「ごめんごめん。でもさぁ、お婆ちゃんに親切な
男の人なんて他にもいるんじゃないの。  

パパのいいところっていうのはわかるけどさ。  
パパのルックスとプラスマイナスしたらゼロって
ところじゃない」

「それがね、続きの話があるのよ。  
その後、カフェでお茶を飲んでから、買い物に
付き合ってもらったのよ。  

なんだかんだで3時間くらい引きずり回しちゃったの。  
お腹が空いたので『何か食べようか』と聞いたとたん、
パパがバタンッて倒れちゃったの。  

人通りの多い路上でね。もうびっくり。
どうしていいかわからなくって、通りがかりの人が
救急車を呼んでくれてね」

「どうなったの」
「風邪をひいてたらしいのよ。それも朝から38度2分も
熱があって。  
さすがに本人も身体が重かったらしいのね。
それなのに、お婆ちゃんの荷物を持ってあげてね。  

つまり、『それなのに』っていうのが乗り換えた
理由なの」
「へえ~」
沙耶香は急に真面目な顔つきになった。

「でもね、このことは秘密よ。
パパにも言ったことないんだからね」・・・

おしまい



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